徒然なるままに接線の話 [微分積分]
徒然なるままに接線の話
y=f(x)の微分(係数)と曲線y=f(x)の接線とは深い関係があるので、微分法に入る前に接線についての話をす少し。
そして、いきなり、2次関数の接線を求める問題から始まる。
問題1 曲線y=x²がある。曲線上の点(1,1)における接線の方程式を求めなさい。
【解答】
直線①と曲線y=x²は点(1,1)で接するので、①とy=x²からyを消去した2次方程式
は重解を持たなければならい。
したがって、②の判別式をDとすると、
よって、接線の方程式は
である。
直線x=1は曲線y=x²の点(1,1)における接線でないので、求めるべき接線はy=2x−1に限る。
(解答終)
普通、下線を引いたところは書かないけれど、うるさいことをいうと、この一文は必要。
さらにうるさいことを言うと、③が点(1,1)を通ること、また、y=x²とy=2x−1が本当に接していることなども明記しないといけないのだろうが・・・。
上の判別式を用いた解法は、難しい2次方程式を解かないといけない上に、冗漫に感じられる。
そこで、
3次関数y=x³の接線を見据え、2次方程式の解と係数の関係を使った別の解答を示す。
【別解】
求めるべき接線の傾きをmとすると、接線の方程式は
直線①と曲線y=x²は点(1,1)で接するので、①とy=x²からyを消去した2次方程式
は重解としてx=1を持たなければならい。
したがって、2次方程式の解と係数の関係より
よって、m=2。
ゆえに、y=x²の点(1,1)における接線の方程式は
(解答終)
このように解けば、難しい2次方程式を解くことなく、接線を求めることができる。
【参考】
2次方程式
の解をα、βとすると、次の(解と係数の)関係が成り立つ。
問題2 曲線y=x³上の点(1,1)における接線の方程式を求めよ。
求めるべき接線の傾きをmとすると、接線の方程式は
この式を使って、y=x³のyを消去すると、
曲線y=x³と直線②は点(1,1)で接するので、2重解x=1をもつ。3次方程式②の残りの解をαとすると、3次方程式の解と係数の関係より、
この連立方程式を解くと、
m=3を①に代入すると、
ゆえに、求めるべき接線の方程式は
(解答終)
【参考】
3次方程式
の解をα、β、γとすると、
微分や3次方程式の判別式を使わず、y=x³の点(1,1)における接線を求めてしまったにゃ。
すごいケロ!!
宿題 曲線y=x³上の点(a,a³)における接線の方程式を求めよ。
【答】 y=3a²x−2a³
2次関数とその接線、円(楕円)とその接線のイメージからy=f(x)とその接線lの共有点(接点)は1つというイメージがあるけれど、問題2の図を見ればわかるように、一般の曲線とその接線の共有点は必ず1つに限られるいうわけじゃないにゃ。
それはそれとして、
問題2の解答では、曲線y=x³上の点(1,1)で曲線y=x³と直線①が接するから、3次方程式②はx=1を2重解としてもつとしているけれど、これは何故ですか?
意外に、この質問にちゃんと答えられないかもしれない(^^)
だって、高校の数学では、曲線の接線の定義をキチンと与えていないもん。
にもかかわらず、
いきなり、
曲線y=f(x)の点(a,f(a))における接線の方程式は
と出てくるのであった。
何故は通用しない。(1)が接線の定義だ!!
ところで、y=f(x)=x³+1とし、a=0とすると、次の方程式が得られる。
この直線y=1はy=x³+1の点(0,1)における接線ですか?
点(0,1)は、接点ですか、交点ですか?
われわれのもつ接線のイメージと合致しますか?
さらに、
としたとき、曲線(?)y=f(x)は点(0,0)でx軸と接していますか。
曲線y=f(x)=|x|と直線y=0との交点は(0,0)の一個だけだから接しているような、でも、f'(0)が存在しないからy=0は(0,0)における接線でないということになるので、y=0は接していないような・・・。
まぁ、(1)こそが曲線y=f(x)の点(a,f(a))における接線の定義と言われれば、それまでなんだけれど・・・。
だとしたら、「問題1、2の解答(?)は、けしからん」ということになるのであろうか。
どのようにしたら問題1、2の解法を正当化できるのであろうか?