お前らに質問(5月20日)に寄せられたddt³さんのコメントへのネムネコのお便り [ひとこと言わねば]
ddt³さんからお便りをいただいので返信するにゃ。
数列の極限を利用した関数の連続の定義
fは区間Iで定義された関数でa∈Iとする。
、ならば、かならずであるとき、fはx=aで連続であるという。
この定義はε−δ論法による関数fの連続の定義、
任意のε>0に対して、あるδ>0が存在し、
と同等なもの。
だから、どちらの定義を用いて関数の連続を定義しようが構わない。
現にε−δ論法を使わず、数列(点列)の極限をもとに関数の極限、連続を定義し、話を進める流儀もある。この場合、ε−δ論法ではなく、ε−N論法というものが登場しますが・・・。
位相の言葉を用いた関数fの連続の定義
f;X→Yを写像とする。
Xの元xに対して、f(x)のYにおける近傍Vのfによる逆像がかならずxのXにおける近傍になるとき、すなわち、
を満たすとき、fは点xで連続である。
(注意)
ここで登場するf⁻¹は、fの逆関数ではない。
たとえば、X={1,2,3,}、Y={ネコ,マムシ,トキ}とし、XからYへの写像fを
とすると、
だにゃ。
トキには対応するXの元が存在しないので、
と空集合∅になる。
つまり、ここに登場するf⁻¹は、Yの部分集合からXへの部分集合への写像、集合の関数で、逆関数とは違うにゃ。
(注意終)
XとYを実数全体の集合Rとし、通常の距離、すなわち、
を導入すれば、この3つの定義は同一なものになる。
これは事実。
なのですが、私が問うているのは、このことではなく、
a>0とするとき、
が存在し、その値が紛れもなく
であることを示せ
なんですよ。
という関数の場合、
でしょう。
なのに、
a>0のとき、対数関数のグラフの視覚的なイメージを根拠に、
とやっていませんか、こんなことでいいんですか、
と、私は言っているんですよ。
たとえば、三角関数cos xが点aで
という極限値をもつことの証明は、たとえば、ε−δ論法を用いれば、次のように行うでしょう。
問題 aを実数とするとき、次のことが成り立つことを示しなさい。
【解答】
任意のε>0に対して、δ=εにとると、
よって、
(解答終)
の証明には、
三角関数の極限の証明で使った扇形の面積(半径rの円の面積πr²を求めている際に使っているので、三角関数の極限の証明は循環論法になっているという批判がある!!)を使わず、扇形の円弧の長さを使えば、初等幾何などの知識から示すことができるので、
上の解答には傷がない。
円弧APは必ず線分APの長さより長いケロ。
点PからOAへの線分の足をHとすれば、PAはrsinxで、これはAPより短い(∵ ∠A<∠PAH=∠R)。
よって、r>0だから、
こういった証明を、
の場合、できるのですか?
伝統的な指数関数、対数関数の定義から、このことを証明することは容易でないためなのでしょう、
を示せ、といった問題は、微分積分の教科書、演習書に出てこない。
そして、指数関数、対数関数は定義域内で連続であることを前提に、微分積分の話は続いていくのであった。
このことは(微分積分で)決して触れてはいけないタブー、決して開けてはいけないパンドラの匣なんだと思うケロ。
さいわい、高校数学で、指数関数、対数関数が連続であることの擦り込み、インプリンティングが徹底的に行われているので、誰もこのことに疑問を持たない!!
このことに些かでも疑問をもったら最後、もったヒトは間違いなく奈落の底に突き落とされる(^^ゞ
高木貞治の「解析概論」にあるように、対数関数は
などで定義したほうが理論的にスッキリする。
そして、これから、直ちに、
は出てくるし、指数関数は(1)で定義されるlog xの逆関数と定義すれば、すべて丸く収まるんだにゃ。
また、
興味のあるヒトは、x>0、y>0とするとき、
(1)から対数関数の性質
が出てくることを示すケロ。
対数関数、指数関数の定義が悪い、十分じゃないから、こんな厄介な事が起きるんだケロ。
今日、ブログにアップした「第5回 ネイピア数」の記事に出てくる問2の解答(?)、証明(?)を書くとき、オレがどれくらい疚しさを感じたことか・・・。
ハッキリ言うけれど、あれはインチキです(^^ゞ。
第5回 ネイピア数 [微分積分]
第5回 ネイピア数
指数関数、自然対数の底として用いられるネイピア数eは、極限
で定義される超越数である。
まず、一般項
である数列が単調増加であることを示そう。
二項定理によって
nの代わりにn+1を代入すれば、右辺の各項の値が大きくなり、しかも、項数が増えるので、数列は単調増加である。
また、上の等式を見ると、
が成立し、したがって、数列は上に有界である。
上に有界な単調増加な数列は収束するので、は収束し、極限
が存在する。
次に、xが正の実数であるとき、
が成立することを示せ。
n≦x<n+1(nは自然数)とすると、
したがって、
である。
だから、
である。
よって、ハサミ打ちの定理より
である。
問1 次のことを証明せよ。
【解】
t=−xとおくと、x→−∞のときt→∞。
(解答終)
したがって、
問2 次のことが成り立つことを示せ。
【解】
(1) において、x=1/tとおくと、t→±∞のときx→0だから、
(2)
3) とおくと、であり、x→0のとき、t→0だから、
((解答終)