マルサスの人口論のことなど [ねこ騙し物理]
マルサスの人口論のことなど
18世紀の経済学者マルサスは、『人口論』の中で、「(制限しなければ)人口は幾何級数的に増加するが、(食料などの)生活資源は算術級数的にしか増加しない」と述べたそうだ。
ここに出る「幾何級数的に」という言葉は、「等比級数的」にいう意味。
このマルサスのモデルは、「1回分裂すると細胞の数が2倍になる」という細胞分裂を考えるとわかりやすい。
1回目の細胞分裂で1個の細胞は2倍の2個に、2度目の分列で2個の細胞がその2倍の2×2=2²=4個に、3度目の分列で2²個の細胞がその2倍の2×2²=3³=8個に。以下同様に増え続け、n回目の分列では個になる。
細胞の数が1個でなく、個だった場合は、一回目の分列での2倍の個に、2回目の分列ではの2倍の個に、3回目の分列では個の2倍の個に、そして2回目の分列で個になる。
n回目の細胞分裂の細胞の個数をNで表すことにすると
細胞分裂は、ある一定の時間間隔τ置きに、1回、2回、3回、・・・、n回と時間tに関して飛び飛びに起きるけれど、これを拡張し、時間tに関して細胞分裂が連続的に起きると考えれば、時間tのとき回分裂していることになるので、
これをtで直接微分してもいいけれど、ネイピア数e=2.71828・・・を用いて、この式をさらに次のように書き換える。
ここで、はネイピア数を底にした自然対数。
さらに、
これをtで微分すると
この(3)式がマルサスのモデルを表す微分方程式で、(2)はt=0のときを満たす(3)の解である。
したがって、
マルサスのモデルは、
人口の時間あたりの増加の割合は、人口Nに比例する。その比例定数をrとすると、
と言い換えることができる。
マルサスは、「ヒトが生きていく上に必要な食料などによって人口増加は抑制される」といった趣旨の主張もしているらしいので、実際、人口が無限に増加することはできないのだけれど、マルサス・モデルと呼ばれるものは、このようなモデルをいう。
ところで、比例定数rは時間の単位の逆数を単位に持っているので(時間の単位が”年”だったら、比例対数の単位は”1/年”)、
と物理的な単位を持たない無次元の時間を定義し、さらに、
とすると微分方程式(3)は
とさらに簡単に表わせ、この解(2)は
と非常にシンプルなものになるけれど…。
ちなみに、
とすると、たとえば、放射性同位体の崩壊を表す微分方程式になる。
t=0における放射性同位体の原子の個数をN₀とすると、時刻tにおける放射性同位体の原子の個数は
である。
そして、このτを放射性物質の半減期という。
マルサス・モデルとは異なるが、ランチェスターの(第2次)法則と呼ばれるものがある。
自軍の(残存)兵士数をx、敵軍の(残存)兵数をyとすると、ランチェスターの法則は、次のような微分方程式で表すことができる。
この微分方程式(6)の意味するところは、「自軍の時間あたりの兵士損失数は敵軍の数に、また、敵軍の時間あたりの兵士損失数は自軍の兵数数に比例する」で、α、βはその比例係数。
(6)式の第1式を第2式で割ると
特に、α=βのとき、
もし、同等の力を持つネムネコ軍100とddt³軍200が全面衝突して戦った場合、ネムネコ軍が全滅したときのddt³軍の残存兵数をとすると、(8)式から
となりまして、ネムネコ軍は100名の兵士を失ったのに対して、ddt³は兵士を200−173=27名失うだけですむんだケロ。
というわけで、2倍の兵力差があると、上の動画に登場するヤマトのように、ネムネコはddt³さんに一方的にタコ殴りされるにゃ。
対して、ddt³軍の司令官ddt³さんが、50名ずつネムネコ軍と戦わせた場合、
ネムネコに都合のいいように四捨五入して、第1回目の戦闘終了後のネムネコ軍の残存兵力をとし、第2回目のバトルをすると、
ネムネコにとって都合のいいように、第2回目の戦闘終了後の残存兵力をと切り上げる。
第3回目のバトルでは
同じく、切り上げてとして、最終戦闘に挑むと
となり、ddt³軍が全滅したとき、ネムネコ軍には兵士が14名ほど残っていることになり、ネムネコ軍が勝利するにゃ(^^)。
こんな戦い方では、ネムネコ軍の進軍を止められないにゃ。
ではあるが、ネムネコ軍には連戦による披露が蓄積しているので、引き分けということにしておこう。
ネムネコ法(笑)による斜方投射の近似計算 [ねこ騙し物理]
ネムネコ法(笑。実はただのテーラー展開)による斜方投射の近似計算
前回、連立微分方程式
を、γ=0.3、θ=π/3の場合について、オイラー法を用いて近似的に解いた。
その計算結果は、次のとおり。
この計算結果を見ると、最高到達高さHの近辺でオイラー法による計算結果と厳密解との差異が少し大きい。
そこで、オイラー法
を改良し、近似計算の精度向上を目指すことにする。
まず、u(t+Δt)を
とテーラー展開する。
微分方程式より
したがって、
と近似でき、これから次の漸化式を得る。
同様に、
これから、次の漸化式を得る。
改めて、まとめて書くと、
k=0,1,2,・・・について
が連立微分方程式(1)、(2)の数値解になる。
この方針にしたがって、先と同じ条件で計算した結果は次の通り。
近似計算の精度が劇的に向上し、良好な結果が得られていることがわかる。
オイラー法を用いた斜方投射の近似計算 [ねこ騙し物理]
オイラー法を用いて斜方投射のシミュレーションをしてみた。
角度θで球(砲弾)を初速度で射出したとすると、運動方程式は
初期条件は
とする。
ここでu、vは、それぞれ、x軸とy軸の正の方向の速度であり、また、mは質量、gは重力加速度、そしてk>0は空気抵抗の比例定数である。
m、g、kといった文字があると計算が厄介。
そこで、適当な無次元化を行うと、上の微分方程式は次の形の微分方程式になる。
このとき初期条件は
この微分方程式の解は、簡単な計算から
と求められ、オイラー法を用いて、この連立微分方程式をわざわざ数値的に解く必要はないのだが、それを言ったら身も蓋もない。
だから、このような批判をしてはいけないにゃ。
さて、
を積分すると
になる。
この右辺の積分を
と近似すると
などとやるのが正式なのだろうが、この方法はすこし面倒なので、ここでは採用しないことにする。
テーラー展開から
になる。
この微分方程式の場合
となるので、この結果を代入すると
だから、下の式の右辺で
とu(t+Δt)を近似したときの誤差はであることがわかる。
でもあるので、(4)式は
さてさて、とし、
とし、
から得られる、の値でにおける微分方程式の解の値で近似する。
においてであるとき、(3)と(4)式から
これを、離散化した時の(局所的な)打ち切り誤差などと呼ぶことがあるようだにゃ。
同様に
という漸化式が得られ、
を起点にし、前進的になどの前進的にその値を次々と求めることができる。
これがオイラー法を用いた連立微分方程式(1)、(2)の数値的な解法である。
γ=0.3、θ=π/3=60°、Δt=0.1として解いた結果は次のとおり。
uとxはよく合っているのですが、vとyが少し合わない。
Δt=0.1という粗い計算でここまで合ってれば十分といえば十分。
着弾点はほとんど一致しているので、敵を大砲で吹き飛ばすには十分な結果だろう。
でも、なんか気にらないケロ。
そこで、近似計算法を改良すると――仮称:ネムネコ法(笑)――、次のように良好な結果が得られる。
精度が劇的に向上し、ネムネコ法(笑)による計算結果と厳密解との違いを視覚的に見つけることはできないケロ!!
なお、投射角θ=60°なのに、そう見えないのは、x軸とy軸の目盛の間隔が1:1でないため。もしこれが1:1ならば、60°で投げ出されていることがわかる。
この計算モデルの場合、
無次元重力加速(初速、質量、空気抵抗の比例定数の違いは全てここに反映される)
の場合、θ=60°で砲弾を撃つと、砲弾はほとんど真上から落ちてくるんだね。知らなかった。
ちなみに、この無次元重力加速度γと投射角度θが同一であれば、同じ軌道を描く!!
それはそれとして、この計算結果を見ると、uは0に、vは−γ=−0.3に収束することがわかる。
この値は微分方程式
に、du/dt=0、dv/dt=0を代入すれば出てくるんだケロよ。
つまり、終端速度を求めるだけならば、微分方程式を解く必要がない。
知っていたケロか?
このままでは癪なんで、修正オイラー法、ルンゲ・クッタなんて高級な計算方法――計算法の導出が1変数の微分積分の範囲を越える!!――は使わずに、計算精度を向上させる方法について考え、スプレッドシートを作るにゃ。
斜方投射の動画をBloggerにアップ!! ついでに数値的に解いてみた [ねこ騙し物理]
試しにオイラー法で解いてみた
「この微分方程式くらいならば、オイラー法で十分じゃねぇ」と思ったので、
今日の記事で取り上げた
の近似解(数値解)を、最も簡単なオイラー法で求めてみた。
その結果は、コチラ↓。
とりあえず、これだけ合っていれば十分だろう。
上の連立微分方程式の場合、オイラー法を用いると、、時刻tにおけるu(t)、x(t)の値を元に、時刻t+Δtのu(t+Δt)とx(t+Δt)が
という簡単な式で表される。
Δtを一定にし、
とすると
ここからは余談だけれど、
①は次のように変形すると、
となり、そして、Δtは一定と仮定しているので、数列は初項、公比1−Δtの等比数列であることわかる。
したがって、
で、u₀=1とし、区間[0,1]をn等分すると、
となるので、
そした、n→∞の極限を取ると
で、
の解は
だから、t=1とすると、
となり、この両者は一致するのであった。
ということで、
もうひとつの微分方程式
も、オイラー法で、結構、いい精度で解くことが出来そうだね。
こちらの場合は、
話を簡単にするために、としたけれど、
角度θで投げ出す斜方投射の場合、初期値は
だケロよ。
そして、γは無次元化された重力加速度であることに注意。
この無次元重力加速度に質点の質量、空気抵抗の比例定数などがすべて集約されているんだケロよ。
あと、Bloggerの方に、斜方投射のアニメーション動画をアップしておいたので、興味のある奴は見るといいにゃ。
リンク先はこちら↓
http://nemneko.blogspot.com/2019/08/blog-post.html
そしていつもどおり、自画自賛をして、記事を結ぶのであった。
斜方投射と到達距離 [ねこ騙し物理]
斜方投射と到達距離
北朝鮮が、また、ロケット花火を打ち上げたので、極初歩的な弾道軌道の計算をしてみることにするにゃ。
地球は球形だけれど、問題を簡単化するために、地球は平ら、重力加速度gは一定と仮定する。
§1 放物運動 (空気抵抗がない場合)
時刻t=0で速さで地平線(x軸)となす角度θで、質量mの質点が投げ出されたとする。
このとき、(ニュートンの)運動方程式は次のようになる。
初期条件は
とおき、①の両辺をmで割ると、
t=0のときだから
これを積分すると
初期条件x(0)=0から
②の両辺をmで割ると
とおき、これを書き換えると
重力加速度gは定数だから、両辺を積分すると
初期条件より
さらに積分すると
初期条件y(0)=0より
したがって、
が解になる(高校の物理の公式)。
次に、質点の運動の軌道を求めることにする。
(3)より、
これを(4)式に代入すると
したがって、最高の高さHは
到達距離Lは
0<θ<90°とすると、sin2θ=1になるのはθ=45°の時だから、最大到達距離
である。
もっと簡単に解けるけれど、高校の物理などとの兼ね合いで、こう解いてみたにゃ。
【解】
v=0のときに、yは最大になる。
したがって、(2)より
これを(4)式に代入すると、
(4)式でy=0になるtの値を求めると、
したがって、
(解答終)
§2 空気抵抗がある場合
以上の議論は空気抵抗がない場合の話。空気抵抗が速度に比例する場合、運動方程式は次のようになる。
kは比例定数だケロ。
初期条件は空気抵抗がない場合と同一とする。
③の一般解は見た瞬間
とわかる。
初期条件はだから
これを積分すると
t=0のときx=0だから
④はじっと見ると
初期条件はだから
これを積分すると
t=0のときy=0だから
よって、
したがって、微分方程式の解は
(11)をtについて解き、それを(12)に代入すれば、軌道をy=f(x)という形で表すことができるけれど、形がオドロオドロなりすぎるにゃ。
問 変数分離で④を解け。
地平線(x軸)にぶつかれば跳ね返るけれど、跳ね返ることなくもし永遠に落下し続けるとすれば、終端速度は
そして、
ここで、お前らに問題。
問題1 t≧0とするとき、(12)式で与え与えられるyの最大値Hを求めよ。
【ヒント】
yが最大になるとき、
到達距離Lを求めようと無謀なことは考えないほうがいいにゃ。
だって、
の解を求める必要があるからだにゃ。
まぁ、t=0という自明な解はすぐに求まるが・・・。
問題2 km/t>0が1に対して非常に小さいとき、空気抵抗がない時の解(1)〜(4)は、空気抵抗を考慮した解(9)〜(12)の近似になるはずである。
このとことを示せ。
【ヒント】
ところで、ネムネコは微分方程式
を次元(物理単位)をもつまんま解いたけれど、この微分方程式は何らかの方法で無次元化して解くべきだね。
たとえば、無次元化された速度
は無次元化された時間
を導入する。
すると、(無次元化された)微分方程式は次のようになるのかな。
ここで、γは無次元化された重力加速度で
こうすれば、「メートル」、「フィート」や、「キログラム」、「ポンド」といった単位によらないより普遍的な方程式になり、微分方程式を解くのも楽になる。
こうすると、初期条件は
ネムネコが考えるに、
ddt³さんが、きっと、こういった話をしてくれるに違いない。
さらに、初期値問題⑨を解くスプレッドシートを作ってくれるに違いない(^^ゞ
ニュートンの冷却の法則と雨粒の落下速度 [ねこ騙し物理]
ニュートンの冷却の法則と雨粒の落下速度
ニュートンの冷却の法則
物体の冷える速度は、物体の温度と周囲の温度の温度差に比例する。
時刻tにおける物体の温度をT、周囲の温度を、さらに比例定数をk>0とすると、ニュートンの冷却法則は、次の微分方程式で表すことができる。
この微分方程式(1)は、変数分離法を用いて、次のように解くことができる。
時刻t=0における物体の温度をT₀とすると、
よって、
したがって、
つまり、十分に時間が経過すると、物体の温度は周囲の温度と等しくなる。
微分方程式の(特殊)解は、(2)ではなく、次のように表したほうが物理的に、より、一般的なのだろう。
さてさて、いま、変数分離法を用いて微分方程式(1)を解いたが、周囲の温度は一定と仮定しているので、(1)は次のように書き換えることができる。
そこで、とおくと、
よって、この微分方程式の一般解は次のようになる。
だから、
となり、初期条件t=0のときT=T₀を代入すると、(2)または(3)を得る。
なお、変数分離法を用いない微分方程式(4)の解法は次のようになる。
(4)から
両辺にを掛けると、
もちろん、と置き換えることなく、(1)式を
と変形し、この両辺にをかけ、
さらに、これを積分し、
と解くこともできる。
数学的には、と置き換えて解こうが、上記のように直接解こうが、どちらでも構わないのですが、自然現象、特に、物理現象には、微分方程式(4)の形に表されるものが意外に多い。たとえば、放射性物質の崩壊、コンデンサーの放電、日焼けの原因になる紫外線の皮膚への浸透などなど。
次に、地上数千メートルの高さから雨粒が落ちてくる運動について考える。
雨粒の質量と落下速さそれぞれmとvとし、重力加速度をgとし、落下する雨粒を減速させる抵抗力が速さvに比例すると仮定すると、雨粒の運動方程式は次のようになる。
両辺をmで割ると、
mg/kが一定であると仮定すると、
高さ数千メートルのところから落ち始める雨粒の速さvは0だろうから、落ち始めの時刻をt=0とすると、
したがって、
この上限の速さmg//kを、(雨粒の)終端速度という。
もし、空気抵抗がないすると、高さH=2000mから初速0で雨粒が落ちてくる雨粒の地表面での速さは
という猛烈な速度になる。
これくらいの速度になると、水、雨粒は固体と同じだから、雨粒はショットガンの散弾以上の破壊力を持つことになり、地上にはいかなる生き物も存在し得ないことになる!!
なお、終端速度は(6)でdv/dt=0とおいた
から求めることができる。
あるいは、(6)式でt→∞の極限をとって求めることができる。
雨粒ではなく油滴ですが、物理学者ミリカンは、油滴の終端速度を利用し電子の電荷(電気量)を求め、のちにノーベル物理学賞を受賞しているにゃ。
この実験を、ミリカンの油滴実験という。
ミリカンの油滴実験
で、お前ら、真空の熱容量はいくつになった? [ねこ騙し物理]
で、お前ら、真空の熱容量の値を求めることができたのか?
問題 真空の熱容量の値は、次のどれでしょうか。選択肢の中から1つ選び、選んだ理由も合せて答えなさい。
(1) 0
(2) 無限大
(3) 定義できない
(4) この質問は物理的に無意味である
(5) その他(たとえば、0、無限大の間のある値)
【解答(?)】
真空中に1個粒子が存在し、この粒子の温度を1℃(1K)上げるのに必要な熱エネルギーをEとする。すると、2個、3個、4個、・・・、n個の粒子の温度を1℃(1K)上昇させるのに必要な熱エネルギーは2E、3E、4E、・・・、nEになるだろう。
したがって、真空中にn個の粒子が存在する系の熱容量は、
である。
真空とは粒子が何も存在しない状態だから、n=0であり、したがって、真空の熱容量は
である。
ゆえに、答は(1)。
(解答終)
さてさて、これは正しいケロか?
なお、この問題に関係するかもしれないチョットした読み物として、次のものを紹介しておこう。
真空の比熱
ところで、宇宙ステーションは地球の上空約400km、地球大気の熱圏と呼ばれるところで周回軌道をしている。宇宙ステーションのまわりの大気の温度は約1000℃くらいあるらしく、灼熱地獄にいるにもかかわらず、宇宙ステーションとその中にいる乗組員は丸焼けにならない。
「なぜ、宇宙ステーションの乗組員は焼き鳥にならないのか」、この理由を、お前ら説明をするにゃ。
宇宙ステーションのまわりの空気が約1000℃である証拠のグラフ↓。
答を教えることになるので、このグラフの出典は教えられないにゃ。
そして、この答を自力で見つけられたヤツは、「温度って、一体、何だ」という更に深い闇に包まれるに違いない。
つまり、「熱圏の大気の温度とは一体、何だ。これはどうやって測定するのか、あるいは、求めるのか」というお話だにゃ。
ちょっと、お前らに物理の質問!! 物理編 [ねこ騙し物理]
ちょっと、お前らに物理の質問!!
物質(正確には系)に熱をΔQ与えたとき、温度がΔT上昇したとする。
このとき、熱容量Cは次式で定義される。
ここで、質問。
問題 真空の熱容量の値は、次のどれでしょうか。選択肢の中から1つ選び、選んだ理由も合せて答えなさい。
(1) 0
(2) 無限大
(3) 定義できない
(4) この質問は物理的に無意味である
(5) その他(たとえば、0、無限大の間のある値)
さあ、答えてもらいましょうか。
なお、ネムネコは物理屋さんじゃないので、この問題の答は知らないにゃ。
答はddt³さんが教えてくれると思うので、みんな、期待して待つにゃ。
放射性崩壊 [ねこ騙し物理]
放射性崩壊
放射性崩壊とは、不安定な原子核が、α線(ヘリウムの原子核)、β線(高速の電子)、γ線(X線よりも波長い、つまり、X線よりも大きいエネルギーをもつ電磁波)などを放出し、安定した原子になる減少をいう。
そして、放射性崩壊は、原子核の崩壊によって放出する粒子の違いによって、次の3つに分類される。
アルファ崩壊
陽子2つと中性子2つからなるヘリウムの原子核、つまり、α線を放出する崩壊で、これにより、原子番号が2、質量数(陽子と中性子の和)が4小さな原子になるもの。
ベータ崩壊
原子核を構成する、電気的に中性な中性子が陽子と電子、さらに、反電子ニュートリノに崩壊し、β線が発生する。この崩壊によって、原子は、質量数は変わらないが、原子番号が1つ大きな原子になる。
ガンマ崩壊
X線より波長が短く、高エネルギーの電磁波を放出する現象で、質量数と原子番号は変化しない。
中性子nは、正の電気量をもつ陽子p⁺と負の電気量をもった電子e⁻、さらに反電子ニュートリノなどが結合したものだと考えるといいにゃ。
これをβ⁻崩壊といい、
をβ⁺崩壊という。ここで、は電子ニュートリノを表す。反電子ニュートリノは、電子ニュートリノの反物質、反粒子だにゃ。
反物質で体が構成されているといえば、宇宙戦艦ヤマトのテレサだケロ♪
ddt³さんが、きっと、これよりも詳しい説明をしてくれると思うので、期待して待つといいにゃ。
今日の新聞記事に、福島第一原子力発電所の事故により放出された、セシウムの放射性同位が地表や地中に存在し、除染が進んでいないという内容の記事があった。
セシウムの放射性同位体には、質量数(原子核の陽子と中性子の和)が135のセシウム135、質量数が137のセシウム137があって、セシウムの放射性同位体は一般的にベータ崩壊をする。
したがって、セシウム135は、
と、原子番号が1つ大きなバリウム(Ba)に変化し、ベータ線e⁻を放出することになる。そして、セシウム135の半減期(放射性物質の量が半分になる時間)は約2年。
基準になる時刻の放射性物質の質量をm₀、半減期τとすると、それから時間がtだけ経過すると、放射性物質の質量は、
または、
になる。
というわけで、
福島第一原子力発電所の事故から約8年経過しているので、この事故によって原子炉から自然界に放出されたセシウム135の量は、
と、事故直後の1/16になっていることになる。
一方、セシウム137の半減期は30年と、セシウム135よりも長いんだケロ。
したがって、福島第一原子力発電所から放出されたセシウム137は、
と、事故直後から17%しか減っていないことなるんだにゃ。ただ、地表や地中にあるだけならばまだしも、植物は水や地中の養分としてセシウム137を取り込み、この植物をイノシシなどの動物が食べて、その結果、その体内でセシウム137がますます濃縮されてしまう。厄介なんだケロよ。
ただ皮肉なもので、チェルノブイリ原発の周辺は、深刻な放射性物質の汚染地域でありながら、人間がいなくなったので、現在、野生動物の楽園になっている。
だ・か・ら、人間という存在のほうが高濃度の放射性物質よりも生態系を破壊していると言い換えることができるのかもしれない。
事故から30年、チェルノブイリが動物の楽園に
https://goo.gl/eGwyEv
ひょっとしたら、コッチらの動画のほうが近いのかもしれないが・・・。
ここは数学のブログなので、お前ら、次の微分方程式
を、t=0のときm=m₀の初期条件で解くにゃ。
そして、この結果を元に、
という公式を導き、半減期τと減衰定数kとの関係を導け。
ピストン・クランク機構 ちょっと(工業)力学 [ねこ騙し物理]
ピストンとクランク機構
問題 図はピストンとクランクの装置を示したもので、OP=50cm、PQ=200cmとし、OPは毎秒2回転するものとする。∠POQが増加してちょうど30°になった瞬間におけるQの速度を求めよ。
【解答】
∠POQ=θ、OQ=xcmとすると、余弦定理から
この両辺を時刻tで微分すると、
OPは毎秒2回転、すなわち、4π(rad)回転するので、
これを②式に代入すると、
θ=30°=π/6(rad)のとき、xは①より、
これを解くと、
x>0だから、
③式に、x=25(√3+3√7)、θ=π/6を代入すると、
(解答終)
大学の数学の入試問題にこんな問題が出るとは思えないが、計算力のないネムネコが試験会場でこの問題を解こうとしたら、③以降のどこかで絶対、計算間違いをする自信がある。
なのですが、ピストン・クランク機構は、実用的に重要なので、(工業)力学などで理論化されている。
原点Oを中心とし半径rの円周上を、点Pが反時計回りに角速度ωで回転しているとする。そして、点Pと点Qの距離はLで、点Qはx軸上を移動し、時刻tにおいて∠QOP=θ、∠PQO=Φとする。
また、OQ=xとすると、幾何学的な関係から
となる。
PHは
となるので、
これを(1)に代入すると、
ここで、物理らしく
と近似すると、(2)式は
ここで、三角関数の倍角公式
を用いると、
となる。
ここで、さらにθ=ωtとすると、
が得られる。
これをtで微分すると、
さらに、tで微分すると、
という公式(?)が得られる。
ここで、vは点Qの速度、αは点Qの加速度である。
ただし、(4)、(5)は、厳密なものではなく、近似式であることに注意。
この(4)式を使って、問題の速度を求めてみよう。
OPは毎秒4回転するので、角速度ω=4(m/秒)である。また、θ=ωt=π/6(rad)であり、r=50cm、L=2000cmなので、
対して、問題の答は
となり、大体、0.1%位の誤差で計算できており、十分に実用に足りることがわかる。