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多変数関数の極値の復習 [多変数関数の微分]

多変数関数の極値の復習

 

極大値、極小値の定義

関数f(x,y)に対して、あるδ>0があって

  th-001.png

が成り立つときf(x,y)は点(a,b)極大であるといい、f(a,b)極大値という。

また、

  th-002.png

が成り立つとき、f(x,y)は点(a,b)極小といいf(a,b)極小値という。

さらに、極大値と極小値をあわせて極値という。

 

例1 f(x,y)=x²+y²は、(0,0)で極小で、極小値は0。また、g(x,y)=−x²−y²は、(0,0)で極大、極大値は0

 

定理1 f(x,y)は点(a,b)で極値をとり、(a,b)で偏微分可能であるとき、

  th-003.png

が成り立つ。

 

例2 f(x,y)=x²+y²とすると

  th-005.png

である。極値をとる点の座標を(a,b)とすると、

  th-004.png

より(a,b)=(0,0)でなければならない。

f(x,y)=x²−y²とすると、

  th-007.png

もし、f(x,y)=x²−y²が点(a,b)で極値をとるとすれば、

  ht-008.png

より、(a,b)=(0,0)となるが、f(x,y)=x²−y²は極値を持たない。

偏微分可能な関数f(x,y)が点(a,b)で極値がとるために、

  th-003.png

は、十分な条件ではなく、必要な条件であることに注意。

 

停留点の定義

関数f(x,y)は偏微分可能であるとする。このとき、

  th-003.png

を満たす点(a,b)停留点という。

 

例3 点(0,0)は、関数f(x,y)=x²+y²g(x,y)=x²−y²の停留点である。

 

定理2 (極値をとるための十分条件)

f(x,y)は点(a,b)の近傍で級で、

  th-003.png

であるとする。

また、

  

とする。

(ⅰ) ならば、f(x,y)は点(a,b)で極小

(ⅱ) ならば、f(x,y)は点(a,b)で極大

(ⅲ) D<0ならば、f(x,y)は点(a,b)で極小でも極大でもない

(ⅳ) D=0のとき、これだけではf(x,y)が点(a,b)で極値をとるかどうかわからない

 

例4 f(x,y)=x²+y²とすると、点(0,0)f(x,y)の停留点である。

また、

  

だから、

  th-009.png

よって、定理2より、f(x,y)=x²+y²は、点(0,0)で極小。

g(x,y)=x²−y²とすると、点(0,0)g(x,y)の停留点。

また、

  

よって、

  

したがって、定理2より、g(x,y)=x²−y²は点(0,0)で極値をとらない。

 

ヘッセ行列とヘッシアン

f(x,y)級の関数とする。このとき、

  th-010.png

ヘッセ(Hesse)行列といい、ヘッセ行列の行列式

  

ヘッシアン(Hessianという。

 

ヘッシアンを用いると、定理2は次のように書き換えることができる。

 

定理2’ (極値をとるための十分条件)

f(x,y)は点(a,b)の近傍で級で、

  

であるとする。

f(x,y)のヘッシアンを

  

とすると、

(ⅰ) ならば、f(x,y)は点(a,b)で極小

(ⅱ) ならば、f(x,y)は点(a,b)で極大

(ⅲ) H(a,b)<0ならば、f(x,y)は点(a,b)で極小でも極大でもない

(ⅳ) H(a,b)=0のとき、これだけではf(x,y)が点(a,b)で極値をとるかどうかわからない

 

 

問1 f(x,y)=−x²+xy−y²+xの極値を求めよ。

【解】

  

よって、停留点は

  th-012.png

を解くことによって求められる。

この解は(x,y)=(2/3,1/3)なので、f(x,y)の停留点は(2/3,1/3)の1つ。

  

したがって、点(2/3,1/3)におけるヘッシアンは

  th-013.png

だから、f(x,y)は点(2/3,1/3)で極大で、極大値は

  

(解答終)

 

(別解)

  

よって、f(x,y)(2/3,1/3)で最大(極大)で、最大値(極大値)は1/3

(別解終)

 

 

問2 f(x,y)=x³+y³−3xyの極値を求めよ。

【解】

まず、f(x,y)=x³+y³−3xyの停留点を求める。

  th-015.png

①より、y=x²。これを②に代入すると、

  

したがって、f(x,y)の停留点は(0,0)、(1,1)である。

  

だから、

  

よって、f(x,y)は停留点(0,0)で極値をとらない。

  

したがって、だから、f(x,y)は停留点(0,0)で極小で、f(1,1)=−1が極小値である。

(解答終)

 

 

 


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点と直線、点と平面の距離の公式とラグランジュの未定乗数法 [多変数関数の微分]

点と直線、点と平面の距離の公式とラグランジュの未定乗数法

 

点と直線の距離の公式

(a,b)≠(0,0)とする。xy平面において点A(x₀,y₀)から直線l:ax+by+c=0におろした垂線の足をHとする。このとき、線分AHの距離dを点Aと直線lの距離といい、

  

である。

 

直線l上の点P(x,y)とすると、点Aと点Pとの距離AP

  

である。

したがって、点Pが直線l:ax+by+c=0上にあるという条件のもとでの

  

の最小値問題に帰着することができ、その最小値がになる。

Aから直線l:ax+by+c=0におろした垂線と距離は一意的に定まるので、条件付きの最小値(極小値)はただ1つだけ存在する。

そこで、ラグランジュの未定乗数法を用いて、条件付きの極値問題を解くことにする。

  

とおくと、ラグランジュの未定乗数法より極値をとるxy

  

の解になる。

②と③式より

  

これを①に代入すると、

  

よって、

  

が極小値(最小値)。

したがって、

  

 

このようにラグランジュの未定乗数法を用いて点と直線の距離の公式を導くことができる。

 

なお、(1)は、ラグランジュの未定定数を用いることなく、次のように導くこともできる。

 

AHとベクトル(a,b)は平行なので、垂線の足Hの座標を(x,y)とすると、

  

ここで、tは媒介変数(パラメータ)。

(ta+x₀,tb+y₀)は直線lax+by+c=0上にあるので、

  

よって、

  tensen-003.png

 

点と平面の距離の公式

(a,b,c)≠(0,0,0)とする。xyz空間上の点A(x₀,y₀,z₀)から平面ax+by+cz+d=0におろした垂線の足をHとする。このとき、線分AHの長さを点Aと平面ax+by+cz+d=0の距離といい、

  

である。

 

問 (a,b,c)≠(0,0,0)とする。ラグランジュの未定乗数法を用いて、ax+by+cz+d=0という条件で、

  

の最小値を求めることによって、(2)を導き出せ。

【略解】

  

とおくと、極値をとる点(x,y,z)では次のことが成り立つ。

  tensen-006.png

②、③、④より

  

これを①に代入すると、

  

の時に極小(最小)になるので、

  

そして、これはAHの距離の平方である。

よって、点A(x₀,y₀,z₀)と平面ax+by+cz+d=0の距離は、

  

である。

(略解終)

 

ベクトルを使うならば、例えば、次のように(2)を導くことができるだろう。

 

(a,b,c)は平面の方程式ax+by+cz+d=0の法線ベクトル。

したがって、A(x₀,y₀,z₀)から平面ax+by+cz+d=0におろした垂線の足をH(x,y,z)とすると、(a,b,c)は平行。

よって、

  

(ta+x₀,tb+y₀,tc+z₀)ax+by+cz+d=0上に存在するので、

  

したがって、

  tensen-009.png

 


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ベクトル関数の回転 [多変数関数の微分]

ベクトル関数の回転

 

ベクトル関数A(x,y,z)の成分をとすると、

  

を成分とするベクトルをAの回転といい、記号

  

などであらわす。

すなわち、

  

行列式を用いてあらわせば、

  

である。

したがって、ハミルトン演算子∇をベクトルと考えれば、∇×Aは∇とAの外積と考えることができる。

 

 

問1 原点からの位置ベクトルをrとするとき、∇×r=0であることを示せ。

【解】

  

(解答終)

 

 

問2 φ(x,y,z)をスカラー関数とすれば、

  

であることを示せ。

【解】

  

よって、スカラーポテンシャルの回転は零ベクトルである。

(解答終)

 

 

問3 A(x,y,z)をベクトル関数とすれば、

  

であることを示せ。

【解】

  

(解答終)

 

ベクトル場Aがベクトル関数pの回転で表されるとき、すなわち、

のとき、pAのベクトルポテンシャルという。問3より、ベクトルポテンシャルをもつベクトル場の発散は0である。

 

 


ベクトル関数の発散 [多変数関数の微分]

ベクトル関数の発散

 

ベクトル関数A(x,y,z)xyz成分をとする。すなわち、

  

とする。

このとき、

  

をベクトル関数A発散と言い、記号

  

などであらわす。

すなわち、

  

である。

 

ハミルトン演算子∇は

  

だから、ベクトル関数Aの発散∇・A

  

と、ハミルトン演算子∇とベクトル関数Aの内積と考えることができる。

 

 

問1

  

の発散を求めよ。

【解】

  

(解答終)

 

 

問2 原点に対する位置ベクトルをrとするとき、次の発散を求めよ。

【解】

(1)

  

だから、

  

 

(2) x成分をとすると、

  vecha-siki-002.png

同様に、

  vecha-siki-003.png

よって、

  

(解答終)

 

なお、

  vecha-siki-005.png

は暗記物!!

 

 

ベクトル関数A

  

の発散は、

  

である。

  

と書き、

  

とおけば、これは微分演算子∇²φに作用させたものと考えることができるから、


²をラプラス演算子、ラプラシアンと呼び、∇²のかわりに記号Δを使うこともある。

また、微分方程式

  vecha-siki-006.png
ラプラス方程式と呼ばれ、これを満足する関数を調和関数という。

 

 

問3 原点からの距離をrとすると、

  

であることを示せ。

【解】

  

同様に、

  

したがって、

  

問2より

  

よって、

  

(解答終)

 

問3より、

  

は、ラプラス方程式∇²=0を満たすので、調和関数である。

 

問題 φrのスカラー関数であるとき、

  

であることを示せ。

 

 


スカラー関数の勾配と方向微分係数 [多変数関数の微分]

スカラー関数の勾配と方向微分係数

 

定点Pと単位ベクトルuが与えられたとき、Pを通りuを方向ベクトルとする直線をCとする。直線C上の点Qのパラメータとして点Pからの距離をsをとると

  

である。したがって、点Qの位置ベクトルをr(s)とすると、

  

である。

極限値

  

が存在するとき、この極限値を点Pにおけるfu方向の方向微分係数といい、記号

  

などであらわす。

  kou-hou-siki-001.png

したがって、点Pにおける、fu方向の方向微分係数は、点Pにおけるfの勾配ベクトルとuとの内積に等しい。∇fuのなす角をθとすれば、

  

よって、θ=0のとき、は最大値|∇f|をとる。

ゆえに、点Pにおける勾配∇fは、点Pにおける曲面f(x,y,z)=cに垂直で、fの増加する向きに向かい、その大きさは、曲面f(x,y,z)=cの法線方向に対する増加率に等しい。

 

ベクトルと∇fとの内積は

  

だから、

  kou-hou-siki-002.png

と書き

  kou-hou-siki-003.png

とおけば、これは一種の微分演算子で、これをfに作用させたものがと考えられるので、

  

と書くことができる。

したがって、fu方向の方向微分係数は

  

と書くことができる。

 

 

問1 点(1/2,1/2)における

  

(−1,1)方向の方向微分係数を求めよ。

【解】

(−1,1)方向のベクトルの単位ベクトルu

  

また、

  kou-hou-siki-004.png

より、点(1/2,1/2)におけるf(x,y)の勾配は

  

だから、点(1/2,1/2)におけるf(x,y)の方向微分係数は

  

(解答終)

 

 

問2 関数f

  

とする。

(1) ∇fを求めよ。

(2) 点(1,0)におけるπ/3方向の方向微分係数を求めよ。

(3) 点(1,0)における方向微分係数が最大になる方向の基本ベクトルを求めよ。

【解】

(1)

  

したがって、

  

 

(2)

  

x軸と方向ベクトルのなす角をθとすると、θ=π/3方向の単位ベクトルu

  

したがって、点(1,0)におけるπ/3方向の方向微分係数は

  

 

(3) 方向微分係数が最大になるのは、単位方向ベクトルuが∇fが同方向のとき。点(1,0)における関数fの勾配∇f=(2,0)だから、単位方向ベクトルu=(1,0)のとき、すなわちθ=0方向のときに最大になる。

(解答終)

 

なお、方向単位ベクトルu=(cosθ,sinθ)のとき、f(x,y)の点Pにおける方向微分係数

  kou-hou-siki-006.png

となる。

 

 

問3 φ=φ(x,y,z,t)において、xyztの関数であるとき、

  kou-hou-siki-007.png

であることを示せ。

【解】

rを点P(x,y,z)の位置ベクトル

とすると、

  

したがって、

  

(解答終)

 

rを動点Pの位置ベクトルとすると、速度ベクトルv

  

だから、

  

これは、流体力学や連続体力学で実質微分や物質微分と呼ばれるものである。

 

 


スカラー関数の勾配 [多変数関数の微分]

スカラー関数の勾配

 

関数φ(x,y)級であればf(x,y)は全微分可能で

  

あるいは、ΔxΔydxdyに置き換え

  

で表される。

このとき、ベクトルを関数φの勾配(gradient)といい、記号

  

などであらわす。すなわち、

  

である。

したがって、

  

とすると、全微分は、ベクトルの内積を用いて

  

とあらわすことができる。

 

φ(x,y)=c(一定)とすれば、φ(x,y)=cは1つの曲線をあらわす。この曲線上の点P(x₀,y₀)における全微分は

  

であり、これは点Pにおける曲線φ(x,y)=cの接線の方程式である。

したがって、

   vec-koubai-siki-004.png

とおけば、曲線φ(x,y)=cの点P(x₀,y₀)における接線の方程式は

  

となり、これは∇φが曲線φ(x,y)=cと直交していることを表している。つまり、∇φは曲線φ(x,y)=cの法線ベクトルである。

 

この議論は、そのまま、2次元から3次元へ拡張することができ、級の関数φ(x,y,z)に対して、φの勾配を

  vec-koubai-siki-005.png

を定義する。

そして、

  

をハミルトン演算子といい、記号(微分演算子)∇をナブラと読む。

曲面φ(x,y,z)=cの点P(x₀,y₀,z₀)における接平面の方程式は

      
であり、∇φは曲面φ(x,y,z)=cと直交する。そして、∇φはこの曲面の法線ベクトルである。

 

特に、z=f(x,y)のとき、φ=f(x,y)–z だから、

  

曲面z=f(x,y)の点P(x₀,y₀,z₀)における接平面の方程式は、

  vec-koubai-siki-007.png  

である。

 

問 z=x²+xy+2y²の点(1,1,4)における接平面の方程式を求めよ。

【解】

だから、

  

よって、

  

(解答終)

 

なにか冗漫でスッキリしないな。次のように書くべきか。

 

曲面φ(x,y,z)=cがある。曲面上の点P(x,y,z)を通る曲面上の曲線x=x(t)y=y(t)z=z(t)を考えると、φtの関数である。そこで、tを微分すれば、

  

である。とすると、

  

で、これは曲面φ(x,y,z)=cの接線ベクトルである。

したがって、

  

よって、∇φは曲面φ(x,y,z)=cと直交し、∇φはこの曲面の法線ベクトルである。

 

 

問題1 ux,y,zの関数で、uの関数をf(u)とすれば、

  

であることを示せ。

【解】

  vec-koubai-siki-008.png

(解答終)

 

 

問題2 原点に対する位置ベクトルをrとし、r=r|とすれば、

  

であることを示せ。

【解】

(ⅰ) だから、

  

同様に、

  

したがって、

  vec-koubai-siki-009.png

 

 

(ⅱ)

  

同様に、

   

よって、


(別解)

f(r)=1/rとおけば、問題1より

  vec-koubai-siki-010.png

(解答終)

 

 

問題3 スカラー関数u(x,y,z)v(x,y,z)の関数をF(u,v)とするとき、次の式を示せ。

  

【解】

  

(解答終)

 

 


ベクトル関数の偏微分 [多変数関数の微分]

ベクトル関数の偏微分

 

ベクトルAが2つのスカラーの関数、すなわち、A=A(u,v)であるとする。

2変数のベクトル関数A(u,v)の偏導関数を

  vec-hen-siki-001.png

で定義する。

A(u,v)x成分、y成分、z成分をとすると、

  vec-hen-siki-002.png

である。

 

問 ベクトル関数の偏導関数を求めよ。

【解】

Ax成分、y成分、z成分をとすると、

  

だから、

  vec-hen-siki-003.png

したがって、

  vec-hen-siki-004.png

(解答終)

 

なんとも見づらいので、ベクトル表示で次のようにしたほうがいいのだろう。

  

 

uvの微小変化ΔuΔvに対して

  

になるとすれば、ΔuΔvdudvであらわし、

  

A全微分という。

そして、uvtの関数、すなわち、u=u(t)v=v(t)のとき、実関数のときと同様にチェーンルールが成立し

  

である。

また、uvstの関数、すなわち、u=u(s,t)v=v(s,t)のとき

  

である。

 

曲面の方程式は、スカラー変数、uvを用いれば、

  

であるから、曲面上の任意の点P(x,y,z)の位置ベクトルをとすれば、曲面は

  

で表される。これを曲面のベクトル方程式という。

vを一定としuを変化させれば、rは曲面上の曲線をあらわす。これをu曲線という。また、uを一定にしvを変化させれば、rは曲面上の曲線をあらわす。これをv曲線という。偏微分係数の定義よりあきらかなように、u曲線の接線ベクトルであり、v曲線の接線ベクトルである。

また、uvが変数tの関数であるときには、は曲面上の曲線をあらわす。曲面上の点Pにおける接線ベクトルは

  

したがって、Pを通る曲面上の曲線の接線は、が定める平面上にある。この平面を点Pにおける接平面といい、Pを通り接平面に垂直な直線を法線、Pを始点とし接平面に垂直なベクトルを法線ベクトルという。したがって、

  

法線ベクトルである。

 

問2 曲面z=1–x²–2y の点(1,1,−2)における接平面を求めよ。

【解】

x=uy=vとおくと、z=1–u²–2v。よって、曲面上の点の位置ベクトルは

  

だから、

  

法線ベクトルn

  

(1,1,−2)のときu=x=1v=y=1だから、(1,1,−2)における法線ベクトルn

  

したがって、曲面z=1–x²–2y の点(1,1,−2)における接平面の方程式は

  

(解答終了)

 

曲面z=f(x,y)上の点P(x₀,y₀,z₀)における接平面の方程式は

  

である。

これを使うのならば、

  

となるので、接平面の方程式は

  

 


ベクトルの微分の問題 [多変数関数の微分]

ベクトルの微分の問題

 

問題1 曲線上を運動する質点Pの原点に対する位置ベクトルをr、曲線上の定点からPまでの曲線の長さをs、時間をtとすれば、接線ベクトルaの接線成分、法線成分

  

であることをしめせ。

ここで、 ρは曲率半径とする。

【解】

P点の速度ベクトルv

  

よって、

  

ここで、κは曲率で

  

したがって、

  

である。

(解答終)


 

補足

tは点Pにおける曲線の単位接線ベクトルだから

  

これを時間tで微分すると、

  

これからt、すなわち、が直交していることがわかる。


 

問題2 次の螺旋曲線の(単位)接線ベクトル、主法線ベクトル、従法線ベクトル、さらに曲率κと捩率τを求めよ。

  

【解】

  

したがって、

  

よって、

  

単位接線ベクトルt

  

また、

  

ゆえに、曲率κ

  

よって、主法線ベクトルn

  

従法線ベクトルb

  

これから、

  v-p-siki-001.png

となり、捩率τ

  

(解答終)

 


空間曲線 [多変数関数の微分]

空間曲線

 

空間の点Pの描く空間曲線は

  

で与えられるが、これは原点Oを始点とする点Pの位置ベクトル

  

と与えられることと同等である。

 

そして、接線ベクトルは

  

で与えられる。

 

さらに、この曲線Cが滑らかなとき、位置ベクトルr(a)からr(t)までの弧の長さs(t)

  kukan-siki-001.png

となり、

  kukan-siki-002.png

となり

  kukan-siki-003.png

よって、

  

となる。

ds線元素という。

 

stの関数であるが、逆にtsの関数と考えられるので、曲線は、曲線の長さを用いて

r=r(s)

とあらわすことが可能。

  

は曲線に接しsの増加する方向に向かうベクトルである。

何故ならば、

  

で、ベクトルtの向きは接線ベクトルdr/dtと同じだから。

ss+Δsに対応する曲線上の点をPQとし、とすれば

  

だから、t単位接線ベクトルである。

 

Qにおける接線ベクトルとPにおける接線ベクトルのなす角度をΔθとすれば、

  

は、曲線の長さに対する接線の向きの変化率をあらわし、

  

を点Pにおける曲率という。この定義から明らかなように曲率は正または0であり、曲線上の各点でκ=0である時は、この曲線は直線である。

 

単位法線ベクトルt同士の内積tt=1を微分すると、

  

となり、tに垂直である。また、

  

と同じ向きの単位ベクトルをnとすれば、

  

このnPにおける(単位)主法線ベクトルといい、

  

となる。

 

また、曲率は

  kukan-siki-004.png

 

曲率の逆数
  

曲率半径といい、曲線上のPから引かれたベクトルρnの終点を曲率半径の中心という。

 

また、曲線上の点Pにおける接線ベクトルと主法線ベクトルの外積

  b=t×n
を、点Pにおける曲線の(単位)従法線ベクトルという。

したがって、

  

 

tnbは互いに直交する単位ベクトルで、右手系をなす。

また、

  

が成立し、τ捩率(れいりつ)という。

 

bb=1なのでこれをsで微分すると
  

となり、bは直交する。

さらに、tb=0sで微分すれば、

  

となる。

  

なので、第2項はκnb=0である。よって、
  
となり、tは垂直。

故に、 btに垂直であり、nと同じ方向である。

 

tnbの3つの単位ベクトルは右手系を構成するので、

  n=b×t=−t×b

となる。

これをsで微分すると、

  kukan-siki-005.png

となる。

 

  kukan-siki-006.png

の3つの公式を合せてフルネ・セレの公式と呼ぶ。

 


空間曲線のベクトル方程式と接線ベクトル [多変数関数の微分]

空間曲線のベクトル方程式と接線ベクトル


 


空間曲線は、スカラー変数tを用いて


  


であらわすことができる。


曲線上の任意の点P(x,y,z)とし、とおけば、rtの関数だから、


  


と書き、これを曲線ベクトル方程式という。


 


とすると、Δt≠0のとき


  


に平行である。


したがって、


  


は、曲線の接線ベクトルと平行であり、これを曲線の接線ベクトルという。


また、


  


単位接線ベクトルという。


単位接線ベクトルtは大きさが1で変わらないので、


  


したがって、tは直交する。そこで、を曲線r(t)法線ベクトルといい、


  


主法線ベクトルという。


また、曲線上の点における単位接線ベクトルtと単位主法線ベクトルnとの外積


  


ベクトルを(単位)従法線ベクトルという。


 


曲線r=r(t)は、r'(t)が連続で常にr'(t)≠0であるとき、滑らかな曲線という。滑らかな曲線r=r(t)a≦t≦bの部分の長さを弧長といい、弧長s


  


で与えられる。


 


 


問1 の単位接線ベクトルと、単位法線ベクトルを求めよ。また、t=π/4のときの接線の方程式を求めよ。


【解】


  vec-kukan-siki-002.png


よって、単位接線ベクトルt


  


また、


  vec-kukan-siki-003.png


よって、単位法線ベクトルn


  


である。


t=π/4の接線ベクトルは


  


よって、接線の方程式は


  


tを消去し


  


(解答終)


 


t=π/4のときの、接線の法線ベクトルn(-1/√2,1/√2)だから、接線の方程式を


  


と求めることもできる。


 


 


問2 曲線0≦t≦2πの曲線の長さを求めよ。


【解】


  vec-kukan-siki-004.png


(解答終)


 


 


曲線が弧長sをパラメータとしてr=r(s)で表されているとする。このとき、


  


になるので、単位接線ベクトルt


  


である。


次に、平面上の曲線の曲がり具合(曲率)について考えることにする。


平面にある曲線上の点Pにおける接線とx軸のなす角をθとする。点Pが動くと接線とx軸のなす角θも変化する。このとき、単位弧長あたりのθの変化率を曲率といい、


  


であらわす。


 


kyokuen-graph-003.png問題 曲線y=f(x)の曲率を求めよ。


【解】


tanθは接線の傾きなので、


  


これをxで微分すると、


  


また、


  


だから、


  vec-kukan-siki-005.png


したがって、


  vec-kukan-siki-006.png


(解答終)


 


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