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第10回 有限交叉性 [位相入門]

第10回 有限交叉性

 

集合Aの部分集合族Aは、Aに属する有限個の集合について、常に

  

であるとき、有限交叉性をもつという。

 

定理 位相空間について、次の2つの条件は同値である。

(1) 位相空間はコンパクトである。

(2) の閉集合の族Fが有限交叉性をもてば、常にである。

【証明】

(1)⇒(2)

位相空間の閉集合の族Fに対して、開集合の族を

  

で定義する。

もし、

  

であれば、ド・モルガンの法則より

  

となり、Xの開被覆になる。

はコンパクトだから、有限の開集合を選んで

  

とすることができる。

ド・モルガンの法則を改めて適用すると、

  

となりFが有限交叉性をもつことと矛盾。

よって、有限交叉性をもてば、である。

 

(2)⇒(1)

逆に、Xの任意の有限交叉性をもつ閉集合がをみたし、Xがをコンパクトであることを示す。

UXの開被覆とすると、

  

より、

  

となるので、

  

Xの閉集合からなる集合族。

(2)の対偶をとると、

  

のとき、あるを選んで、

  

とすることができる。

ド・モルガンの法則を用いると、

  

よって、Xの開被覆であり、はコンパクト。

(証明終)


参考までに、

チコノフ(Tychonoff)の定理

 

チコノフ(Tychonoff)の定理

位相空間の族において、各がコンパクトであることと、直積空間がコンパクトであることとは同値である。

 

 


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お前らに質問 (集合と位相) [位相入門]

最近数学の記事を書いていない、本で見つけた次の問題を解いてみるにゃ。

 

問題 を有界閉集合の列で、単調減少とすると、であることを証明せよ。

 

見るからに、と仮定し、ハイネ・ボレルの定理を使って解けという問題。

ということで、この方針にしたがって、解くことにする。

 

【証明】

と仮定すると、

  

になる。

は開集合だから、は有界閉集合F₁の開被覆である。

よって、ハイネ・ボレルの定理より、有限被覆がある。

一方、だから、であるので、

  

となるが存在することになり、に矛盾する。

(証明終)

 

この証明では、ド・モルガンの法則

  

や、

  

などを使っている。

ここで、Rは実数全体の集合で、Fの補集合を表す。

 

さてさて、

  

となるが存在すると、何故、に矛盾するかを答えてもらおうじゃないか。

書くまでもないと思うが、念の為に、Nは1以上の整数だケロよ。

ハイネ・ボレルの定理から、開被覆の中から適当なものを有限個選び

  

とすることができ、としたものだからね。

 

答えられないヒトは、次のことを証明するとヨロシ。

  

nankanozu.png

 


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位相の問題 距離空間の開核、閉包作用子 [位相入門]

位相の問題 距離空間の開核、閉包作用子

 

§1 距離空間ikp-0001.pngの位相の用語説明

 

dX上の距離(関数)とする。

 

1 x∈Xと、任意のε>0に対し、

  ikp-0002.png

となるXの部分集合をxε‐近傍開球という。

 

2 x∈Xに対して、Xの部分集合Uが、あるε>0が存在し、

  ikp-0030.png

を満たすとき、Ux近傍といい、xの近傍全体の集合近傍系という。

 

3 Xの部分集合Aに対し、x∈Xが、あるε>0が存在し、

  ikp-0032.png

を満たすとき、xA内点という。Aの内点全体の集まりをA開核といいshine-001.pngなどで表す。

 

4 Xの部分集合Aに対し、x∈Xが、任意のε>0について、

  

を満たすとき、xA触点という。Aの触点全体の集まりをA閉包といい、shine-002.pngなどで表す。

 

5 Xの部分集合Aがをshine-003.pngみたすとき、AX開集合という。

 

6 Xの部分集合Ashine-004.pngをみたすとき、Ax閉集合という。

 

7 Xの部分集合Aに対し、x∈Xが、任意のε>0について、

  ikp-0003.png

を満たすと、xA境界点という。Aの境界点全体の集まりをA境界といい、shine-005.pngなどで表す。

 

8 Xの部分集合Aに対し、x∈Xが、任意のε>0について、

  ikp-0004.png

をみたすとき、xA集積点といい、Aの集積点全体の集まりをA導集合といい、shine-006.pngなどで表す。

 

定理1 ikp-0001.pngを距離空間、Xの開集合全体の集まりとする。このとき、次のことが成り立つ。

ikp-0005.png

【証明】

(1) 略

(2) x∈O₁∩O₂とすると、ikp-0006.pngだから、あるε₁>0が存在し、B(x;ε₁)⊂O₁、あるε₂>0が存在し、B(x;ε₂)⊂O₂とできる。

そこで、正数ε

  ikp-0031.png

にとれば、

  ikp-0034.png

よって、

  ikp-0006.png

(3) x∈O₁∪O₂とすると、x∈O₁またはx∈O₂である。ikp-0006.pngだから、

  

をみたすが存在する。

したがって、

  

よって、

  ikp-0006.png

(証明終)

 

定理2 AXの部分集合とする。

 Aが開集合⇔Aの補集合は閉集合

 

 

 

§2 問題編

 

問題1 ikp-0001.pngを距離空間、AXの部分集合とする。次のことを示せ。

【解】

(解答終)

 

問題1は、閉集合の補集合は開集合であることを、開集合の補集合は閉集合であることを表している。

 

問題2 ikp-0001.pngを距離空間、ABXの部分集合とするとき、次のことを示せ。

shin3-0011.png

【解】

(1) すべてのx∈X、すべてのε>0に対して。したがって、shine-013.png

 

(2) とすると、あるε>0が存在して。したがって、shine-014.png

 

(3) (2)より、shine-007.pngである。とすると、あるε>0が存在して、とすることができる。y∈B(x;ε)に対して、δ=ε−d(x,y)>0とおき、shine-008.pngとすると、

  ikp-0009.png

よって、

  ikp-0043.png

となり、。つまり、ikp-0045.png

ゆえに、

したがって、

 

(4) (3)よりはともに開集合なので、は開集合。ゆえに、任意のに対してikp-0042.pngとなるε>0が存在する。さらに(2)より、shine-009.pngとなり、。すなわち、shine-010.png

とすると、となるε>0が存在する。よって、

  ikp-0021.png

すなわち、

  ikp-0022.png

よって、

  ikp-0023.png

したがって、

  ikp-0024.png

(解答終)

 

 

問題3 ikp-0001.pngを距離空間、ABXの部分集合とする。このとき、次のことを示せ。

shine-018.png

【解】

問題1の(1)と問題2の結果を使う。

 

(1) ikp-0035.png

 

(2) shine-017.pngより

  shine-15.png

 

(3) より、

 

(4) より、

  shine-015.png

したがって、

  shine-016.png

よって、

  ikp-0015.png

(解答終)

 

 

問題4 ikp-0001.pngを距離空間、ABXの部分集合とする。このとき、次のことを示せ。

(1) shine-001.pngAに包まれる最大の開集合である。

(2) shine-002.pngAを包む最小の閉集合である。

(3) ikp-0040.png

(4) ikp-0041.png

【解】

(1) よりshine-002.pngは開集合。Oを開集合でO⊂Aとすると、任意のx∈Oに対して、あるε>0が存在して、B(x;ε)⊂G

また、G⊂Aであり、B(x;ε)⊂A

したがって、

  

よって、は集合Aに包まれる最大の開集合である。

 

(2) よりshine-002.pngは閉集合。Fを閉集合でA⊂Fとする。

ならば、任意のε>0に対して、

  ikp-0019.png

よって、

  ikp-0020.png

ゆえに、

  

よって、

  

となり、shine-002.pngAを包む最小の閉集合である。

 

(3)

  

 

(4) ikp-0011.png

(解答終)

 

 


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超〜危険な定理の確認問題の解答例 [位相入門]

超〜危険な定理の確認問題の解答例

 

定理 次の2つは同値である。

(1) 集合Fは閉集合である

(2) 点列が収束するならば、その極限は集合Fに必ず属する。

 

 

確認問題1

A=(−1,1)とし、一般項が

  

である点列(数列)を考える。

すると、この点列の極限値は00∈A

定理よりAは閉集合となるが、A=(−1,1)は開集合となり、矛盾する。

これは、紹介した定理に反する。

どこがいけないのか、説明せよ。

【解答例】

「点列が収束するならば、その極限は集合Fに必ず属する」は、

であるすべての点列について、

 点列が収束するならば、その極限は集合Fに必ず属する

の意味であって、定理の適用を間違っているから。

一般項

  

で与えられる点列1に収束するが、

したがって、(−1,1)は閉集合でない。

(解答終)

 

 

確認問題2

  

さて、集合Mは閉集合か。閉集合であればその証明をし、閉集合でなければ、反例をあげよ。

  

集合Lは閉集合か。

【略解】

M内の点列

  

0に収束し、なので、Mは閉集合ではない。

Lは閉集合である。

(略解終)

 

 

発展問題

fを実数全体の集合R上の連続関数とする。このとき、集合

  

が閉集合であることを示せ。

【解答例】

Aが∅のとき、定義からAは閉集合。

つぎに、Aが空集合でない場合について考える。

とし、この数列の極限点をxとする。

fR上での連続関数なので、

  

よって、Aは閉集合である。

(解答終)

 

最も簡単な解答は、次の定理を用いる。

 

定理

fXからYへの連続写像であることの必要十分な条件は、Yの閉集合Ffによる逆像Xの閉集合であることである。

 

【別解】

{0}Rの閉集合。また、fR上の連続関数(連続写像)なので、fによる{0}の逆像

  

は閉集合。

(別解終)

 


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距離空間の問題 [位相入門]

距離空間の問題

 

問題1 を距離空間とする。

とおけば、d'X上の距離関数となり、d'から定まる開集合とdから定まる開集合は一致することを示せ。

【解】

三角不等式

が成立することを示す。

とおけば、fは単調増加関数である。

dX上の距離関数だから

したがって、


OO'を、それぞれ、距離dd'で定まる開集合とする。

x∈Oとすると、あるε>0があって、

とできる。

δ>0

にとり、

とすると、

となり、

Od'の意味での開集合となる。

x∈O'とし、ある0<δ<1があって、

とすることができる。

ε>0

にとり、

とすると、

となり、

となり、O'dの意味での開集合となる。

よって、dd'で定まる開集合は一致する。

(解答終)

 

 

問題2 Xを集合とする。X上の距離d₁d₂がある正の定数aが存在して、任意のXの元x,yに対して、

を満たしているとする。このとき、d₁で定まる開集合はd₂で定まる開集合になることを示せ。

【解】

Od₁で定まる開集合とする。

x∈Oとすると、ある正数εがあって、

とすることができる。

とし、

とすると、

よって、

よって、Od₂で定める開集合となる。

(解答終)

 

 

問題3 上の距離

で定める開集合が一致することを示せ。

【解】

仮定より、

が成立する。

問題2とより、d₁で定まる開集合はで定める開集合となる。

また、問題2とよりで定める開集合はd₁で定める開集合となる。

よって、d₁(x,y)で定める開集合は一致する。

(解答終)

 

 


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便利だが超〜危険な定理 [位相入門]

便利だが超〜危険な定理

 

このブログ、「ねこ騙し数学」は、原則として、極限計算でロピタルの定理を使わない、つまり、反ロピタルの定理の方針を貫いている。

古くからこのブログの数学の記事を読んでいるヒトは、このことをよく知っていると思う。

 

そこで、大学の微分積分などの解析で使われている、何を書いているかわからなくて、ロピタルの定理以上に危険な定理を紹介することにする。

 

定理 次の2つは同値である。

(1) 集合Fは閉集合である

(2) 点列が収束するならば、その極限は集合Fに必ず属する。

 

この定理があまりに危険なためなのだろうか、

洲之内治男の「ルベーグ積分入門」(内田古鶴圃)には、この定理を紹介すると同時に次のような注意書きがついている。

 

【注意】 この定理の(2)⇒(1)は、解析学で集合が閉集合であることを示すのに用いられる。ところで、(この)定理は、Fの任意の点列がFの中に極限をもつといっているのではない。ただ単に、Fの点列が極限をもつならば、その極限は必ずFの中に入るに行っているに過ぎない。

 

そして、この注意書きのあとに、この定理の応用として、次の例が紹介されている。

 

例 閉集合[a,b]が閉集合であることをこの定理を用いて証明してみよう。

それには、ならば、x∈[a,b]であることを示せばよい。

より、である。

とすると、極限の性質より、a≦x≦bは明らか(であり、x∈[a,b]。よって[a,b]は閉集合である)。

 

この例の証明を読んで納得できるヒトは、いったい、どれくらいいるのだろうか(^^

 

この例を真似れば、A=[a,b]×[c,d]、すなわち、

  

が閉集合であることの証明は次のようになるのであろう。

 

【証明(・・?

それには、ならば、(x,y)∈Aであることを示せばよい。

であるから、

  

である。

  

とすると、極限の性質より、

  

は明らかであり、(x,y)∈[a,b]×[c,d]

よって、A=[a,b]×[c,d]は閉集合である。

(証明(・・?終)

 

2次元ユークリッド空間の場合、

をその点列、その元、さらに、この点列の極限(点)をP=(x,y)とする。

このとき、

  

が成立するから、うるさいことをいわなければ、上のヤツで証明になっているんじゃ〜ないか。

 

何故かって、Pに収束するとき、

任意の正数ε>0に対し、ある自然数mがあって、

  

が成立し、

逆にのとき、任意のε>0に対し、ある自然数mがあって、n≧mならば、

  

が成立するので、任意のε>0に対して、

  

が成立するからだよ。

 

 

ここで、お前らに問題。

 

確認問題1

A=(−1,1)とし、一般項が

  

である点列(数列)を考える。

すると、この点列の極限値は00∈A

すると、定理よりAは閉集合となるが、A=(−1,1)は開集合となり、矛盾する。

これは、紹介した定理に反する。

どこがいけないのか、説明せよ。

 

確認問題2

  

さて、集合Mは閉集合か。閉集合であればその証明をし、閉集合でなければ、反例をあげよ。

  

集合Lは閉集合か。

 

この確認問題に答えられないとしたら、そのヒトは、この定理を理解できていないので、この超〜危険な定理は使うべきではない。

 

発展問題

fを実数全体の集合R上の連続関数とする。このとき、集合

  

が閉集合であることを示せ。

 

 


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完備距離空間 [位相入門]

完備距離空間

 

を距離空間とする。

任意のε>0に対し、ある自然数pが存在し、任意の任意の自然数nmに対して、

  

kanbi-001.pngであるとき、点列sufuku-003.png基本列コーシー列であるという。

 

距離空間kanbi-001.pngの収束する点列sufuku-003.pngは基本列、すなわち、コーシー列である。

aをこの点列の極限点とすると、任意の正数ε>0に対して、ある自然数pが存在し、

  

とすることができる。

したがって、m,n≧pならば、

  

となるからである。

また、コーシー列は、有界である。

 

【証明】

sufuku-003.pngをコーシー列とする。

コーシー列なので、ε=1に対して、ある自然数pが存在し、

  

とすることができる。

m=pと固定し、とおけば、n≧pに対して、、つまり、となる。

ゆえに、

  

とおけば、

  

となる。

よって、sufuku-003.pngは有界である。

(証明終)

 

距離空間kanbi-001.pngの任意の点列が収束列であるとき、kanbi-001.pngを完備距離空間であるという。

 

定理1

ユークリッド空間は完備距離空間である。

 

kanbi-001.pngを距離空間とし、fXからXへの写像とする。正数c<1が存在して、Xの任意の2点xyに対して、

  

が常に成り立つとき、fをの縮小写像という。

また、このとき、fは連続写像である。

 

x,y∈Xとし、yを固定すると、任意のε>0に対して、正数δ

  

をみたすように定めれば、任意のε>0に対して、

  

したがって、fは任意のy∈Xに対して連続となり、fは連続写像である。

 

 

定理2 (縮小写像の原理)

fを完備距離空間kanbi-001.pngの縮小写像とすれば、

  

となる点(不動点)がただ1つ存在する。

【証明】

fは縮小写像だから、0<c<1であるcが存在し、

  

とすることができる。

Xの点x₁を任意に選び、

  

とおく。

自然数n,rに対して、

  

よって、点列sufuku-003.pngは基本列である。

は完備であるから、sufuku-003.pngの極限点aが存在する。

また、fは連続だから、

  

が成り立ち、これが不動点である。

次に不動点がただ1つであることを示す。

Xの点yが不動点あるとすれば、

 

となる。

また、d(a,y)≧0だから、

  

よって、不動点はただ1つである。

(証明終)

 

 


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点列の収束 [位相入門]

点列の収束

 

自然数全体の集合Nから位相空間への写像

  

X点列という。

点列の場合、n∈Nの像a(n)であらわし、点列自体を、または単にで表す。

 

xの任意の近傍Uに対して、ある自然数m∈Nが存在して、n≧mならば、であるとき、すなわち、

  

であるとき、点列x収束するといい、xを点列極限点という。

また、点列xに収束するとき、

  

などであらわす。

 

【注意】

点列x∈Xに収束するとき、と表すが、数列の極限値とは異なり、点列の極限点は必ずしも一意的に定まるわけではない。

たとえば、密着位相空間のとき、Xの任意の点列はXの任意の点に収束することができる。何故ならば、x∈Xとすると、xの近傍UX自身しかないのでxの任意の近傍U=Xとなり、n≧1ならば、

  

が成立するため。

 

 

定理1

ハウスドルフ空間においては、点列の極限点は、それが存在すれば、唯一つである。

【証明】

x≠yで、点列の極限点がxyであるとすると

  

を満たす。

m=maxm₁,m₂}にとると、

  

となり、ハウスドルフ空間であることに反する。

よって、極限点が存在すれば、唯一つである。

(証明)

 

 

距離空間はハウスドルフ空間なので、定理1から次のことが成り立つ。

 

定理1の系

距離空間においては、点列の極限点は、それが存在すれば、唯一つである。

 

 

密着位相空間の点列の極限点が唯一つに限らないのは、Xの相異なる2点xyを互いに交わらない開集合UVx∈Uy∈Vと分離できないため。

 

 

定理2

を位相空間、A⊂Xとする。

(1) A内の点列xに収束するならば、である。

(2) が第一可算公理を満たすならば、各に対し、A内の点列でxに収束するものが存在する。

【証明】

(1)  A内の点列xに収束するので、任意のxの近傍に対して、ある自然数mが存在し、

  

を満たす。

すると、

  

であるから、

  

よって、である。

 

(2) とし、xの可算基本近傍系をとし、

  

とする。

そして、とする。

Uxの任意の近傍とすると、が基本近傍系であることより、ある自然数mがあって

すると、n≧mならば、

  

となる。

つまり、xに収束するA内の点列である。

(証明終)

 

 


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数列の収束の復習2 [位相入門]

数列の収束の復習2

 

fusu-001.pngであるとき、数列fusu-003.png単調増加数列という。

fusu-002.pngであるとき、数列fusu-003.png単調減少数列という。

集合が上に有界なとき、数列fusu-003.png上に有界であるといい、集合が下に有界なとき、数列fusu-003.png下に有界であるという。

 

定理6 (単調数列の収束)

数列fusu-003.pngが単調増加かつ上に有界(単調減少かつ下に有界)ならばfusu-003.pngは収束する。

【証明】

上に有界な単調増加数列の場合について証明する。

数列fusu-003.pngは上に有界なので上限αをもつ(実数の連続性)。

上限の定義より、

(1) すべての自然数nについて、

(2) 任意の正数εに対して、

  fusu-005.png

となるが存在する。

したがって、n>mであるすべてのnについて、

  fusu-004.png

よって、上に有界な単調増加数列は収束する。

(証明終)

 

定理7 (カントールの区間縮小法の原理)

閉区間を満たすならば、

  fusu-006.png

である。

さらに、ならば、共通部分

  fusu-007.png

とただ1点からなり、である。

【証明】

条件fusu-008.pngより、

  fusu-009.png

である。

よって、数列fusu-003.pngは上に有界な単調増加数列、数列は下に有界な単調減少数列となり、定理6より収束する。

  

とおくと、より、α≦βである。

また、なので、

  

である。

したがって、

  fusu-010.png

である。

また、より、α=β

とすると、すべての自然数nに対して

  

となるので、c=α

よって、

  fusu-012.png

(証明終)

 

φNからNへの狭義単調増加関数(n₁<n₂ならばφ(n₁)<φ(n₂)とする。数列が与えられたとき、数列を数列部分列という。

 

定理8 (部分列の収束)

収束する数列fusu-003.pngの部分列fusu-003.pngの極限値に収束する。

すなわち、

  

【証明】

数列の極限値をαとすると、任意の正数εに対して、ある自然数mがあって、

  

である。

φ(n)≧nなので、

  

よって、収束する数列の部分列の極限値に収束する。

(証明終)

 

定理9 (Boltano-Weiestrassの定理)

有界な数列は、収束する部分列をもつ。

 

 

コーシー列

 

数列が任意の正数εに対して、ある自然数pが存在し、n>pm>pを満たす任意の自然数mnに対して

  

が成り立つとき、コーシー列であるという。

 

定理10 (コーシー列の有界性)

コーシー列は有界である。

【証明】

数列fusu-003.pngはコーシー列であるとする。ε=1とすれば、ある自然数pが存在し、

  fusu-013.png

となる。

m=p+1とすると、

  

となるから、

  fusu-014.png

そこで、

  fusu-015.png

とおけば、任意の自然数nに対して、

  

よって、数列fusu-003.pngは有界である。

(証明終)

 

定理11 (コーシーの収束条件)

数列が収束するための必要十分条件は、コーシー列であることである。

 

 

関数の極限値と数列の極限

 

定理12

sufuku-0001.pngという極限値が存在することの必要十分条件は、sufuku-0002.pngとなる任意の数列sufuku-003.pngに対してsufuku-0004.pngとなることである。

 

定理13

関数fが点aで連続であることの必要十分条件は、aに収束する任意の数列fuku-0001.pngに対してfuku-0002.pngとなることである。

【証明】

fは点aに対して連続なので、任意のε>0に対して、あるδ>0が存在して、

  fuku-0003.png

をみたす。

また、数列fuku-0001.pngaに収束するので、δ>0に対して、ある自然数mが存在して、

  fuku-0004.png

よって、

  fuku-0005.png

である。

次に、逆を示す。

対偶法を用いるために、(1)を否定すると、

  fuku-0006.png

となるxが存在する。

ここで、

  fuku-007.png

とし、n=1,2,・・・に応じて

  fuku-0011.png

をみたす点xをとり、それをとし、数列fuku-0001.pngをつくる。

すると、任意のnについて

  fuku-0008.png

となり、fuku-0009.pngであるが、fuku-0010.pngを満たさない。

よって、証明された。

(証明終)

 

 


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数列の極限の復習 [位相入門]

数列の極限の復習

 

自然数全体の集合Nから実数全体の集合Rへの写像

  

を(実)数列と言い、、あるいは、単にfusu-001.pngで表す。

数列fusu-001.pngにおいて、任意の正数εに対して、適当な自然数mを選ぶと、n>mのすべての自然数nについて、

  fusu-002.png

となるとき、

  fusu-003.png

であらわし、数列fusu-001.pngα収束するという。また、αを数列fusu-001.png極限値という。

 

定理1 (極限値の一意性)

数列fusu-001.pngが収束するならば、その極限値は1つである。

【証明】

実数αβを数列fusu-001.pngの極限値とする。

αβfusu-001.pngの極限値なので、任意の正数εに対し、

  fusu-004.png

となる自然数m₁m₂が存在する。

そこで、とおくと、n>mならば、三角不等式より、

  fusu-005.png

εは任意の正数なので、α−β=0、すなわち、α=βとなる。

(証明終)

 

定理2 (数列の極限の公式)

fusu-006.pngとするとき、次のことが成り立つ。

fusu-007.png

【略証】

(1) c=0のときは明らか。

c≠0のとき、fusu-003.pngだから、任意の正数εに対して、ある自然数mが存在し、

  fusu-008.png

よって、

  fusu-009.png

 

(2) fusu-006.pngだから、任意のε>0に対して、ある自然数m₁m₂があって、

  fusu-010.png

よって、とおくと、

  fusu-011.png

 

(3) 任意のε>0に対し、

  fusu-012.png

とすると、ある自然数mが存在して、

  fusu-013.png

したがって、

   

 

(4) 任意のε>0に対して、

  fusu-015.png

とおくと、ある自然数mが存在して、

  fusu-016.png

となる。

このとき、

  fusu-017.png

よって、

  fusu-020.png

したがって、

  fusu-021.png

ゆえに、(3)より

  fusu-022.png

 

(略証終)

 

定理3 (ハサミ打ちの定理)

数列に対して、

  

が成り立ち、

  

とする。このとき

  

である。

【証明】

数列fusu-001.pngαに収束するので、任意の正数εに対して、ある自然数m₁があって、

  fusu-023.png

数列αに収束するので、任意の正数εに対して、ある自然数m₁があって、

  fusu-024.png

とおくと、n>mならば、

  fusu-025.png

よって、

  

(証明終)

 

定理4 (数列の大小と極限)

数列は収束し、

  

が成り立つならば、

  

が成り立つ。

【証明】

とし、α>βと仮定する。

数列fusu-001.pngαに収束するので、に対して、ある自然数m₁があって、n>m₁ならば、

  fusu-026.png

数列βに収束するので、に対して、ある自然数m₂があって、n>m₂ならば、

  fusu-027.png

したがって、とおくと、n>mならば、

  fuso-028.png

となり、矛盾する。

よって、α≦βである。

(証明終)

 

 

数列fusu-001.pngのすべての元について、nによらない正の定数Mがあって、

  

となるとき、数列fusu-001.png有界であるという。

 

定理5 (収束する数列の有界性)

収束する数列は有界である。

【証明】

数列fusu-001.pngが実数αに収束するとすると、ε=1に対して、あるmが存在して、

  

である。

そこで、nによらない正の定数M

  

とおくと、

  

である。

また、n>mのときは、

  

よって、すべての自然数nについてが成り立つので、数列は有界である。

(証明終)

 

確認問題

 

問1 数列の極限の定義に、(1)、(2)、(3)、(4)のどの定義を採用してもよいことを示せ。

fuso-029.png 

 

問2 数列が収束するとき、次の数列も収束することを示せ。

(ヒント)

  siki-teisei-0001.png

 

問3 a>0b>0とする。このとき、次の極限値を求めよ。

  fuso-031.png

 

問4 のとき、次のことを示せ。

  fuso-032.png

 


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