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有界収束の定理 [数列と級数]

有界収束の定理

 

普通の微分積分の教科書では取り扱っていない、有界収束の定理を紹介する。

 

定理4(有界収束の定理)

有界閉区間[a,b]で定義された連続関数から構成された関数列が有界で、連続関数f(x)に収束するならば、

  yushu-001.png

が成り立つ。

 

この有界収束の定理はいわゆる微分積分の範囲を逸脱するので、証明は示さない。

 

例1 連続関数

  

からなる関数列は、すべての自然数nについて、

  

で有界。また、極限関数はf(x)=0[0,1]で連続なので、上の有界収束の定理より

  

と計算することができる。

 

 

  

を実際に計算し、

  

となることを確かめよ。

 

問題1 次の値を求めよ。

  

【解】

[0,1]の全ての点で

  

に収束し、

  

で有界。

したがって、定理4より

  yushu-006.png

(解答終了)

 

実は、定理4は、もっと条件を弱めることができる。

 

定理4’(有界収束の定理)

が有界閉区間[a,b]積分可能[[a,b](のほとんど全て almost everywhere )でf(x)に収束し、かつ、が有界ならば、f(x)積分可能で、

  yushu-003.png

が成り立つ。

 

ただし、下線部を引いた積分可能はリーマン積分可能の意味でない場合があるので注意が必要。

 

この定理4’を用いると、

関数列

  

の極限関数は

  

と、[0,1]で不連続なのに、

  

と計算できる理由を説明できる。

 

問題2 次の値を求めよ。

  

【解】

x=0のとき、

  

0<x≦1のとき、

  

したがって、極限関数f(x)

  

また、[0,1]

  

と有界なので、定理4’より

  

(解答終了)

 

問2

  

を実際に積分することによって、

  

の値を求めよ。

【略解】

  yushu-004.png

よって、

  

ここで、erf(x)は誤差関数

  yushu-005.png

(略解終)

 

これで、厄介な一様収束の判定から無縁になった!!

 

ただし、有界収束の定理は有界閉区間[a,b]でないと一般に成立しないので注意が必要である。

 

 


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