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第25回 ランダウの記号と漸近展開 [微分積分]

第25回 ランダウの記号と漸近展開

 

§1 無限小、無限大

 

aを実数、または、±∞とする。

bs24-001.pngならば、x→af(x)無限小であるという。

bs24-003.pngならば無限大であるという。

 

関数f(x)g(x)が点aにおいて無限小のとき、

  bs24-004.png

であるという。

f(x)が同位の無限小であるとき、f(x)g(x)α位の無限小といい、α位数という。

 

例1

  bs24-006.png

だから、sinxxは同位の無限小で、1−cosx無限小でxの2位の無限小である。

また

  bs24-007.png

だから1−cosxxより低位の無限小である。

 

関数f(x)g(x)が点aにおいて無限大のとき、

  bs24-008.png

であるという。

 

問1 x→0のとき、次の無限小を小さい順にならべよ。

  

【解】

  

だから、xsin xは同位の無限小。

  bs24-009.png

これは∞/∞の極限だから、ロピタルの定理より

  bs24-010.png

よって、x²logx|はxより高位の無限小である。

(解答終)

 

§2 ランダウの記号

 

x→aのときにf(x)g(x)の比f(x)/g(x)が有界にとどまるならば、すなわち、ある定数Mがあって、点aの近傍の任意の点x(≠a)について

  

ならば、このことを

  

で表す。

特に、bs24-011.png0でない極限値をもてば、である。

 

また、

  bs24-012.png

のとき、

  

で表す。

このΟοランダウのビッグオーランダウノスモールオーと呼ぶ。(実は、Οοはギリシア文字であるオミクロンの大文字、小文字!!)

 

例2

  bs24-013.png

だから、

  bs24-014.png

である。

 

例3 bs24-001.pngのとき、

  

だから、

  

である。

というか、これは定義。

 

例4 

  bs24-015.png

だから、

  

 

f(x)g(x)φ(x)Ψ(x)は点aの近傍で定義された関数で、x→aのときψ(x)=o(g(x))であり、

  

であるとする。

このとき、ψ(x)o(g(x))であるすべての関数を代表していると考えられるので、o(g(x))をあたかも関数のように

  

と表すことがある。

同様に、

  

のとき、

  

と表す。

 

さらに、f(x)g(x)h(x)が点aの近傍で定義された関数で、x→aのときφ(x)=o(g(x))ψ(x)=o(h(x))であり、

  

であるとき、

  

また、

  

であるとき、

  

と表す。

 

§3 ランダウの記号の性質

bs24-016.png

定理 (ランダウ記号の演算)

mnを正数とする。x→0のとき、次のことが成り立つ。

 

【略証】

(略証終)

 

 

§4 漸近展開

 

定理 (漸近展開)

f(x)は、0を含む区間Ibs24-002.png級とする。このとき、

  bs24-023.png

[証明]

マクローリン(テーラー)の定理より、関数fは、任意の点x∈Iで、

  bs24-019.png

であるθが存在する。

よって、

  bs24-020.png

ここで、

  bs24-021.png

とおく。

x→0のときθx→0で、fbs24-002.png級だから

  bs24-022.png

よって、

  

である。

したがって、

  bs24-023.png

(証明終)

 

以下に代表的な関数の漸近展開を示す。

  bs24-024.png

ここで、

  bs24-025.png

である。

 

 


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