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引力ポテンシャルと何か [ddt³さんの部屋]

[万有引力ポテンシャル]

 

 最初に(xyz)系の原点に、質量m(kg)の質点が一個だけある時を考えます。位置(xyz)1(kg)の質点があれば、万有引力の法則よりそれには、

 

  np-001.png

(1)

 

 

の引力が働きます。Gは万有引力定数で、Nm2/kg2の単位を持ちます。fの単位は、Nm2/kg2×kg/m2×1(kg)N(ニュートン)です。次に(1)rの表式に注意して直接計算すれば、次がわかります。

  np-002.png

(2)

 

 (2)(1)fの表式に使うと、

 

  

(3)

 

 

 

になります。(3)最右辺のG/rの単位は、Nm2/kg2×kg/m×1(kg)NmJ(ジュール)なので、これを万有引力ポテンシャルと呼びます。要するに万有引力のxyz成分は、Gm/rxyzで偏微分することにより得られます。さらに(3)の各成分の2階微分を計算すると、(1)より、

 

  

 

(4)

 

 

なので、

  

(5)

 

を得ます。ラプラシアンを

  np-006.png

(6)

 

で定義すると、(5)から万有引力ポテンシャルは、ラプラス方程式、

  np-007.png

(7)

 

を満たすとわかります。ところで(7)の単位を調べると、(5)からm/r3でなければならないので(×1(kg)はG側に含ませる)、単位はkg/m3となり質量密度です。じつは(7)と同じ形の数学モデルを満たす現象があります。静電場です。静電場ポテンシャル(電圧)は、

 

  np-008.png

(8)

 

を満たします。ここでεは誘電率、ρは電荷密度です。(7)(8)でGとεの現れ方が違うのは、万有引力には斥力が存在しない事と、物理定数である重力定数と誘電率の定義の(決め方の)違いという事で、ご了承ください(^^;)

 原点に一つだけ電荷Qがあるとすると(8)は、ρが電荷密度なので、(xyz)≠(000)εΔφ0(xyz)(000)εΔφ=Qδと書けます。δは原点に特異点を持つ、ディラックのデルタ関数です。

 (7)はもちろん(xyz)≠(000)で(r≠0で)成り立つ関係です。そうすると(8)ρを質量密度に読み替えて、

 

  np-009.png

(9)

 

という事になります。(xyz)系の原点に、質量m(kg)の質点が一個だけある時の、(9)の解を計算します。

 原点に一個だけの質点なので、その解は等方的でなければなりません。φが等方的な場合のラプラシアンは、

 

  np-010.png

(10)

 

です。r0ではどうなってるのかようわからんので、とりあえずr≠0の時を考えます。(9)δは原点に特異点を持つデルタ関数なので、r≠0ではδ0です。 従って、

 

  np-011.png

(11)

 

 (11)は線形微分方程式です。解の公式を適用し、

  

  np001.png

  np002.png

 

を得ます。abは積分定数ですが、φ(r)はポテンシャルだったので、b0OKです。

 

  np-012.png

(12)

 

 (12)r≠0の時の解なので、aを決めてr0へ接続する必要があります。その条件は、(12)r→0での発散が、(9)右辺のデルタ関数の発散になる事。すなわちデルタ関数の特異点(今は原点r0)を内点として含む任意の領域Rでの積分が1

  np-013.png

(13)

 

 (13)を適用するために、原点を内点として含む任意の領域Rで(9)を積分します。この時、原点はRの内点なので、原点を中心とする十分小さい球R0をRは含みます。RとR0の間ではr≠0ですから、そこでの(9)右辺の積分はδ0から0です。(9)左辺に(12)を代入すればΔφ(r)Δ(a/r)0なのは、(11)から明らか。よって積分はR0上で行えば十分です。

 (9)左辺を(6)で表し、ガウスの発散定理を使えば、

 

  

 

 

 SはR0の境界,nはSの外法線方向単位ベクトル,・は内積,dsは面素。また∇はgradで、R0の半径をγとし、∇φa(x/γy/γz/γ)/γ2になるのは(3)からです。そしてR0は半径γの球なのでn=(x/γy/γz/γ)でもあります。

  

 

  dsは半径γの球の境界の面素だったので、∫dsはその表面積を表し、その値は4πγ2

 

   

 

 

 (9)右辺のR0での積分は明らかにm。従って

   np007.png

 ∴

  np-014.png

 

     (14)

 

が得られます。

 (14)(12)r0への接続になるのは、(14)の計算過程でR0の半径γを任意に小さくできるからです。つまりγ→0でも常に(14)が成立するので、(13)を満たす以上、これが(9)の解だという訳です。

 

 ここで重要なのは、

  1) 一質点の万有引力ポテンシャルはポアソン方程式(9)を満たす.

  2) その解は(14)の他にない.

  3) ラプラス方程式(7)の等方的な解は(12)の形のみである.

3点です。以上を念頭に、第二段階へ移行します。

 

 第二段階は、位置(xyz)にある1(kg)の質点が、他の2質点から受ける万有引力を考えます。2質点の位置を1β1γ1)2β2γ2)とし、質量をm1とm2とします。それぞれの質点の万有引力ポテンシャルφ1φ2には1)2)が成り立つはずなので、(14)を平行移動して考え、

    

(15)

 

 

で良いはずです。φ1φ2(xyz)で偏微分すればそれぞれから受ける万有引力が得られ、全体の作用力fはその合力ですから、

  np-016.png

(16)

 

です。ところが、φ1φ2(9)を満たすならラプラシアン(6)は線形なので、φφ1φ2は、

  np-017.png

(17)

 

を満たします。δ1δ2は、1β1γ1)2β2γ2)に特異点を持つデルタ関数ですが、(17)の解は1)2)より、φφ1φ2以外にはありません。そして特異点以外で(17)を考えれば、このφ(7)を満たします。

 質点は何個あっても同じですよね?(^^)。質点m1,m2,・・・による万有引力ポテンシャルは、

   np-018.png

(18)

 

を満たし、その解は、

  np-019.png

(19)

 

だけであり、特異点を除けばφ(7)を満たします。

npf-001.png 第三段階です(図-1)。領域Rに拡がる質量密度ρの物体を分割し、分割片が質点とみなせるくらい細かく分けたとします。

 質点の番号をj、位置をjβjγj)、体積をjjjとすれば、その質量はmjρdαjjjです。質点j全体がつくるポテンシャルφ(18)より、

  np-020.png

(20)

 

を満たし、(15)より、

  np-021.png

 

(21)

 

とすれば、

  np-022.png

(22)

 

で計算できる事になります。また領域Rの外で(20)を考えれば、今度も(7)になります。

npf-002.png 第四段階です(図-2)。微小厚さdR,一様密度ρの半径Rの球殻がつくる万有引力を考えます。このポテンシャルも(20)を満たすはずですが、条件は等方的です。よって球殻の外側で考えたラプラス方程式(7)の解は、3)より(12)の形しかありません。(12)の積分定数aを定めます。

 さっきやったように球殻の外側に任意の領域R1をとり、(20)の右辺を積分すれば図-1より、

   np-023.png

 

 

(23)

になるはずです。2は球殻の面積で要するに(23)の結果は球殻の質量ですが、ここで領域R1を半径Rの球殻にまで縮小できるのは明らかです。よって球殻の外側のポテンシャルφ(1)は、

  np-024.png

(24)

 

でなければなりません。一方球殻の内部でも条件は等方的で(7)を満たすので、やはり解は(12)の形のみですが、球殻の内部でどのように領域R2を選んでも質量分布はないので、(20)右辺の積分は0になります。ここで領域R2を半径Rの球殻にまで拡大できるのは明らかです。よって球殻の内側のポテンシャルφ(2)は、

  np-025.png

(25)

 

とできます。

 (24)(25)より、球殻の質量は球殻の外側の万有引力にしか寄与しないとわかります。そこで半径Rから中心に向かって厚さdRの球殻を詰めていけば、それが寄与するのはその外側の万有引力のみなので、

  np-026.png

(26)

 

となります。ただしV=4/3×π3は半径Rの球の体積なのでM=ρVは球の質量です。従って球体の外側では、その全質量が中心に集中したものとして万有引力を計算して良いとわかります。副産物として(26)(22)をつなげれば、

  np-027.png

(27)

 

が得られます。ここでQは原点を中心とする半径Rの球体,r(21)rjで、rPは原点から(xyz)までの距離です。

 球体の内側r≦Rでは、球殻の引力はその内部に及ばない事を考慮し、半径rの内側の質量を考えると、

  np-028.png

(28)

 

になります。よって球の中心r0での作用力は0です。

 

 どうでしょうネコ先生?。考え方はあってると思うんですが(^^;)

 

 


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