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第59回 空間曲線 [微分積分]

第59回 空間曲線

 

 

空間の点Pの描く空間曲線は

  

で与えられるが、これは原点Oを始点とする点Pの位置ベクトル

  

と与えられることと同等である。

 

そして、接線ベクトルは

  

で与えられる。

 

さらに、この曲線Cが滑らかなとき、位置ベクトルr(a)からr(t)までの弧の長さs(t)

  vecs-001.png

となり、

  vecs-002.png

よって、

  

とすれば、

  

このds線元素という。

 

stの関数であるが、逆にtsの関数と考えられるので、曲線は、曲線の長さを用いて

  r=r(s)

とあらわすことができる。

このとき、

  

は曲線に接しsの増加する方向に向かうベクトルである。

何故ならば、

  

で、ベクトルtは接線ベクトルdr/dtと平行だから。

 

また、ss+Δsに対応する曲線上の点をPQとし、とすれば

  

だから、t単位接線ベクトルである。

 

Qにおける接線ベクトルとPにおける接線ベクトルのなす角度をΔθとすれば、

  

は、曲線の長さに対する接線の向きの変化率をあらわし、

  

を点Pにおける曲率という。この定義から明らかなように曲率は正または0であり、曲線上の各点でκ=0である時は直線である。

 

 

単位接線ベクトルt同士の内積tt=1を微分すると、

  

となり、tに垂直である。

また、


と同じ向きの単位ベクトルをnとすれば、

  

このnPにおける(単位)主法線ベクトルといい、

  

となる。

 

また、曲率は

  vecs-003.png

 

曲率の逆数
  

曲率半径といい、曲線上のPから引かれたベクトルρnの終点を曲率半径の中心という。

 

また、曲線上の点Pにおける接線ベクトルと主法線ベクトルの外積

  b=t×n
を、点Pにおける曲線の(単位)従法線ベクトルという。

したがって、

  

 

tnbは互いに直交する単位ベクトルで、右手系をなす。

 

また、

  

が成立し、τ捩率(れいりつ)という。

 

 

問題1 次の螺旋曲線の(単位)接線ベクトル、主法線ベクトル、従法線ベクトル、さらに曲率κと捩率τを求めよ。

  

【解】

  

したがって、

  vecs-005.png

よって、

  

単位接線ベクトルt

  

また、

  

ゆえに、曲率κ

  

よって、主法線ベクトルn

  

従法線ベクトルb

  

これから、

  vecs-010.png

よって、捩率τ

  

(解答終)




xy平面の2次元で曲率について説明する。

次の図のように、点Pにおける曲線の接線とx軸のなす角度をθとする。このとき、単位接線ベクトルt=(cosθ,sinθ)となる。

単位弧長あたりの接線ベクトルの変化率は

  vecs-011.png

よって、

  vecs-012.png

 

 

問題2 曲線y=f(x)の曲率を求めよ。

【解】

接線とx軸のなす角度をθとすると、

  

よって、

  vecs-013.png

また、

  vecs-014.png

よって

  vecs-015.png

だから、

  vecs-016.png

となる。

特にy'が1に比べて非常に小さい場合は、

  

(解答終)

 

 


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第58回 ベクトル関数の微分 [微分積分]

第58回 ベクトル関数の微分

 

 

実数全体の集合の部分集合Dで定義されているベクトル関数A(t)t₀∈Dにおいて極限

  vecb-000.png

を有するとき、A(t)t=t₀で微分可能であるといい、A'(t₀)t=t₀におけるA(t)微分係数という。

Δt=t−t₀≠0とおくと、t→t₀のときΔt→0だから、(1)式は次のように書き換えることができる。

  

また、Dに属する任意の点でA(t)が微分可能であるとき、A(t)Dで微分可能であるという。

 

ベクトル関数A(t)Dの任意の点tで微分可能であるとき、

  

A(t)の導関数といい、記号

  

などで表す。

また、

  

であるとき、

  

 

 

定理 A(t)が点t=t₀で微分可能ならば、A(t)は点t=t₀で連続である。

【略証】

(略証終)

 

問1 次のことを示せ。

【略証】

(略証終)

 

 

問2 実関数f(t)とベクトル関数A(t)Dで微分可能であるとするとき、次のことが成り立つことを示せ。

【解】

(解答終)

 

A(t)は微分可能だから連続で、

  

であることに注意。

 

 

問3 問1、問2を用いて、

  

のとき、

 

となることを示せ。

【解】

  

(解答終)

 

基本ベクトルは大きさ、方向が変わらない定ベクトルなので、

 

であることを使っていることに留意。

 

ベクトル関数の内積(スカラー積)、外積(ベクトル積)に関しては、次の関係が成り立つ。

 

定理

【証明】

とする。

(1) の両辺を微分すると、

  

(2)

  

だから、

  

(証明終)

 

 

問4 次のことを示せ。

vecb-006.png 

【解】

(1)

  vecb-007.png

 

(2) |A|=定数だから

よって、

  

したがって、ならばは直交する。

 

(3)

  

(解答終)

 

rを質点の位置ベクトル、mを質量とすると、問4の(3)より

  vecb-009.png

ここで、

  vecb-010.png

とおくと、

  vecb-011.png

Lは角運動量であり、r×Fはモーメントだから、「角運動量の単位時間の変化はモーメントに等しい」という物理の角運動量保存の法則を得ることができる。

 

 

問5 rtのベクトル関数、r=r|とするとき、次の関数を微分せよ。

(答)

ここで、

  vecb-012.png

 

 

問6 abを一定のベクトル、ωを定数とするとき、次のことを示せ。

ならば、

  vecb-013.png

【略解】

  

また、

  

(略解終)

 


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第57回 ベクトル関数の極限と連続 [微分積分]

第57回 ベクトル関数の極限と連続

 

 

実数全体の集合Rの空でない部分集合の任意の点tに対して、ベクトルAが一意に対応付けられているとき、これをベクトル関数と呼び、A(t)で表す。

直交座標を用いると、A(t)DからRへの3つの実数関数x(t)y(t)z(t)によって次のように表すことができる。

  

ここで、ijkはそれぞれx軸、y軸、z軸の正の方向の単位ベクトル、すなわち、

  

である。

また、tの値によってベクトルの大きさ、方向が変わらないベクトルを定ベクトルという。

 

ベクトル関数の極限

 

tt₀に限りなく近づくとき、A(t)Cに限りなく近づくならば、Ct=t₀におけるA(t)の極限値といい、

  

で表す。

 

より正確にε−δ論法を用いると、

任意の正数ε>0に対して、ある正数δ>0が存在し、任意のt∈Dに対して

  

であるとき、このことを

  

であらわし、t=t₀においてA(t)Cに収束するという。また、このとき、Ct=t₀におけるA(t)の極限値という。

 

問1 とするとき、が同等であることを示せ。

すなわち、

  

【略証】

  

だから

  

したがって、

  

ならば、ハサミ打ちの定理より

  

逆に、ならば

  

なので、ハサミ打ちの定理より

  

(略証終)

 

問2 αβを定数とするとき、次のことが成り立つことを示せ。

  

【略証】

とする。

α=β=0のとき、だから、あきらか。

同時にα=0β=0でないとき、

任意の正数ε>0に対して

  

とおくと、あるδ>0があって、

  vec-004.png

とすることができる。

したがって、このとき、

  

(証明終)

 

 

問3 f(t)を実数全体の集合RからRへの関数とするとき、次のことを示せ。

【略証】

問1より

  

(解答終)

 

 

ベクトル関数の連続

 

であるとき、A(t)t=t₀で連続であるという。

すなわち、

任意の正数ε>0に対して、ある正数δ>0が存在し、全てのt∈Dに関して

  

であるとき、A(t)t=t₀で連続であるという。

また、Dに属する任意の点でA(t)が連続であるとき、A(t)Dで連続であるという。

 

ベクトル値関数A(t)

  

であるとき、A(t)t=t₀で連続であることと、実関数x(t)y(t)z(t)t=t₀で連続であることは同値である。

 

問4 上のことぉ証明せよ。

 

 


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第55回 関数項級数 [微分積分]

第55回 関数項級数

 

空間Iで定義された関数列kako-000.pngに対して、その部分和からなる数列kako-001.pngが収束するとき、関数項級数

  kako-002.png

は収束するという。

関数列kako-001.pngの極限関数をS(x)とするとき、関数項級数の和といい、このことを

  

で表す。

すなわち、任意のε>0と任意のx∈Iに対して、ある自然数が存在し、任意のn≧Nx∈Iに関して、

  


 

さらに、コーシーの収束定理より、次の定理を得る。

 

定理1 (コーシーの収束定理)

区間Iで定義された関数を項とする関数列級数kako-004.pngが収束するための必要十分条件は、

任意のε>0に対し、ある自然数が存在し、m>n≧Nである任意の自然数mnに関して

  kako-003.png

が成り立つことである。

 

 

さらに、関数項級数も関数列なので、関数列と同様に、一様収束を定義することができる。

 

定義 (関数項級数の一様収束)

区間Iで定義された関数を項とする関数列級数kako-004.pngは、その部分和が一様収束するとき、関数項級数kako-004.pngI上で一様収束するという。

すなわち、

任意のε>0に対し、xに無関係な自然数が存在し、任意のx∈In≧Nである任意の自然数nに関して

  

であるとき、kako-004.pngIS(x)に一様収束するという。

 

関数項級数kako-004.pngの一様収束の判定に有用な次の定理を紹介する。

 

定理2 (ワイエルシュトラスの判定法)

次の条件を満たす正項級数が存在すれば、関数項級数kako-004.pngIで一様収束する。

【証明】

正項級数は収束するので、任意のε>0に対して、自然数が存在し、

  kako-005.png

また、条件より、任意のx∈Iと任意の自然nに対してが成り立つので、

  kako-006.png

よって、

  kako-007.png

ゆえに、kako-004.pngIで一様収束。

(証明終)

 

 

問1 次の関数項級数が実数全体の集合一様収束することを示せ。

kako-012.png

 【解】

(1) すべての自然数nと実数nに関して

  

だから、

  

また、kako-014.pngは収束するので、kako-013.pngは一様収束する。

 

(2) すべての自然数nと実数xに関して

 

  

また、kako-015.pngは収束するので、kako-016.pngは一様収束する。

(解答終)

 

任意の自然数nに対してIで連続ならば、Iで連続。したがって、関数列kako-001.pngについて定理を適用すれば、次の定理が成り立つ。

 

 

定理3 (関数項級数の連続)

I上の連続関数列kako-000.pngからなる関数項級数kako-004.pngI上で一様収束ならば、kako-004.pngIで連続である。

 

 

問2 I=[−1,1]のとき、とする。関数項級数の極限関数S(x)を求め、また、一様収束でないことを示せ。

【解】

x=0のとき、任意のnに対して、だから、

x≠0のとき、初項、公比の等比無限級になるので、

したがって、

極限関数が連続でないので、一様収束でない。

(解答終)

 

 

定理4 (項別積分)

I=[a,b]上の連続関数列からなる関数項級数kako-004.pngI上で一様収束ならば、

  kako-008.png

 

 

問3 次の関係が成り立つことを示せ。

  kako-009.png

【解】

問1より、kako-013.png[0,π]で一様収束し、また、[0,π]で連続なので、

  

(解答終)

 

 

定理5 (項別微分)

I上でである関数列kako-000.pngからなる関数項級数kako-004.pngI上で各点収束し、さらにIで一様収束するならば、もI上で一様収束し、次の関係が成り立つ。

  kako-011.png

 

 

 

 

 

 


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第54回 一様収束する関数列の性質 [微分積分]

第54回 一様収束する関数列の性質

 

 

定理1 (連続性)

区間Iで連続な関数列is2-001.pngf(x)に一様収束するならば、f(x)Iで連続である。

【証明】

is2-001.pngf(x)に一様収束するので、任意の正数ε/3>0に対して、ある自然数が存在し、任意のx∈Iに関して、

  54s-001.png

a∈Iとすると、は点aで連続なので、任意の正数ε/3>0に対して、あるがあって、

  54s-002.png

したがって、任意のε>0に対して、にすると、

  

(証明終)

 

問1 次の関数列は各点で収束するが、一様収束でないことを示せ。

54s-004.png

【解】

(1) 任意の自然数nに対して[0,1]で連続だが、その極限関数

  54s-005.png

[0,1]で連続でないので、is2-001.pngは一様収束でない。

 

(2) 任意の自然数nに対して[0,∞)で連続であるが、その極限関数

  54s-006.png

[0,∞)で連続でないので、is2-001.pngは一様収束でない。

(解答終)

 

で定義される関数列is2-001.pngは定数関数f(x)=0に各点収束し、また、f(x)=0x≧0で連続であるが、f(x)=0に一様収束しない。

したがって、この定理の逆は成立しない!!

 

 

問2 で定義される関数列is2-001.pngは定数関数f(x)=0に各点収束するが、is2-001.pngf(x)=0に一様収束しないことを示せ。

【解】

x=0のとき、任意の自然数nに対して

また、x>0のとき

  

だから、is2-001.pngは定数関数f(x)=0に収束する。

関数の増減を調べるためにを微分すると、

  54s-007.png  

となるから、x=1/nのときに極大かつ最大。

また、

  54s-008.png

だから、

  54s-009.png

ゆえに、

  54s-010.png

よって、x≧0f(x)=0に一様収束でない。

(解答終)

 

 

 

定理2 (定積分)

有界閉区間I=[a,b]で連続な関数列is2-001.pngIf(x)に一様収束するならば、

  54s-011.png

【証明】

連続な関数列is2-001.png[a,b]f(x)に一様に収束するので、定理1より、f(x)[a,b]で連続であり、積分可能。

また、はf(x)に一様収束するので、任意の正数ε>0に対して、

  54s-012.png

したがって、

  

(証明終)

 

問3 とするとき、関数列is2-001.pngは定数関数f(x)=0に一様収束する。このとき、54s-014.pngが成り立つことを確かめよ。

【解】

  

したがって、

  54s-014.png

(解答終)

 

問4 関数列の極限関数をf(x)とするとき、次の関数列は54s-014.pngが成り立つか。

54s-016.png

【解】

(1)

  54s-017.png

また、極限関数は

  

だから、

  

よって、

  54s-014.png

 

(2)

  54s-018.png

また、極限関数はf(x)=0だから

  54s-019.png

(解答終)

 

したがって、一般に、この定理も逆が成立しないことがわかる。

 

 

問5 

  

で定められる関数列について、次の問に答えよ。

(1) 関数列は[0,∞)で一様収束であることを示せ。

(2) 54s-020.pngは成り立つか。

【解】

(1) x∈[0,∞)について

  54s-028.png

であるから、だから、ハサミ打ちの定理より

  s54-030.png

また、

  s54-029.png

だから、f(x)=0に一様に収束する。

   

(2)

  s54-031.png

一方、

 

だから、

  54s-023.png

(解答終)

 

 

定理3 (微分)

区間I級な関数列is2-001.pngI上でf(x)に各点収束し、さらに、s54-032.pngI上でg(x)に一様収束するならば、

  

【証明】

a∈Iとし、aを固定すると、Iで連続なので、

  54s-024.png

また、f(x)に各点収束し、s54-032.pngg(x)に一様収束するので、定理2より

  54s-025.png

g(x)Iで連続なので、

  54s-026.png

よって、f(x)I上で微分可能で

  54s-027.png

(証明終)

 

 


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第53回 一様収束 [微分積分]

第53回 一様収束

 

 

前回の関数列の(各点)収束の復習を兼ねて、関数列の各点収束の定義を再掲する。

 

定義 (各点収束)

任意の正数ε>0と任意のx∈Iに対して、ある自然数N(x,ε)が存在して、n≧N(x,ε)を満たす任意の自然数nに関して、

  

が成り立つとき、関数f(x)を関数列ichis-000.pngの極限関数といい、関数列ichis-000.pngIで関数f(x)各点収束するという。

 

各点収束の代表例として

  

で与えられる関数列ichis-000.pngがあり、その極限関数は

  ichis-001.png

である。

0<x<1の場合、任意のε>0に対して、

  ishis-004.png

とすれば、

  ichis-002.png

x=0の場合、任意のε>0に対し、に定めれば、

  ishis-005.png

x=1の場合、 任意のε>0に対し、に定めれば、

  ishis-003.png

 

fn(x)=xe^(-nx)-graph.png一方、

  

で与えられる関数列

  

に各点収束するが、任意のε>0に対して、xの値に無関係に

  ichis-006.png

と定めると、任意のx≧0の点で

  ishis-007.png

が成立する。

 

 

定義 (一様収束)

関数列ichis-000.pngと関数f(x)Iで定義されているとする。

任意の正数ε>0に対して、ある自然数N(ε)が存在して、任意のx∈Iと任意のn≧N(ε)に対して、

  

を満たすとき、関数列ichis-000.png一様収束するという。

 

これを論理記号で書くと、

  

であるから、ichis-000.pngf(x)に一様に収束しないとは、これを否定するばよい。

すなわち、

  

したがって、

あるε>0が存在し、どのような自然数Nを与えても、

  

を満たす点x∈Iが存在すれば、ichis-000.pngf(x)に一様に収束しないことになる。

 

fn(x)=1÷(nx)-graph.png問1 とするとき、は一様収束するか。はどうか。

【解】

任意のx>0に関して

  ichis-010.png

なので、ichis-000.pngに各点収束。

ε=1とし、任意の自然数Nに対しx=1/N∈(0,∞)にとると、

  ishis-011.png   

よって、ichis-000.pngは一様収束ではない。

の極限関数

任意のε>0に対して、

  ichis-012.png

よって、

  ichis-013.png

にとれば、

  ichis-014.png

(解答終)

 

もちろん、

任意のε>0に対して、

  ichis-015.png

になるためには、でなければならない。

よって、任意の正数ε>0に対して、

  ichis-016.png

とすれば、

  ichis-018.png

よって、ichis-000.png0に各点収束するが、一様に収束しない。

としてもよい。

 

 

定理 (一様収束の必要十分条件)

関数列ichis-000.pngI上で関数f(x)に一様収束する必要十分条件は

  ichis-019.png

【証明】

I上でichis-000.pngf(x)に一様に収束するので、任意のε>0に対して、ある自然数N(ε)が存在し、任意のx∈Iかつ任意のn≧N(ε)に関して、

  

が成立する。

逆に、ichis-019.pngのとき、

任意のx∈Iに対して、

  ishis-020.png

が成り立つので、

  ishis-021.png

よって、ichis-000.pngf(x)に一様収束する。

(証明終)

 

 

問2 次の関数列は各点収束するが、一様に収束しないことを示せ。

ichis-022.png

【解】

(1) 

  ichis-023.png

よって、ichis-000.png0に各点収束する。

  ichis-024.png

したがって、は、で極小かつ最小、で極大かつ最大。

よって、

  ichis-025.png

ゆえに、

  ichis-026.png

なので、ichis-000.pngは一様収束でない。

 

fn(x)=nx÷(1+n^2x^2)-graph.png

 

(2)

  ichis-027.png

したがって、ichis-000.pngf(x)=xに各点収束する。

  ishis-029.png

だから、ichis-000.pngは一様収束でない。

(解答終)

 

【別解】

(1) ε=1/2>0とすると、任意の自然数Nに対して、x=1/Nとすると

  ichis-030.png

したがって、一様収束でない。

 

(2) ε=1>0とすると、任意の自然数Nに対して、x=Nとすると、

  ichis-031.png

よって、一様収束でない。

(別解終)

 

 

問3 次の関数列が一様収束することを示せ。

ichis-032.png

【解】

f=x^n-kougi-graph.png(1) 0<a<1だから

  ichis-033.png

よって、極限関数f(x)=0

また、

  ichis-034.png

よって、f(x)=0に一様収束する。

 

(2)

  ichis-035.png

よって、x=1/nのとき極大かつ最大。

また、だから、

fn(x)=xe^(-nx)-graph.png  ichis-036.png

ゆえに、ハサミ打ちの定理より

  ichis-037.png

また、

  ichis-038.png

だから、ichis-000.pngは極限関数f(x)=0に一様に収束する。

 

(解答終)

 

さて、I=[0,1)とし、Iで定義されているとすると、

  ichis-39.png

となるので、ichis-000.pngIで一様収束でない。しかし、問3の(1)より、0<a<1とするとき、任意の閉区間J=[0,a}で一様収束する。このように、Iでは一様収束でないが、Iに包まれる任意の閉区間JJ≠I)で一様収束する場合がある。

 

定義 (広義一様収束)

区間Iで定義された関数列ichis-000.pngI内の任意の閉区間Jf(x)に一様に収束するとき、ichis-000.pngf(x)広義に一様収束するという。

 

定義から、関数列ichis-000.pngIで一様収束すれば、Iで一様収束する。しかし、この逆は成立しないので注意。

 

 


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第52回 関数列とその収束 [微分積分]

第52回 関数列とその収束

 

 

fn(x)=x^n-graph.png自然数n=1,2,3,・・・に対し

  

と関数を定めると、1つの関数の列、関数列kare-001.pngが定まる。

任意の点x∈[0,1]から一つ選び、その値を固定すると

  kare-002.png

そこで、

  kare-003.png

とすると、

  kare-004.png

と表すことができる。

 

定義 (各点収束)

関数列kare-001.pngと関数f(x)に対して、任意の点x∈Iを固定したときが収束し、

  kare-005.png

であるとき、関数f(x)を関数列kare-001.png極限関数といい、関数列はI各点収束するという。また、Iを関数列の収束域という。

 

イプシロン・デルタ論法で表わせば、

任意の正数ε>0任意のx∈Iとに対して、ある自然数N(x,ε)が存在して、n≧N(x,ε)を満たす任意の自然数nに関して、

  

が成り立つとき、関数f(x)を関数列の極限関数といい、関数列はIで関数f(x)に各点収束するという。

 

論理記号を用いるならば、

  

 

なお、ここで、N(x,ε)は、xεの関数の意味ではなく、xεに依存する程度の意味であることに注意。

例えば、

  

で定まる関数列の場合、

x=0x=1の場合、任意のε>0に対して、任意の自然数nで、

  

一方、0<x<1の場合、

  

中辺と右辺の対数を取ると、

  kare-007.png

よって、

  

を満たす自然数Nを選び、それをN(x,ε)にする必要がある。

したがって、0<x<1のとき、

任意のε>0に対し、

  kare-008.png

とすれば、

  kare-009.png

 

 

問1 次の関数列kare-001.pngは(各点)収束するか。収束するとき、極限関数を求めよ。

kare-010.png

【解】

fn()=1÷(1+x^(2n))-graph.png(1) −1<x<1のとき、0≦x²<1だから

よって、

  kare-011.png

x=±1のとき、

  kare-012.png

x<−1x>1のとき、1<x²だから

  kare-013.png

したがって、各点収束し。極限関数は

  kare-014.png

 

 

fn(x)=xe^(-nx)-graph.png(2) の増減を調べるために、を微分すると、

  kare-015.png

したがって、x=1/nのとき、極大、かつ、最大で

  kare-016.png

また、

  kare-017.png

よって、

  kare-018.png

だからハサミ打ちの定理より

  

よって、関数列は各点収束し、極限関数は

  

である。

 

fn(x)-graph-003.png(3) 任意の自然数nに対してなので

0<x≦1のとき、である自然数Nを選ぶと、

  

が成立するので、

したがって、極限関数f(x)

  kare-019.png

(解答終)

 

 

問の(1)、(2)の関数列kare-001.pngに属する全ての関数は、定義域内で、連続、積分可能であり、微分可能である。

しかし、問の(1)の関数列kare-001.pngの極限関数f(x)x=0x=±1で不連続で微分可能でなく、関数列の性質を引き継いでいない。

これに対し、(2)の関数列kare-001.pngの極限関数f(x)は、定義域で、連続、積分可能であり、微分可能で、関数列の性質を受け継いでいることがわかる。

 

 

問2 とするとき、

  kare-020.png

は成立するか。

【解】

  kare-021.png

関数列kare-001.pngの極限関数をf(x)とすると、

  kare-022.png

だから、

  kare-023.png

よって、

  kare-020.png

(解答終)

 

問3 とするとき、

  kare-020.png

は成立するか。

【解】


関数列kare-001.pngの極限関数はだから、

  

よって、

  kare-020.png

 

(解答終)

 


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絶対収束と条件収束 [微分積分]

絶対収束と条件収束

 

 

が収束するとき、zs-001.png絶対収束するという。zs-001.pngは収束するが、絶対収束しないとき、zs-001.png条件収束するという。

 

例1 正項級数zs-001.pngが収束するとき、なのでが成立し、したがって、正項級数は絶対収束する。

 

定理4

が収束するならば、zs-001.pngも収束する。

 

 

例2 が収束し、

  

も収束するので、は絶対収束。

 

例3 は収束する(例4参照)が、

  zs-006.png

は収束しないので、は条件収束。

 

問1 次の級数の収束・発散を調べよ。

  

【解】

すべての自然数nについて、

  

は収束するのでは収束する。

したがって、は収束する。

(解答終)

 

問2 次のことを示せ。

(1) を満たす定数0<c<1M>0が存在すれば、zs-001.pngは収束する。

(2) を満たす定数M>0が存在すればzs-001.pngは発散する。

【解】

(1) 仮定より、任意の自然数nに対して

  zs-002.png

よって、任意の自然数nに対しては上に有界で、は収束する。

したがって、zs-001.pngは収束する。

 

(2) zs-001.pngが収束するとすると、zs-003.png。しかし、仮定より、任意の自然数nに対してだから、となり矛盾。よって、zs-001.pngは発散する。

(解答終)

 

 

とするとき、

  

交代級数という。

 

交代級数の収束については、次のライプニッツの定理がある。

 

定理11 (ライプニッツの定理)

は単調減少数列で、かつ、zs-003.pngならば、交代級数は収束する。

【証明】

条件より

  

である。

  

とおくと、だから、

  

したがって、は上に有界。

また、

  

よって、は単調増加数列で上に有界。

ゆえに、は収束する。

とおくと、

  

よって、

したがって、交代級数は収束する。

(解答終)

 

 

例4 数列は単調減少で、かつ、だから、交代級数は収束する。

 

 


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正項級数 その2 [微分積分]

正項級数 その2

 


定理7

区間[1,∞)で定義された連続関数f(x)が、f(x)>0かつ単調減少とする。

このとき、正項級数sk2-001.pngと広義積分sk2-002.pngは同時に収束・発散する。

【証明】

kを自然数とする。

k≦x≦k+1とすると、f(x)は減少関数なので、

  

したがって、

  

よって、

  sk-004.png

したがって、sk2-001.pngが収束するならば、

  sk2-005.png

となり、sk2-002.pngは収束する。

が発散するとき、から広義積分sk2-002.pngも発散する。

(証明終)

 

 

α>0に対して、

  sk2-006.png

一般調和級数という。

 

 

定理8 (一般調和級数の収束・発散)

一般調和級数sk2-007.pngが収束する必要十分条件はα>1である。

【証明】

α>0とすると、関数[1,∞)においてf(x)>0かつ減少関数である。よって、正項級数sk2-007.pngと広義積分は同時に収束・発散する。

ところで、広義積分が収束する必要十分条件はα>1であったから、正項級数sk2-007.pngも同じ条件で収束する。

(証明終)

 

問1 次の級数の収束・発散を判定せよ。

sk2-008.png

【解】

(1) とすると、f(x)>0かつf(x)は単調減少関数。

  sk2-009.png

したがって、は発散する。

 

(2) とすると、f(x)>0かつf(x)は単調減少関数。

  sk2-010.png

したがって、は収束する。

(解答終)

 

 

定理9 (ダランベールの判定法)

正項級数skk-001.pngにおいて、

  

が存在するとき、

(1) ならばは収束する

(2) r>1ならばは発散する。

【証明】

(1) r<ρ<1であるρを取り、このρに対して適当な自然数Nを取ると、

  

したがって、

  sk2-011.png

よって、このとき、正項級数skk-001.pngは収束する。

 

(2) 1<ρ<rであるρを1つとり、このρに対して適当な自然数Nを定めると、

  

したがって、

  

よって、skk-001.pngは発散する。

(証明終)

 

定理10 (コーシー・アダマールの判定法)

正項級数skk-001.pngにおいて、

  

であるとき、次のことが成り立つ。

(1) 0≦r<1ならばskk-001.pngは収束する。

(2) r>0ならばskk-001.pngは発散する。

【解】

(1) r<ρ<1であるρを1とり、このρに対して適当な自然数Nを定めると、

  

とすることができる。

よって、

 

0<ρ<1より、は収束するので、skk-001.pngは収束する。

 

(2) 1<ρ<rであるρを1つとって、このρに対して適当な自然数Nを定めると、

  

よって、

ρ>1より、は発散するので、skk-001.pngは発散する。

(証明終)

 

(注)

ダランベール、コーシー・アダマールの判定法ともに、r=1のとき、収束・発散の判定が行えないので、この点は注意すること。

 

 

問2 次の級数の収束・発散を判定せよ。

sk2-013.png

【解】

(1) とおけば、

  sk2-015.png

よって、ダランベールの判定法により、収束する。

 

(2) とおくと、

  sk2-014.png

したがって、ダランベールの判定法より、発散する。

(解答終)

 

 


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正項級数 [微分積分]

正項級数

 

 

全ての項である級数skk-001.png正項級数という。

sk-002.pngとおくと、数列は単調増加なので、skk-001.pngは収束するか、+∞に発散するかのいずれかである。

したがって、次の定理が成り立つ。

 

定理5

正項級数skk-001.pngが収束するための必要十分条件は、ある実数M>0が存在し、任意の自然数nに対して、

  

が成り立つことである。

【証明】

skk-001.pngは正項級数なので任意の自然数nに対して

したがって、sk-002.pngとおくと、は単調増加数列。

よって、が上に有界ならば収束し、上に有界でなければ発散する。

(証明終)

 

任意の自然数nについて

  

が成り立つので、定理5より正項級数は収束する。

 

問1 数学的帰納法を用いて、次の不等式を証明せよ。

  

 

定理6 (比較判定法)

正項級数において、任意の自然数nに対してであるとする。

このとき、

(ⅰ) sk-003.pngが収束すれば、skk-001.pngも収束する。

(ⅱ) sk-003.pngが発散すれば、skk-001.pngも発散する。

【証明】

とするとであるから、は単調増加数列で、が成り立つ。

よって、ならば、となり、は上に有界な単調増加数列となり収束する。

また、ならば、だから、と発散する。

(証明終)

 

 

問2 次の級数の収束を判定せよ。

【解】

(1) k≧2のとき、

  

したがって、


  

と収束するのでは収束し、skk-005.pngも収束する。

 

(2) 任意の自然数nに対して

  

かつ、skk-005.pngは収束するので、も収束する。

 

(3) 任意の自然数nに対して

  

であり、と発散するので、は発散する。

 

(4) 任意の自然数nに対して

  

は発散するので、は発散する。

(解答終)

 

なお、上の解答では、と発散することを利用している。

 


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