第22回 微分法の方程式、不等式への応用 [微分積分]
第22回 微分法の方程式、不等式への応用
微分法を用いることによって、方程式の解の(個数の)判別、不等式の証明を行える場合がある。
問1 次の不等式が成り立つことを示せ。
【解】
(1) f(x)=x−sinxとすると、
よって、x≧0でf(x)=x−sinxは単調増加関数。
ゆえに、x>0ならば、
したがって、
g(x)=sinx−x+x³/6とおくと
よって、g'(x)はx≧0で単調増加なので、x>0ならば
したがって、g(x)はx>0で単調増加となり、
ゆえに、
(2)
とおくと
よって、f(x)はx>0で狭義単調増加で
また、
よって、g(x)はx>0で狭義単調増加で
したがって、
(解答終)
問2 数学的帰納法を用いて、x>0のとき、次の不等式が成り立つことを証明せよ。
【解】
とする。
n=1のとき、
とすると、
よって、x>0のとき、
したがって、f(x)はx>0で単調増加。
ゆえに、x>0のとき
n=kのとき、
と仮定する。
n=k+1のとき、
これを微分すると、
よって、はx>0で単調増加。
したがって、
ゆえに、任意の自然数n=1,2,3,・・・に対して
よって、
(解答終)
nを正の整数とするとき、
となるので、
また、
よって、ハサミ打ちの定理より
特に、n=1のとき
x=log t とおくとだから、x→∞のときt→∞となるので、
問3 次の極限を求めよ。
【略解】
t=1/xとおくと、x→0+0のとき、t→∞
(略解終)
問4 のとき、次のことが成り立つことを示せ。
【解】
(1)
とおくと、
条件より
p>1だから、x=1のときにf(x)は極小かつ最小となり、
(2) a>0,b>0だから、を
に代入すると、
一方、
したがって、
(解答終)
問5 0<a<bのとき、次の不等式が成り立つことを示せ。
【解】
平均値の定理より
であるcが存在する。
0<a<c<bだから、
よって、
(解答終)
問6 aを実数の定数とする。次の方程式の解の個数を調べよ。
【解】
は同値。
なので、
とおき、y=aとの共有点を調べることにする(共有点の個数と解の個数は等しい)。
f(x)の増減そ調べるために、f(x)を微分すると、
したがって、f'(x)=0となる点はx=1。
f(x)の増減表を書くと、
したがって、f(x)はx=1で極小で、極小値はf(1)=e。
また、
だから、y=f(x)のグラフは右の図のようになる。
したがって、
a<0のとき、解は1
0≦a<eのとき、解は0
a=eのとき、解は1(重解)
a>eのとき、解は2
だから、
と直線y=aの共有点の個数を調べる。
f(x)の増減を調べるためにf(x)を微分すると、
したがって、f'(x)=0になるxはx=e。
増減表を書くと、
ゆえに、f(x)はx=eで極大で、極大値(この場合、最大値)はf(e)=1/e。
また、
だから、y=f(x)のグラフは右のようになる。
したがって、
a≦0のとき、解は1個
0<a<1/eのとき、解は2個
a=1/eのとき、解は1個(重複解)
a>1/eのとき、解は0個
(解答終)
問7 方程式logx=ax+bが解を持たないように定数a、bの値を定めよ。
【解】
とすると、
a≦0のとき、f'(x)>0だから、f(x)は単調増加関数。
また、
だから、中間値の定理より、方程式f(x)=0は解を1つもつ。
したがって、logx=ax+bが解を持たないためには、a>0でなければならない。
a>0のとき、f'(x)=0になるのはx=1/aで、このとき、f(x)は極大で、かつ、最大。
したがって、
ならば、f(x)=0は解を持たない。
よって、
が実数解を持たない条件である。
(解答終)
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