お前らに質問(級数) (4月17日) [数列と級数]
お前らに質問(級数)
実数の数列はを満たす、つまり、無限級数が収束するものとする。
このとき、が収束する保証はない。
何故ならば、は収束するけれど、は発散するからだ。
では、ここで、お前らに質問。
問題1 がともに収束するとき、は収束するか。また、はどうか。ただし、は実数列とする。
さあ、答えてもらおうじゃないか。
総和記号Σがつかなければ、
相加平均≧相乗平均から
だわな〜。
ところで、
が実数列でが収束するとき、って収束するんだっけ?
要するに、無限級数が絶対収束するとき、無限級数は収束するか、と訊いているんよ。
さらに、
問題2 のとき、であることを示せ。
【略解】
シュワルツの不等式を用いると、
が成り立つ。
よって、は有限確定。
(略解終)
とある本に書いてある答なんだけれど、何が書いてあるか、チンプンカンプンだにゃ。
だ・か・ら、
お前ら、他人(ひと)にわかるように補足し、この略解を完全なものにするにゃ。
そして、記事のコメントにそれを書いてネムネコのもとに送信するケロ。
オマケ問題の解答例(級数編) [数列と級数]
オマケ問題の解答例(級数編)
問1 次のことを示せ。
【解答】
(1)
とおくと、
ゆえに、
となり、f'(x)は増加関数。
したがって、
となり、f(x)は増加関数。
よって、
ゆえに、x>0のとき、
(2) (1)より、x>0のとき、
また、
となるので、ハサミ打ちの定理より、
(3) とおくと、
n→∞のときx→∞になるので、
(解答終)
問2 次のことを示せ。
【解】
nを2以上の自然数とすると、n+1<n²となるので、
問1より、
だから、ハサミ打ち定理より、
(解答終)
定理
ならば、
問3 定理を使わずに、次のことを示せ。
【解答】
kを自然数とする。
閉区間[k−1,k]でlogxは増加関数なので、
したがって、
log1=0だから、
また、
となるので、
したがって、
(解答終)
もっとうまい方法があるかもしれないけれど、定理を使わなくても、この問題は解くことができる。
級数の収束に関するオマケ問題 [数列と級数]
級数の収束に関するオマケ問題
24日で御用納めにすには早いので・・(^^ゞ
このままでは終われない!!
定理(?)
ならば、
上記の定理(?)を使って、いくつか、問題を解くことにする。
問題1 次のことを示せ。
【解】
(1) とおくと、
したがって、定理より、
(2) とおくと、
したがって、定理より、
(解答終)
(1)については、
k≧2のとき、閉区間[k−1,k]で
となるので、
したがって、
ゆえに、
また、
となるので、ハサミ打ちの定理より
と、解くことも可能ですが・・・。
なお、
になることは、の対数をとったあと、極限をとると
問1 次のことを示せ。
問2 次のことを示せ。
ロピタルの定理を使ったら、下の動画に出てくる魔理沙のように息の根を止めてやる!!
問題2 次のことを示せ。
(1) でならば、
(2)
【略解】
(1) の対数をとると、
問題の条件より
また、定理より
よって、
ここで、
(2) の対数をとると、
また、
なので、定理より、も発散する。
したがって、
(略解終)
問3 定理を使わずに、次のことを示せ。
関数列の問題 [数列と級数]
関数列の問題
問題1 I=[0,1]のとき、が
で定義されるとする。
このとき、次の問に答えよ。
【解】
(1) x=0のとき、
なので、1に収束する。
0<x≦1のとき、になるようにnをとると、
なので、
したがって、
(2) はIで連続であるが、その極限関数f(x)がIで連続でないので、一様収束ではない。
(3)
また、
よって、
(解答終)
(2)のの一様収束か否かの判定には、次の定理1を使っている。
定理1
I上の連続関数列が関数f(x)に一様収束すれば、f(x)はI上で連続である。
また、
で、
だから、はIで一様収束でないとしてもよい。
問題2
とする。このとき、次の問に答えよ。
(1) [0,1]の各点で収束することを示せ。
(2) 一様に収束するか。
【解】
(1) x=0のとき、
だから、0に収束する。
0<x≦1のとき、
n→∞のとき2/nx→0なので、ハサミ打ちの定理より
よって、は[0,1]の各点でf(x)=0に収束する。
(2) の増減を調べるために、xで微分すると
したがって、x=1/nのときに、は最大。
したがって、
よって、
である。
(3)
また、
よって、
(解答終)
定理1の逆は一般に成り立たないので、
極限関数f(x)=0が[0,1]で連続だから関数列は[0,1]で一様収束
とするのは間違いなので、注意。
問題3
とする。このとき、次の問に答えよ。
(1) 関数列が[0,1]の各点で収束することを示せ。
(2) 一様収束か。
【解】
(1) x=0のとき、
0<x≦1のとき、1/n≦xとなるように自然数nをとると、
したがって、
よって、[0,1]の各点xでf(x)=0に収束する。
(2)
したがって、一様収束でない。
(3)
よって、
また、
だから、
は成立しない。
(解答終)
(1+1/n)^nの収束を示す問題 [数列と級数]
が収束することを示す問題
問題1 x>0のとき、次の不等式が成り立つことを示せ。
ただし、nは、n>1の自然数である。
微分を使うならば、次のように解くのが一般的だろう。
【解答1】
とし、この関数の増減を調べるために微分すると
したがって、増減表は次のようになる。
よって、
ゆえに、
である。
(解答終)
微分を使いたくなければ、
に注目し、次のように解くことができる。
【解答2】
0<x<1のとき、
よって、
x=1のとき、0=0で等号成立。
1<xのとき、
よって、
以上のことをまとめると、
(解答終)
問題2
(1) 前問の不等式を用いて、が単調増加列、が単調減少列であることを示せ。
(2) であることを示せ。
【解】
(1) nをn>1の自然数、x>0とすると、
である。
を代入すると、
したがって、
よって、は単調増加列である。
を代入すると、
よって、
したがって、は単調減少列である。
(2) と、は上に有界な単調増加列だから収束する。
また、
だから、
よって、
である。
(解答終)
が収束することを示しているので、
としてもよいのでしょう。
よくまぁ、問題2の(1)のような、うまい方法を思いつくもんだと、ただただ感心するばかり。
この問題が出ていた本には、と置けと書いてあるだけで、あとは何も書いていないんだけれど・・・。
有界収束の定理 [数列と級数]
有界収束の定理
普通の微分積分の教科書では取り扱っていない、有界収束の定理を紹介する。
定理4(有界収束の定理)
有界閉区間[a,b]で定義された連続関数から構成された関数列が有界で、連続関数f(x)に収束するならば、
が成り立つ。
この有界収束の定理はいわゆる微分積分の範囲を逸脱するので、証明は示さない。
例1 連続関数
からなる関数列は、すべての自然数nについて、
で有界。また、極限関数はf(x)=0は[0,1]で連続なので、上の有界収束の定理より
と計算することができる。
問
を実際に計算し、
となることを確かめよ。
問題1 次の値を求めよ。
【解】
[0,1]の全ての点で
に収束し、
で有界。
したがって、定理4より
(解答終了)
実は、定理4は、もっと条件を弱めることができる。
定理4’(有界収束の定理)
が有界閉区間[a,b]で積分可能、[が[a,b](のほとんど全て almost everywhere )でf(x)に収束し、かつ、が有界ならば、f(x)は積分可能で、
が成り立つ。
ただし、下線部を引いた積分可能はリーマン積分可能の意味でない場合があるので注意が必要。
この定理4’を用いると、
関数列
の極限関数は
と、[0,1]で不連続なのに、
と計算できる理由を説明できる。
問題2 次の値を求めよ。
【解】
x=0のとき、
0<x≦1のとき、
したがって、極限関数f(x)は
また、[0,1]で
と有界なので、定理4’より
(解答終了)
問2
を実際に積分することによって、
の値を求めよ。
【略解】
よって、
ここで、erf(x)は誤差関数
(略解終)
これで、厄介な一様収束の判定から無縁になった!!
ただし、有界収束の定理は有界閉区間[a,b]でないと一般に成立しないので注意が必要である。
級数のどうでもいい話 [数列と級数]
級数のどうでもいい話
次に何をやろうかと考え、数学の演習書をチラリと覗き、次のような問題を見つけた。
問題 次の無限級数の収束判定をせよ。
数秒間、何も考えずに、問題をただじっと見つめ、閃きの瞬間を待つ。
――これがネムネコ的問題解決法。どうしても閃かないときは、仕方がないので考える(^^ゞ――
そして、「あっ、そうか」と閃き、
で、
と、が発散するので、は発散する
と解けというわけね。
まっ、
で、は発散するから、も発散する
と解いてもいいのだろうけれど、上の解答の方がオシャレだね。
でも、いつも、このような閃きが訪れるとは限らない。
そこで、閃かないときのために、次のような解答も用意したにゃ。
k=1,2,・・・,nとし、k≦x≦k+1、すなわち、[k,k+1]という閉区間で、
という関数を考えると、これは単調減少関数。
したがって、
という関係が成り立つ。
よって、
である。
てなわけで、
そして、
となるので、は発散する。
さてさて、では、この記事の読者の閃きを信じて、次の問題を解いてもらおう。
問題2 次の級数が収束することを示せ。
閃きが訪れると、この問題は実に鮮やかに解くことができる。
とはいえ、閃かないヒトたちのために、次の解答を用意しておこう。
【閃かない人向けの解答】
k=2,3,・・・,nとし、閉区間[k−1,k]で
について考える。
すると、f(x)は減少関数なので、
よって、
したがって、
両辺に1を足すと、
となる。
だから、 はnが増えると増加する単調増加列で、は2より小さく、つまり、上に有界。
上に有界な単調増加列は収束するので、は収束する。
(解答終)
なお、f(k−1)≧f(x)を使うと、
両辺に1/n²を加えると、
では、上の解答を真似て、つぎの類題を解いてもらいましょうか。
類題
は、α>1のとき、収束することを示せ。
関数列の微分 [数列と級数]
関数列の微分
定理3
関数列を閉区間[a,b]上のC¹級の関数列とする。[a,b]でが関数f(x)に各点で収束し、かつ、がある関数に一様収束するならば、
である。
【証明】
は[a,b]上でC¹級なので、は[a,b]で連続で、積分可能である。
x∈[a,b]とすると、
はf(x)に各点で収束し、はその極限関数g(x)に収束するので、
n→∞の極限をとると、
右辺は微分可能なので、f(x)も微分可能で、
(証明終)
例1
とすると、これはx≧1でC¹級で、f(x)=0に一様収束する。
また、
なので、も0に一様に収束する。
したがって、定理3より、
となり、定理が成り立っていることがわかる。
問1 次の関数列が一様に収束することを示せ。
【略解】
また、
なのでハサミ打ちの定理より、
よって、関数列はf(x)=0に収束する。
だから、一様に収束する。
(略解終)
例2
はC¹級で、f(x)=0に一様に収束。
また、
は、
となり、一様収束ではない。
この例の場合、
である。
例3
で定義される関数列がある。
となるので、この関数列の極限関数はf(x)=0である。
また、
は、0に一様ではなく各点収束する。
しかし、
が成立する。
例3を見るとわかる通り、が一様収束ではなく各点収束であっても、
が成立することがある。
実は、が一様収束であるという条件は強すぎる。もっと縛りの弱い条件でも成立するのですが、これは微分積分の範囲を越えてしまうので、これ以上は語らない。
問2
がx∈[0,1]であるすべて点xで収束することを示せ。また、一様収束でないことを示せ。
【略解】
よって、[0,1]で0に収束し、極限関数はf(x)=0 (x∈[0,1]) である。
x=1/nとすると、
となるので、一様収束ではない。
(略解終)
上の解答では、ずるい一様収束の判定を行ったが、
を微分し、それから増減を調べ、
となることを確かめるように。
関数列のどうでもいい話かも [数列と級数]
関数列のどうでもいい話かも
定理2
を閉区間[a,b]で連続な関数列とする。[a,b]上でがf(x)に一様収束するならば、
次の連続な関数列
は、
に収束するので、[0,1]で一様収束ではない。
したがって、定理2を使うことはできない。
しかし、
となる。
また、極限関数f(x)は[0,1]で積分可能であり、
となるので、
が成立する。
したがって、連続な関数列が[a,b]上でf(x)に一様収束しなくても、(1)式が成立することがある。
つまり、連続な関数列が極限関数に一様収束することは(1)式が成立することの十分条件にすぎないことがわかるだろう。
(2)式で定義される関数f(x)は[0,1]で連続でないので、積分できないって?
それは、
が成り立つとき、F(x)をf(x)の原始関数(不定積分)といい、定積分を
と定義する高校流の定積分の話。
(2)式で定義される関数は、(リーマン)積分可能ですよ。
f(x)を閉区間[a,b]で定義された有界関数とする。[a,b]の分割
に対し、を任意に選んだ
をリーマン和といい、
を分割の幅という。
このとき、ある実数αが存在して、のとり方によらず、
が成り立つとき、f(x)は[a,b]上で積分可能であるといい、
で表し、この値をfの[a,b]上の定積分という。
(2)の関数の場合、x=1がに選ばれた時、
であり、x=1が選ばれない時は、
となるので、の選び方によらず、
となり、f(x)は[0,1]で積分可能で、
になる。
なお、
となる微分可能な関数F(x)は存在しないので、f(x)に原始関数は存在しない。
というわけで、(2)式で与えられる関数列に関しては、
が成立することを理解してもらえたと思う。
この関数列は、[0,1)では0に収束するが、x=1のとき、
となるので、x=1では収束しない。
したがって、この数列の収束域は[0,1)で、極限関数は
となる。
では、ここで問題。
問題
0<a<1とする。
で定義される関数列がある。
一様収束する関数列の性質の復習 [数列と級数]
一様収束する関数列の性質の復習
定理1
I上の連続関数列が関数f(x)に一様収束すれば、f(x)はI上で連続である。
【証明】
a∈Iとし、ε>0を任意の正数とする。
関数列は一様収束するので、任意の正数ε/3に対して、ある自然数Nが存在して、
を満たす。
特に、
である。
また、関数は点aで連続なので、あるδ>0が存在し、
よって、である任意のxに対して、
したがって、f(x)はIに属する任意の点aで連続となり、f(x)はI上の連続関数である。
(証明終)
関数列
とすると、は[0,1]で連続。
極限関数f(x)は
となり、x=1でf(x)は不連続。
したがって、定理1からこの関数列は一様収束でないと判定できる。
定理2
を閉区間[a,b]で連続な関数列とする。[a,b]上でがf(x)に一様収束するならば、
である。
【略証】
は[a,b]で連続なので積分可能。
したがって、
(略証終)
0<a<1とする。
次の連続な関数列
は、
に[0,a]で一様収束する。
したがって、定理2より
と計算することが可能。
現に
となることから、このことを確かめることができる。
問題 次の関数列がある。
(1) が[0,1]で一様収束することを示せ。
(2) の極限関数をf(x)とするとき、
となることを確かめよ。
【略解】
(1) 関数列の極限関数をf(x)とすると、
である。
の最大、最小値を求めるために、をxで微分し、増減を調べると、
ゆえに、
増減表は次のようになる。
したがって、
よって、はfに一様収束する。
(2) 定理2より
また、
(略解終)