お前らに質問 (微分積分 5月31日) [お前らに質問]
お前らに質問 (微分積分 5月31日)
高校の数学2で、
であるとき、
という公式(?)を習ったと思う。
数学の教科書に出ていなくても、参考書や問題集には、この公式が必ず出ていたはずだ。
【証明(?)】
これでは見苦しいので、y=ax+bとおくと、
よって、
である。
【証明(?)終】
では、質問!!
問題
上の証明(?)は正しいか。
証明(?)にキズ、瑕疵(かし)があるならば、その瑕疵を指摘し、上の証明を正しいものにせよ。
言っておくけど、関数f(x)は実数全体の集合Rで微分可能。ここが間違っているわけではないケロよ。
こんなことをわざわざ問うということは、「上の証明は正しくない、大きな傷がある」と公言しているようなものだが。
さあ、この質問に答えてもらいましょうか。
そして、この動画↓の魔理沙のように即死したかもしれないにゃ。
第10回 導関数 [微分積分]
第10回 導関数
関数f(x)が開区間Iの各点xで微分可能なとき、f(x)はIで微分可能であるといい、対応x→f'(x)によって定められた関数f'(x)をf(x)の導関数という。
すなわち、
f(x)の導関数f'(x)を求めることを微分するという。
(1)以外に、関数y=f(x)に対して、その導関数を
などで表す。
関数f(x)が開区間(a,b)で微分可能で、かつ、点aで右側微分可能で点bで左側微分可能なとき、関数f(x)は閉区間[a,b]で微分可能であるという。
問1 次の関数の導関数を求めよ。
【解】
(1) f(x)=cとおくと、
(2) f(x)=xとおくと
(3) f(x)=x²とおくと、
(4) f(x)=x³とおくと
(解答終)
問1の(2)〜(4)から、nを自然数とするとき、
が成り立つことが予想される。
問2 次のことが成立することを示せ。
【解】
とおくと、2項定理より
(解答終)
x⁰=1なので、定数関数f(x)=1を形式的にf(x)=x⁰と考え、n=0のときも①が成り立つとすると、
となるので、
と拡張することができる。
問3 次の導関数を求めよ。ただし、x≠0とする。
【解】
(解答終)
なので、n=−mとおくと、問3の(3)は、
となるので、nが負の整数のときにも拡張することができて、結果、次の公式を得る。
問4 次の関数を微分せよ。
【解答】
(解答終)
問5 次の関数を微分せよ。
【解】
(解答終)
問5から、三角関数に関する次の微分公式が得られた。
なお、問5の解答では、三角関数の極限
を使っていることに注意。
問6 次の関数を微分せよ。
【解】
(解答終)
問5の解答では、
という極限の公式を使っていることに注意。
を底にした対数、すなわち、自然対数をで表すと、指数関数、対数関数の導関数は次のようになる。
関数の連続と微分可能性に関係する問題の解答例 [微分積分]
問題
実数全体の集合Rで定義された関数fがある。
任意の実数x、yに対して、
を満たし、f(0)=0、かつ、点x=0で連続(微分可能)であるとき、fはRで連続(微分可能)であることを示せ。
【連続であることの証明】
問題の条件から
x+y=sとおくと、x=s−yだから
−y=tとおくと、
ここで、あらためて、s=x、t=yとおくと、
(2)、(3)より、
fは点y=0で連続なので、
となり、ハサミ打ちの定理より
になる。
よって、関数fはx∈Rの各点xで連続である。
(証明終)
連続性については示したので、微分可能性についてはお前らが解くように。
議論の基礎となる(4)式は上の解答(?)で既に導いてあるのだから、微分可能性を示すことはできるはずだ。
ブラゲロ・マムシが、このような投稿をしたようだ [ひとこと言わねば]
「うしはく」とは「主(ぬし、うし)として領有する」の意で、対して、「しらす」は「統治(・支配)する」という意味だ、
とよく説明される。
つまり、天から下り、そして、今日まで続く天皇は、この日本という国の主、所有者ではなく、この国とこの国に住む者を(天の神に代わって?)統治する存在という事になる。
とはいえ、「しらす(「しる」の未然形+尊敬を表す助動詞「す」」の「しる(知る)」という言葉には「領有する、領地として治める」といった意味もあるので、紹介したHPの記事にあるような単純な話ではないでしょうが・・・。
だって、
「しらす国」とは、「天皇が国土(とそこに住む者すべてを)を領有し、主(あるじ)として統治なさる国」
って意味かもしれないから。
つまり、地縁、血縁に結びついた旧来の方法とは異なる、これまで日本になかった(古代)中国の中央集権的な支配統治システムをこれからの日本に適用する、って政治的宣言かもしれない。
日本書紀、古事記が作られた時代は、まさしく、中国の律令システムによる統治が日本で行われていた時代。国譲りという神話に本来そこになかった政治的意図が持ち込まれ、当時の支配者に都合のいいように改変され、自らの支配の正当化(正統化?)が行われたかもしれない。そして、改変されたものが「国譲り神話」として今日に伝わっている可能性を否定することはできない。日本書紀、古事記ともに単に神話が語られている書物ではなく、国の成り立ちを記した歴史書だから、この疑いがますます濃厚になるケロ。
ブラゲロ・マムシの質問(?)の根底が揺らいでしまう・・・。
ネムネコが考えるに、
ケロちゃんは、「諏訪」とあるように、オオクニヌシの息子であるタケミナカタ(長野の諏訪神社の祭神)だね。そして、キングギドラに乗る神奈子さま(の正体)は、キングギドラが雷のようなものを吐いているから、きっと、オオクニヌシに国譲りを迫ったタケミカヅチの神に違いないにゃ。
もし、アマテラスが持統天皇だったら、古事記の国譲りの所で語られているタケミカヅチは藤原不比等に違いない、と、想像を膨らますネムネコであった。
なんたって、タケミカヅチは藤原氏の氏神さまだから。
関数の連続と微分可能性に関係する問題 [微分積分]
関数の連続と微分可能性に関係する問題
問1
任意の実数x,yに関して、関数fは次の関係を満たす。
次の問に答えよ。
(1) f(0)の値を求めよ。
(2) f(−x)=−f(x)が成り立つことを示せ。
(3) 任意の整数nに関して、次の関係が成り立つことを示せ。
(4) nを整数、mを0でない整数とするとき、次の関係が成り立つことを示せ。
(5) 関数fが連続であれば、
であることを示せ。
【解】
(1)
(2)
(3) n=1のとき、f(x)=f(x)だから成立。
n=kのとき、f(kx)=kf(x)と仮定すると、
n=k+1のとき、
よって、すべての自然数nに関して
また、n=0のとき、f(0)=f(0)だから、成立。
nが負の整数のとき、
とおくと、
よって、任意の整数nに関して
(4) m≠0の整数とすると、
したがって、
(4) fは連続で、かつ、すべての有理数の点x=n/mで
が成立するので、任意の実数xで
(解答終)
問2
任意の実数x,yに対して、
で、かつ、関数fが点x=0で連続ならば、fは実数全体の集合Rで連続で、かつ、となることを示せ。
【解】
関数fがx∈Rの各点xで連続であることを示せば、問題1よりf(x)=f(1)xとなる。
関数fは点y=0で連続だから、
(解答終)
問3
任意の実数x,yに対して
である関数fは、点x=0で微分可能ならば、x∈Rの各点xでfが微分可能であることを示せ。
【解】
h≠0とすると、
関数fは点x=0で微分可能だから、
が存在する。
したがって、任意のx∈Rに対して、
となり、関数fはRで微分可能である。
【解答終】
なお、
で、f(0)=0だから、
になるんですが・・・。
問4 Rで定義された関数fは、任意の実数x、yに対して
を満たし、f(x)=0にならないとする。関数fが点x=0で微分可能ならば、fは任意のx∈Rで微分可能であることを示せ。
【略解】
だから、任意のx∈Rに対して
よって、任意のx∈Rでfは微分可能。
(略解終)
問5 問4でf'(0)=1とした関数f(x)はどのような関数になるか。
ここまでは、ほんの小手調べ。
関数fが
と等号「=」で結ばれていたから、簡単だった。
では、次の問題に挑戦してもらいましょうか。
問題
実数全体の集合Rで定義された関数fがある。
任意の実数x、yに対して、
を満たし、f(0)=0、かつ、点x=0で連続(微分可能)であるとき、fはRで連続(微分可能)であることを示せ。
できたら、
関数fがx=0で連続であるとき、微分可能であるときの両方を解いて欲しいのだけれど、
連続の場合だけでもいいにゃ。
ノーヒントだと辛いだろうから、少し、ヒントを出してやるにゃ。
(1)式をあれこれ弄(いじ)くりまわし、
といった式を、何とか、ひねり出すにゃ。
すると、点x=0で連続だから、
となり、ハサミ打ちの定理より
になる。
[バーガーズ方程式_2] [ddt³さんの部屋]
[バーガーズ方程式_2]
前回は、準バーガーズ方程式(?)、
(1)
に対して座標変換、
(2)
を行い、
(3)
の形を得ました。ここでcは適当な定数係数、νは動粘性率です。そういう訳で(3)を、有限要素法へ持ち込みます。個人的には陽解法大好き星人なので(1)を直接ルンゲクッタなんかで解きたいところなのですが、「有限要素法にしろぉ~!」というお達しがネコ先生からあったので(^^;)。
4.解析領域に関する考察
(1)のtとxは、時間と1次元の拡がりを表す空間変数です。つまり(1)は、一次元問題です。そうなんですが、時間tまで含めて有限要素法に持ち込むためには、まるで相対性理論の四次元時空のように(t,x)時空間を考えます(^^;)。
(1)は時間を含んだ偏微分方程式なので、初期条件が必要です。図-1に示すように時刻t=0におけるx方向へのuの分布u(0,x)が初期条件になります。x方向への解析領域の拡がりはLとしますが、図-1でu(0,x)はLの半分に分布しています。これが時刻t=0 → t=τ → t=2τ ・・・ t=nτと時間が進むに従い、どういう分布に変わるのかを(どのようにx方向へ伝わるかを)、時間ステップ幅τで追跡するのが目的です。
偏微分方程式の解を一意に定めるためには、空間方向の端で境界条件を与える必要もあります。ここでは簡単のため、任意の時刻tでu(t,0)=u(t,L)=0とします。
いま図-1を(2)で変換した場合、(t,x)系のt=nτとx=mhのラインは、
(4)
になります。ここでhは図-1に示すように、Lの分割幅です。(4)から図-1は図-2に変換されます。
初期条件はu(0,η)。境界条件は、η=-cξとη=-cξ+Lで、u(ξ,η)=0です。
5.陽解法と陰解法の違い
時間を含む微分方程式には因果律が成り立つので、陽解法は、図-2に赤で示したある時刻ξ=nτ(t=nτ)での格子点(ξ,η)でのu(ξ,η)の値を初期値として、後ろをいっさいふりかえる事無く、ξ=(n+1)τでの格子点(青)の値を差分計算などで求めます。この操作を本当の初期条件ξ=0でのu(ξ,η)から始め、必要な時間tまで繰り返します。陽解法は直前のデータしか参照しないので、一般に計算手続きが簡単になり計算も速いです。しかし数値誤差が蓄積しやすいという欠点を持ちます。後ろをいっさいふり返らないからです。でも4次のルンゲクッタ法などは非常に高精度ですから、実用的には十分なケースもままあります。
陰解法は最低でも1ステップ前までふり返り、ふり返った時間領域にあるすべての格子点で平均的に微分方程式が満たされるように調整します。その結果、数値誤差が抑えられ解は長持ちするのですが、調整計算が複雑で計算速度も遅くなりがちです。現実には問題に応じて使い分けます。ここではせっかくなので、ξ=0~tの全ての格子点を計算対象とする陰解法をめざします。
6.重み付き残差法による弱形式
ここで、関数解析などをやるわけにはいかないので、次の定理は認めてください。
[定理-1]
{wn(x)}, n=1,2,・・・を閉区間[a,b]で少なくとも連続な関数列の完全系とする。任意のnで、
(5)
が成り立つなら閉区間[a,b]でf=0。
閉区間[a,b]上の関数列の完全系とは、[a,b]上の任意の関数f(x)を、
の形で展開可能な関数列の事を言います。ここにan, n=1,2,・・・はxに無関係な定数係数です。{wn(x)}は少なくとも連続としましたから、任意の関数とは任意の連続関数の事だと思ってもらってけっこうです。{wn(x)}の実例はすぐ与えます。wn(x)の事を重み関数と言います。
[定理-1]により、次の重み付き残差法が可能になります。(3)に対して、
(6)
が任意のn=1,2,・・・で成り立ちます。積分領域Rは閉領域です。
(5)では1次元の関数だったwn(x)が、(6)ではいきなり2次元のwn(ξ,η)になっちゃいましたが、(6)の2次元の重積分は累次積分で、1次元のξとηの積分に直せるので[定理-1]が使えます。つまり任意のnに対して(6)が成り立つようにu(ξ,η)を決められたら、それは(3)の解だという事です。
一般に微分方程式の微分の階数が高いほど、その数値解は暴れる君になります。そこで(6)をガウスの発散定理で部分積分し、微分の階数を減らしておきます。
(7)
Sは積分領域Rの境界、dsはSの外法線線素ベクトル、・は内積です。(7)の形を、重み付き残差法における弱形式といいます。あんまり使いませんけど、(6)は強形式という事になります。
7.要素の設計
現在最も使い勝手の良い有限要素法は、重み付き残差法における弱形式に基づく定式化です。数値解法一般の発想は基本的には同じです。「どんな関数も局所的には多項式表現できる」です。有限要素法でもそう考えますが、有限要素法における局所の範囲は、図-2に示したような要素です。一個だけ取り出すと図-3になります。
要素の角はたいてい節点と呼ばれ、左回りに順序付けるのが普通です。節点1~4におけるu(ξ,η)の関数値u1~u4で要素内のu(ξ,η)の値を補間します。補間関数には「どんな関数も局所的には多項式表現できる」から、多項式が用いられます。さらに要素が図-3のような平行四辺形の場合、計算に便利なように、アイソパラメトリック座標と呼ばれる要素辺に沿った局所座標系(α,β)が使われます。
平行四辺形の場合、局所座標(α,β)を適当に定めると、要素は辺長1の正方形として表せます。明らかに、
(8)
とすればOKです。(α,β)∈[0,1]×[0,1]。次に補間関数を決めます。補間関数はu1~u4の値で決まるα,βの多項式なので、4個以上の未定定数を持つ多項式である必要があります。1次補間だと未定定数は3個なので、完全2次多項式を考えます。
(9)
そうすると未定定数は6個なので、係数a1~a6が2個余ります。それで普通はa4=a6=0とします。a1~a3を残すのは、いわゆる剛体変位と剛体回転を表現できるようにするためです。それが可能でないと、例えばu=一定などの自明解を表現できないからです。よってa4~a6の中から2個まびく事になります。
もしa4=a5=0とするとβ2だけが残り、β方向を偏重した要素になりますが、物理的にαよりβを優遇する理由はありません。そのような要素は癖が悪いわけです(^^;)。それでα,βに関する対称性を保つために、α2とβ2の項をまびき、αβの項を残します。不完全2次多項式、
(10)
の補間関数を持つ要素を双一次要素と言います。α=一定またはβ=一定だと(10)は一次関数になるからです。
未定定数a1~a4は、(α,β)系で節点1~4の位置が、(α,β)=(0,0),(1,0),(1,1),(0,1)である事から、それらの座標を(10)に代入し、
(11)
で与えられます。(11)は3行目と4行目を交換すれば、
(12)
となるので、a1~a4は容易に計算できます。これがアイソパラメトリック座標の効果です。(11)または(12)より、
(13)
従って補間多項式(10)は、
(14)
と書けます。こうして要素内でu(ξ,η)を多項式表現するという当初の目的は達せられましたが、じつは要素ので設計はこれだけでは済みません。
8.適合要素と非適合要素
今まで未知関数を一要素上で多項式表現する事だけを考えてきました。一要素の(局所の)補間多項式が定まると、弱形式(7)を利用して、要素節点の関数値が数値解法上満たすべき方程式を出せます。しかし図-3に示すように、考慮すべき要素は一個だけではありません。有限要素法で答えを得るためには、解析領域内の全ての要素に対する全体系を組み上げる必要があるわけです。そのとき問題になるのが、隣の要素との接続条件です。
6.で述べたように、未知関数u(ξ,η)は少なくとも連続なのが重み付き残差法の前提です。よって図-4左側に示すように隣り合う要素は、その接続辺において同じu(ξ,η)の値を持たねばなりません。
しかし要素ごとに補間関数を考えるという事は、図-4右側のように接続された要素を分解して考えてる事になります。結果、接続辺において関数値u(ξ,η)が二重化されます。u(ξ,η)は少なくとも連続なので、少なくとも接続辺上の節点関数値は等しくなければなりません。図-4右側の記号を用いれば、
(14)
です。
このような条件は、全体系の方程式を作る際に取り込まれます。しかしu2(1)とu3(1)の間のuの関数値と、u1(2)とu4(2) 間のuの関数値も等しいことは保証されるでしょうか?。それは補間関数の決め方によります。
双一次要素では、α=一定またはβ=一定でu(α,β)は一次関数になるのでした。上記2つの要素の接続辺は、α=1とα=0の辺です。よって(14)が成り立てば、一次関数は両端点で値が決まるので、辺上でuの値が一致する事が保証されます。このような要素を適合要素と言います。
多項式表現は適合要素を比較的作りやすく、いわゆる剛体変位と剛体回転を表せる事も保証されるので、そういう理由もあって愛用されるのですが、多項式表現は次数によって未定定数の数が決まっています。それは適合性とか、要素形状に合わせて要素上に配置する節点の数などとは無関係な条件なので、要素設計において全ての条件を満たすには難儀する場合もあります。それで余りにも面倒な場合は、非適合要素を採用する場合もあり得ます。非適合要素の場合、接続辺上の関数値の一致は要素が十分細かく分割される事を前提に、そうみなされます。辺長が短ければ辺上では、どうせ一次関数みたくなるよね?。だから端点の節点関数値の一致さえ要求しとけば大丈夫さ・・・、となります(^^;)。
(14)を弱形式(7)に代入し、重み関数を具体的に定め積分を実行すれば、一要素の節点関数値uに関する要素方程式と要素マトリックスが得られるのですが、けっこう長い計算になる上に、一気にやるしかない計算でもあります。という訳で[バーガーズ方程式_3]に続きます。
第9回 微分可能と微分係数 [微分積分]
第9回 微分可能と微分係数
点aの近傍で定義された関数f(x)が、点aにおいて次の極限値
をもつとき、この極限値を点aにおけるf(x)の微分係数であるといい、
で表す。また、このとき、f(x)は点aで微分可能であるという。
微分係数の定義式(1)において、x−a=hとおくと、x→aならばh→0となるので、次のように書き換えることができる。
関数f(x)に対して、
が存在するとき、この極限値をf(x)の点aにおける右側微分係数といい、
で表す。
また、
が存在するとき、この極限値をf(x)の点aにおける左側微分係数といい、
で表す。
定理1 (微分可能の必要十分条件)
関数f(x)が点aで微分可能である必要十分な条件は、f(x)が点aで右側、左側微分可能で、かつ、であることである。
【証明】
関数の極限の定理2より、
が存在するための必要十分条件は、
が存在し、その値が一致することである。
よって、証明された。
(証明終)
定理2(微分可能な関数の連続性)
関数f(x)が点aで微分可能であれば、f(x)は点aで連続である。
【証明】
x≠aのとき、
f(x)は点aで微分可能なので、
したがって、
となり、f(x)は点aで連続である。
(証明終)
しかし、x>0のとき、f(x)=xなので、
x<0のとき、f(x)=−xなので、
となり、
定理1より、f(x)は点x=0で微分可能でない。
問1 次の関数について、が存在すれば求めよ。
【解】
(1)
だから、f'(0)=0。
右側、左側微分係数のどちらも存在しない。
(解答終)
問2 次の関数はx=0で微分可能か。
【解答】
(1) x≠0とすると、
x→0のとき、は−1と1の間で激しく振動し、収束しないので、微分可能でない。
(下図参照)
であり、
したがって、
よって、x=0で微分可能で、f'(0)=0である。
(解答終)
問3 f(x)は点x=aで微分可能であるとする。このとき、次の値を求めよ。
【解】
(解答終)
第8回 一様連続 [微分積分]
第8回 一様連続
区間Iで定義された関数f(x)が次の条件を満たすとき、f(x)はIで一様連続であるという。
任意のε>0に対して、あるδ>0が存在し、である任意のx、yに関して、
例1 f(x)=xは、実数全体の集合Rで一様連続である。
何故ならば、任意のε>0に対して、δ=ε>0とすれば、
であるから。
例2 は、実数全体の集合Rで一様連続である。
となるので、任意のε>0に対して、δ=ε>0にとれば、
例3 f(x)=x²は閉区間[0,1]で一様連続である。
よって、任意のε>0に対して、δ=ε/2と定めれば、
例4 は一様連続である。
よって、任意のε>0に対して、δ=ε>0とすれば、
となり、f(x)は一様連続である。
これらの例を見ると、関数f(x)がIで連続ならば、f(x)はIで一様連続と思われるかもしれないが、これは一般に成り立たない。
関数f(x)が区間Iで一様連続の定義を論理記号を用いて表すと、
であるから、これを否定した
つまり、
あるε>0があって、δ>0をどんなに小さくしても、
となるxとyが存在する
がf(x)がIで一様連続でないことの定義である。
例5 実数全体の集合Rで定義された関数f(x)=x²はRで一様連続でない。
任意のδ>0に対して、1/n<δとなるような自然数nをひとつを定め、
とすると、
となる。
一方、
となるので、δ>0をどんなに小さくしても、2より大きな点x、yが存在する。
よって、f(x)=x²はRで一様連続でない。
例6 開区間(0,1)で定義されるf(x)は(0,1)で一様連続でない。
任意のδ>0に対して、1/n<δとなる自然数nを一つ定め、
とすると、
また、このとき、
よって、δ>0をどんなに小さくしても、1≧になる点x、yが(0,1)に存在する。
したがって、f(x)=1/xは(0,1)で一様連続でない。
具体的な関数f(x)の一様連続性を証明することは一般に難しいので、無証明で次の定理を紹介する。
定理
有界閉区間[a,b]で連続な関数f(x)は、[a,b]で一様連続である。
例4はこの例である。
定理
関数f(x)、g(x)がI上で一様連続、かつ、α、βが実数ならば、αf(x)+βg(x)はI上で一様連続である。
【証明】
α=β=0のときは明らか。
αとβがともに0でないとする。
f(x)、g(x)はI上で一様連続なので、任意のε>0に対して、あるδ₁>0、δ₂>0があって、
だから、
δ=min{δ₁、δ₂}とすると、ならば、
よって、αf(x)+βg(x)はI上で一様連続である。
(証明終)
関数の連続の時と異なり、関数f(x)、g(x)がI上で一様連続であっても、関数f(x)g(x)はI上で一様連続とは限らない。
f(x)=xは実数全体の集合Rで一様連続であるが、f(x)=g(x)=xとすると、関数f(x)g(x)=x²はRで一様連続でないことからこのことを確かめることができる。
定数K≧0が存在し、任意のx,yに対して、
が成り立つとき、関数f(x)はリプシッツ連続であるという。
問題 関数f(x)がリプシッツ連続ならば、一様連続であることを示せ。
【略解】
K=0のときは明らか。
K>0のとき、任意のε>0に対して、
とすれば、
よって、f(x)がリプシッツ連続ならば、f(x)は一様連続である。
問 次の関数はリプシッツ連続か。
お前らに質問(物理編) [お前らに質問]
物理の素朴な質問
ニュートンの万有引力の法則というものがある。
質量m、Mである2つ物体があり、2つの物体の間の距離がrとすると、
この2つの物体に働く引力の大きさFはmとMの積に比例し、距離rの2乗に逆比例する。
比例定数Gは万有引力定数とか呼ばれるものだにゃ。
ここで、お前らに質問。
地球などの実際の天体は密度は均一じゃ〜ないけれど、半径aで均一な密度ρの物質でできたネムネコ星があるとする。
もちろん、ネムネコ星は完全な球形、真球だケロ。
さて、ネムネコ星の中心(ネムネコ星の重心)における引力の大きさは幾つでしょうか。
ネムネコ星の中心(ネムネコ星の重心)との距離rが0だから、(1)から引力の大きさは無限大∞になりますかい。
それとも有限の値ですかね〜。有限だとしたら、その値はいくつになりますかね〜。
もし無限大ならば、ネムネコ星の中心には、おそらく、ブラックホールが存在するね。
そして、ネムネコ星は、ネムネコ星の中心に存在するブラックホールの膨大な重力に引き寄せられ、猛烈な速度で重力収縮し、最終的に、そこに残るのはネムネコ・ブラックボールってことになるね(^^)
有限の値であるならば、ニュートンの万有引力の法則(1)に反しやしないかい。
まっ、常識的に考えれば、
r<aのときの引力の大きさは右の図の(1)、(2)、(3)のいずれかだとは思うが、(1)〜(3)とは違う値をとるかもしれないにゃ。
さっ、お前らに答えてもらおうじゃないか。
答は、きっと、ddt³さんが送ってくれるはずだにゃ。
ネムネコが考えるに、ネムネコ星とは、きっとこんな素敵な星だと思うにゃ。
徒然なるままに接線の話 [微分積分]
徒然なるままに接線の話
y=f(x)の微分(係数)と曲線y=f(x)の接線とは深い関係があるので、微分法に入る前に接線についての話をす少し。
そして、いきなり、2次関数の接線を求める問題から始まる。
問題1 曲線y=x²がある。曲線上の点(1,1)における接線の方程式を求めなさい。
【解答】
直線①と曲線y=x²は点(1,1)で接するので、①とy=x²からyを消去した2次方程式
は重解を持たなければならい。
したがって、②の判別式をDとすると、
よって、接線の方程式は
である。
直線x=1は曲線y=x²の点(1,1)における接線でないので、求めるべき接線はy=2x−1に限る。
(解答終)
普通、下線を引いたところは書かないけれど、うるさいことをいうと、この一文は必要。
さらにうるさいことを言うと、③が点(1,1)を通ること、また、y=x²とy=2x−1が本当に接していることなども明記しないといけないのだろうが・・・。
上の判別式を用いた解法は、難しい2次方程式を解かないといけない上に、冗漫に感じられる。
そこで、
3次関数y=x³の接線を見据え、2次方程式の解と係数の関係を使った別の解答を示す。
【別解】
求めるべき接線の傾きをmとすると、接線の方程式は
直線①と曲線y=x²は点(1,1)で接するので、①とy=x²からyを消去した2次方程式
は重解としてx=1を持たなければならい。
したがって、2次方程式の解と係数の関係より
よって、m=2。
ゆえに、y=x²の点(1,1)における接線の方程式は
(解答終)
このように解けば、難しい2次方程式を解くことなく、接線を求めることができる。
【参考】
2次方程式
の解をα、βとすると、次の(解と係数の)関係が成り立つ。
問題2 曲線y=x³上の点(1,1)における接線の方程式を求めよ。
求めるべき接線の傾きをmとすると、接線の方程式は
この式を使って、y=x³のyを消去すると、
曲線y=x³と直線②は点(1,1)で接するので、2重解x=1をもつ。3次方程式②の残りの解をαとすると、3次方程式の解と係数の関係より、
この連立方程式を解くと、
m=3を①に代入すると、
ゆえに、求めるべき接線の方程式は
(解答終)
【参考】
3次方程式
の解をα、β、γとすると、
微分や3次方程式の判別式を使わず、y=x³の点(1,1)における接線を求めてしまったにゃ。
すごいケロ!!
宿題 曲線y=x³上の点(a,a³)における接線の方程式を求めよ。
【答】 y=3a²x−2a³
2次関数とその接線、円(楕円)とその接線のイメージからy=f(x)とその接線lの共有点(接点)は1つというイメージがあるけれど、問題2の図を見ればわかるように、一般の曲線とその接線の共有点は必ず1つに限られるいうわけじゃないにゃ。
それはそれとして、
問題2の解答では、曲線y=x³上の点(1,1)で曲線y=x³と直線①が接するから、3次方程式②はx=1を2重解としてもつとしているけれど、これは何故ですか?
意外に、この質問にちゃんと答えられないかもしれない(^^)
だって、高校の数学では、曲線の接線の定義をキチンと与えていないもん。
にもかかわらず、
いきなり、
曲線y=f(x)の点(a,f(a))における接線の方程式は
と出てくるのであった。
何故は通用しない。(1)が接線の定義だ!!
ところで、y=f(x)=x³+1とし、a=0とすると、次の方程式が得られる。
この直線y=1はy=x³+1の点(0,1)における接線ですか?
点(0,1)は、接点ですか、交点ですか?
われわれのもつ接線のイメージと合致しますか?
さらに、
としたとき、曲線(?)y=f(x)は点(0,0)でx軸と接していますか。
曲線y=f(x)=|x|と直線y=0との交点は(0,0)の一個だけだから接しているような、でも、f'(0)が存在しないからy=0は(0,0)における接線でないということになるので、y=0は接していないような・・・。
まぁ、(1)こそが曲線y=f(x)の点(a,f(a))における接線の定義と言われれば、それまでなんだけれど・・・。
だとしたら、「問題1、2の解答(?)は、けしからん」ということになるのであろうか。
どのようにしたら問題1、2の解法を正当化できるのであろうか?