【ネムネコ式採点法】 2次方程式の判別式を使うと減点される!? [お前らに質問]
とある問題の解答を紹介するにゃ。
問題 関数
について、次の問に答えよ。
(1) x>0のとき、①の最小値を求めよ。
(2) ①のグラフをかけ。
(3) ①からx²−yx+1=0・・・②が得られるが、②が実数の解を持つ必要十分条件を求めよ。
【解答】
よって、x=1のとき最小値2をもつ。
(2) 右図参照。
(3) ①よりx≠0。よって、②はx=0なる解をもたない。
②の判別式D≧0より
逆も成り立つ。
(解答終)
間違いじゃないですし、どのような解答を作ろうが自由ですけれど、
(3)で2次方程式の判別式を使いますか。
この解答を見て、ネムネコは、思わず目が点になってしまったケロ。
――(1)でほとんど必要条件は求めてある。y=1+1/xのグラフが原点対称であることを使えば、x<0のとき、y≦−2という条件が出てきて、②が実数解を持つ必要条件y≦−2、y≧2が求められる。――
この問題の出題者は、(3)の解答を見たら、涙を流して悲しがると思うね。
そして、
傷心し、すっかり、やさぐれてしまった、この出題者は、「来年は、2次方程式の判別式を使って解けないようにしてやる!!」とばかりに、
次の方程式が正の解xを持つ必要十分条件を求め、求めた条件が必要十分条件であることを証明しなさい。
なお、証明には、何が証明すべき必要条件、十分条件がハッキリわかるように解答に明記しなさい。
という問題にすると思うにゃ。
だから、
あとに続くもののために判別式を使った解答をこの問題の答案に書いちゃダメだ思うにゃ。
と解いて欲しいに決まっているじゃないの。
何のために、(1)でx>0の最小値を求めさせ、(2)でグラフをかかせているのか、出題意図をまったく理解していないと思うケロ。
x≠0のとき、
と変形し、かかせたグラフを利用して、この問題を解いて欲しいに決まっているじゃないの。
なんで、わざわざ、x²−yx+1=0とxの係数をyのままにしているのか、読み取るべきだにゃ。
ネムネコが思うに、この問題の出題者は、とても心の優しいヒトとだと思うにゃ。
(1)で相加平均≧相乗平均を思いつかないヒトでも、
(2)でグラフをかけば、自然と、最小値がいくつであるか気づくだろう。((1,2)くらいはプロットするにゃ)
そうすれば、
相乗平均、相加平均を知らなくても、
x>0のとき、
が成り立つことから、x=1のときy=2という最小値になることを示すことができるだろう
とお考えになられ、この問題を出題されたに違いないケロ。
なのに、
この親切心を踏みにじるかのようなこの解答。
このような暴挙が、果たして、許されてよいのであろうか(^^ゞ
ネムネコが、出題者&採点者であったならば、この答案を見た瞬間に烈火の如く怒りだし、採点の鬼と化して、(3)の答案の重箱突きをし、難癖をつけては、減点しまくったに違いない!!
「逆も成り立つとは何事だぁ!オレは逆も成り立つことを(グラフを使って)示せってんだよ。なめてんのか、オメェ〜!!」
決して踏んではならない虎(ネコ?)の尾を踏んだんだから、当然の報いだにゃ。
とはいえ、
心優しいネムネコは、鬼にはなりきれず、判別式を使った(3)のような解答であっても、大目に見て、10点満点ならば3.5点くらいならあげてもいい。しかし、これがネムネコの最大限の譲歩。これ以上は無理。
グラフを用いた答案の場合、間違っていたら、さすがに満点はあげられないけれど、それでも部分点はしっかりとつけてやるね。この学生の利益になるように、「きっとこういうことを言いたいのだな」と、最大限、善意に解釈するケロ。答えがあっていたら、多少の難には目をつぶって、満点だにゃ(^^)
反実仮想(笑)。
ワンポイントゼミ 行列の対角化 [線形代数の基礎]
ワンポイントゼミ 行列の対角化
2次の正方行列の相異なる固有値をα、β、そして、α、βに対応する固有ベクトルをとする。
固有値と固有ベクトルの定義より、
これを1つの行列であらわすと、
となる。
は相異なるα、βに対応する固有ベクトルなので、互いに一次独立である。
したがって、
とおくと、行列Pの行列式|P|≠0であり、Pは逆行列P⁻¹をもつ。
よって、
つまり、
このように行列の固有ベクトルを用いて、対角行列を作ることを行列の対角化という。
2次の正方行列について述べたが、Aをn次の正方行列とし、その相異なるn個の固有値を、これに対応する固有ベクトルをとし、
とすると、
と、行列の対角化を行うことができる。
また、(1)より、
同様にして、
が成り立ち、
(5)式を用いて、を求めることができる。
を求めるだけならば、
同様に、
したがって、
とした方がスッキリしていますが・・・。
問題 とするとき、次の問に答えよ。
(1) Aの固有値、固有ベクトルを求めよ。
(2) を求めよ。
(3) 次の漸化式で与えられる数列の一般項を求めよ。
【解】
(1) Aの固有方程式は
k=1に対応する固有ベクトルは
k=5に対応する固有ベクトルは
(2) とおくと、
よって、
(3) この漸化式は行列を用いると、
と表すことができる。
したがって、
よって、
である。
(解答終)
行列を用いれば、(3)の連立漸化式の一般項も求められるという話。