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ワンポイントゼミ 行列の対角化 [線形代数の基礎]

ワンポイントゼミ 行列の対角化

 

2次の正方行列の相異なる固有値をαβ、そして、αβに対応する固有ベクトルをとする。

固有値と固有ベクトルの定義より、

  

これを1つの行列であらわすと、

  

となる。

は相異なるαβに対応する固有ベクトルなので、互いに一次独立である。

したがって、

  

とおくと、行列Pの行列式|P|≠0であり、Pは逆行列P⁻¹をもつ。

よって、

  taikaku-002.png

つまり、

  taikaku-001.png

このように行列の固有ベクトルを用いて、対角行列を作ることを行列の対角化という。

 

2次の正方行列について述べたが、An次の正方行列とし、その相異なるn個の固有値を、これに対応する固有ベクトルをとし、

  

とすると、

  taikaku-003.png

と、行列の対角化を行うことができる。

 

また、(1)より、

  

同様にして、

  taikaku-009.png

が成り立ち、

  

(5)式を用いて、を求めることができる。

 

を求めるだけならば、

  

同様に、

  

したがって、

  taikaku-004.png

とした方がスッキリしていますが・・・。

 

問題 とするとき、次の問に答えよ。

(1) Aの固有値、固有ベクトルを求めよ。

(2) を求めよ。

(3) 次の漸化式で与えられる数列の一般項を求めよ。

  

【解】

(1) Aの固有方程式は

  

k=1に対応する固有ベクトルは

  

k=5に対応する固有ベクトルは

  

 

(2) とおくと、

  

よって、

  

 

(3) この漸化式は行列を用いると、

  

と表すことができる。

したがって、

  

よって、

  

である。

(解答終)

 

行列を用いれば、(3)の連立漸化式の一般項も求められるという話。

 

 

さらなる高みを目指して

 

問題2 である、を求めよ。

【解】

と考えると、

  

したがって、

  

行列の固有値は

  

k=3に対する固有ベクトルは

  

k=1に対する固有ベクトルは

  

したがって、

  

と対角化可能。

  

よって、

  

(解答終)

 

と、行列とその対角化をもちいて、わざわざ難しくして解くことも可能!!

 

 

宿題 行列を用いて、であるを求めよ。

 

ヒトによっては、この問題は超難問かもしれませんね〜。

鶴亀算で簡単に解ける問題を、1次方程式→2元1次連立方程式→行列式→行列といった具合に、問題を難しくして解くのが数学(の歴史)です(^^)

 

ヒントを出そうかと思いましたが、この問題はノーヒントで。

そして、地獄を見てください。

 

 

あるヒトは、

 

【名(迷)解答】

漸化式

  

の固有方程式と固有値は、

  

したがって、

  

ここで、

  

とおけば、

  

したがって、

  

【名(迷)解答終】

 

と解くかもしれません。

「これだから、⑨の奴らは・・・」と⑨未満のお利口さんは笑うかもしれない。

しかし、オレは絶対に笑わない。

 

「すぐには解けないかもしれない」ていいんだよ。自分の頭で考え、とにかく、いまの自分でできるところまで、とことん、やってみるってことが大切なんだよ。

そして、その後、この漸化式をうまく行列で表現し、固有値、固有ベクトル、行列の対角化をうまく行えた時、「これって、ひょっとして、これと同じことをやっているんじゃないか」と思うはず。

 

皆さんのぶっ飛んだ宿題の回答を、心より、お待ちしております(^^)

 




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