第32回 三角関数の積分 [微分積分]
第32回 三角関数の積分
三角関数の積分には幾つかのタイプがある。
まずは、もっとも基本的な、三角関数の倍角公式と積和公式を用いるタイプ。
倍角公式
三角関数の積和公式
問1 次の不定積分を求めよ。
【解】
(解答終)
次に、
のように、不定積分が
の形で表される場合。
前者の場合、t=sinxとおくと、dt=cosxdxとなるので、
後者の場合、t=cosxとおくと、−dt=sinxdxとなるので、
と、不定積分を求めることができる。
問2 次の不当積分を求めよ。
【解】
(1) t=sinxとおくと、cosxdx = dtだから、
(2) t=cosxとおくと、sinxdx=−dtだから、
(3) 被積分関数の分母分子に1+sinxを掛けると、
右辺第1項の不定積分は
右辺第2項の不定積分は、t=cosxとおくと、sinxdx=−dtとなるので、
したがって、
(4) 被積分関数の分子分母に1+sinxを掛けると、
t=sinxとおくと、cosx=dtだから、
よって、
(解答終)
タイプ3
の場合は、
t=tanxとおくと、
問 次の不定積分を求めよ。
【解】
t=tanxとおくと、
したがって、
(解答終)
タイプ4
より一般のの場合は、
とおくと、
したがって、倍角公式(半角公式?)から
また、x=2tan⁻¹tだから、
以上のことから、
とおいたとき、
問 次の不定積分を求めよ。
【解】
とおくと、
(解答終)
一般の2階線形微分方程式の解法 [微分積分]
一般の2階線形微分方程式の解法
次の2階線形同次微分方程式がある。
この微分方程式の0でない1つの解をu(x)とし、定数変化法を用いて、これに独立な解v(x)を求めることにする。
u(x)は(1)の解なので、
であり、またv(x)も(1)の解だから、
である。
v=z(x)u(x)とおくと、
これを(3)に代入すると、
これはz'についての変数分離形の微分方程式である。
したがって、この微分方程式の一般解は
をxで積分して、
ここで、c₂=1とすると、
したがって、
問題1 微分方程式
について、次の問に答えよ。
(1) y=1/xが解であることを示せ。
(2) 微分方程式を解け。
【解】
(1) y=1/xとすると、
よって、y=1/xは解である。
(2) x≠0とすると、
よって、
したがって、u=1/xと独立な解vは
よって、
(解答終)
微分方程式
において、y=u(x)v(x)、
とおくと、u(x)は
を満たす。
これを2階線形微分方程式の標準形という。
【証明】
y=uvだから、
これを(5)に代入すると、
一方、
だから
これを(7)式に代入すると、
(証明終)
が定数の場合、微分方程式(5)は簡単に解くことができる。
問題2 次の微分方程式を標準形にして解け。
【解】
(1) P=−3、Q=2、R=0だから、
よって、
また、
だから、
(2) P=2x、Q=x²、R=0だから、
よって、
また、
したがって、
(解答終)
問題3 微分方程式
について、次の問に答えよ。
(1) 微分方程式を標準形に直せ。
(2) 標準形に直して、この微分方程式の解を求めよ。標準形に直して求めた解と問題1で求めた解と一致するか。一致しないならば、何故か、考察せよ。
【解】
(1)
よって、
したがって、
よって、
(2) の一般解は
vは
したがって、
(解答終)
お前らに質問(7月23日)の解答例 [お前らに質問]
お前らに質問(7月23日)の解答例
問題1 次のことを証明せよ。
ここで、はの逆関数。
【解答例】
とおくと、
よって、0<β<α<π/4で、0<α+β<π/2である。
したがって、
(解答終)
問題2 のマクローリン級数を求めよ。
また、このマクローリン級数と問題1の(1)を用い、円周率πの(近似値)値を求めよ。
【解答】
を微分すると、
ここで、t=x²(|x|<1)とおくと、
この両辺をxで積分すると、
(1)と(2)を使うと、円周率πは
になる。
そこで、n=3とし5次の項まで計算すると、
と、比較的、精度よく計算できていることがわかる。
n=1〜10まで変化させ、表計算ソフトを使って計算した結果は次の通り。
(解答終)
マクローリン級数
の右辺の無限級数は−1<x<1のときに収束する。
対して、
の右辺の無限級数にx=1を代入した、
は収束(※)し、
が成立する。
これをライプニッツ級数という。
ライプニッツ級数は収束が遅く、n=10まで計算した値は
にしかならず、この値を用いて円周率πの近似値を求めると
(※)
定理 (交代級数の収束)
が単調減少で、ならば、次の無限級数は収束する。
お前らに質問 (三角関数の逆関数と円周率πの近似計算) [お前らに質問]
お前らに質問 (三角関数の逆関数と円周率πの近似計算)
問題1 次のことを証明せよ。
ここで、はの逆関数。
ノーヒントだと辛いかもしれないので、
とおくと、
であることを示せばよい。
あとは、三角関数の加法定理を用いて、tan(α+β)を計算するだけ。
問題2 のマクローリン級数を求めよ。
また、このマクローリン級数と問題1の(1)を用い、円周率πの(近似値)値を求めよ。
頑張って、この2つの問題を解いてもらいましょうか。
とおき、この第n次導関数を求め、
と、馬鹿正直に、このマクローリン級数を求めようとすると、間違いなく、討ち死にするにゃ。
あたり一面に累々たる屍(かばね)を晒すことになることは必定だにゃ。
ねこ騙し数学、アクセス・ランキング6位に!! [ひとこと言わねば]
まずは、その証拠を提示。
ではあるが、ランキングが上がることは少しだけ嬉しいし、ネムネコの野望の実現がこれでまた一歩近づいたことも事実。
というわけで、
これまで何度も、「俺は、一体、何をやっているんだろう。こんなブログなんてやめてしまおう」という思いに駆られつつ、それでも、毎日、ネムネコのブログにアクセスしてくれる奇特な物好きがいたので、今日(こんにち)まで続けられた。「一日、20〜30人くらいのヒトがアクセスしてくれるのであれば、俺はこのヒトたちのためだけにブログを続けられる」と公言していたから、そう公言した手前、止めるに止められなかったと言ったほうが正しいのかもしれない。
これは、ひとえに、ネムネコの不撓不屈の精神と血のにじむような頑張りの賜物といって過言ではあるまい。
唯我独尊のネムネコが「これは、ひとえに、このブログの訪問者様のご支援のおかげです」なんて、心にもないリップサービスをするはずがないだろう。
この成果は、誰が何と言っても、ネムネコ、ひとり(一匹?)のものだ。
まっ、ddt³さんには記事を多数投稿して頂いているので、ほんのチョッピリ、ddt³さんの支援によるところがあるのは事実。
だから、ddt³さんには感謝だにゃ。
そして、ネプネコを頂点にいただく世界を望むかどうかは、お前らの選択に関わっているにゃ。
ところで、このブログは、少しは、世のため、ヒトのために役立っているのだろうか。
甚だ疑問である。
第31回 有理関数の不定積分 [微分積分]
第31回 有理関数の不定積分
問1 aを実数とするとき、次の不定積分を求めよ。
【解】
(1) a=0のとき、
a≠0のとき、
(2) a=0のとき、
a≠0のとき、x=atとおくと、dx=adtなので、
(解答終)
問2 、次の不定積分を求めよ。
【解】
(1) t=x²+2x−1とおくと、
だから、
(2) t=x³−1とおくと、
したがって、
(解答終)
問2の(1)は、
と、公式
を使ってといてもよい。
問3 次の不定積分を求めよ。
【解】
(解答終)
問4 次の不定積分を求めよ。
【解】
(解答終)
f(x)、g(x)を整関数(多項式関数)とするとき、有理関数の不定積分
は、f(x)をg(x)で割った商と余りを、それぞれ、p(x)、r(x)とするとき、
と分解し、
問4のように、右辺第2項を不定積分が求められるように何らかの手段で部分分数に分解し、不定積分を求める必要がある。
そして、無証明で、有理関数の不定積分に関する次の定理だけを提示。
定理(有理関数の不定積分)
有理関数の不定積分は、有理関数、対数関数log、逆正接関数tan⁻¹を用いて表される。
(2)は、t=2x+1と置き、置換積分を使って、次のように解くこともできる。
(2) t=2x+1とおくと、
したがって、
また、(3)は
とし、公式
にa=1を代入し、
としてもよい。
問5 次の不定積分を求めよ。
【解】
(1)
とすると、
したがって、
(2)
とすると、
したがって、
ところで、
したがって、
(解答終)
参議院選挙の投票率の予想式 [高校の統計]
参議院選挙の投票率の予想式
というn個のデータがあり、この重回帰式を
とする。
さらに、この(1)とからの予想値と実際のとの差を
とし、
とする。
そして、最小2乗法を用いて、Rが最小になるように、重回帰式(1)の係数a、b、cを定めることにすると、
これから、a、b、cに関する次の連立方程式が得られる。
行列を用いると、次のようになる。
この連立方程式を解けば、重回帰式(1)の係数a、b、cを求めることできる。
(3)は、各式の両辺をnで割り
ここで、
こちらの方が、連立方程式の意味がわかりやすくていいのかもしれない。
「非常に関心がある」をx、「必ず行く+期日前投票をした」をy、(参議院)選挙の投票率をzとし、NHKが公表しているデータを使い、連立方程式(3’)を求めると、
この連立方程式を解くと、
となり、
という参議院選挙の得票率の重回帰式が得られる。
NHK、朝日新聞などが発表している今回の参議院選挙の投票率の推定値48.8%と過去4回との投票率と、(5)式を用いた予想値を比較すると、次のようになる。
今回の参議院選挙の実際の投票率と予想値は2.4ポイントほど異なっているが、比較的よく投票率を再現していることがわかる。
さらに、第25回の投票率を加え、新たに計算すると、連立方程式(3’)は
となり、これを解くと
となり、次の重回帰式が得られる。
実際の投票率と(6)式を用いて予想した計算結果は次の通り。
(6)式は、誤差±0.9ポイントで参議院選挙の投票率を表すことができる。
今回提出した、参議院選挙の投票率の予想式(5)、(6)に、何か深遠な数学的な意味などがあるかといえば、おそらく、そんなものはない。
「非常に関心がある」をx、「必ず行く+期日前投票をした」をy、(参議院)選挙の投票率をzとすると、
しかも、NHKの選挙直前の世論調査の結果を用いると、
何故かわからないけれど、(6)式で参議院選挙の投票率を±1.0ポイントの範囲で表すことができるという、ただ、それだけの話。
ネムネコが考えるに、衆議院選挙の投票率の予想に(6)は使えないと思う。この式はあくまでも参議院選挙の投票率限定のものだ。
ではあるが、ここで用いた重回帰分析の手法は、おそらく、衆議院選挙の得票率の予想にも使うことができて、NHKが行った単回帰分析によりは良好な結果が得られると思う。
ここで使用したNHKのデータは、NHKの次の記事のものを使用した。
投票率、ズバリ当てます!
https://is.gd/RgZqQJ
ネムネコは表計算ソフトを使えない!! Help me!!! [高校の統計]
ネムネコは表計算ソフトを使えない!!
NHKの「投票率、ズバリ当てます!」という記事を読んでいて、単回帰分析じゃなく重回帰分析を使えばいいじゃないかと思い、数式を作ってみた。
というn個のデータがあり、この重回帰直線を
とするにゃ。
この回帰直線(1)とから推測される値と実際のとの差を
とし、
とする。
そして、
最小2乗法では、Rが最小になるように、重回帰直線(1)の係数a、b、cを定める。
だから、
これから、a、b、cに関する次の連立方程式が得られる。
行列を使うべきだと、ddt³さんに怒られるかもしれないので、行列で書くと
この連立方程式を解けば、2重回帰直線(1)の係数a、b、cを求めることできる。
(3)は、各式の両辺をnで割り
ここで、
こちらの方が、連立方程式の意味がわかりやすくて、いいのかもしれない。
それっぽい感じになっているので、計算は間違えていないと思うが、ここまではすぐに出来た。
C言語かFortranなどで、2重回帰直線(1)を求めるプログラムを作ってとこうかと一瞬考えたのだが、「なんか面倒くさい。それに、表計算ソフトに重回帰分析をのツールがあるはずだ」と考え、2重回帰直線(1)の係数を求めてみようとしたのだけれど、ddt³さんと違って表計算ソフトを使い慣れていないネムネコは、どうやったらいいのかわからず沈没。
というわけで、表計算ソフトを用いた統計計算に詳しい奴は、ネムネコの代わりに、NHKのデータを元に2重回帰直線を求め、今回の参議院選挙の得票率を予想するにゃ。
NHKのデータを元に、重回帰直線の方程式を求めると
ここで、xは「非常に関心がある」、yは「必ず行く+期日前投票」、zは「投票率」。
したがって、
NHKの解析結果よりもネムネコがあらたに提示する予想式のほうが過去の投票率をよく再現出来ているにゃ。
そして、この予想式によると、今回の参議院選挙の投票率は46.4%だ。
ただ、この予想式の誤差は±1%くらいあるから、45.4〜47.4%くらいですかね〜。だから、今回の参院選の投票率は50%を割り込むのではないか。
問題の解答例と補充問題 [微分積分]
【解】
cos²x+sin²x=1の両辺をcos²xで割ると
したがって、
(解答終)
【別解】
(別解終)
【別解2】
tanx=tとおくと、
したがって、
(別解2終)
問題2 とおき、置換積分を使って、次の公式を示せ。
【解】
とおくと、
また、
だから、
(解答終)
補充問題1 n≧2のとき、次の漸化式を導け。
【解】
(解答終)
(2)、(3)は、次のように解くこともできる。
とおく。
また、
したがって、
不定積分のやり残し [微分積分]
不定積分のやり残し
問1 次の不定積分を求めよ。
【解】
三角関数の倍角公式から
したがって、
(解答終)
上記のように、三角関数の倍角公式を用い、次数を下げて不定積分を求めるのが一般的であるが、部分積分を用いて次のように解くこともできるだろう。
【別解】
とおく。
正弦関数と余弦関数には、cos²x+sin²x=1が成立するので、この両辺を積分すると、
また、
①と②を連立させ、I、Jについて解くと、
これに積分定数Cを加え、
(別解終)
もちろん、
この右辺に積分定数Cを加え、
などと解くこともできる。
n≧2のとき
が成立するので、n=2を代入すると、
この他にも解答は考えられますが・・・。
さてさて、ここで、お前らに問題。
問題1 漸化式(1)、(2)を用いて、を求めよ。
問題2 次の不定積分を求めよ。
どのような方法を用いて構わないから、問題2の不定積分を求めて欲しい。
問2 a>0とする。次の不定積分を置換積分を用いて求めよ。
【解】
(1) とおくとである。
また、
したがって、
(2) とおくと、
また、
したがって、
(解答終)
では、次の問題を解いてもらいましょうか。
問題3 とおき、置換積分を使って、次の公式を示せ。