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対称行列の相異なる固有値に対する固有ベクトルは直交する [線形代数の基礎]

対称行列の相異なる固有値に対する固有ベクトルは直交する

 

問題 2次の正方行列

 

は相異なる固有値をαβα≠β)を持つ。

αに対する固有ベクトルをβに対する固有ベクトルをとするとき、は直交することを示せ。

 

【解】

とする。

問題の条件より、

  

したがって、

  kaito-001.png

よって、は直交する。

ここで、

  

(解答終)

 

なお、

  kaito-002.png

また、左上添字のtは転置行列をあらわす。

 

kaito-003.pngkaito-004.pngとするときをAの転置行列といい、が成り立つとき、対称行列という。

したがって、は対称行列。

そして、このことから、

対称行列Aが相異なる解αβをもつとき、αに対する固有ベクトルとβに対する固有ベクトルは互いに直交する

ことが証明された。

 

 

【ネムネコによる泥臭い解答】

(1) b=0のとき

Aの固有方程式は

  kaito-005.png

問題の条件より、Aの固有値は相異なる2実根を持つので、a≠cである。

k=aのとき

  kaito-006.png

よって、固有ベクトル

  

k=cのとの、

  kaito-007.png

よって、固有ベクトル

  

したがって、は直交する。

  

(2) b≠0のとき

Aの固有方程式は

この相異なる2実根をαβとする。

k=αのとき

  kaito-008.png

したがって、このときの固有ベクトル

  

 

同様に、k=βのとき、

  

よって、固有ベクトル

  

 

したがって、

  

よって、は直交する。

(解答終)

 

(※)

の固有方程式は

  kaito-010.png

(1)の解をαβとすると、解と係数の関係より

  

 

 

ddt³さんの解答】

行列Aの特性多項式=0とおいたものは、

  λ^2(ac)λacb^20   (1)

だから、2次方程式の解と係数の関係より、

  αβac

  αβacb^2

 このαを固有ベクトルの定義に代入すると、固有ベクトルx(x₁x₂)について連立一次方程式、

  (aα)x1bx20

  bx1(cα)x20

が成り立たなければならない。ところがαβ(1)を満たすので、上記2式は定数倍を除いて同じ条件になる。そこで上段をとれば、

  x(baα)   (2)

とできる。固有ベクトルの長さは不定だから。

 同様に(1)を満たすβでも、固有ベクトルy(y₁y₂)について

  (aβ)x₁bx₂0

  bx₁(cβ)x₂0

なので今回は下段を取り、

  y((cβ)b)   (3)

をとれる。(2)(3)からxyの内積を取れば、

  xyb(cβ)b(aα)

b((cβ)(aα)

b((ac)β))

ですが、解と係数の関係より、

  αβac

従って、

  xy(ac)β)(ac)(ac)0

となり、xyは直交する。

(解答終)

 

 


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