第24回 テーラー展開 [微分積分]
第24回 テーラー展開
定理 (テーラーの定理)
f(x)がa、bを含む区間Iでn回微分可能ならば、aとbの間の適当なcを選べば
が成り立つ。
【証明】
とし、F(a)=f(b)となるように定数Kを定める。
すると、F(a)=F(b)=f(b)となり、F(x)はロールの定理の条件を満たす。
F(x)を微分すると、
したがって、ロールの定理より
を満たすcがaとbの間に存在し、b≠cだから
である。
ゆえに、
(証明終)
n=1とすると、平均値の定理が得られる。
また、
b=x、とおき、(1)を書き換えると、
ここで、はラグランジュの剰余項である。
関数f(x)が級ならば、すべてのnについて(2)が成り立つ。よって、
となる点では、
となる。この級数をf(x)のx=aまわりのテーラー級数という。
特に、a=0としたときのテーラー級数
をマクローリン級数という。
問1 次の関数をマクローリン展開せよ。
【解】
(1) のn次導関数は
だから、
(2) のn次導関数は
だから、
(3) とおくと、
だから、
(解答終)
であることに注意。
ここで、さり気なく、のマクローリン級数の収束の証明をせずに、次の公式を提示する。
無限級数、べき級数のところで、無限級数の収束判定法を紹介するので、それまで保留ということで。
問2 次の関数をマクローリン展開せよ。
【解】
(1) f(x)=sin xのn次導関数は
だから、
したがって、
(2) f(x)=cos xのn次導関数は
だから、
よって、
(解答終)
(注意)
in x、cos xのマクローリン展開については
とするものもあるので注意。
問2の(1)、(2)の剰余項に注目すると、それぞれ、
なので、マクローリン級数は収束し、
お前らに質問(6月27日 微分) [お前らに質問]
お前らに質問(6月27日 微分)
f(x)はx=0で微分可能か?
結論から言えば、x=0で微分可能で、f'(0)=0。
微分可能であることは、右のグラフを見てもらえればよくわかるだろう。
だから、
である。
では、微分の定義に則して、f(x)がx=0で微分可能であることを示してもらいましょうか。
まぁ、要するに、
を求めてもらいましょうか、という問題だにゃ。
この極限は0/0の不定形だから、ロピタルの定理より
などとやったら、ぬっ殺す!!ので、この点はくれぐれも留意すること。
言いつけを背いた奴は、こうだからにゃ。
さらに余力のある奴は、次のことを証明するにゃ。
追加問題
f(x)は偶関数で、x=0で微分可能である。このとき、f'(0)=0であることを示せ。
問題の関数
は、x≠0のとき、
となっていので偶関数、かつ、x=0で微分可能だから、x=0における微分係数f'(0)=0になっているにゃ。
言っておきますが、
偶関数だからf(x)=f(−x)である。両辺を微分すると、
両辺にx=0を代入すると、
は、追加問題の解答にならないにゃ。
なぜ、これがダメなのか、わかるかい?
ところで、
f(x)が微分可能な関数ならば、⑨から
という関係が得られるので、f(x)が偶関数ならば、その導関数f'(x)は奇関数になる。
また、f(x)が奇関数のとき、
だから、この両辺を微分すると、
となり、その導関数f'(x)は偶関数になる。