tickさんからいただいた質問の回答 [複素解析]
tickさんから、質問をいただいたので、答えたいと思います。
複素数を用いて極座標における速度、加速度を求める
http://nekodamashi-math.blog.so-net.ne.jp/2017-02-18-1
を微分すると、積の微分公式から
となりますよね。
だから、右辺第1項は
です。
一方、合成関数の微分公式から、u=iθとおくと、
となりますので、(2)の第2項は
となって、以上のことから、(2)は
になります。
オイラーの公式より
ですから、
この内積をとると、
よって両者は直交します。
また、
ですよね。
したがって、は半径r方向の単位ベクトルで、は円周θ方向の単位ベクトルになります。
よって、(3)式から、半径方向の速度を、円周方向の速度をとすると、
になります。
また、
純粋な数学の問題と考えれば、
チェーンルール(連鎖公式)から
となりますので、
よって、
と、(3)を導くこともできます。
考えるネムネコ この積分に留数定理を使いますか [複素解析]
考えるネムネコ この積分に留数定理を使いますか
つい最近、
「次の(広義)積分の値
は、留数定理を使うと
と、簡単に求められます。:
といった記述を目にし、ネムネコは思わず目が点になってしまった。
何故に、この積分に留数定理を(・・?
留数定理
(複素)関数f(z)が閉曲線Cの内部に有限個の特異点、をもち、これらの点以外では曲線C上およびその内部で正則(微分可能)であるとき、次の関係が成り立つ。
さらに、(1)を求めるためには、
f(z)は上半平面Im z≧0で有限個のを除き正則であり、かつ、実軸上に極を持たず、かつ、
であるとする。
このとき、
である。
などを使わないといけない。
全然、簡単じゃない。
しかも、(4)で求められるのは、普通の意味での(広義)積分の値ではなく、コーシーの主値積分と呼ばれるものなので注意。
さて、(1)は
を使うと、
と、簡単に求められる。
うるさいことを言うと、
などと書くべきなのでしょうけれど、簡略表現として認められている。
そして、留数定理を使ってこの広義積分を求めたいのであれば、たとえば、次のようにすればよいだろう。
に分解する。
ここで、
である。は原点を中心とする半径Rの円の上半分、半円の円弧。
そして、
とおく。
すると、f(z)は閉曲線Cの内部に、z=i(iは虚数単位)を1次の極にもつ。
したがって、z=iにおける留数は
になる。
また、
になるので、f(z)は(3)の条件を満たしている。
したがって、(4)より
これは簡単だろうか?
では、ここで、一つ、宿題を。
宿題 次の広義積分が存在することを証明しなさい。
ただし、
は証明に使用してはならない。
原始関数がどうたらかんたらってのは、この宿題の解答として絶対に認めない。そんなことを書いたら、即、0点!!
定積分、広義積分の定義に従って証明して欲しい。
「上に有界な(単調)増加数列は収束し、極限値を持つ」の類(たぐい)、あるいは、コーシーの収束判定条件などは使ってもいい。
あと、x∈[a,b]において、f(x)≧g(x)ならば
も使ってよし。
こういうのは、いかにも数学って感じがして、いいと思わない?
無限遠点でのローラン展開 [複素解析]
無限遠点でのローラン展開
§1 無限遠点でのローラン展開
関数f(z)においてz=1/ζとおいて得られるζの関数を
とし、φ(ζ)のζ=0において得られる状態をf(z)のz=∞(無限遠点)における状態と定義することにする。
問1 との無限遠点∞における状態を調べよ。
【解】
とおくと、
となり、ζ=0はφ(ζ)の2位の極となるから、z=∞はf(z)の2位の極である。
とおくと、
したがって、
よって、ζ=0はφ(ζ)の真性特異点だから、z=∞はの真性特異点。
(解答終)
無限遠点∞がf(z)の孤立特異点であるとする。このとき、十分大きなR>0を選ぶと、でf(z)は正則になる。したがって、無限遠点∞の定義より
はで正則である。
よって、φ(ζ)はζ=0のまわりで
ただし、Cはζ=0を中心とするの円である。
φ(ζ)=f(z)だから、m=−n、とおいて、
(1)を∞まわりのローラン展開という。
問2 関数のすべての特異点を求めよ。また、その各々を中心とするローラン展開を求めよ。
【解】
とする。
z=1は1位の極で、z=1まわりのローラン展開は
z=1/ζとおくと
となり、ζ=0はφ(ζ)の1位の極だから、z=∞はf(z)の1位の極。
|z|<1のとき
だから、
また、|z|>1のとき
だから、
よって、z=∞まわりのローラン展開は
(解答終)
§2 無限遠点での留数原理
無限遠点∞がf(z)が孤立特異点または正則点であるとき、f(z)は∞まわりでローラン展開が可能である。すなわち、
この展開におけるの係数の符号を変えたもの、すなわち、を∞におけるf(z)の留数といい、やなどであらわす。
したがって、
ここで、Γは有限のところにあるf(z)の内部にある特異点をすべてふくむ閉曲線である。
留数定理と(3)より、ただちに、次の定理が得られる。
定理1
f(z)が無限遠点を含めた全平面でただだか有限個の特異点しか持たないとき、有限のところにあるすべての特異点をとすれば、
また、留数の定義より
定理2
が有限確定であれば、
問3 つぎの値を求めよ。
【解】
また、定理2より
の零点をとすると、定理1より
(解答終)
複素関数の微分の補充問題2 [複素解析]
複素関数の微分の補充問題2
がDで正則で、u,vの2次の偏導関数が連続であれば、コーシー・リーマンの関係から
が成立する。
したがって、u、vともにラプラス方程式
を満たすので、u、vは調和関数である。
問 正則関数のuとvが連続な2次偏導関数をもつとき、(1)が成り立つことを示せ。
【略解】
コーシー・リーマンの関係より
したがって、
(略解終)
問題1 u=x³−3xy²が調和関数であることを示し、uを実部にもつ正則関数を求めよ。
【解答】
よって、uは調和関数。
が正則関数であるとすると、コーシー・リーマンの関係式
を満たさなければならない。
したがって、
これをに代入すると、
よって、
(解答終)
問題2 f(z)が正則であるとき、とすると、コーシー・リーマンの関係式は
となることを示せ。
【解】
だから、という対応関係にある。
したがって、
同様に、
ここで、コーシー・リーマンの関係式を用いると、
(解答終)
(2)式をについて解くと、
同様に、(3)式から
問題3 が正則のとき
であることを示せ。
【解】
(1) コーシー・リーマンの関係より
したがって、
また、
よって、
(2)
また、
したがって、
(解答終)
複素関数の微分の補充問題 [複素解析]
複素関数の微分の補充問題
f(z)は領域Dで定義されているとする。zがD内の点z₀に近づくとき、
が近づき方に無関係に一つの有限値に近づくならば、この極限値をf(z)のz₀における微分係数といい、であらわす。また、このとき、f(z)はz₀で微分可能という。
すなわち、
領域Dの全ての点でf(z)が微分可能であるとき、f(z)はDで正則であるという。w=f(z)がDで正則であるとき、
Dの各点zにf'(z)を対応させることにより、Dで定義された関数f'(z)が定まる。この関数を導関数といい、
例 のとき
nが正の整数で、のとき、
したがって、
問題1 次の関数はz=0で微分可能か。
【解】
z=x+iyとする。
(1) で、z≠0とすると、
直線y=mxにそってzが原点に近づけると、
この極限は直線の傾きmによって変わるのでz=0で微分可能ではない。
(2) f(z)=Re(z)=xとおき、z≠0とすると、
y=mxにそって原点に近づけると、
したがって、z=0で微分可能ではない。
(解答終)
定理(コーシー・リーマンの関係式)
がz₀=x₀+iy₀で微分可能であるための条件は、u、vがともに(x₀,y₀)で全微分可能で、
このとき、
問題2 次の関数の微分可能性を調べよ。
【解】
だから、u=x²+y²、v=0。
u,yの偏導関数は連続だから、すべての(x,y)で全微分可能。また、(x,y)=(0,0)のとき
だから、f(z)はz=0で微分可能。
(x,y)≠(0,0)では、
なので、f(z)はz≠0で微分可能でない。
(解答終)
問 コーシー・リーマンの関係式を用いて、問題1の関数の微分可能性を調べよ。
問題3 指数関数
の導関数がであることを示せ。
【解】
したがって、
よって、
したがって、u、vの偏導関数は(x,y)の全点で連続で全微分可能。
また、
となりコーシー・リーマンの関係を満たす。
したがって、はzの全点で微分可能(正則)である。
(解答終)
問題4 関数f(z)が領域Dで正則で、次の条件のいずれかを見たぜばf(z)はDで定数であることを示せ。
【解】
とする。
(ⅰ)
よって、uとvはDで定数。したがって、f(z)はDで定数である。
(ⅱ) だから。 コーシー・リーマンの関係よりとなり、f(z)はDで定数である。
(ⅲ)
したがって、
コーシー・リーマンの関係より
したがって、
u²+v²=0のとき、u=v=0。
のときだから、コーシー・リーマンの関係より。
いずれの場合も、uとvは定数となり、したがって、f(z)はDで定数である。
(解答終)
複素関数の連続に関する補充問題 [複素解析]
複素関数の連続に関する補充問題
連続の定義
z₀がw=f(z)の定義域Dに属し、が成り立つとき、f(z)はz₀で連続という。
すなわち、
任意のε>0に対して、適当なδ>0を選ぶとき、
が成り立つとき、f(z)はz₀で連続という。
がz₀=x₀+y₀で連続であるとき、
である。
問題1 次の関数はz=0で連続か。
【解】
(1) z=x+iyとおくと、z≠0のとき
y=mx(x>0)にそってzが0に近づくとき、
これはmの値によって変わるので、は存在しない。
よって、z=0で不連続である。
(2) z≠0のとき
よって、
となり、f(z)はz=0で連続である。
(解答終)
(2)は次のように答えてもよい。
【(2)の別解】
z≠0のとき、
よって、f(z)はz=0で連続である。
(解答終)
問題2 次の関数はz=0で連続か。
【解】
(1) z≠0のとき、
したがって、f(z)はz=0で連続でない。
(2) f(0)=0。また、z=x+iyとすると、Im(z)=y。
よって、f(z)はz=0で連続である。
(別解)
z≠0のとき、
(解答終)
多変数関数の場合、ε-δ論法は複雑になるのでふつう用いないけれど、やってみますか。
とすると、g(t)は狭義単調増加関数。
したがって、0<ε<1、δ>0とし
とすると、
ε≧1のとき、δ=1とすると、
したがって、任意のε>0に対してδ>0を
にとれば、
となり、f(z)はz=0で連続である。
問題3 f(z)がz₀で連続であるとき、もz₀で連続であることを示せ。
【証明】
f(z)がz₀で連続だから、任意のε>0に対して、適当なδ>0を選ぶと、
である。
このεに対するδを用いると、
したがって、はz₀で連続である。
同様に、
したがって、はz₀で連続である。
(証明終)
とすると、
また、だから、
とすると、だから、
複素関数の極限の補充問題 [複素解析]
複素関数の極限の補充問題
独立変数z、従属変数wがともに複素数である関数w=f(z)を複素関数という。z=x+iy、w=u+ivとすれば、
となり、uとvは2変数xとyの関数になる。このことをu=u(x,y)、v=v(x,y)と書くことにする。
複素関数の極限
任意のε>0に対して、適当なδ>0を選ぶと、
が成り立つとき、zがz₀に近づくときf(z)は極限値αに収束するといい、
とかく。
z=x+iyとすると、だから、
したがって、とすると、
また、無限遠点∞を含む極限は次のように定義する。
問題1 つぎの極限値を求めよ。
【解】
(1) z=x+iyとすると、。(半)直線y=mxにそってzを原点Oに近づくものとする。
x≠0のとき、
となり、直線の傾きmによって値が変わる。
よって、は存在しない。
(2) だから、
(3)
(解答終)
実関数の極限は、
となるので、この極限は存在しないけれど、複素関数の次の極限
で、無限遠点∞がこの極限になるので注意が必要。
また、(3)の極限を求めるときは、正式には上のように解かないといけない。
大学の定期試験で、実数の極限と同じように
と解くと、先生に、減点されたり、✕をつけられるのかもしれないので注意。
実数の極限に持ち込みたいのならば、
たとえば、
したがって、|z|=Rが十分に大きいとき、
などとすればいいケロ。
問題2 次の極限を求めよ。
【解】
z=x+iyとすると、Re(z)=x、Im(z)=y。
(1) 直線y=mxにそって原点に近づけると、
直選の傾きによってこの極限は変わるので、この極限は存在しない。
(別解)
x=rcosθ、y=rsinθとすると、
θの値によってこの極限は変化するので、この極限は存在しない。
(2)は略。この手の極限は、大体、存在しないことになっている(^^ゞ
(解答終)
問題3 次の極限を求めよ。
【略解】
z=x+iyとおくと、。
例によって、y=mx(x>0)にそって原点に近づけると、
よって、極限は存在しない。
【別解】
とおくと、
よって、極限値は存在しない。
(解答終)
この手の極限は、大体、存在しない(^^)
宿題 次の極限を求めよ。
(ヒント)
(2)は
と絶対値をとって、この極限で議論すればよい。
無限遠点とリーマン球面 [複素解析]
無限遠点とリーマン球面
無限遠点
1次関数が
の場合、z=0に対応する点はw平面に存在しない。この例外を除外するために無限遠点∞を導入し、次のように定義することにする。
w=1/zにおいて、点zが原点であるとき、その像はw平面上の∞であり、z平面の∞の像はw平面の原点である。
無限遠点∞は複素平面の原点から有限の距離になく、複素平面上をどの方向に進んでも原点からの距離が限りなく大きくなると、∞という1点に到達する。
さらに、∞を含む演算を次のように定義する。
無限遠点∞は、微積分の無限大∞とは異なるので注意が必要である。
R>0のとき、|R|<zを満足する集合に無限遠点∞を加えたもの点集合をR近傍といい、いろいろなRに対する∞のR近傍を総称して∞の近傍といい、記号やなどで表す。
複素数列が任意のR>0に対して、適当な正の整数Nが存在し、
であるとき、数列は∞に発散するといい、
と書く。
なお、微積分で使われる無限大∞と無限遠点∞を区別するために、上式では無限大∞を+∞で表している。
この定義は、のときと定義することと同じである。
複素球面(リーマン球面)
複素平面上の原点Oに接する半径1の球面をつくり、Oを通る直径の他端をNとする(右図参照)。複素平面上の任意の点zとNを結ぶ直線はN以外のただ1点Pと交わる。逆に球面上のNと異なる任意の点Pを結ぶ直線は複素平面とただ1点で交わる。複素平面上の点zが原点から限りなく離れるとき、球面上の対応する点PはNに近づく。したがって、無限遠点∞に対応する点はNである。
このように考えたときの球面を複素球面(リーマン球面)といい、この球面上の点は∞を含めた複素平面と1対1に対応する。
Nの座標を(0,0,1)、Pの座標を(ξ、η、ζ)とするとき、
より
という対応関係にある。
問 複素平面上の次の点は、リーマン球面のどの点にうつされるか。
【解】
(1) 式(2)により
(2) 式(2)より
(3) 式(2)より
(解答終)
第60回 ルーシェの定理の応用 [複素解析]
第60回 ルーシェの定理の応用
前回紹介したルーシェの定理
定理(Rouchéの定理)
f(z)、g(z)が単一閉曲線Cで囲まれた閉領域Dで正則であり、C上で
ならば、f(z)、g(z)はCの内部で同一個数の零点をもつ。ただしここでl位の零点はl個と数える。
は、たぶん、問題を解くときには、使いづらいと思うので、別表現のルーシェの定理を紹介する。
定理(Rouchéの定理)
f(z)、g(z)が単一閉曲線で囲まれた閉領域Dで正則であり、C上で
ならば、f(z)とf(z)+g(z)はCの内部で同一個数の零点をもつ。
z³+3z+1=0の|z}<2の解の個数について考えることにする。
f(z)=z³、g(z)=3z+1とすると、閉曲線|z|=2(原点を中心とする半径2の円)上で
したがって、ルーシェの定理より、f(z)+g(z)=z³+3z+1とf(z)=z³は|z|<2で同じ個数の零点をもつ。
|z|<2におけるf(z)=z³の零点、つまり、f(z)=z³=0となる点はz=0でこれは3位の零点である。だから、
|z|<2におけるf(z)+g(z)=z³+3z+1の零点は3個、つまり、z³+3z+1=0の解の個数は3娘である。
また、|z|<1のとき、|z|=1上で
したがって、f(z)+g(z)=z³+3z+1とg(z)=3z+1は|z|<1で同じ個数の零点をもつ。g(z)=3z+1の零点、つまり、g(z)=3z+1=0の点はで、これは1位の零点。よって、|z|<1におけるz³+3z+1=0の解の個数は1個である。
ちなみに、の実数解は、カルダノの公式から
複素数解を含めると
ここで、ωは
問題 5次方程式の複素数解は2未満であることを証明せよ。
【解】
とおくと、これは閉曲線|z|=2上で
したがって、ルーシェの定理より、|z|<2におけるとの零点の個数は等しい。|z|<2におけるf(z)=z⁵の零点はz=0でこれは5位の零点。したがって、|z|<2におけるの零点は5個。の解は5つしかないから、|z|<2にすべて存在することになるケロ。
よって、
の複素数解は2未満である。
(解答終)
第59回 偏角の原理 [複素解析]
第59回 偏角の原理
定理(偏角の原理)
関数f(z)は単一閉曲線Cで囲まれた閉領域Dで有理型であり、C上では正則で零点をもたないとする。f(z)はCの内部に極、零点をもつとし、をの位数、をとすると、
【証明】
の1つの分枝を考えると、
となるので、
ここで、
とすると、はC上を1周しても値は変わらないので、の変化量は、と等しい。
よって、
f(z)がαをs次の極としてもつとき、αの近くで
とあらわせるので、
はαで正則だから、αはの1次の極で
同様に、βはの1次の極で
となる。
Cの内部にあるの極は、であるから、留数定理より
(証明終)
偏角の原理より、C上を反時計回りに1回転させると、w=f(z)はw平面上で1つの閉曲線をえがくことになり、
と書き直せる。この式の右辺はw平面上の閉曲線Γのz=0まわりの回転数をあらわす。
定理(Rouchéの定理)
f(z)、g(z)が単一閉曲線Cで囲まれた閉領域Dで正則であり、C上で
ならば、f(z)、g(z)はCの内部で同一個数の零点をもつ。ただしここでl位の零点はl個と数える。
【証明】
Cの内部にあるf(z)、g(z)の零点の個数をとする。仮定よりf(z)、f'(z)はC上に零点をもたないので、偏角の原理より
よって、
したがって、とおくと、仮定よりC上で|w|<1。
このとき、1+wは、zがC上を1周すると、w=1を中心とする半径1の内部で閉曲線Γをえがくことになり、w=0のまわりの回転数は0になる。
したがって、
(証明終)
偏角の原理の応用として、次に、代数学の基本定理の証明を与える。
定理 (代数学の基本定理)
複素数を係数とするn次の代数方程式
はn個の根をもつ。
【証明】
十分大きな正の数Rをとると、|z|<Rで
Cを|z|=Rとし、
とおき、 これに対してRouché(ルーシェ)の定理を用いると、f(z)はn個の零点をもつので、g(z)もn個の零点をもつことになり、定理は証明された。
(証明終)