ちょっとお前らに問題 (ε−δ論法、論理 5月16日) [お前らに質問]
ちょっと、お前らに質問
関数f(x)が点aで(lに)収束するとは、
みんなの嫌われ者であるε−δ論法で書くと、
「ある実数lが存在し、任意の実数ε>0に対して、あるδ>0が存在して、0<|x−a|<δであるすべての実数xに関して、
であること」
だにゃ。
論理記号を使って表すと、
とかになるにゃ。
では、お前らに質問しよう。
問題1
関数f(x)が点aで収束しない、すなわち、関数f(x)が点aで発散することの、ε−δ論法による定義を与えよ。
【ヒント】
(1)を否定すればよい。
センター試験対策で、「ある」「任意の(すべての)」を含む命題の否定を求める問題は、繰り返し、何度も解いたはず!!
まぁ、
「ある実数lが存在し、xが点aに限りなく近づくとき、f(x)がlに限りなく近づく」
という(文学的な)定義を否定して、f(x)が点aで収束しない、発散するの定義にしてもらっても構わないけれど・・・。
ところで、命題「pならばq」を否定すると、どうなるんだい。
この基本を知らなければ、この問題は絶対に解けない!!
ついでなので、こうした数学語に慣れてもらうために、つぎの問題も解いてもらおうか。
問題2
命題A 「ある自然数mが存在し、すべての自然数nに対して、m≧nである」
命題B 「すべての自然数nに対して、ある自然数mが存在し、m≧nである」
(1) 命題Aと命題Bは同じ(命題)か。
(2) 命題A、命題Bの真偽を答えよ。
命題A、命題Bは次のように言い換えることができるので、こちらで考えてもらってもいいにゃ。
命題A’ 「ある適当な自然数mを選ぶと、すべての自然数nに対して、m≧nである」
命題B’ 「すべての自然数nに対して、m≧nである自然数mが存在する」
論理記号で書くと、
命題A(A')、命題B(B’)は、たとえば、次のようになるケロ。
ここでは自然数全体の集まり、集合を表す。
m、nが自然数であることを明示してあれば、つまり、mとnの外延を自然数全体の集合と定めておけば、
だにゃ。
こちらの方が正式な書き方らしいけれど・・・。
命題Aのタイプは、こなれた人間語にすると、意味が変わってしまう場合があるので、こうした数学語に慣れてもらうしかないケロ。
さらに、英語が得意な奴は、上の記号で書かれた命題AとBを英語に訳すにゃ(^^)。
英語だとひょっとしたら、この違いがわかるかもしれない(^^ゞ
第2回 ε−δ論法 [微分積分]
第2回 ε−δ論法
xが点aに限りなく近づくと、その近づき方によらず、関数f(x)がlに限りなく近づくとき、lを点aにおけるf(x)の極限値といい、記号
や
などであらわす。また、このとき、f(x)は点aでlに収束するという。
高校数学流の関数の極限の定義は上述のようなものであろうが、この定義は感覚的すぎて、正確な議論を進めることができないので、次のように関数の極限を定義することにする。
関数の極限の定義(ε−δ論法)
任意の正数εに対して、ある正数δが存在し、
であるとき、f(x)は点aで収束するといい、記号
であらわす。
また、このとき、lを点aにおけるf(x)の極限値という。
論理記号を使って表すと、
より厳密に表すと
関数f(x)が点aでlに収束しないは、(1)を否定すればよく、したがって、
がその定義になる。
なお、全称記号∀は英単語「any(任意の)」、あるいは、「all(すべての)」、存在記号∃は英単語「exist(存在する)」を記号化したもので、∀ε>0は「任意のε>0に対して」、「すべてのε>0に対して」、∃εは「あるε>0が存在して」などと読めばよい。
蛇足ながら、記号⇒は「ならば」、∧は「かつ」の意味である。
したがって、(2)は、
「ある実数ε>0が存在して、任意の実数δ>0に対して、ある実数xが存在して、
である」
または
「ある実数ε>0が存在して、任意の実数δ>0に対して、
を満たす、ある実数xが存在する」
などと読めばよい。
問題1 次のことを示せ。
【解】
任意の正数εに対して、δ=ε>0とすれば、
よって、
(解答終)
問題2 cを定数とするとき、次のことを(ε−δ論法を用いて)証明せよ。
【解】
c=0のとき、
は明らか。
そこで、c≠0とする。
任意の正数εに対して、ならば、
となるので、
に定めれば、
ならば、
となり、
(解答終)
問題3 a>0とする。このとき、次のことを示せ。
【解】
とすると、
よって、任意の正数εに対して
とすれば、
よって、
(解答終)
問題4 次のことを示せ。
【解】
任意の正数εに対して、δ=εと定めると、
ならば
よって、
(解答終)
問題5 次のことを(ε−δ論法を用いて)証明せよ。
【解】
とすると、
となるので、
となるように正数δを定めればよい。
0<δ≦1のとき、δ²≦δだから、
となるようにδを定めればよい。
したがって、δ>1の場合を含めて、
任意の正数εに対して、δを
に定めれば、
となり、
ここで、記号min{a,b}は、aとbのうちの大きくない数、すなわち、
である。
(解答終)
δはεに対して一意に定まるものではないので、次のような解答を作ることも可能。
【別解】
とすると、
したがって、任意の正数εに対して、
となるようにδを定めればよい。
2次方程式
から、解は
となるが、δ>0なので、
よって、
任意の正数εに対して、 とすれば、
となり、
(解答終)
なお、
一般に、δはaとεの値によって定まるのでやと表すことがあるが、問題3や問題5のように、aとεの値によって一意に定まるものではないので、関数の意味でないことに注意。
発展問題 a≠0とする。このとき、ε−δ論法を用いて、次のことを示せ。
最高時速360キロ 次世代新幹線試験車両「ロングノーズ」初公開 NHK [ひとこと言わねば]
最高時速360キロを目指す次世代新幹線 走行試験が公開 「ロングノーズ」と呼ばれる先端部分が特徴ですhttps://t.co/fWSdkj250j pic.twitter.com/kc8gn0RXfX
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年5月15日