梁の方程式に至る長い過程 その3 [ddt³さんの部屋]
梁の方程式に至る長い過程 その3
5.梁の微分方程式はどこに?。
梁の曲げの微分方程式の話はどこいったんでしょう?。じつはじつは純粋な梁理論は、梁の曲げの微分方程式なんか扱わないのです。梁の曲げの微分方程式の話は、取って付けた話になります(^^;)。というのは応力(力)ベースではなく、変位(変形量)ベースで考えた方が便利なこともけっこうあるのです。設計業務で変形後の梁の変位量を出したい!(それは変形量から計算できる)という場面は、確実にあります。
じつは変形後に断面がどうなるか?という話も、歪み分布と同じなんですよ。そして発想も超単純。
梁は上面圧縮,下面引張なんだから、断面の上端は左へ変位して上側は縮み,下端は右へ変位して下側は伸びたんじゃない?と単純に考えてみます。微小変形理論でした。「微小入力に対しては、出力は微小入力に比例する」から、図-14のように上下の変位を直線でつないで良いでしょう(D/Lが十分小さいなら)。そうすると変形後の断面と変形前の断面の交点は、変位0の位置です。伸びも縮みもしない位置。これ中立軸ですよね?。だって中立軸はそうやって決めたんだから。
よって上下端がともに右へ、ともに左への可能性は排除されます。もしそうなら直線で上下端の変位をつないだとき、中立軸を通れないからです。超単純に考えたら変形後の断面の形までわかっちゃった(^^)。
次にやっぱり微小変形理論なのです。図-14の断面の傾きもオーバーです。図では変形後の断面は中立軸と目に見える角度を持ってますが、微小変形理論なので変形後も断面は、中立軸とほとんど直交してるはずです。微小変形なので、目に見えちゃいけないのです。
・変形後も断面は直線形状を保ち、中立軸と直交する。
これをキルヒホッフ・ラブの平面保持の仮定といいます。いかにもな「取って付けた仮定」と思えません?(^^;)。キルヒホッフさんは電気回路の電流保存則で有名なキルヒホッフさんです。ラブさんはそのすじでは有名な、ラブ波(表面波)のラブさんです。
変形後の中立軸の形状をy=y(x)とします。それを梁の変形曲線と呼びます。変形後の断面も中立軸と直交するのでした。そうすると図-15に示した微小距離dxで梁を切り出してやると、図-16になります(少々オーバー描写です)。
変形後の断面は中立軸と直交するので、微小距離dxで梁は、厚さDの円弧の一部になります。位置xで中立軸に接する円の半径をr(x)とします。中立軸の長さdxにおける(弧長dxの)円弧の角度は、
従って中立軸から縁端距離d1,d2における弧長は、
(17)と、伸び縮みしない中立軸の長さdxとの差が、距離dxにおける上下面の変形量です。
歪みは変形勾配でしたので、(18)をdxで割ったものが上下面の歪みです。
上下面の歪み差は、
従って図-16における、断面上の歪み勾配は、
になります。これは(12),(13)で算定された歪み勾配aです。
6.曲率による曲線の表現
曲率と曲率半径の正式な定式化はネコ先生の、
https://nekodamashi-math.blog.so-net.ne.jp/archive/c2305520799-1
などをお読みください。ここではddt^3風の曲率と曲率半径の定式化をご紹介し、最後に梁の曲げの微分方程式が、やっと出てきます(^^;)。
まず普通に半径rの円を考えます。
図-17のように半径rの円では、基準ラインからθ回った時の円弧の弧長sは、s=rθなので、円の曲率1/rは、
とすぐに得られます。曲率1/rは、θとsが比例するので円では当然一定で、それが外法線方向の角度を表すθと弧長sの比例定数になってます。
次のように考えたいんです。
・比例関係があれば、対応する微分による一般化がある。
例えば1次関数y=axでは、yはxに比例し比例定数aは一定です。こういう考えは駄目ですか?。
直線ではyの変化率aは場所xによらず一定なので、変化率dy/dxが場所xごとにf(x)と変化するのが、一般の曲線。同様に。
円ではθの変化率1/rは弧長sによらず一定なので、変化率dθ/dsが弧長sごとに1/r(s)と変化するのが、一般の曲線。
ではないだろうか?・・・と(^^;)。この対応は妥当だと思うんですよ。だって(x,y)座標系による曲線の表現は人間の勝手であって、本来は曲線をどのような座標系で表してやっても良く、それによって曲線の形が変わるわけないからです。
そうすると(x,y)系における場所xと、(s,θ)系における場所(?)sとの対応が気になります。曲線のの形がどんな座標系においても変わらないなら、xとsは何らかな意味で、曲線の「同じ場所」を指定する必要があります。こうですよね?。
微分方程式、
は、場所xごとに曲線の進むべき方向dy/dxをf(x)でコントロールするので、ある曲線y=y(x)を定義します。これは1階微分方程式の基本的な考えです。
微分方程式、
は、(s,θ)空間で場所sごとに外法線方向θの進むべき方向を1/r(s)でコントロ-ルし、θ=θ(s)を定義します。図-18からsとxは曲線の同じ場所を指します。外法線方向θは常にその同じ場所で、接線方向dy/dxと直交するので、これは場所x(もしくはs)でdy/dxをコントロ-ルするのと同じです。
(24)は(23)を座標変換しただけものと思えてきませんか?(微妙に違うけど(^^;))。なお曲線の内と外は最初に定義しておく必要がありますが、円にあわせて曲線の凸側を外と定義します。
(24)による曲線の表現は、曲線の自然方程式と呼ばれます。この表現の利点は、座標系に依存しない事です。弧長sは曲線の形だけで決まり、任意の座標系で同じです。外法線方向θの値は基準ラインの方向に依存しますが、(24)で必要なのはその増分dθだけで、これは基準ラインの方向に依存せず座標系と無関係です。そして曲率半径r(s)も座標系に無関係に決まってます。
(24)は確かに理論的には美しいのかも知れませんが、実用的な計算ではやっぱり(x,y)座標がわかりやすいんですよね。それで(24)を(x,y)系へ再翻訳するのです。
です。
dθ/dxを考えると、θ方向は常にy'(x)方向と左回りに直交するので、dθ/dx=dy'/dx=y"(x)。従って、
再び微小変形理論を使うと、(y'(x))2~0かつs~x。よって(24)の微小変形理論での翻訳は、
ちなみに曲率による表現(22)も土木では広く知られており、実際に曲率の概念で「お仕事」する時もあります。
梁の微分方程式に至る長い過程 その2 [ddt³さんの部屋]
梁の微分方程式に至る長い過程 その2
4.梁理論
断面力から断面応力を算定する段階です。それには梁理論が必要です。
図-6はあんまり細長くないですが、細長い棒と思って下さい。棒という用語も正確ではないのですが、とりあえず棒と言っときます(^^;)。上から鉛直荷重を受ける細長い棒は、図示したように上面側が縮み(圧縮状態で)、下面側が伸びて(引張状態)で「曲がる」ことが経験的に知られています。もっとも微小変形理論ですので、目に見えない程度の曲がりです。でも目に見えないと絵にも描けないので、図-6はオーバーに描いてます。
もう一つ経験的にわかってるのは、図のy方向の変形は無視できるです。(3)からわかるように物体のバネ定数はバネの長さが小さければ小さいほど大きくなります。図-6のy方向を支えるバネは、棒の長さLに比較して棒の深さDが小さければ小さいほど、相対的にx方向のバネより格段に強い訳です。ここからy方向の変形は無視します。もっとも大きい/小さいを言うためには、基準スケールを決めなければなりません。それで「相対的に」と言ったのですが、鉛直荷重で潰れた棒なんて、見た事ありませんよ(^^)。
あと図-6のx-y軸に直交する紙面直交方向のz軸があります。ありますが、紙面奥行き方向の状態は一様と仮定します。何故なら奥行き方向の荷重は考えてないからです。
以上まとめれば図-6の棒は、一次元のxだけで各部の状態が決まる一次元部材です。これを線材と言ったりします。
図-6の断面状態を考えます。図-6は長手方向(x方向)の挙動だけを考えれば良いので、水平方向のバネの集まりである図-3でモデル化できます。単純な棒の伸び縮みと違うのは、断面の高さ方向yによって伸び縮みの具合が変化する点です。上は圧縮,下は引張ですから、図-3に準じてモデル化すれば、
みたいになるでしょう。図-7に対応して、応力-歪み関係(6)を考慮すれば、断面上の歪み分布は、
みたいになるはずです。ここで引張歪みの値を正と決めます。圧縮歪みの値は負です。理由は、図-2でバネを伸ばす力Fを正にするのが普通だからです。バネが伸びるとは、バネは引っ張られてるって事です。
そして物理現象に関する暗黙の仮定を使います。全ての物理現象は連続でした。断面上の歪み分布は、上は圧縮で下は引張です。すなわちε(y)は断面上で負から正に変化する連続関数です。中間値の定理より、圧縮でも引張でもない(縮みも伸びもしない)、ε(y)=0の位置があります。その位置での材料の変形は0です。その位置を中立軸と呼びます。
中立軸がなぜ必要かというと、断面応力を算定するのに必要な断面2次モーメントの計算のために、欠かせないものだからです。
そして物理現象に関する暗黙の仮定を、もう一回使います。「微小入力に対しては、出力は微小入力に比例する」を。さっき言ったように、大きい/小さいを言うためには基準スケールを決める必要があります。では設計計算の目的はなんでしょう?。
それは構造系全体の任意の位置に発生する応力が、材料強度を越えない事を確認するのが目的です。目的は構造系全体なんですよ。つまり基準スケールは構造系全体です。図-4や図-6の橋長Lです。それに対して図-6のDが十分小さければ、それは設計計算の目的にとって微小と言えます。なのでD/Lが十分小さければ、図-9の近似で十分だろうとなります。具体的なイメージは図-5です。橋全体を一目で見渡せるくらい遠目で見てる状態です。図-5くらい細長ければ(D/Lが十分小さければ)、図-9の近似でもOKという気はしませんか?(しないかも知れない(^^;))。
歪みは単位長さあたりのバネの伸び(縮み)でした。バネが伸びたり縮んだりするからには、断面に力が作用してるはずです。図-7,8は図-5の左部分系に対応するものなので、断面に作用する力は右部分系に由来する断面力です。左部分系は、断面力M,S,Nと支点反力R1に支えられて荷重P1に対抗するのでした。
歪みに弾性係数Eをかければ応力です。応力と断面力の関係をつかむために、図-3のように断面上で一様に力Fで引っ張られてる状態を考えます。応力歪み関係(6)に断面積Aをかければ、
でなけりゃいけませんよね?。だってσ=F/Aで定義したんだから。そしてFは軸力Nですよね?。この関係は図-7でも同じですよね?。違いは、図-9のように断面上の応力分布が直線変化するだけです(^^)。
σ(y)=Eε(y),ε(y)=a(y-e)は、断面上での歪みの(応力の)直線変化を表します。a,eは未定定数です。単位面積当たりの力の密度が応力なんだから、それを面積で積算すれば軸力Nになるという式です。ここで断面形状を表す領域Rは、
・・・となったりするんですよ。だから2重積分なんです(^^;)。未定定数eは中立軸の位置を表します。y=eでε(e)=a(e-e)=0だからです。図-10のT型断面では、上側のz方向の幅が広いので、中立軸位置は上側に引っ張られます。
断面力の算定結果より、今はN=0でした。(10)でN=0とし整理すれば、
(11)
中立軸位置の算定結果である(11)の結果は、y方向の重心位置を計算する式と同じです。従って中立軸は、断面重心を通ります。ちなみに(11)の分子を、断面1次モーメントと言います。yの1乗の積分だからです。
同様に、曲げモーメントMに対応する断面応力の積算をとれば、未定定数aを決定できます。Mは回転力でした。従って対応する積算は、σ(y)による力のモーメントです。
ここで注意すべきは、σ(y)による力のモーメントを計算する際の回転中心の取り方です。さっき静止物体の回転中心はどこにとってもOKよ、と書きました。そして図-9も静止物体には違いないのですが、図-9のように断面が傾くという事は、現在の位置まで断面が回転したという事です。その間は静止物体ではありません。図-9は、断面が動き終わった変形後の状態という訳です。
※
図-9は歪み分布(x方向の伸び縮みの変形勾配の分布)なので、図-9から断面が傾く(回転する)というイメージをつかめない人もいると思います。これについては次節で再論するので、とりあえず図-9のように断面が回転すると思って下さい。
でも知りたいのは、断面を動かした力のモーメントです。よって本当の回転中心を選ぶ必要があります。それは明らかに中立軸です。とすれば、y軸の原点を中立軸位置にとるのが、最も便利です。
図-11の座標系で、σ(y)=Eε(y)=E・ay。よってσ(y)による力のモーメントは、
(12)
(12)左辺のy×の符号は、図-11の応力分布σ(y)が左回りの回転力を定義するので、左辺全体の符号が正になるように決めてます。これによってMの正方向と一致します。
歪み勾配aの表式の分母は、断面2次モーメントと言われ記号Iで表します。yの2乗の積分だからです。
IはInertia:イナーシャのIです。よって断面上の応力分布は、中立軸位置を原点にとると、
となります。
(14)より断面上の最大引張応力と最大圧縮応力は、断面の上下縁です。これらの値を材料強度と比較することになる訳です。そこで中立軸から上下縁までの距離を縁端距離と呼び、図-12のように表す事も多いです。縁端距離d±を使えば(14)は、
となるので、計算に便利なように断面係数を、
で定義しておきます。断面力計算から出てきた曲げモーメントに断面係数をかければ、速攻で最大/最小応力という仕掛けです(^^)。
以上は、構造系に水平力が働かず、軸力N=0が前提でした。この状態を純曲げ状態と言います。図-6に示すように、鉛直荷重でただ曲がってるだけだからです。ただ曲がってるだけの状態で断面に作用する回転力だから、Mを「曲げモーメント」と呼びます。土木の命名規則は、モロかマンマです(^^;)。
水平荷重だけが作用すれば、純引張(圧縮)状態です。その取り扱いは図-3で、たんなるバネの伸び縮みです。これも図-5のスケールで、D/Lが十分小さければそれで良いよね?、という発想です。
そういう訳で(14)で表される曲げモーメントMに関連する応力は、曲げ応力と言われます。一方σ=N/Aで与えられる軸力に関連する応力は、軸応力と言われます。曲げ応力と軸応力が両方働いたらどうするか?。じつは足すだけなんですよ(^^)。いちおう根拠はあります。
・2つ以上の微小入力がある時、その出力はそれぞれの微小入力に比例した結果を足すだけ。
上記は多変数関数の全微分に対応する意味になります(私見では)。以上が純粋な梁理論の全てです。厳密には純曲げ状態にある線材を梁(Beam)といい、純引張(圧縮)状態にある線材を棒(Bar)といいます。
・・・ええとここで、せんだん力Sはどうするの?って思いません?。じつはせんだん力は、梁理論では扱えないのです。せんだん力は図-5に示すように、図-6のy方向の力です。ところが梁理論ではまっさきに、y方向の変形は無視すると決めたのでした(^^;)。しかし変形はなくとも、せん断応力はあります。それがないと物体は釣り合えないからです。それで、
で・・・良いんじゃねっ?・・・となりました。これを平均せん断応力といいます。この発想は軸応力と同じです。軸応力もふと気づけば、「平均」軸応力ですよねぇ~(^^;)。曲げ応力についてだけ少々詳しく評価するのは、水平荷重の効果は鉛直荷重の効果に対してかなり小さく(構造系が横に長いから)、軸応力は曲げ応力よりだいぶ小さいのが現実だからです。またx方向のバネは、y方向のバネより圧倒的に弱いからです。このような前提が成り立つのは、D/L=1/5~1/10以下と言われています。
梁の微分方程式にいたる長い道程 その1 [ddt³さんの部屋]
梁の微分方程式にいたる長い道程 その1
d2y/dx2=M/(EI)のEIを移項した、
を、梁の曲げの微分方程式と言います。ネコ先生の定義、
https://nekodamashi-math.blog.so-net.ne.jp/2019-06-11-9
とは符号が違いますが、符号は座標系yの取り方や、Mの正方向の決め方に依存しますので、ここではこれで通します。でも梁の曲げの微分方程式とは、けっこう長い名前ですよね?。「の」が2回も出てくるし。
ところで梁の曲げの微分方程式にいたる道程は、けっこう長いんです。いくつかの別系統の概念や考えを総合しないといけないからです。
1.微小変形理論と弾性学
構造はある材料で造られます。経験的にいうと構造が目に見えるくらい変形したら、構造を構成する材料はぶっ壊れてるのが普通です。設計計算の目的は、材料がぶっ壊れない事の確認ですから、基本は目に見えない程度の微小な変形範囲の材料挙動という事になります。
材料にある変形が生じれば、変形に応じて材料内部には材料にストレスをかける力が生じます。これを応力といいますが、変形量から応力への関数を漠然と想像して下さい。変形量が入力で応力が関数の出力です。全ての物理現象には、暗黙の前提が潜んでいます。
・微小な入力に対しては、出力は微小入力に比例する。
これが微分可能という事の本当の意味です(個人的見解では(^^;))。全ての物理現象は微分可能なんです。
微分可能であれば当然連続です。全ての物理現象は連続でもあると思って、間違いないと思います。そうでない時には、必ず人為的な人間の手が加わっています。
物理現象が微分可能であれば、どんな材料についてもフックの法則のタイプが、微小変形には成立するはずです。
kは材料のバネ定数、uは材料の伸び(縮み)、Fはその時に材料に作用する力です。(2)の事を一般には材料構成則といい、(2)のタイプの材料構成則を扱う分野を、弾性学と言います。要するに弾性学とは、物体をバネの塊とみなす分野です。微小変形理論という用語は、弾性とは別の概念を表すために出来たものなのですが、実際上、微小変形理論と弾性学の成立範囲はほとんど重なります。
2.弾性係数,応力,歪み
材料構成則があれば材料挙動がわかるので、ある材料でつくられた任意の物体の状態は、原理的には計算可能なはずです。ところがフックの法則(2)には大きな問題があります。じつは(2)は、材料構成則ではないのです。
フックの法則はフックさんが、最も単純な構造部材として棒の伸び(縮み)をとりあげ定式化したものです。
図-3は、図-2のバネを長さがLになるようにm本連結し、断面積がAになるようにn本束ねたものだとみなせます。直列バネ,並列バネの関係より、このときバネ定数はkはk×n/mに変化します。まずバネ定数は材料定数ではなかったのです。材料定数は材質だけで決まるべきものですが、バネ定数は長さと断面積という物体寸法の影響を受けてます。これでは駄目です。これでは同じ材料、同じuとFであったとしても、物体形状ごとに材料状態が違うので、物体ごとに違った材料構成則が必要になります。そんなの、材料構成則ではありません。
フックに続いてヤングさんが現れます。ヤングさんは、自分では意識せずに人を小ばかにした態度をとってしまう、非常に腹立つタイプの天才だったらしいのですが、天才らしくコロンブスの卵に気づきます。
m本直列に連結すればバネ定数は1/m倍になり、n本並列に束ねればn倍になるなら、「単位長さ,単位断面積のバネ」でバネ定数を定義すれば良いと。それを弾性係数といい、記号Eで表します。
「単位長さ,単位断面積のバネ」の事をここでは「標準試験体」と呼んでおきます。長さLのバネは標準試験体をL本連結したものであり、断面積Aのバネは標準試験体をA本束ねたものですから、図-2が標準試験体でk=Eなら、図-3の棒のバネ定数は、
とすぐにわかります。図-3の棒に関するフックの法則は(2)より、
です。(4)をみると、長さLと断面積Aが明示されるので、物体寸法(物体形状)を後付けで考慮できる形になっており、Eは材質だけで決まる定数です。すなわちEは材料定数です。
しかし欲しいのは材料構成則です。図-3の棒のフックの法則を(4)のように表しても、内容はなんら(2)と変わりません。AもLもuもFも、物体寸法の影響をモロ受けだからです。要するに欲しいのは「標準試験体」に関するフックの法則なんですよ。手掛かりは、長さや断面積がどうあろうとバネはバネ。それと、直列バネ/並列バネの結果です。
バネはバネなので、標準試験体には(2)のkをEとした形が成り立つはずです。直列バネの結果より、標準試験体の伸びは長さLのバネの伸びの1/Lです。並列バネの結果より、標準試験体が分担する力は断面積Aのバネに作用する力の1/Aです。よって、(4)から簡単に誘導できる次の形が重要なのだと気づきます。
(5)は(2)のkをEに変えた形をしています。u/Lは長さLのバネの伸びを長さに応じて修正した、標準試験体の伸びです。F/Aは断面積Aのバネへの作用力を断面積に応じて修正した、標準試験体の分担力です。これって図-3に示した、棒の中にある標準試験体の状態を表してるのは明らかですよね?。これらは材質だけで決まります。
(5)が材質だけで決まる材料構成則である事を明示するために、u/Lをεで表し歪みと呼びます。F/Aもσで表し応力と呼びます。(5)から物体寸法に関する表示を追放できました。
(6)は、材料構成則である事を強調して特に応力-歪み関係と呼ばれます。歪みεの単位は、それが単位長さ当たりの伸びなので、[ε]=m/m=1、すなわち無単位です。応力σは単位断面積当たりの力なので、単位は[σ]=N/m2となり圧力といっしょです。よって弾性係数Eの単位も、[E]=N/m2になります。
(6)は図-3のような理想化された一様引張(圧縮)のモデルで得られたものです。現実の材料では一様な状態ではなく、場所ごとにεやσは違うでしょう。しかしEが材料定数であるために、歪みは変形勾配として、応力は力の密度として扱えば良いことになります。これらは物体形状とは無関係に定義可能な量です。
ちなみにコロンブスの卵に気づいたヤングさんを記念して、弾性係数をヤング率とも呼びます。弾性係数は、単位長さ,単位断面積当たりのバネ定数なので、まさに「率」なんですよ(^^)。応力と歪みを最初に実質的に導入したのもヤングさんです。
3.構造力学
構造力学は設計計算の実用理論です。主に設計計算を手計算で行う際に広く用いられます。構造力学の手順は以下です。
1) 荷重情報を用い、全体系の釣り合い条件から支点反力を算定する。
2) 荷重情報と算出した支点反力を用い、部分系の釣り合い条件から断面力を算定する。
3) 算出した断面力から断面に作用する断面応力を算定する。
4) 算出した断面応力を材料強度と比較する。
材料強度を測定するのが、いわゆる標準試験体に対する材料試験です。強度はもちろん応力で表されます(材質のみで決まるから)。ただ材料強度は設計基準といった人為的な「決め」の側面も大きいので、ここでは省略します。もちろん構造力学はこれだけではありませんが、最も多用されるのは、1)2)3)4)です。
全体系の例は、図-4です。
図-4は、両端に支点を持つ橋長Lの橋の模式図です。荷重P1~P3は、例えば橋を走行する車両重量で設計条件として与えられます。本当はこれに橋の自重が加わるのですが、面倒くさいので省略します(^^;)。橋の自重も、橋梁形式やコンクリート橋だとか鋼橋だとかは事前に決まっているのが普通なので、設計条件の一部です。R1とR2は支点反力と呼ばれ、荷重を支えるために支点で発生した力ですが、これらは未知数です。支点反力を算定するために、全体系の釣り合い条件を使います。
なぜ支点反力を算定するかというと、物体(橋)に作用する力を全て決定できなければ、内部の応力状態なんてわかりっこないからです。なぜ釣り合いかというと、構造物は静止してるからです。うろうろ歩く橋なんて見た事ないですよね?。間違ってそうなってたら、危険で近寄る事すらできません(^^;)。
作用力の合力が0と、回転力の合力が0となる条件は、明らかに以下です。
ただし鉛直上向きの力を正とし、回転力は左回りを正として左端の支点を回転中心としました。静止物体で回転力の釣り合いを考える際には、回転中心はどこにとっても良いので計算に便利なように選べます。また(7)下段の[力]×[回転中心からの距離]という量が、回転力だというのはご存じと思います。機械系ではトルクと言われますが、旧態然とした土木では「力のモーメント」と呼ばれます。L1,L2,L3は荷重P1~P3の載荷位置で、左端から測った距離であり、これらも設計条件の一部です。(7)を連立方程式として解けば、
が得られ、支点反力が算定されます。以後、支点反力は算定されたものとして、R1とR2を直接使用します。
断面力を算定します。そのために左端から距離xで構造を2つに分割して考え、部分系の釣り合いをとります。全体系が静止してる以上、部分系も当然静止してなけりゃいけません。
回転力M(x)も同様です。さっきと同じ理由でM(x)がなければP1の作用により、左部分系は左端の支点を回転中心として右回りに回転するはずですが、静止する必要があります。回転しないように回転力M(x)が働きます。断面に回転力が働くというのには、違和感を持つ人もいると思いますが、物体の釣り合い条件からの論理的な帰結です。なぜなら他に、回転力を働かせる場所がないからです。
N(x)については全体系に水平荷重は働いていないので、N(x)=0です。ただし一般的にはN(x)も無視できません。
M(x),S(x),N(x)を、曲げモーメント,せんだん力,軸力と言います。力のモーメントであるM(x)に、なぜ「曲げ」という冠がつくかは後でわかります。これらの力の由来は、もちろん図-5の右部分系です。左部分系は右部分系に支えられている訳です。一方右部分系には、左部分系と逆向きの大きさの等しい断面力が作用します。作用・反作用の法則です。つまり左部分系と右部分系は互いに支えあっています。これらの事実は、断面力が物体内部の内力であり、作用・反作用の法則は内力の伝達を表している事を示します。
やる事はいっしょです。左部分系の釣り合い条件は、
∴
と、位置xでの断面力が得られます。いまxはP1とP2の中間にとっていますが、xをP2とP3の中間にとったとすると、(8)にP2の効果も含めて同じことをするだけです。支点反力さえ算定できれば、任意の位置xでの断面力を算出できるのは明らかと思います。以後、断面力は算定されたものとし、M,S,Nを直接使用します。
(執筆:ddt³さん)
お前らに問題(6月21日 方程式と不等式) [お前らに質問]
お前らに問題(6月21日 方程式と不等式)
つらつらと考えるに、
問6 aを実数の定数とする。次の方程式の解の個数を調べよ。
という問題は、次のようにグラフを使って解く方がが絶対に楽だよな。
【別解1】
(1) とし、曲線と原点を通る直線y=axの共有点を調べると、右の図のようになる。
したがって、
a<0のとき、解は1
0≦a<eのとき、解は0
a=eのとき、解は1(重解)
a>eのとき、解は2
(別解1終)
こういう解き方は厳密じゃないという批判があるけれど、
お絵かきの力、図的解法を舐めちゃ〜いけないという例。
視覚に直接訴えているので、中学生や数学が苦手な文系さんににだって理解してもらえる。
そして、この問題は
と置き、この関数の増減を調べて解くなんてことは絶対にしてはいけない。
この方法だと、場合分けが面倒くさいし、なにより、解答が長くなっていけない。
この方針で行くと、たとえば、次のようになるんだろうが、
【別解2】
(1) とおくと、
したがって、
a<0ならばf'(x)>0となり、f(x)は狭義単調増加である。
また、
なので、f(x)=0は−∞<x<∞に解を1つもつ。
a=0のとき、なので、f(x)=0は解を持たない。
a>0のとき、
の解をγとすると、
したがって、
x<γのときf'(x)<0、x>γのときf'(x)>0となり、x=γ=logaで極小、かつ、最小で、最小値は
したがって、
e/a>1、すなわち、0<a<eならば
となり、f(x)=0は解を持たない。
e/a=1、すなわち、a=eのとき
なので、f(x)=0は解x=1を1つだけもつ。
e/a<1、すなわち、a>eのとき
f(loga)<0かつf(0)=1だから、0<x<logaに解を1つ
f(loga)<0かつだから、x>logaに解を1つ、
よって、a>eのとき、f(x)=0は解を2つもつ。
以上のことから、
a<0のとき、解は1
0≦a<eのとき、解は0
a=eのとき、解は1(重解)
a>eのとき、解は2
(別解2)
別解2は、ただ数式と文章を読んだだけで理解してもらうのが困難なので、上のようなグラフまでつけないといけない。
中間値の定理や関数の増減、極値などの知識確認のためにはいい解き方かもしれないけれど、こんな面倒くさい解き方、解答は御免こうむるにゃ。
ということで、お前ら、【別解1】を真似て、問6の(2)を解くにゃ。
ネムネコは、優しいから、y=logxのグラフと、原点Oを通る、曲線y=logxに接する接線の方程式を書いてやったにゃ。
ところで、
とおくと、(2)の方程式は
となりまして、(1)の結果を使って答えが出たりして(^^)。
「aを1/aに変えれば・・・」と、惑わすことを言ってみたりする。
ネムネコが考えるに、上の動画の「雷」たちのように、ネコミミをつけると、簡単に解けるようなるかもしれない。
やっぱ、ネコミミこそ至高(思考?)だにゃ。
ネコミミは、数学や量子力学をするための必須アイテムだにゃ。
己の思考の限界、殻(から)を破り、このように弾け、跳躍(ジャンプ)するためには、ネコミミが必要だと思う。なんたって、ネコミミは、宇宙からの電波をキャッチするアンテナだからね。買ってつけると、閃きやすくなり、数学の問題をスラスラ解けるようになるかもしれない(笑)。解けなくても、3次元の世界から11次元の世界(量子よりさらにミクロな素粒子の世界)へトリップしやすくなることだけは間違いがない。
まっ、ネムネコは、これでもネコなので、自前のネコミミがいつもついているから、ネコミミをわざわざつけなくても、いつでも上の動画のように弾けられるけどさ。
この問題を出来た奴は、次の問題にチャレンジするといいと思うケロ。
問題 aを実数とするとき、次の方程式の解の個数を調べよ。
だから、
としても同一の方程式なので、とg(x)=aの共有点の個数を調べてもいいし、
はたまた、
とおいて、この関数の増減、極値を調べ、f(x)=0となる点の個数を求めてもいい。
なお、この問題は、として、グラフを使って、この2つの曲線の共有点を調べることは、できないことではないのだけれど、ちょっと危険、判断を誤りやすいかもしれない。
f(x)=x²との接点のx座標をx₀とするとき、
とならなければいけないので、
これを解くとx₀の値が求まり、そして、aの値が定まるが・・・。
このグラフから、のとき、共有点は1つであることは容易に想像がつくが、問題は、のとき、f(x)=x²との共有点(交点)がいくつか、グラフからだとちょっとわかりづらい。
なお、a<0のときg(x)<0、f(x)≧0だから共有点があるわけないし、a=0とき、共有点は(0,0)の1つなのは言わずもがな。
じゃぁ、のときは・・・。上の図だと2個に見えるが・・・。
時に、視覚はヒトの判断を誤らす。
ここまで(ほとんど答を教えて) やったんだから、どの方法を使おうがいいけれど、最期まで、ちゃんとやれよな。
このブログのイメージキャラの一人(?)である「ぬえ」ちゃんもこう言っているにゃ。
第22回 微分法の方程式、不等式への応用 [微分積分]
第22回 微分法の方程式、不等式への応用
微分法を用いることによって、方程式の解の(個数の)判別、不等式の証明を行える場合がある。
問1 次の不等式が成り立つことを示せ。
【解】
(1) f(x)=x−sinxとすると、
よって、x≧0でf(x)=x−sinxは単調増加関数。
ゆえに、x>0ならば、
したがって、
g(x)=sinx−x+x³/6とおくと
よって、g'(x)はx≧0で単調増加なので、x>0ならば
したがって、g(x)はx>0で単調増加となり、
ゆえに、
(2)
とおくと
よって、f(x)はx>0で狭義単調増加で
また、
よって、g(x)はx>0で狭義単調増加で
したがって、
(解答終)
問2 数学的帰納法を用いて、x>0のとき、次の不等式が成り立つことを証明せよ。
【解】
とする。
n=1のとき、
とすると、
よって、x>0のとき、
したがって、f(x)はx>0で単調増加。
ゆえに、x>0のとき
n=kのとき、
と仮定する。
n=k+1のとき、
これを微分すると、
よって、はx>0で単調増加。
したがって、
ゆえに、任意の自然数n=1,2,3,・・・に対して
よって、
(解答終)
nを正の整数とするとき、
となるので、
また、
よって、ハサミ打ちの定理より
特に、n=1のとき
x=log t とおくとだから、x→∞のときt→∞となるので、
問3 次の極限を求めよ。
【略解】
t=1/xとおくと、x→0+0のとき、t→∞
(略解終)
問4 のとき、次のことが成り立つことを示せ。
【解】
(1)
とおくと、
条件より
p>1だから、x=1のときにf(x)は極小かつ最小となり、
(2) a>0,b>0だから、を
に代入すると、
一方、
したがって、
(解答終)
問5 0<a<bのとき、次の不等式が成り立つことを示せ。
【解】
平均値の定理より
であるcが存在する。
0<a<c<bだから、
よって、
(解答終)
問6 aを実数の定数とする。次の方程式の解の個数を調べよ。
【解】
は同値。
なので、
とおき、y=aとの共有点を調べることにする(共有点の個数と解の個数は等しい)。
f(x)の増減そ調べるために、f(x)を微分すると、
したがって、f'(x)=0となる点はx=1。
f(x)の増減表を書くと、
したがって、f(x)はx=1で極小で、極小値はf(1)=e。
また、
だから、y=f(x)のグラフは右の図のようになる。
したがって、
a<0のとき、解は1
0≦a<eのとき、解は0
a=eのとき、解は1(重解)
a>eのとき、解は2
だから、
と直線y=aの共有点の個数を調べる。
f(x)の増減を調べるためにf(x)を微分すると、
したがって、f'(x)=0になるxはx=e。
増減表を書くと、
ゆえに、f(x)はx=eで極大で、極大値(この場合、最大値)はf(e)=1/e。
また、
だから、y=f(x)のグラフは右のようになる。
したがって、
a≦0のとき、解は1個
0<a<1/eのとき、解は2個
a=1/eのとき、解は1個(重複解)
a>1/eのとき、解は0個
(解答終)
問7 方程式logx=ax+bが解を持たないように定数a、bの値を定めよ。
【解】
とすると、
a≦0のとき、f'(x)>0だから、f(x)は単調増加関数。
また、
だから、中間値の定理より、方程式f(x)=0は解を1つもつ。
したがって、logx=ax+bが解を持たないためには、a>0でなければならない。
a>0のとき、f'(x)=0になるのはx=1/aで、このとき、f(x)は極大で、かつ、最大。
したがって、
ならば、f(x)=0は解を持たない。
よって、
が実数解を持たない条件である。
(解答終)
第21回 漸近線 [微分積分]
第21回 漸近線
曲線上の点が原点から限りなく遠ざかっていくとき、その点からの距離が限りなく0に近づく直線を漸近線という。
例
グラフから明らかなように、この曲線は、x→1+0のときy=+∞、y→1−0のときにy=−∞だから、この曲線上の点(x,f(x))は、xが1に近くづけば近づくほど原点からの距離が限りなく大きくなって、かつ、直線x=1に近づくので、x=1はこの曲線の漸近線である。
また、同様に、x→±∞のときだから、この曲線は直線y=xに限りなく近づいていくから、y=xも漸近線である。
曲線y=f(x)の漸近線がy軸な漸近線y=aについては、が成立するかどうかを調べればよい。
次に、曲線y=f(x)の漸近線がy軸に平行でなく、直線y=mx+nに近づく場合について考える。
曲線y=f(x)上の点P(x,y)から直線y=mx+nにおろした垂線の足をQとする。
x→±∞のとき、PQ→0だから
よって、
したがって、
である。
特に、m=0のとき、より、が漸近線となる。
問1 次の漸近線を求めよ。
【解】
(1)
したがって、
よって、y=xは漸近線。
また、
だから、x=0も漸近線。
したがって、漸近線はy=x、x=0。
(2)
よって、y=x+3が漸近線。
x=0も漸近線。
したがって、漸近線はy=x、x=0である。
(解答終)
だが、必ずしも、このように解く必要はなく、
(1)だと、
x→±∞のとき、1/x→0になるので、y=x+1/xがy=xに限りなく近づいてゆくことから、y=xが漸近線であることが分かる。
同様に、(2)の場合、
x→±∞のとき、カッコの中が限りなく0に近づくので、y=x+3が漸近線になっていることがわかる。
問2 関数
のグラフが条件(1)、(2)を満足する。
(1) グラフは原点を通る。
(2) 漸近線はx=1とy=x+1である。
a、b、cの値を求めよ。
とおく。
条件(1)より
条件(2)より、x=1が漸近線だから、a=−1でなければならない。
また、
であり、y=x+1が漸近線であるから、b=1。
よって、
これは,
をxの正の方向に1、yの正の方向に2移動させたものだから、グラフは以下のとおり。
(解答終わり)
なお、微分法を使うと、
となり、x=0で極大、x=2で極小であることがわかる。
極大値 0 (x=0)
極小値 4 (x=2)
第20回 関数の凸凹 [微分積分]
第20回 関数の凸凹
区間Iで定義された関数f(x)が、I内の任意の点x₁、x₂(x₁<x₂)に対して、x₁<x<x₂ ならば
であるとき、f(x)を凸関数という。また、このとき、f(x)は下に凸という。
であるとき、f(x)を狭義の凸関数という。
また、 –f(x)が凸関数であるとき、f(x)を凹関数という。
x₁<x<x₂ とすると、(1)式は
と変形され、さらに、
とおくと
となる。
したがって、f(x)が凸関数のとき、曲線y=f(x)上の任意の2点(x₁,f(x₁)と(x₂,f(x₂))を結ぶ線分は、曲線y=f(x)の下側にはくることがない。
また、f(x)が凸関数のとき、
が成立し、
直線AC勾配≦直線ABの勾配≦直線CBの勾配
である。
aを区間Iの内部の点とする。関数f(x)が点aの左近傍で狭義凸(狭義凹)、点aの右近傍で狭義凹(狭義凸)、つまり、点aの前後で凹凸が入れ替わるとき、曲線y=f(x)上の点(a,f(a))を曲線の変曲点という。
例1 f(x)=x²は(狭義)凸関数である。
a<c<bとすると、
例2 点(0,0)は曲線y=x³の変曲点である。
定理1 (凸関数と2次導関数)
関数f(x)が区間Iで連続、区間Iの内部で2回微分可能とする。f(x)がIで凸関数である必要十分な条件は、Iの内部でf''(x)≧0であることである。
[証明]
区間Iの内部の任意の点をa、b(a<b)、a<x<bとする。
f(x)はIの凸関数だから
f(x)は微分可能だから
f'(x)はIの内部で(広義)単調増加であり、よって、f''(x)≧0である。
逆に、
Iの内部でf''(x)≧0とすると、f'(x)はIで(広義)単調増加。区間Iの任意の2点a,bをとり、a<x<bとすると、平均値の定理より
であるξとηが存在する。
ξ<ηだから、
よって、f(x)はIで凸関数である。
(証明終)
定理2 関数f(x)が区間Iで連続、区間Iの内部で2回微分可能とする。Iの内部でf''(x)>0ならば、狭義凸関数である。
[証明]
Iの内部でf''(x)>0とすると、f'(x)はIで(狭義)単調増加。
区間Iの任意の2点a,bをとり、a<x<bとすると、平均値の定理より
であるξとηが存在する。
ξ<ηだから、
よって、f(x)はIで狭義凸関数である。
(証明終)
次の定理は、上の定理と変曲点の定義より明らかだろう。
定理3 関数f(x)が区間Iで連続、Iの内部で2回微分可能とする。aがIの内部の点で点(a,f(a))が変曲点であるならば、f''(a)=0である。
注意 y=f(x)=x⁴のとき、f'(x)'=4x³、f''(x)=12x²だからf''(0)=0になるが、y=x⁴は凸関数。したがって、「f''(a)=0ならば(a,f(a))」は一般に成立しない。
問題1 関数f(x)は、開区間Iで2回微分可能、かつ、f''(x)>0とする。曲線y=f(x)は、Iで常に接線の上側にあることを証明せよ。
[解]
aを開区間Iの任意の点とすると、(a,f(a))における接線の方程式は
である。
平均値の定理より、
であるcがaとxの間に存在する。
よって、
Iでf''>0だからf'は単調増加。
したがって、x<aのとき、
x>aのとき
x=aのときF(a)=0。
よって、曲線y=f(x)は接線の上側にある。
(解答終)
問題2 関数fを区間Iで定義された二回微分可能な凸関数とする。f'(x)>0(x∈I)ならば逆関数f⁻¹は上に凸(凹)であり、f'(x)<0ならば下に凸であることを証明せよ。
[解]
x=f⁻¹(y)とすると、y=f(x)。
(解答終)
関数fが区間Iで下に凸のとき、f''(x)=y''≧0だから、関数fは、f'(x)=y'>0ならばとなり上に凸(凹)、f'(x)=y'<0ならばとなり下に凸である。
(解答終)
問題3 f(x)=ax²+bx+c(a>0)について、次の不等式が成り立つことを証明せよ。
[解]
f'(x)=2ax+b、f''(x)=2a>0 (∵a>0) だから、f(x)は狭義凸関数。
A(x₁,f(x₁))、B(x₂,f(x₂))、C(x₃,f(x₃))とすると、f(x)は狭義凸関数なので、線分AB、BC、ACは曲線y=f(x)のグラフの上側にある。
とすると、これは△ABCの重心で、△ABCの内部にある(図を参照)。
したがって、
(解答終)
[別解]
f(x)は狭義凸関数。
よって、
したがって
(解答終了)
f(x)がIで狭義凸関数であり、a、b(a≠b)がIの任意の点のとき、
が成立する。
とおくと、
となる。
は、m=n=1、a=x₁、b=x₂とし(1)に代入すれば出てくる。
とおき(1)に代入すれば、
が出てくる。
f(x)がIで狭義凸関数ならば、
が成立する。
証明は、上の方法にならって数学的帰納法を用いればよい。
一般に、
f(x)がIで凸関数ならば
f(x)がIで凹関数ならば
問題4 のとき、次の関係が成り立つことを示せ。
【ヒント】
(1) f(x)=√xとおくとf''(x)<0だから、f(x)=√xは凹関数
(2) 両辺の対数を取れ。
よって、証明すべきことは
log xは凹関数だから・・・。
新潟県で震度6強 山形県で震度6弱 NHK [ひとこと言わねば]
【速報 JUST IN 】新潟県で震度6強 山形県で震度6弱 #nhk_news https://t.co/6oi4gMJ6s5
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年6月18日
新潟市は砂地で地盤が弱いから、長い時間、大きい揺れが続いて肝を冷やしたケロ。
https://is.gd/sz6zCL
https://is.gd/vUKJa1
今のところ、新潟県は、村上市でお年寄りが転倒し軽いけがをした以外、被害らしい被害の報告はないようです。
お前らに質問(6月16日 関数の最大・最小)の解答例 [お前らに質問]
お前らに質問 (6月16日 関数の最大・最小)
次の問題を微分法を用いずに解け。
問題 次の関数の最小値を求めよ。
【ネムネコの解法】
x≠0なので、分母と分子をx²で割ると
だから、
とおくと、
x>0、相加平均≧相乗平均より
よって、①式は
2≦t₁<t₂とすると、
よって、f(t)は増加関数。
したがって、
となり、f(t)はt=2のときに最小値3/2。
よって、t=2、すなわち、x=1のとき、
は最小で、最小値は3/2である。
(解答終)
【別解】
とおく。ここで、kは実数。
上の式の両辺にtを掛けると、
だから、2次方程式②は相異なる2つの実数解をもつ。
したがって、②の解をα<βとすると、β≧2でなければならない。
解と係数の関係より
よって、αは負。
したがって、
とおいたとき、
(右図参照)
ゆえに、t=2、すなわち、x=1のとき、最小値3/2。
(別解終)
2次方程式を使った解法(別解)は、慣れてないから、難しい。
それはそれとして、微分法を使うことなく、この問題を解くことができた(^^)。
少し考えるネムネコ イエスを抱く聖母像 [ひとこと言わねば]
だって、ホルスの父親は、エジプトのオシリスという神さまなんだから。
(エジプトの)神々の王であるオシリスは、弟の神さまセトの陰謀によって殺されてしまう。そして、セトはオシリスが復活できないようにオシリスの体を切り刻んで、その肉片をナイル川に流す。
愛する夫、オシリスの死を知ったイシスは、散らばったオシリスの遺体を集め復活させる――男の神を復活させるのは女神。日本のオオクニヌシも兄弟に殺された後、女神の力で復活している。さらに言うならば、カナンの主神、新約聖書で悪霊の頭とされるベルゼブブことバアルも計略にかかり殺害され、妹(または姉)の女神アナトによって復活させられている。これは神話の類型の一つで、なぜ、マグダラのマリアがイエス復活の場に立ち会うことになったのか、その理由もわかる――。しかし、男根だけは見つけられなかったので、完全にオシリスを復活させることは出来ず、オシリスはこの世を去らなければならなかった。
で、キリスト教の福音書で、計略にかかり殺害され、その後、復活を遂げるのは誰だにゃ。イエスでしょっ。そして、オシリスのように復活したイエスもこの世を去ってしまう。
だ・か・ら、
イエス⇔オシリス
聖母⇔イシス
聖母が抱く子⇔ホルス
という対応関係が成立する。
つ・ま・り、
イエスを抱く聖母像で描かれている聖母はイエスの奥さんであるマグダラのマリアであり、聖母が抱く子どもはイエスとマグダラのマリアの間で生まれた子どもってことになる。
キリスト教徒が何と言おうが、イエスを抱く聖母像はこう解釈するしかないケロ。
マルコよる福音書 第3章
3:31さて、イエスの母と兄弟たちとがきて、外に立ち、人をやってイエスを呼ばせた。 3:32ときに、群衆はイエスを囲んですわっていたが、「ごらんなさい。あなたの母上と兄弟、姉妹たちが、外であなたを尋ねておられます」と言った。 3:33すると、イエスは彼らに答えて言われた、「わたしの母、わたしの兄弟とは、だれのことか」。 3:34そして、自分をとりかこんで、すわっている人々を見まわして、言われた、「ごらんなさい、ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。 3:35神のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、また姉妹、また母なのである」。
https://is.gd/PVmb1B
ルカによる福音書 第2章
2:41さて、イエスの両親は、過越の祭には毎年エルサレムへ上っていた。 2:42イエスが十二歳になった時も、慣例に従って祭のために上京した。 2:43ところが、祭が終って帰るとき、少年イエスはエルサレムに居残っておられたが、両親はそれに気づかなかった。 2:44そして道連れの中にいることと思いこんで、一日路を行ってしまい、それから、親族や知人の中を捜しはじめたが、 2:45見つからないので、捜しまわりながらエルサレムへ引返した。 2:46そして三日の後に、イエスが宮の中で教師たちのまん中にすわって、彼らの話を聞いたり質問したりしておられるのを見つけた。 2:47聞く人々はみな、イエスの賢さやその答に驚嘆していた。 2:48両親はこれを見て驚き、そして母が彼に言った、「どうしてこんな事をしてくれたのです。ごらんなさい、おとう様もわたしも心配して、あなたを捜していたのです」。 2:49するとイエスは言われた、「どうしてお捜しになったのですか。わたしが自分の父の家にいるはずのことを、ご存じなかったのですか」。 2:50しかし、両親はその語られた言葉を悟ることができなかった。 2:51それからイエスは両親と一緒にナザレに下って行き、彼らにお仕えになった。母はこれらの事をみな心に留めていた。
マタイやルカの福音書が伝えるイエスの家系なんて、どう考えても嘘っぱちで、信用なんてできるもんかい。
イエスは、マタイやルカによる福音書では古代イスラエルの王であるダビデ、ソロモン王のの末裔の家で生まれた、とされている。その由緒正しい家のヨセフがナザレで大工さんをやっているんですか。どう考えても、史実はどうであれ、旧約聖書の予言と一致させるために、福音書の書紀が家系をデッチ上げた、捏造したとしか考えられないにゃ。