ベクトルの内積を使って平行四辺形の面積を求める [ベクトル]
ベクトルの内積を使って平行四辺形の面積を求める
同一平面上に原点O、点A、点Bがあり、点Aの座標を(a₁,a₂)、点Bの座標を(b₁,b₂)とする。
△ABCの面積は、∠AOB=θとすると、
であり、下図の平行四辺形OACBの面積Sは
点Aの位置ベクトル、点Bの位置ベクトルをとすると、
である。
三角関数には、sin²θ+cos²θ=1という関係があるので、(2)式の両辺を2乗すると、
である。
だから、(3)式の根号の中は
したがって、(3)式は
となる。
だから、2×2の行列
の行列式(5)は、幾何学的には、が作る平行四辺形の符号付き面積と考えることができる。
そして、ベクトルとベクトルの外積は
であり、(5)は外積a×bの基本ベクトルk=(0,0,1)の成分になっているのであった。
問題 次の問に答えよ。
(1) A(2,1)、B(1,2)とし、原点をOとする。△OABの面積を求めよ。
(2) A(5,2)、B(4,3)、C(3,1)とする。△ABCの面積を求めよ。
と言っても、お前らは絶対に書かないので・・・。
ベクトル 直線の方程式2の続き [ベクトル]
ベクトル 直線の方程式2の続き
問題1 直線lの方程式をax+by+c=0とする。
(1) lはベクトルと平行であることを示せ。
(2) P(x,y)、Q(x,y)からlにおろした垂線の足をそれぞれR、Sとするとき、RSの長さを求めよ。
【解】
(1) 直線lはと垂直。
よって、と直線lは平行である。
(2) QからPRに垂線をおろし、垂線の足をHとし、QPとQHのなす角度をθとする。
また
よって、
(解答終わり)
問題2 △ABCと点Oがある。
とするとき、次の問いに答えよ。
(1) AからBCに引いた垂線上の点をPとし、とすると、
となることを証明せよ。
(2) 上の(1)を使って、△ABCの3垂線が1点で交わることを証明せよ。
【解】(1) AP⊥BCだから
(2) AからBCにおろした垂線とBからCAにおろした垂線の交点をPとする。
(1)より
①と②の辺々を足すと
よって、CP⊥ABとなり、△ABCの3垂線は1点で交わる。
(解答終わり)
問題3 △ABCにおいて、辺の長さをBC=a、CA=b、AB=cとする。
(1) △ABCの平面上の点Pが∠BACの2等分線(延長線も含む)の上にある条件は
であることを示せ。
(2) 3頂点の座標がA(1,3)、B(−2,0)、C(5,-1)のとき、∠BAC、∠ABCの2等分線の方程式を求めよ。また、△ABCの内心を求めよ。
【解】(1) ∠BAP=∠CAPだから
(2) ∠BACの2等分線上の点Pの座標を(x,y)とする。
よって、
∠ABCの2等分線上の点Pの座標を(x,y)とすると、(1)より
である。
よって、
内心はx=1とx−3y+2=0の交点だから、内心は(1,1)である。
(解答終わり)内心Pを求めるだけならば、
という公式があるので、これを使ってもよい。
【公式の略証】与式の両辺をを引く。
よって、点Pは、Aと辺ACをAB:ACに内分する点とを結ぶ直線、つまり、∠Aの2等分線上に存在する。
同様に、点Pは∠Bの2等分線上にあるので、点Pは△ABCの内心である。(略称終わり)
ベクトル 直線の方程式2(平面の場合) [ベクトル]
ベクトル 直線の方程式2(平面の場合)
平面上に、ベクトルに垂直で、位置ベクトルの点P₀を通る直線lがあるとする。
であり、
とすると、
だから、点を通りに垂直な直線の方程式は
となる。
は定数なので、とおくと、上式は
となる。
さらに、とすると、次のようになる。
以上のことから、ax+by=cはに垂直な直線である。
問題1 原点Oから直線lへひいた垂線OHとx軸のなす角がαで、OHの長さがpのとき、lの方程式は
であることを示せ。
【解】
l上の動点をP(x,y)とする。条件より
OH⊥HPだから
p≠0だから、両辺をpで割って
(解答終わり)
問題2 点P(x₀,y₀)から直線l:ax+by+c=0におろした垂線の足をHとするとき、推薦の長さPHを求めよ。
垂線PHは、ベクトルと平行。
垂線の足H(x,y)は直線l上の点なので
よって、
故に、
(解答終わり)
自然な次の別解を。
【別解】
PHは、ベクトルと平行だから、
となる実数tが存在する。
垂線の足Hをの座標を(x,y)とすると
この点は直線l:ax+by+c=0上に存在するので
よって、
(別解終わり)
そして、これで、直線l:ax+by+c=0と点P(x₀,y₀)の距離dの公式
を求め、証明したことになる。
ベクトル 直線の方程式(平面の場合) [ベクトル]
ベクトル 直線の方程式(平面の場合)
§1 直線の方程式
点Pが直線l上にあるので、
となる実数tが存在する。
点Aと点Pの位置ベクトルをそれぞれ
とすると、
より
となる。
ここで、tはすべての実数値をとる変数、媒介変数である。
次に、直線l上に2点A、Bがあり、その位置ベクトルをとする。
直線lはに平行なので、
と考え、上式に代入すると
この結果をまとめると、次のようになる。
1. 点を通り、方向の直線の方程式
2。 2点を通る直線の方程式
s+t=1とすると、上の式は次のように書き換えることができる。
§2 問題
問題1 2点A(−2,3)、B(2,−4)を通る直線上の任意の点の座標を、媒介変数tを使ってあらわせ。
【解】
さらに、直線上の任意の点Pの位置ベクトルを
とする。
したがって、
(解答終わり)
を使って計算してもいいけれど、上のように解いたほうが、計算は楽でしょう。
問題2 平面上に異なる3点A、B、Cがある。s、tは、s≧0、t≧0であるような実数値をとる変数で
とする。
(1) s+t=1のとき、Pの軌跡を求めよ。
(2) s+t=k(kは正の定数)のとき、Pの軌跡を求めよ。(3) s+t≦1のとき、Pの存在範囲を求めよ。
【解】(1) s+t=1よりs=1−t。
また、s≧0とt≧0より、0≦t≦1。
t=0のときP=A、t=1のときP=B。また、点Pは線分AB上を動くので、点Pの軌跡は線分AB(両端を含む)である。
(2) l=sk、m=tkとおくと、l≧0、m≧0で
さらに、
とおくと、
(1)より、Pの軌跡は線分CDであり、よって、Pの軌跡は原点を中心にABをk倍した線分CDである。
(3) s+t=kとおくと0≦k≦1。
よって、点Pの存在範囲は、△OABの内部とその周である。(解答終わり)
問題3 1直線上にない3点A、B、Cがあって、とする。∠AOBの2等分線が直線ABと交わる点をPとするとき、次のことを示せ。
【解】
とする。
(1) Pは直線AB上にあるので
またPは∠AOBの2等分線上にあるので
よって
内積を計算すると
これを代入すると、
∠AOB≠0だから、
よって
s+t=1と連立して解くと、
(2)
よって、
である。
ベクトル 空間図形への応用 [ベクトル]
ベクトル 空間図形への応用
問題1 正四面体ABCDの辺AB、BC、CD、DAの中点をそれぞれP、Q、R、Sとするとき、次の問いに答えよ。
(1) AB⊥CD、AC⊥BD、AD⊥BC(2) PR⊥AB、PR⊥CD
【解】
とする。
正四面体の1辺の長さをaとすると、
また、△ABC、△ABD、△ACDは正三角形だから、∠BAC=∠BAD=∠CAD=60°。
(1)
同様に、AC⊥BD、AD⊥BC
(2) とする。
よって、
また、
よって、
問題2 立方体の3つの辺をOA、OB、OCとし、同一の平面上にない頂点をDとすると、ODは△ABCの平面に垂直であることを示せ。
【解】立方体の1辺の長さをaとし、O(0,0,0)、A(a,0,0)、B(0,a,0)、C(0,0,a)とする。さすれば、D(a,a,a)。
そうすると、
よって、
だから、ODと△ABCの平面は垂直である。
(解答終わり)座標を導入せず、次のように解いてもいい。
【別解】
立方体だから
また、
だから、
よって、OD⊥AB、OD⊥AC。
したがって、ODと△ABCの平面に垂直である。(解答終わり)
問題3 空間の3点A(2,0,0)、B(0,2,0)、C(0,0,1)がある。
(1) △ABCの面積を求めよ。(2) 原点Oから△ABCに垂線OHをひくとき、の向きの単位ベクトルを求めよ。
(3) △ABCの平面と△AOCのなす角の余弦を求めよ。【解】
(1)(2)
とする。
また、OH⊥CA、OH⊥CBだから
よって、
x≧0、y≧0、z≧0だから、
(3) △ABCの平面の単位垂直ベクトルは、△AOCの単位垂直ベクトルをとすると
この2つの平面のなす角をθとすると
ベクトル 演習問題 [ベクトル]
ベクトル 演習問題
問題1 △ABCと△PQRの間に、次の関係がある。
△ABCと△PQRの面積比を求めよ。
とする。
よって、点PはABを2:1に内分する点。
同様に、QはBCを、RはCAを2:1に内分する。
よって、
(解答終わり)
問題2 ベクトルがあって、の間に
の関係がある。
(1) の内積をkを用いて表せ。
(2) 内積の最小値、およびそのときののなす角θ(0≦θ≦180°)を求めよ。
【解】(1) だから、。
また、(2)
相加平均≧相乗平均より
よって、
したがって、内積の最小値は1/2。
(解答終わり)
問題3 円Oに内接する△ABCがある。動点Pが円O上を動くとき、
を満たす点Qの軌跡は、△ABCの各辺の中点を通る円であることを示せ。
とする。
△ABCの外接円の半径をRとすると、は△ABCの外接円の半径Rであり、点QはDを中心とする半径R/2の円周上の点である。
また、
より、点Aと点Pが一致するとき、つまり、
のとき
で、点Qは辺BCの中点と一致し、したがって、点QはBCの中点を通過する。
同様に、点Pが点Bに一致するときはCAの中点、点Cと一致するときはABの中点を通る。
以上のことより、点Qの軌跡は、△ABCの各辺の中点を通る円である。(解答終わり)
△ABCの重心をGとすると、
だから、
である。
ベクトル ベクトルの図形への応用2 [ベクトル]
ベクトル ベクトルの図形への応用2
問題1 決まった平行四辺形ABCDがある。任意の点Pに対して、
が一定であることを証明せよ。
とする。
よって、
したがって、この値は、任意の点Pによらず、一定である。
(証明終わり)
この問題の結果を使うと、次の問題を簡単に解くことができる。
問題2 、を満たすベクトルを位置ベクトルとする4点A、B、C、Dはどんな位置関係にあるか。
【解】よって四角形ABCDは平行四辺形。
として問題1の結果に代入すると
よって、AB⊥AD。
以上のことから、四角形ABCDは長方形。
(解答終わり)そして、平行四辺形の面積を与える公式の証明。
問題3 平面上の2つのベクトルを隣り合った2辺とする平行四辺形の面積をSとするとき、
(1) であることを証明せよ。
【解】(1) 平行四辺形の面積Sは、∠AOB=θとすると
内積の定義から
よって
(2) (1)より
で、S≧0だから
(解答終わり)
問題2の(1)より
平面上の2つのベクトルを隣り合った2辺とする平行四辺形の面積をSは
平面上の2つのベクトルを隣り合った2辺とする三角形の面積は
問題4 平面上で、3点A(1,1)、B(2,3)、C(4,−1)を頂点とする三角形の面積を求めよ。
【解】(解答終わり)
ベクトル 図形への応用 [ベクトル]
ベクトル 図形への応用
本格的にベクトルの図形への応用をする前に、知識の確認。
1の||はABとCDが平行であることをあらわす記号。
さらに、
点Cが直線AB上にある必要十分な条件はとなるkが存在することである。
問題1 △ABCの外心をOとし、
となるHをとるとき、次のことを証明せよ。
(1) Hは△ABCの垂心である。(2) △ABCの外心、垂心、重心は1直線上にある。
【証明】(1) とする。
Oは△ABCの外心なので、である。同様に、BH⊥CA、CH⊥AB。
よって、Hは垂心である。
(2) 重心をGとすると
だから、
故に、O、G、Hは1直線上にある。
(証明終わり)
オイラー線
三角形において、外心をO、重心をG、垂心をHとすると、O、G、Hは一直線上にあり、を証明したことになる。
問題2 △ABCと同じ平面上に点Oがあり、
であるとき、Oはどんなん点か
【解答】
とすると、条件は
よって、
よって、CO⊥AB。
また、
よって、AO⊥BC。
同様に、BO⊥CA。
したがって、Oは垂心である。(解答終わり)
問題 3点A、B、Cの位置ベクトルが次の条件を満たしているとき、△ABCはどんな三角形か。
(1)
(2)
【解(?)】重心をGとすると
のときとなり、重心Gと原点Oは一致する。
(1)のはOA=OB=OC、つまり、Oと三角ABCの各頂点の距離は等しいので、Oは外心。外心Oと重心Gが一致するのだから、△ABCは正三角形。
(2)のは、問題2よりOが垂心であることを表しており、また垂心と重心が一致するのだから、△ABCは正三角形である。
(解答?終わり)しかし、こんな解答をしたら、学校の先生から怒られる。学校の先生から怒られるだけならばまだしも、大学受験で点数をもらえないかもしれない。
【解】
(1) より
よって、AB=AC。
同様に、BC=BA。
よって、△ABCは正三角形。(2)
で、よって、AB=AC。
同様に、BC=BA。よって、△ABCは正三角形。
(解答終わり)これはあくまで解答の一例で、他にもいくつか解答は考えられる。
たとえば、次のように考えるだろう。同様に
だからとなり、という条件が出てきて、(2)を(1)に書き換えることもできる。
(1)、(2)ともに、△ABCが正三角形であるための必要十分な条件なのだから、当たり前の話。
(1)はから
として、
同様に、∠COA=∠AOB=120°。
また、条件よりOA=OB=OC。2辺挟角相等より△OAB≡△OBC≡△OCA。
よって、AB=BC=CAで△ABCは正三角形。平面図形と式 平面座標 [ベクトル]
平面図形と式 平面座標
平面座標を使って、重心、外心の問題を解くことにします。
その前に、平面座標の基本事項の復習。1 2点間の距離
2点A(x₁,y₁)、B(x₂,y₂)の距離ABは
2 内分と外分
2点A(x₁,y₁)、B(x₂,y₂)を結ぶ線分をm:nに内分する点はであり、中点は
2点A(x₁,y₁)、B(x₂,y₂)を結ぶ線分をm:nに外分する点は
3 重心
3点A(x₁,y₁)、B(x₂,y₂)、C(x₃,y₃)を頂点とする△ABCの重心の座標は
3の重心の座標の式⑤だけがあらたに出てきたので、これを導くことにする。
BCの中点をとすると、Dは
また重心の座標を
とすると、Gは中線ADは2:1に内分するので、
となる。
では、問題を。
問題1 平面上に2点A(−2,1)、B(3,2)がある。
(1) 線分ABを2:3に内分する点、外分する点を求めよ。(2) 点Bに関して、点Aと対称な点の座標を求めよ。
(3) 2定点A、B等距離にある点をx軸上に求めよ。【解】
(1) 内分する点Cは2:3に外分する点Dは
ウォーミングアップを済ませたところで、本格的な問題を。
問題2 3点A(−5,5)、B(−2,6)、C(2,4)を頂点とする△ABCの重心Gと外心Dの座標を求めよ。
【解】重心Gの座標を(x,y)とすると
よって、重心は
外心Dの座標を(x,y)とする。
Dは外心なのでAD=BD=CD、よってAD²=BD²=CD²。
これを解くと、x=−2、y=1。
よって、D=(−2,1)。
(解答終わり)座標を使うと、このようにして重心、外心を求めることができる。
問題3 3点A(4,1)、B(6,−3)、C(−3,0)が与えられている。
(1) A、B、Cから等距離にある点Pの座標を求めよ。(2) AQ²+BQ²が最小となるようなx軸上の点Qの座標を求めよ。
【解】(1) 点Pの座標を(x,y)とする。
これを解くとx=1、y=−3。
よって、P(1,−3)。
(2) Q(x,0)とする。
x=5のときAQ²+BQ²は最小となる。
よって、Q(5,0)。
(解答終わり)問題3の(1)の点Pは、△ABCの外心。
ベクトル 内積の不等式への応用 [ベクトル]
ベクトル 内積の不等式への応用
成分で表される2つの平面ベクトルがあるとき、その内積は
になる。
空間ベクトルの場合、つまり、のとき、この内積は
になる。
では、問題。
問題1 ベクトルの内積を利用して、次の不等式を証明せよ。
【証明】
とし、この2つのベクトルのなす角度をθとする。
また
よって、
等号が成立するのはcos²=1、または、またはのとき。
cos²θ=1になるのはθ=0またはθ=180°のときで、これは。
よって、等号成立は、またはまたはのときである。(証明終わり)
また、
は一般に成り立つので、とすれば、次の不等式が得られる。
これを使って、次の問題を解くことにする。
問題2 x、y、zが負でない実数でx+2y+3y=1のとき
の最大値を求めよ。
【解】
等号が成立するのは、
よって、
(解答終わり)
こうした解法がいいかどうかは別にして、こういうふうに解くことができる。
次の問題は有名問題なので、やらないわけにはいかない。
問題3 零ベクトルでない2つのベクトルが与えられている。
が最小となるとき
(1) tの値を求めよ。
(2) とが直交することを示せ。
【解】(1) だから2乗しても大小関係は変わらない。だから、を2乗する。
よって、
の時に最小。
(2)
よって、とが直交する。
(解答終わり)とすると、点Pはで表される点Aを通り、に平行な直線上の点。
は、原点Oと点Pとの距離。
原点Oからこの直線におろした垂線の足をHとすると、(2)では、直線と原点との距離が最小のとき、OHと直線が直交しているということを表している。