[数列の極限値] [高校の数列の極限]
[数列の極限値]
ddt^3です。
ねぇねぇネコ先生、極限が存在する漸化式って、絶対に縮小写像(注1)になってますよね?(^^)。
例えば、
なら、
とおく事で、
を考えれば、
ですよね?。(注2)
でも図-1はx方向に-1平行移動すると、さらに具合が良さそうじゃないですか(^^)。
この時、f(x),g(x)は(図-2)、
ああでも、g(x)=xでなくなった。それが成り立たないと、縮小写像の計算が面倒になる(一般的には)。
・・・そうだ!、y方向に-1平行移動しよう。この時、f(x),g(x)は(図-3)、
となる。これを通常の漸化式に戻すと、
なぁ~んだ、等比数列を扱えば良いだけじゃない(^^)。
いやぁ~、x方向に-1平行移動した時、
・f(x)の切片もg(x)の切片も1になる、(1)の形で助かったぜ!(^^;)。
・・・という事にはなるんですが、このやり方を知ってると、等比数列に落とし込む方法とか、等比数列に落とし込める条件とかを予想できる事になります。しかし普通の高校生は、こんな事は絶対に自分では考え付けないし、教師も絶対に教えません。教師もそこまで考えてないのが普通だと思うし。
自分が高校生の頃、こういう事を平気で考え付ける数学の天才がいたんですよ。この問題に関してそいつの説明を聞きましたが、「全くのチンプンカンプン」でした(^^;)。
何故ならポイントは、
「極限が存在する漸化式は常に縮小写像になっている」
「よってグラフを描いて判断すればいいのだ」
だからです。高校生の世界を超えてますよね(^^)。彼は数学に関しては超高校生だったと思います。
自分がこういう事を考え付けるようになったのは、関数解析の本なんかを読み出して、そこに出てくる縮小写像の例題なんかを考え出してからでした。なので今はこんな話も出来ますが、非常にみっともないと思う。まさに、
「卵の殻を割るのに、鉈をふるう」
ようなものだと思える。超高校生の彼には、とうてい及ばないなぁ~(^^;)
(執筆 ddt³さん)
(注1) 縮小写像
とする。
0<c<1となるaが存在し、すべての、x,y∈Xに対して、
が成り立つとき、写像fを縮小写像という。
(注2) このような解法をクモの巣図法、この図をクモの巣図と呼んだりする。
ウィキペディアの「クモの巣図法」
以下のページに「縮小写像の不動点定理」についての、高校生向け(?)の読み物が出ているので、興味のあるヒトは読んでみるといいのでは。
http://izumi-math.jp/F_Wada/fixpoint_theorem.pdf
考えるネムネコ 数列の極限値 [高校の数列の極限]
大学入試問題に、漸化式
であたえられる数列の極限値問題が出ていたような記憶があったので、ネムネコが高校時代に使っていた参考書を調べてみたら、出ていた。
問題1 実数x₁を任意にとり、2次関数f(x)=x(2−x)を用いて
により、数列x₁,x₂,x₃,・・・を定める。
(1) 一般項を初項x₁で表わせ。
(2) この数列が収束するようなx₁の範囲を定めよ。
【略解】
(1) の両辺を1で引くと、
よって、
(2) 収束の条件は、
よって、0≦x₁≦2である。
(略解終)
問題2 無限数列が次の条件を満たしている。
(1) とするとき、との間の関係式を求めよ。
(2) 初項x₁が0<x₁<をみたしているならばであることを示せ。
(3) 0<x₁<1であるとき、を求めよ。
【略解】
(1) 問題の条件より、
これを代入すると、
(2) とすると、
(3) (1)より
0<y₁<1だから、
よって、
(略解終)
何故、⑨になるのかわからないヒトは、だから、
の両辺の対数をとると、
ここで、
とおくと、(1)より
とするといいのではないか。
この類題は、おそらく、これまでに何度も繰り返し大学入試に出題されつづけてきた有名問題なんでしょう、きっと。
ただ、問題1の(1)は、少し不親切のように思う。
両辺を1で引くことに気づかないと、一般項を求めるのは難しいからね〜。
「とし、漸化式に代入すると、
だから、α=1で両辺を引くんです。(受験)参考書にはそう書いてあります。これは受験数学のテクニックで、いやしくも難関大学(問題1は阪大の大昔の入試問題)を目指す者は誰しも知っていることです」と言われて、「あっ、そうですか」と苦笑いするネムネコであった。
本当に、そんなことを(受験)参考書には書いてあるのだろうか?
じゃぁ〜、なぜ、0で引いたら、ダメなんだろうか?
第15回 数列と確率 [高校の数列の極限]
第15回 数列と確率
確率と数列の極限の問題を幾つか紹介し、それを解くことにする。
問題1 1つのさいころを振って1が出れば甲の価値、6が出れば乙の勝ちとして、さいころを振ることを止め、1と6以外の他の目が出たら、繰り返して降るものとする。
(1) さいころを振る回数をn回までとしたとき、甲の勝つ確率を求めよ。(2) 回数を制限しないとき、甲の勝つ確率を求めよ。
【解】(1)
したがって、甲が1〜n回で勝つ確率は
(2)
よって、甲が勝つ確率は1/2である。
(解答終了)
甲がk回目で勝つ場合は、k−1回連続で2〜5の目が出て、k回目に1が出る場合。
2〜5の目が出る確率はしたがって、k−1回連続で2〜5の目が出る確率は
k回目に1が出る確率は1/6だから、甲がk回目で勝つ確率は
である。
問題2 ある人が射的をする。一度命中した次に引き続き命中する確率は0.8であり、外れた次に引き続き外れる確率は0.4であるという。第n回目が命中であったときの確率をとするとき、次の問いに答えよ。
(1) をを用いて表せ。
(2) を求めよ。
【解】(1) 命中した次に命中する確率は0.8
外した後に命中する確率は1−0.4=0.6n−1回目が命中の確率
n−1回目がはずれである確率
したがって、n回目が命中である確率は
ここで、
を解くと
①の両辺から3/4を引くと
したがって、数列は初項、公比の等比数列。
よって
(2)
(解答終了)
問題3 A、B2人が、A、Bの順で交互にさいころを振り、最初に1の目が出た人を勝ちとする。A、Bの勝つ勝率を求めよ。
【解】p=1/6とすると、Aが勝つパターンは下の表のようになる。
よって、Aが勝つ確率P
これは初項p、公比(1−p)²の等比級数の無限和だから
p=1/6だから
Aの勝率は6/11。
したがって、Bの勝率は
(解答終了)
つまり、このゲームは先攻の方が有利ということになるのであった。
第14回 漸化式で表された数列の極限 連立漸化式 [高校の数列の極限]
第14回 漸化式で表された数列の極限 連立漸化式
問題1 数列はx₁=1、y₁=5をもとにして
にしたがって作られている。このとき、およびを求めよ。
【解】①から
よって、
③、④を②に代入すると、
ここで,t²−4t+3=0として、この2次方程式を解くと、
したがって、⑤は次のように変形できる。
⑥よりは初項x₂−x₁、公比3の等比数列。
したがって、
⑦より、数列は一定だから――初項x₂−3x₁、公比1の数列と考えてもよい――
x₁=1、y₁=5だから、①より
よって、⑧、⑨から
⑩−⑪
③より
【解答終了】
上のように隣接3項の漸化式に変形して解くことができるけれど、実はうまい方法がある。
【別解】
①+②
①−②
③より、数列は、初項x₁+y₁、公比3の等比数列だから
④より
⑤+⑥
⑤−⑥
【別解終了】
どちらが楽かは言うまでもないだろう。
この他に、
として行列を利用して解く方法もありますが・・・。
問題2
に対して次の問いに答えよ。
(1) をnの式であらわせ。
(2) を求めよ。
【解】(1)
①+②
①−②
③より
④より数列は初項x₁−y₁=1、公比1/3の等比数列。
⑤+⑥
⑤−⑥
(2)
(解答終了)
問題3 が次の条件を満たすとき、を求めよ。
【解】
より、
よって、
①より、
②より
④−③
で、
よって、
(解答終了)
【別解】
①−②
①−2×②
③、④より
よって、
(解答終了)
第13回 漸化式で表された数列の極限4 隣接する3項の場合 [高校の数列の極限]
第13回 漸化式で表された数列の極限4 隣接する3項の場合
隣接する3項の漸化式の一般形は
2次方程式t²+pt+q=0の実数解をα、βとすると、2次方程式の解と係数の関係から
となるので、(1)は
と変形できる。
(2)は数列が初項a₂−βa₁、公比αの等比数列であることを表すので、
(3)は数列が初項a₂−αa₁、公比βの等比数列であることを表すので、
(4)−(5)は
α≠βならば、(6)をα−βで割ることによって、一般項を得ることができる。
α=βのとき、
両辺をで割ると
よって、
では、問題を。
問題1 次のように定められた数列についてを求めよ。
【解】
(1)よって、
また
②−①は
(2)
の両辺の対数をとると、
とおくと、①は
よって、
また、
③−②
(解答終了)
問題2
で定義される数列について次の問いに答えよ。
(1) はどんな数列か。
(2) n項までの和を求め、を求めよ。
【解】
(1)の両辺の対数をとると、
とおくと
よって、は初項b₁=log2、公差−log2とする等差数列。
したがって、(解答終了)
問題3
(1) 数列、1,2,3,5,8,13,21,34,・・・はどんな規則でできているか。その規則を式であらわせ。
(2) 上の数列の第n項を第n+1項で割ったものをとおくとき、を求めよ。【解】
(1)
(2)
両辺をで割ると、
よって、
で、
とおき、これを解くと
となるので、あらためて
とおいて、①の両辺をαで引くと
だから
で、
よって、
したがって、
よって、
(解答終了)
ちなみに、問題3に出てくる数列をフィボナッチ数列という。
第12回 漸化式で表された数列の極限3 隣接する2項の場合2 [高校の数列の極限]
第12回 漸化式で表された数列の極限3 隣接する2項の場合2
問題1 を満たす数列がある。
(1) とおくとき、ととの関係式を求めよ。
(2) 0<x₁<1のとき、を求めよ。
【解】
(1)
だから、
これを①に代入すると、
(2) 0<x₁<1より、0<y₁<1、また。
②の両辺の対数をとると、
したがって、数列は初項logy₁、公比2の等比数列。
よって、(解答終了)
(※) とおくと、
で、0<y₁<1だから
問題2 aは1<a<2を満たす定数とする。
によって定められた数列について、次の問いに答えよ。
(1) を証明せよ。
(2) を証明せよ。
(3) を求めよ。
【解】(1) n=1のとき
1<a<2だから、
また、
よって、
n=kのとき
と仮定する。
n=k+1のとき
だから、
また、
よって、数学的帰納法により、
である。
(2)
よって、
(3)
ここで、
よって、
したがって、
(解答終了)
問題3 次の数列について、下の問(1),(2)に答えよ。
(1) この数列の項はすべて正で、単調に減少する。これを数学的帰納法をもちいて証明せよ。
(2) この数列が収束することはわかっていて、その極限値を求めよ。
【解】(1) n=1のとき
n=kのとき、
n=k+1のときまた、
(2)
また、
よって、極限値α=1
(解答終了)
第11回 漸化式で与えられた数列の極限2 隣接する2項の場合 [高校の数列の極限]
第11回 漸化式で与えられた数列の極限2 隣接する2項の場合
前回にひき続いて、今回も漸化式で表された数列の極限の問題を解くことによって、その解法を紹介することにする。
今回は、漸化式の最も基本的な隣接する2項の場合。問題1 次のように定められた数列の極限値を求めよ。
【解】
(1)とおいて、これを解くとt=4。
の両辺を4で引くと
したがって、数列は初項、公比1/2とする等比数列。
(2)
とおいて、tについて解く。
で、
の両辺を5で引き、さらに(分子の)有理化をはかると、
ここで、両辺の絶対値をとる。
だから
したがって、①より
だから、
で、
よって、
(3)
よって、
と解くことができるが、こういう解き方は往々にして死を招きやすいのでやめたほうがよい。
の両辺の対数をとると、
そこで、
とおくと、
そこで、(1)と同様に
として、これを解くと
①の両辺から、2log2=log4を引くと
(解答終了)
(2)、(3)から分かるように、漸化式で与えられた数列の極限を求める場合、必ずしも一般項を求める必要はない。
問題2 一般項が次のように与えられる数列の一般項を求め、と求めよ。
【解】
とおき、これを解く。
で、
とおくと、
両辺の逆数をとると、
したがって、数列は初項−1、公差−1の等差数列。
(解答終了)
なのですが、
と順次計算し、これから
を推測する。
――分子は2ずつ増え、分母は1ずつ増えているのだから、上のように推測できる――
それから、
数学的帰納法を使って
と仮定し、
k=nのとき
k=n+1のとき
として解くんだろうな、きっと。
第10回 漸化式で表された数列の極限1 [高校の数列の極限]
第10回 漸化式で表された数列の極限1
具体的に問題を解くことによって、漸化式で表された数列の極限を求める基本的な解法を学ぶことにする。
その前に、総和記号Σの定義
公比r、初項aとする等比数列の一般項は
であり、第1項から第n項までの和は
である。
また、漸化式で等比数列を表すと
になる。
問題1
によって定義される数列について、次の問いに答えよ。
(1) 階差を調べてを求めよ。
(2) とおいて定められる数列を調べて、を定めよ。
(3) を求めよ。
【解】
(1)②−①
したがって、数列は初項、公比1/2の等比数列。
よって、
(2)
したがって、数列は、初項c₁=a₁−6=−3、公比1/2の等比数列。
したがって、(3)
(解答終了)
(1)では、
のとき
という階差数列の公式を用いてもよい。
問題2 数列がある。
なる関係があるとき、次の問いに答えよ。
(1) とおいて定められる数列を調べてを定めよ。
(2) を求めよ。
【解】(1)
この逆数をとると、
t=1+3tとおき、この方程式を解くと
①の両辺から−1/2を引くと、つまり、1/2を加えると、
したがって、数列は初項、公比3の等比数列。
よって(2)
(解答終了)
問題3 数列の項の間に次の関係がある。
(1) とおいてに関する漸化式を求めよ。
(2) をnの式であらわせ。(3) を求めよ。
【解】(1)
(2) ①より、数列は初項b₁=a₂−a₁=1、公比1/2の等比数列。
よって、
(3)
(解答終了)
第9回 無限級数6 無限級数の図形への応用 [高校の数列の極限]
第9回 無限級数6 無限級数の図形への応用
問題1 右図のように直角三角形ABCの中に正方形S₁、S₂、S₃、・・・が限りなくならんでいるとき、これらの正方形の面積S₁、S₂、S₃、・・・の総和を求めよ。ただし、BC=a、∠A=60°、∠B=90°とする。
【解】正方形S₁、S₂、S₃、・・・の1辺の長さをx₁、x₂、x₃、・・・とし、AB=cとする。
△ABC∽△ARQだから∠A=60°だから、
よって、
同様に、
したがって、
問題2 2等辺三角形ABCの3辺に内接する円Oの半径をrとする。等辺AB、ACと円Oとに内接する円をO₁とし、AB、ACとO₁とに接する円をO₂とする。このようにして次々と円を作っていくとき、これらすべての円の面積の和を求めよ。ただし∠A=2αとする。
【解】OからAB、O₁からABに下ろした垂線の足をT、T₁、O₁からOTに下ろした垂線の足をHとする。
△O₁HO∽△ATOまた、
だから、
同様に、
の面積をとすると、は初項、公比
の等比数列。よって、
(解答終了)
問題3 放物線y=x²をCとする。C上の点A₁(a,b)(a>0)における接線とx軸との交点をP₁とし、P₁を通ってx軸に垂直な直線とCとの交点をA₂、点A₂におけるCの垂線とx軸との交点をP₂とする。以下、同じようにして、C上に、x軸上にを作る。
(1) のx座標を、それぞれとすると、はどんな数列になるか。
(2) 図形の面積をとするとき、無限級数を求めよ。
【解】(1) dy/dx=2xだから、における接線の方程式は、x軸との交点を求めると
よって、
したがって、は初項a/2、公比1/2の等比数列で、
(2) 図形の面積は
は初項、公比1/8の等比数列。
よって、
(解答終了)
第8回 無限級数5 [高校の数列の極限]
第8回 無限級数5
問題1
数列について、であり、すべてのnに対して、のときは、この数列は収束する。
この定理は使っていいものとして、次の問いに答えよ。
(1) rは一定の数で、0<r<1とする。すべてのnに対してが成り立つとき、無限級数
は収束することを示せ。
(2) n²>n(n−1)であることをつかって、次の級数が収束することを示せ。
【解】
(1) だから、
よって、とおくと、
また、0<r<1だから
よって、
は単調増加で、すべてのnに対してだから収束する。
(2) n²>n(n−1)だから、n≧2に対して
したがって、
とおくと、1/n²>0だから、数列は単調増加数列で、かつ、すべてのnに対してだから、この無限級数は収束する。
(解答終了)
問題2 級数は収束する。このことを使って、級数が収束することを示せ。
また、級数との和をそれぞれS、Tとするとき、SとTの間の関係式を求めよ。
【解】とおく。
数列とは収束するので、①より
となり、は収束する。
したがって、である。
【解】
①から、
としてはいけない。
とが収束することTに収束することがわかっていないから。
問題1の
数列について、であり、すべてのnに対して、のときは、この数列は収束する。
という定理を使っていいのならば、次のように証明することもできる。
すべての正の整数kについてk²(k+1)>k²だからまた、だからは単調増加で、すべてのnに対してだから、上記の定理より収束する
なお、問題1の(2)は積分を使うと、次のように証明できる。
k≧2とする。x∈[k−1,k]のとき
よって、
この両辺に1を加えると、
・・・
問題3 次の条件を満たす数列は収束するか。
【解】
(1)
(2)
よって、
よって、は収束しない、振動する。
(解答終了)