【ネムネコの無謀】 ネムネコ、あの有名問題に判別式を使わずに挑む!! [お前らに質問]
2次方程式の判別式を用いて解く、代表的な問題の一つに次の問題がある。
問題 次の関数の最大値、最小値を求めよ。
〔Ⅰ〕 y=1のとき、x=0。
〔Ⅱ〕 y≠1のとき
2次方程式①は実数解x(x≠0)を持たなければならないので、
x≠0、y≠1だから、
〔Ⅰ〕、〔Ⅱ〕より、1/3≦y≦3でなければならない。
x=−1のとき、y=3。x=1のとき、y=1/3。
したがって、
最大値 3 (x=−1のとき)
最小値 1/3 (x=1のとき)
(解答終)
たぶん、こういう風に解くんでしょう。
ところで、
おそらく、勘のいいヒトは、問題1の関数は次の性質を持っていることに気づくのではないでしょうか。
このことに気づいたヒトは、
問題の結果を利用して、直ちに、
最大値 3 (x=1のとき)
最小値 1/3 (x=−1のとき)
と求めるに違いありません。
微分積分を知らない、まだ微分積分を習っていない高校生に先の問題を出したら、数学が得意な高校生の100人中99人くらいは、まるで判を押したこのように、判別式を用いて最大値、最小値を求める解答を作るに相違ありません。
そこで、判別式や微分を使わずにこの問題を解く方法をすこし考えてみたにゃ。
まず、
と変形します。
ここで、
と置きます。
x>0のとき、相加平均≧相乗平均
②より
この結果を⑨に用いると、
x>0のとき、
x=0のとき、f(0)=1。
x<0のとき、
したがって、
最大値 3 (x=−1のとき)
最小値 1/3 (x=1のとき)
判別式、微分を使わず、解けたじゃないですか。
こういう解答がいいと言うつもりは、まったく、ないです。
それどころか、こんなその場の思いつきに左右されるような解答はダメに決まっていますが、それでも、こういう解答を作るヒトが一人くらいいてもいいじゃないですか(^^)
なお、
「ネムネコ、お前の解答はダメダメだ。てんで、話にならない。これは、こうすればもっと簡単に解ける」
という方がいらっしゃたならば、教えてください。
ただし、高校2年程度の数学の範囲内で解答を作ってください。
まっ、越えていても構いませんが・・・。
今日のアニソン、東方から『約束の君』 [今日のアニソン]
対称行列の相異なる固有値に対する固有ベクトルは直交する [線形代数の基礎]
対称行列の相異なる固有値に対する固有ベクトルは直交する
問題 2次の正方行列
は相異なる固有値をα、β(α≠β)を持つ。
αに対する固有ベクトルを、βに対する固有ベクトルをとするとき、とは直交することを示せ。
【解】
とする。
問題の条件より、
したがって、
よって、とは直交する。
ここで、
(解答終)
なお、
また、左上添字のtは転置行列をあらわす。
ととするときをAの転置行列といい、が成り立つとき、対称行列という。
したがって、は対称行列。
そして、このことから、
対称行列Aが相異なる解α、βをもつとき、αに対する固有ベクトルとβに対する固有ベクトルは互いに直交する
ことが証明された。
【ネムネコによる泥臭い解答】
(1) b=0のとき
Aの固有方程式は
問題の条件より、Aの固有値は相異なる2実根を持つので、a≠cである。
k=aのとき
よって、固有ベクトルは
k=cのとの、
よって、固有ベクトルは
したがって、とは直交する。
(2) b≠0のとき
Aの固有方程式は
この相異なる2実根をα、βとする。
k=αのとき
したがって、このときの固有ベクトルは
同様に、k=βのとき、
よって、固有ベクトルは
したがって、
よって、とは直交する。
(解答終)
(※)
の固有方程式は
(1)の解をα、βとすると、解と係数の関係より
【ddt³さんの解答】
行列Aの特性多項式=0とおいたものは、
λ^2-(a+c)λ+ac-b^2=0 (1)
だから、2次方程式の解と係数の関係より、
α+β=a+c
αβ=ac-b^2
このαを固有ベクトルの定義に代入すると、固有ベクトルx=(x₁,x₂)について連立一次方程式、
(a-α)x1+b・x2=0
b・x1+(c-α)x2=0
が成り立たなければならない。ところがα,βは(1)を満たすので、上記2式は定数倍を除いて同じ条件になる。そこで上段をとれば、
x=(-b,a-α) (2)
とできる。固有ベクトルの長さは不定だから。
同様に(1)を満たすβでも、固有ベクトルy=(y₁,y₂)について
(a-β)x₁+b・x₂=0
b・x₁+(c-β)x₂=0
なので今回は下段を取り、
y=(-(c-β),b) (3)
をとれる。(2),(3)からxとyの内積を取れば、
x・y=b(c-β)+b(a-α)
=b((c-β)+(a-α)
=b((a+c)-(α+β))
ですが、解と係数の関係より、
α+β=a+c
従って、
x・y=(a+c)-(α+β)=(a+c)-(a+c)=0
となり、xとyは直交する。
(解答終)
問題(3月4日)の解答例 [数学基礎]
問題(3月4日)の解答例
問題1 u、vを実数とし、x=u+v、y=uv、u²+uv+v²≦1の3つの式を同時に満たす点(x,y)を図示せよ。
u、vは実数で、方程式t²−xt+y=0の解であるから(註)、
よって、①と②を同時に満たすのは右図の通り。
(解答終)
(註)
u、vを解に持つ2次方程式は、解と係数の関係より、
受験数学のテクニック!!
uとvの対称性、2次方程式の解と係数の関係、そして、判別式をうまく使えますかという問題でした。
この問題は、私の記憶に間違いがなければ、あの大学の問題なので、このあとに、求めた領域の面積を求めよという問題も付いていたのではないか(^^ゞ
問題2 写像f:(x,y)→(x+y,xy)によって、円のx²+y²=1内部はどこに写されるか。
【解】
u=x+y、v=xyとおくと、xとyは実数だから、xとyを解とする2次方程式t²−ut+v=0は次の条件を満たさないといけない。
また
よって、①と②を同時に満たす領域は右図の通り。
(解答終)
あの大学が新しい問題を作り、大学入試の数学の問題として出題すると、すぐに真似をする大学が次々と出てくるようだにゃ。
問題の難易度は下がるけどさ。
――問題1にはuvという項がついたけれど、問題2ではこれに相当する項が落ちていて、楕円から単位円に変わっている!!――
どうやら、数学の大学入試のトレンドは、あの大学が作るらしい(笑)。
伝え聞くところによると、その影響力は、難関私立の中学入試にまで及ぶとか。(小学の算数の範囲で解けるように問題を変える)
そして、受験生は、なぜ、こうなるのか分からぬまま、 「こういう問題はこういう風に解くものだ」と、ひたすら、その解法を憶えることに専念し、その修練に励むのであった。
どうせお前らこんな解答(上の解答のような解答)が好きなんだろう?
xとyは実数だから、x−yも実数。
したがって、x−yの2乗は0以上!!