ラプラス変換の補足2 [ラプラス変換入門]
ラプラス変換の補足2
定理(第2移動法則)
【証明】
とする。
ここで、τ=t−aとおくと、t=τ+a、dt=dτだから、
よって、
(証明終)
ラプラス変換の本によっては、階段関数
を用い、(1)を
としているものもあるので、この点は注意。
この第2移動法則を使うと、
だから、
と、ラプラス変換できる関数が増えるにゃ。
さらに、ラプラス変換の拡大法則(相似法則)。
定理(相似法則)
【証明】
ここで、τ=atとおくと、t=τ/a、dt=dτ/aだから
よって、
(証明終)
ラプラス変換の基本的な性質
ここで、
である。
また、合成積とは
であることに注意。
このラプラス変換の基本的な性質と、代表的な関数のラプラス変換を知っていれば、当面、ラプラス変換で困ることはないのではないか。
ラプラス変換 補足 [ラプラス変換入門]
ラプラス変換 補足
問1 a>0のとき、次のラプラス変換を求めよ。
【解】
s>0のとき
(解答終)
階段関数u(t)を
と定義すると、問1の結果より、
問2 のラプラス変換
を求めよ。
【解】
τ=stとおくと、
だから、
よって、
(解答終)
なお、上の計算では、ガンマ関数Γ(x)の定義
を使っている。
xがn=0,1,2,・・・のとき、ガンマ関数は
となるので、問2の結果(2)を用いると、ラプラス変換の公式
を導くことができる。
さらに、a=−1/2とおくと、
問3 関数f(t)=√tのラプラス変換を次の指示にしたがって求めよ。
(1) であることとであることを利用し、f(t)=√tのラプラス変換求めよ。
ただし、
(2) であることを利用し、f(t)=√tのラプラス変換を求めよ。
【解】
(1) g(t)=1/√tとすると
よって、
(2)
よって、
(解答終)
なお、問3の(2)では、ガンマ関数の次の性質を利用している。
第5回 合成積のラプラス変換とその応用 [ラプラス変換入門]
第5回 合成積のラプラス変換とその応用
f(t)、g(t)を区分的に連続な関数とするとき、
をf(t)とg(t)の合成積といい、記号であらわす。
無証明で次の定理を。
定理(合成積)
関数f(t)、g(t)が区分的に連続で指数位数な関数ならば、次の関係が成り立つ。
上の定理から、次のことは明らかであろう。
問1 f(t)がt≧0で定義された連続関数であるとき、次の微分方程式を解け。
【解】
とおき、微分方程式の両辺のラプラス変換をとると、
これをY(s)について解くと、
この両辺をラプラス逆変換すれば、
(解答終)
【別解】
微分方程式の両辺にをかけると、
両辺を積分すると、
(解答終)
問2 次の(積分)方程式を解け。
【解】
(1) 両辺をラプラス変換すると、
Y(s)について解くと、
両辺を逆ラプラス変換すると、
(2) 両辺をラプラス変換すると、
両辺の逆ラプラス変換をとると、
(解答終)
問3 次の方程式を解け。
【解】
両辺のラプラス変換をとると、
Y(s)について解くと、
両辺の逆ラプラス変換をとると、
(解答終)
【別解】
u=t−τとおくと、
なので、
よって、微分方程式は
となる。
よって、t=0のとき、
また、①の両辺をtで微分すると、
①から
だから、これを②に代入すると
両辺にをかけると、
よって、
(解答終)
【別解2」
①の両辺にをかけると、
ここで、
とおくと、
両辺にをかけると
両辺をtで微分すると、
(解答終)
第4回 ラプラス変換の微分方程式への応用 [ラプラス変換入門]
第4回 ラプラス変換の微分方程式への応用
ラプラス変換を用いた、2階の定数係数常微分方程式の初期値問題の解法について考える。
y(t)、f(t)をラプラス変換し、
とおくと、ラプラス変換の微分法則より
となるので、微分方程式をラプラス変換すると、
となる。
これをY(s)について解くと、
となり、Y(s)をラプラス逆変換することによって、微分方程式の解を求めることができる。
ラプラス逆変換
となるような関数f(t)が存在するとき、f(t)をF(s)のラプラス逆変換といい、記号
で表す。
問題1 次の微分方程式の解y=y(t)を求めよ。
【解】
(1) とおき、微分方程式の両辺のラプラス変換を求めると、
この両辺のラプラス逆変換をとると、
だから、
(2) とおき、微分方程式の両辺のラプラス変換を求めると、
これをYについて解くと、
両辺のラプラス逆変換をとれば、
(解答終)
問題2 次の微分方程式を解け。
【解】
とおき、微分方程式の両辺のラプラス変換をとると、
これをYについて解くと、
両辺のラプラス逆変換をとると、
(解答終)
問題3 次の微分方程式を解け。
【解】
とおき、微分方程式の両辺にラプラス変換をほどこすと、
X、Yについて解くと
このラプラス逆変換をとると、
(解答終)
問題4 次の微分方程式を解け。
【解】
とおき、微分方程式の両辺のラプラス変換をとると、
よって、
X、Yについて解くと、
よって、
(解答終)
第3回 ラプラス変換の基本的性質2 [ラプラス変換入門]
第3回 ラプラス変換の基本的性質2
定理(微分法則)
区間[0,∞)上のC¹級関数f(t)が、ある2つの定数α、M>0に対して
を満たすとき、s>αに対して
が成り立つ。
【証明】
R>0とすれば
R→∞とすれば、s>αより
だから、
(証明終)
これを繰り返せば、2次導関数に関して
が成り立つ。
同様に、n次導関数に関して
が得られる。
定理(積分法則)
f(t)が連続で指数位数の関数ならば
【証明】
とおくと、
また、f(t)は指数位数の関数だから
したがって、g(t)も指数位数の関数。
微分に関する定理を用いると、
(証明終)
定理
f(t)を連続で指数位数aの関数とする。ならば
【証明】
f(t)は指数位数の関数だからtf(t)も指数位数の関数となり、は存在する。
また、f(t)は連続なので積分と微分の順序交換が可能。
よって、
(証明終)
上の定理を繰り返すことによって、次の関係を得ることができる。
例 f(t)=1とすると、
である。
上の定理を使うと、
を得ることができる。
とすると、
したがって、
問 を求めよ。
【解】
だから
(解答終)
定理 f(t)が周期Tの区分的な連続関数ならば
【証明】
ここで、
とおくと、
f(t)は周期Tをもつ関数だから、すべてのnについて
が成立する。
よって、
(証明終)
第2回 ラプラス変換の基本的性質 [ラプラス変換入門]
第2回 ラプラス変換の基本的性質
定理1(ラプラス変換可能の十分条件)
0≧t>∞で連続な関数f(t)、g(t)が、ある2つの定数αとM>0に対して
を満たすならば、s>αであるsに対してf(t)はラプラス変換可能である。
【証明】
仮定より
であり、s>αだから右辺の広義積分は
と収束する。
よって、広義積分は絶対収束する。
(証明終)
定義(指数位数)
t≧t₀ のとき
を満たす定数M、aが存在するとき、関数f(t)は指数位数であるという。
定理2(線形性)
任意の定数α、βに対して
【証明】
(証明終)
問1 次のラプラス変換を求めよ。
【解】
一般に
よって、
(解答終)
定理3
s>s₀でならば
【証明】
(証明終)
問2 次のラプラス変換を求めよ。
【解】
a=−1とおき、定理2を用いると、
(解答終)
問3
と定理3を用いて、次の公式を求めよ。
【解】
とおくと、定理2より
同様に、
とおくと、
(解答終)
ラプラス変換入門 その1 ラプラス変換とは [ラプラス変換入門]
ラプラス変換入門 その1 ラプラス変換とは
t≧0で定義される関数f(t)のラプラス変換は、次の広義積分が存在するとき、F(s)で定義される。
記号などもF(s)の代わりに用いられる。
一般に、sは複素数なのだが、ここではsを実数として議論を進めることにする。
問1 関数f(t)=c(cは定数)のラプラス変換を求めよ。
【解】
(解答終)
問2 関数f(t)=tのラプラス変換を求めよ。
【解】
(解答終)
問3 関数のラプラス変換を求めよ。
【解】
(解答終)
問題
(1) 次のことを示せ。
(2) (1)の結果を利用して
【解】
(1)
(2)
だから、
また、
だから、
(解答終)
ここでは、定義に従ってラプラス変換を求めたが、次のように、代表的な関数のラプラス変換は表で与えられているので、それを利用すればよい。