マルサスの人口論のことなど [ねこ騙し物理]
マルサスの人口論のことなど
18世紀の経済学者マルサスは、『人口論』の中で、「(制限しなければ)人口は幾何級数的に増加するが、(食料などの)生活資源は算術級数的にしか増加しない」と述べたそうだ。
ここに出る「幾何級数的に」という言葉は、「等比級数的」にいう意味。
このマルサスのモデルは、「1回分裂すると細胞の数が2倍になる」という細胞分裂を考えるとわかりやすい。
1回目の細胞分裂で1個の細胞は2倍の2個に、2度目の分列で2個の細胞がその2倍の2×2=2²=4個に、3度目の分列で2²個の細胞がその2倍の2×2²=3³=8個に。以下同様に増え続け、n回目の分列では個になる。
細胞の数が1個でなく、個だった場合は、一回目の分列での2倍の個に、2回目の分列ではの2倍の個に、3回目の分列では個の2倍の個に、そして2回目の分列で個になる。
n回目の細胞分裂の細胞の個数をNで表すことにすると
細胞分裂は、ある一定の時間間隔τ置きに、1回、2回、3回、・・・、n回と時間tに関して飛び飛びに起きるけれど、これを拡張し、時間tに関して細胞分裂が連続的に起きると考えれば、時間tのとき回分裂していることになるので、
これをtで直接微分してもいいけれど、ネイピア数e=2.71828・・・を用いて、この式をさらに次のように書き換える。
ここで、はネイピア数を底にした自然対数。
さらに、
これをtで微分すると
この(3)式がマルサスのモデルを表す微分方程式で、(2)はt=0のときを満たす(3)の解である。
したがって、
マルサスのモデルは、
人口の時間あたりの増加の割合は、人口Nに比例する。その比例定数をrとすると、
と言い換えることができる。
マルサスは、「ヒトが生きていく上に必要な食料などによって人口増加は抑制される」といった趣旨の主張もしているらしいので、実際、人口が無限に増加することはできないのだけれど、マルサス・モデルと呼ばれるものは、このようなモデルをいう。
ところで、比例定数rは時間の単位の逆数を単位に持っているので(時間の単位が”年”だったら、比例対数の単位は”1/年”)、
と物理的な単位を持たない無次元の時間を定義し、さらに、
とすると微分方程式(3)は
とさらに簡単に表わせ、この解(2)は
と非常にシンプルなものになるけれど…。
ちなみに、
とすると、たとえば、放射性同位体の崩壊を表す微分方程式になる。
t=0における放射性同位体の原子の個数をN₀とすると、時刻tにおける放射性同位体の原子の個数は
である。
そして、このτを放射性物質の半減期という。
マルサス・モデルとは異なるが、ランチェスターの(第2次)法則と呼ばれるものがある。
自軍の(残存)兵士数をx、敵軍の(残存)兵数をyとすると、ランチェスターの法則は、次のような微分方程式で表すことができる。
この微分方程式(6)の意味するところは、「自軍の時間あたりの兵士損失数は敵軍の数に、また、敵軍の時間あたりの兵士損失数は自軍の兵数数に比例する」で、α、βはその比例係数。
(6)式の第1式を第2式で割ると
特に、α=βのとき、
もし、同等の力を持つネムネコ軍100とddt³軍200が全面衝突して戦った場合、ネムネコ軍が全滅したときのddt³軍の残存兵数をとすると、(8)式から
となりまして、ネムネコ軍は100名の兵士を失ったのに対して、ddt³は兵士を200−173=27名失うだけですむんだケロ。
というわけで、2倍の兵力差があると、上の動画に登場するヤマトのように、ネムネコはddt³さんに一方的にタコ殴りされるにゃ。
対して、ddt³軍の司令官ddt³さんが、50名ずつネムネコ軍と戦わせた場合、
ネムネコに都合のいいように四捨五入して、第1回目の戦闘終了後のネムネコ軍の残存兵力をとし、第2回目のバトルをすると、
ネムネコにとって都合のいいように、第2回目の戦闘終了後の残存兵力をと切り上げる。
第3回目のバトルでは
同じく、切り上げてとして、最終戦闘に挑むと
となり、ddt³軍が全滅したとき、ネムネコ軍には兵士が14名ほど残っていることになり、ネムネコ軍が勝利するにゃ(^^)。
こんな戦い方では、ネムネコ軍の進軍を止められないにゃ。
ではあるが、ネムネコ軍には連戦による披露が蓄積しているので、引き分けということにしておこう。
お前らに質問(1月23日)の解答例 [お前らに質問]
お前らに質問(1月23日)の解答例
問題 xの係数が整数となるように、を因数分解せよ。
この結果を利用し、次の値を求めよ。
【解答例】
A=x(x+3)とおくと、
だから
したがって、
x≧0のとき、x(x+3)+1>0だから、
x=97とすると、
(解答終)
たとえば、
x=0のとき
x=1のとき
x=2のとき
x=3のとき
x=4のとき
である。
の因数分解に気づかないと、
の値を求められないかといえば、そうでもないでしょう。
自然数なのでxをnとすると、
とおくと、
となるので、とおくと、
は初項6、等差が2である等差数列で、このことから
したがって、
一方、
だから、
と推測できる。
求めるのは、n=97の場合だから、
お前らに質問(1月23日) [お前らに質問]
お前らに質問(1月23日)
今回は、思い切り、レベルの低い問題。
問題 次の値を求めよ。
気付けば、暗算で計算できる問題!!
より一般的に書くと、
x≧0とするとき、次の値を求めよとなりましょうか。
x=0のとき
x=1のとき
x=2のとき
x=3のとき
x=4のとき
お前らに質問の解答例 (数列と関数列の和) [お前らに質問]
お前らに質問の解答例 (数列と関数列の和)
初項a、公比rである等比数列の和
問題1 次の値を求めよ。
【解答例】
x=1のとき
x≠1のとき
とおくと、
したがって、①と②の辺々の差をとると
よって、
(解答終)
【別解】
x=1のとき、
x≠1のとき、
両辺をxで微分すると
ところで、
よって、
(別解終)
積分を使って解くこともできますが・・・。
なお、
問題2 −1<x<1のとき、次の値を求めよ。
【解答】
よって、−1<x<1のとき
(解答終)
発展問題 −1<x<1のとき、次の値を値を求めよ。
【解答】
とおくと、
よって、
n→∞とすると、問題2より、−1<x<1のとき、
よって
(解答終)
部分和を求め、それから、n→∞のときの極限をとるなんて、面倒で、やってられない!!
工学野郎の思う微分_2 [ddt³さんの部屋]
工学野郎の思う微分_2
起動しなくなった旧PCより外付け装置に移植したHDですが、「フォーマットされていません」が出やがったので、データ復旧店に持ち込みました。全てではなかったけれど、概ねデータは救出できました。
・・・という訳で、ほぼ復旧記念です(^^)。
2.概念としての微分
工学野郎の思う微分_1の1.で、「概念上の話としては、微分可能な関数の一点には、理想化すればその接線が住んでると認めるのと同じです」と書きました。では、微分可能な関数の一点にその接線が住んでるというような、証拠はあるんでしょうか?。あるんですよ、それが。もちろん状況証拠ですけどね(^^;)。以後の喋りは、たぶんにイメージ優先という事になります。
関数の一点に接線がいる事を見るには、いったいどうしたら良いでしょう?。単純に考えれば、一点の内部を覗けば良いわけです。だけど点は大きさを持ちません(無限に小さい)。大きさを持たなければ内部構造もないはずだから、そもそも一点の内部なんてのは概念矛盾だと、プロゲラさんに怒られそうですが、でも[大きさを持たない]=[無限に小さい]が正しいなら(← 正しいという保証はない(^^;))、無限に拡大すりゃぁ~内部を覗けれんじゃねっ?、って発想になります。
そうすると拡大対象は関数なので、関数の拡大と縮小をまず復習しておきましょう。関数、
があった時、kを任意の実数として関数、
は、原点を中心に(1)を1/k倍に拡大した関数でした。どうしてかというと、
という変換を考えてみると、(3)を(2)に代入し、
が得られて、(4)は(1)と同じ曲線を描きます。しかし(X,Y)の中身は(kx',ky')なので、(4)が(1)と同じ曲線を描くためには、(x,y)=(kx',ky')でなければならない事になり、(x',y')の数値は、
と(x,y)の1/k倍になるためです。
高校では(x',y')と(x,y)をごっちゃにして扱う傾向があるために、高校生は(2)を見て非常に悩むんですよね(^^;)。
変換、
は等方的でもあります。それを確認するには、円で試せば十分です。円の方程式、
に変換(6)を施せば、
なので、(6)が原点から(x,y)までの距離を等方的に1/k倍にしてるのは明らかですし、原点は移動しないので、原点を中心とした拡大/縮小である事もわかります。等方性は、今の場合の関数の一点の拡大に望まれる性質です。
不便なのは原点中心でしか拡大/縮小できない事ですが、それなら拡大したい関数の一点を原点に移動させればOKです。このとき関数のグラフの形を変えてはいけないので、平行移動という話になります。
が、(1)をx方向にa,y方向にbだけ平行移動した関数を表すのでした。ここでも変換、
を考えれば、(x,y)→(x+a,y+b)である事は明らかです。
以後、高校方式で、(x,y)と(x',y')を明確に区別するのはやめます。
やりたい事は、関数の一点(x0,f(x0))が原点に来るように関数を平行移動し、そこで1/h倍(0<h<1)に拡大する事です。
最初に、(x0,f(x0))が原点に来るように関数を平行移動します。これは(a,b)=(-x0,-f(x0))の平行移動です。
次に(9)を原点中心で1/h倍に拡大します。
無限に拡大するには、h→0の極限をとれば良いわけですが、そのために(10)を少々変形します。
h≠0とすると、
(11)の最後の形でh→0の極限をとります。
最後の結果を出すために、(普通の(^^))微分の定義を使ってます。すなわち、
です。(12)は、(x0,f(x0))が原点に来るように平行移動した結果です。もとの位置に戻しましょう。それには、(a,b)=(x0,f(x0))なる平行移動をすれば良いので、
です。・・・うふふ、(x0,f(x0))における接線の方程式じゃ~ないですかぁ~(^^)。接線はいたんですよ。
ここで、微分を使わずに接線を定義するにはどうするかという(不要に?)頭の痛い問題が生じますが、それは無視します(^^;)。
次に、不要ではない哲学的批判に対処します。恐らく、ネムネコファミリーの中でこの批判を出すとしたら、プロゲラさんです(^^)。批判とは、
「点とは大きさを持たないこと。それが点の数学的定義だ」
「したがって、点は内部構造を持たない」
「よって内部構造を持たない点内部に、接線は存在できない」
「(12)で行った極限計算はその経過から明らかなように、点外部の拡大を行ったに過ぎず、点内部を覗いたとは、まったく言えない」
「これは点の数学的定義から最初から明らかで、点内部にその接線がいるという考えは、概念としてまさしく概念矛盾を起こしている。(12)~(14)は、概念的に無意味な数学的トリックに過ぎない」
はっきり言って論理的に完璧な批判です。反論は恐らく無理です(^^;)。ただ数学は、(12)~(14)を無意味な数学的トリックとは考えません。概念矛盾であると知りつつ、というか知ってるからこそ(本当によぉ~く考えた人たちは)、次のように身をかわします。
「現実の分析に便利なように、VR(バーチャルリィアリティー)なツールを作っただけなんですよね」
・・・と(^^;)。
(14)は(12)の洗礼の後に出てきたものなので、(14)の(x-x0)はいくら大きくとも無限倍拡大の縮尺で考えると、実スケールでは0です。だからそれは、VRな点内部の距離と考えてもいいじゃないかと(大きさを持たないことが点の数学的定義)。つまり微分可能な曲線は、各点ごとの接線の集合だと考えられる。
曲線の各点ごとの接線を近似するものはなんでしょう?。十分細かい区間分割で考えられた、曲線の折れ線近似ですよ。
よって、関数の一点の内部に接線がいるとVRとして認める事は、曲線は区分的な一次関数の集まりだと認めるのと同じです。これはさっき言ったように、哲学的な概念分析としては非常に危ういのかも知れませんが、認めてみると非常に役に立ちました。
したがって微分とは、一点における(局所的な)関数の一次関数化(線形化)、すなわち関数の局所線形化という人間の意志の産物なのです。
(執筆:ddt³さん)
とうがらしの「雪さらし」 雪不足のためスキー場で 新潟 妙高 NHK [ひとこと言わねば]
とうがらしの「雪さらし」 雪不足のためスキー場で 新潟 妙高 #nhk_news https://t.co/VBjbR0qPtY
— NHKニュース (@nhk_news) January 20, 2020
お前らに質問 (数列と関数列級数の和 1月18日) [お前らに質問]
お前らに質問 (数列と関数列級数の和 1月18日)
初項a、公比rである等比数列の和
で与えられる。
このことは、高校の数学で習ったと思う。
そして、このことを踏まえて、次の和を求めてもらおうじゃないか。
問題1 次の値を求めよ。
x=1のとき
問題2 −1<x<1のとき、次の値を求めよ。
発展問題 −1<x<1のとき、次の値を値を求めよ。
第55回 関数項級数 [微分積分]
第55回 関数項級数
空間Iで定義された関数列に対して、その部分和からなる数列が収束するとき、関数項級数
は収束するという。
関数列の極限関数をS(x)とするとき、関数項級数の和といい、このことを
で表す。
すなわち、任意のε>0と任意のx∈Iに対して、ある自然数が存在し、任意のn≧Nとx∈Iに関して、
さらに、コーシーの収束定理より、次の定理を得る。
定理1 (コーシーの収束定理)
区間Iで定義された関数を項とする関数列級数が収束するための必要十分条件は、
任意のε>0に対し、ある自然数が存在し、m>n≧Nである任意の自然数m、nに関して
が成り立つことである。
さらに、関数項級数も関数列なので、関数列と同様に、一様収束を定義することができる。
定義 (関数項級数の一様収束)
区間Iで定義された関数を項とする関数列級数は、その部分和が一様収束するとき、関数項級数はI上で一様収束するという。
すなわち、
任意のε>0に対し、xに無関係な自然数が存在し、任意のx∈Iとn≧Nである任意の自然数nに関して
定理2 (ワイエルシュトラスの判定法)
次の条件を満たす正項級数が存在すれば、関数項級数はIで一様収束する。
【証明】
正項級数は収束するので、任意のε>0に対して、自然数が存在し、
また、条件より、任意のx∈Iと任意の自然nに対してが成り立つので、
よって、
(証明終)
問1 次の関数項級数が実数全体の集合一様収束することを示せ。
【解】
(1) すべての自然数nと実数nに関して
だから、
(2) すべての自然数nと実数xに関して
(解答終)
任意の自然数nに対してがIで連続ならば、もIで連続。したがって、関数列について定理を適用すれば、次の定理が成り立つ。
定理3 (関数項級数の連続)
I上の連続関数列からなる関数項級数がI上で一様収束ならば、はIで連続である。
問2 I=[−1,1]のとき、とする。関数項級数の極限関数S(x)を求め、また、一様収束でないことを示せ。
【解】
x=0のとき、任意のnに対して、だから、
x≠0のとき、初項x²、公比の等比無限級になるので、
したがって、
極限関数が連続でないので、一様収束でない。
(解答終)
定理4 (項別積分)
I=[a,b]上の連続関数列からなる関数項級数がI上で一様収束ならば、
問3 次の関係が成り立つことを示せ。
【解】
問1より、は[0,π]で一様収束し、また、は[0,π]で連続なので、
(解答終)
定理5 (項別微分)
I上でC¹である関数列からなる関数項級数がI上で各点収束し、さらにがIで一様収束するならば、もI上で一様収束し、次の関係が成り立つ。
お前らに質問(近似値 1月15日)の解答例 [お前らに質問]
お前らに質問(近似値 1月15日)の解答例
問題 の近似値を求めよ。
【解答例1】
シンプソン法
を使うと、
(解答1終)
だから、シンプソン法を用いると、こんな粗い計算でも、良好な結果が得られることがわかる。
【解答例2】
したがって、
ここで、とおき、置換積分すると、
(解答2終)
対称性から奇数次の項の積分は消えるので、上の計算は、実質、を5次式g(x)で近似し、
と計算していることと同じ!!
ちなみに、2次の項まで取って計算すると、
だから、シンプソン法より、すこし計算精度が劣るようだ。
さらに、6次の項までとって計算すると
となりまして、
とほとんど一致する。
お前らに質問(関数列の収束 1月16日) [お前らに質問]
お前らに質問(関数列の収束 1月16日)
関数列の収束を頭の中だけで理解するのは難しいので、関数列の収束に関する問題のPart2!!
問題 次の関数列の極限関数f(x)を求めよ。また、それは一様収束か。
あくまで一般論として、
「一様収束か」と問うときは、だいたい、一様収束じゃない場合が多い。
そして、(1)、(2)は式形を見ただけで瞬間に、これが一様収束でないことがわかるけれど…。
だけど、(3)はひょっとしたら収束しないかもしないかもわからない(^^)。
xを1つの値に固定し、
という極限を求めればいいんだけれど、ロピタルなんて無粋なものを使う不逞(不定じゃないケロ!!)の輩がいるかもしれないので、
nが十分大きければ、
x>0のとき
xがたとえどんなに大きな数であっても、あるいは、xが0に近くても、自然数nをトンデモなく大きくとれば、と比較し、なんて屁みたいなもの。
したがって、この極限は
に等しくなるんじゃなかろうか。
ちなみに、(3)は(1)を積分したものだからね。
すなわち、
だにゃ。
それはそれとして、
問題の(1)の関数列は、
すなわち
が成り立つでしょうか。
(2)はどうかなんて無茶なことは問わないにゃ。
ネムネコは優しいから、そんな鬼のようなことは言わない。