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第1回 関数の極限 [微分積分]

第1回 関数の極限

 

f(x)=xという関数がある。x1に近づけば近づくほど、f(x)の値は1に近づいていく。

このことを、

  nanda-006.png 

  nanda-007.png

であらわし、1を点x=1における極限値という。

 

次に関数f(x)=x²という関数の場合について考えてみることにする。

xaに近づけば近づくほど、f(x)の値はに限りなく近づいてゆくので、は関数f(x)=x²x=aにおける極限値である。

したがって、

  

となる。

 

そして、

上の2つの例の場合、いずれも、

  

である。

 

bs1-fig000.pngしかし、次のような関数の場合はどうだろう。

  

この場合、x0に近づけば近づくほど、f(x)の値は1に限りなく近づく。しかし、f(0)=0≠1なので、

  

である。

したがって、関数の極限は、次のようなものになるだろう。

 

xが限りなく点aに近づくと関数f(x)が限りなくある実数の値lに近づくとき、この値lを、点aにおける関数f(x)の極限値といい、記号、

  

  

などで表す。また、このとき、関数f(x)は点al収束するという。

また、関数f(x)が点aでいかなる実数lに収束しないとき、f(x)は点a発散するという。

nanda-graph-001.pngxが点aに近づけば近づくほど、f(x)の値が限りなく大きくなるなるとき、

  nanda-002.png

で表し、関数f(x)は点aで+∞(あるいは∞)に発散するという。

xが点aに近づけば近づくほど、−f(x)の値が限りなく大きくなるとき、

  nanda-003.png

で表し、関数f(x)は点aで−∞に発散するという。

 

  nanda-004.png

とすると、

  nanda-005.png

である。

 

 

 

問1 次の極限値を求めなさい。

  

【解】

x≠aのとき、

  

したがって、

  

である。

(解答終)

 

(注意)

  

は、

  

などの意味で点aを定義域に含まない。

したがって、

実数全体の集合Rで定義される次の関数g(x)

  

と、f(x)の関数の定義域が異なっているので、f(x)g(x)は異なる関数である。

また、点aにおける関数の極限を論じる場合、問1の関数f(x)のように、関数は点aで定義されたいなくもよく、点aを除く点aの近傍、すなわち、

  

でのみ定義されていればよい。

aを除く点aの近傍を、点a穴あき近傍と呼ぶことがある。

(注意終)

 

いちいち、このように書くのは面倒なので、次のように簡略に書くことにする。

 

【解】

  bs1-001.png

(解答終)

 

問2 次の極限値を求めよ。

  

【解】

  

(解答終)

 

では、次のような関数の場合どうであろう。

  

この関数の場合、x=0の左側から点x=0に近づけばf(x)0に近づき、点x=0の右側から点x=0に近づけばf(x)1に近づく。

 

bs1-fig-001.pngこのような場合、0を点x=0におけるf(x)左側極限といい、

  

で表し、1を点x=0におけるf(x)右側極限といい、

   

と表す。

 

より一般に、

x=aにおけるf(x)の左側極限を

  

で表し、点x=aにおけるf(x)の右側極限を

  nandeda.png

で表す。

(注)

  bs2-003.png

と表すことがある。

 

そして、この左側極限と右側極限という概念を用いると、関数f(x)の点x=aにおける極限は次のように言い表すことができる。

 

ならばであり、

ならばである。

 

問3 次の関数がx=0における極限値が存在するように、cの値を定めよ。

  bs1-003.png

【解】

  bs1-004.png

x=0におけるf(x)の極限値が存在するためには、

  bs1-005.png

でなければならないので、

  

(解答終)

 


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