お前らに問題(7月21日) 位相 [お前らに質問]
お前らに問題(7月21日) 位相
Xを空でない集合とする。
(1) O={∅,X}とおくと、OはXの上の位相となる。これをXの密着位相という。
(2) OをXの冪(べき)集合、すなわち、とおくと、OはXの上の位相となる。これをXの離散位相という。
ここで、記号∅は空集合をあらわす。
さて、とすると、Xの冪集合は
である。
ここで、とおけば、OはXの(離散)位相となる。
何故ならば、
という、位相の条件を満たしているからだ。
そして、このことから、Xの冪集合のすべての元(Xのすべての部分集合)は位相空間〈X,O〉の開集合(以降、開集合と略記)になる。
では、ここで、お前らに質問。
問題
OをX={1,2,3}の冪集合とするとき、OはXの位相となる。
このとき、Oの元、つまり、Xの部分集合は、すべて開集合であると同時に閉集合であることを示せ。
Oを整数全体の集合Zの冪集合とするときはどうか答えよ。
こんなのは簡単だという奴は、
X={1,2,3}の相異なる2つの元x、yは、互いに交わらない開集合U、Vを用いて、x∈U、y∈Vとできる、つまり、分離できることを示せ。
要するに、X={1,2,3}のとき、位相空間がハウスドルフ空間(Hausdorff Space)、分離空間であることを示せってんだ。
これもチョロいという奴は、次の問いにチャレンジする。
問 ハウスドルフ空間の一点集合はつねに閉集合であることを示せ。
自分の頭の⑨ぶりに絶望するといいにゃ(^^)
そして、ネムネコに
なんと心地良い調べか♪
念の為に、閉集合の定義は、次の通り。
〈X,O〉を位相空間とする。集合Xの部分集合Aは、その補集合が開集合であるとき、閉集合という。
今日のアニソン、ボカロから『ゴーストルール』 [今日のアニソン]
ddt³さんの解答と位相の話を少し [数学基礎]
このブログの共同執筆者のひとりであるddt³さんから、ddt³さん提出の次の問題(7月18日)の回答をいただいたので、これを紹介することにする。
位相をかじってると次のようになります。ただし我慢して定義の連続を読む必要はありますが(^^;)、頭の体操です。
[分離空間の定義]
Xを位相空間とする(位相空間の定義を読む)。
x,y∈Xかつx≠yについて、共通分が空となるxの近傍とyの近傍がある(位相空間の近傍の定義を読む)。
Xを集合,x∈Xとして、(x,x)の形の点全体の集合を、積集合X×Xの対角集合Δと言います。
[定理-1]
Xが分離位相 ⇔ X×XでΔは閉。
[証明]
省略。でも定義だけから示せます。
必要な定義:
分離空間の定義。位相空間の開集合,閉集合,近傍の定義。
[証明終]
[定理-2]
Xを位相空間,Yを分離空間、f,g:X→Yかつ連続とする。f(x)=g(x)となるxの全体Dは、Xで閉。
[証明]
h:X→Y×Yで、x→(f(x),g(x))の形のものを考える。
f,g:X→Yは連続だから、hも連続(積写像と連続写像の定義とそれから導かれる性質)。
Dは、Y×Yの対角集合Δのhによる逆像に一致する。Δは[定理-1]より閉集合なので、連続関数の性質からDは閉。
※もちろんE={(p,q)|f(x)=g(x)となる(p,q)=(f(x),g(x))}は、一般にΔと一致しません。しかしhの定義から、
h(D)=E∩Δ⊂Δ
になるので、特にDの定義から、
D=h^(-1)(E∩Δ)=h^(-1)(Δ)
です。本当は証明すべきですが。
[証明終]
[系-1(等式延長の原理)]
f,g:X→Yかつ連続、Xを位相空間,Yを分離空間とする。
A⊂XがXで密とすれば、A上でf=gならXでf=g。
[証明]
1) Dを[定理-2]の集合とすれば、A⊂D(逆像の定義と性質)。またDは閉集合。
密空間(稠密空間)の定義から、Aの閉包をA’として、
2) 1)からA’⊂D。Dが閉である事と閉集合の定義。
3) A’=X。密空間の定義。
2),3)より、D⊂X=A’⊂Dなので、D=X。
[証明終]
ネムネコの補足
位相の定義を上げると、たとえば、次のようになる。
空でない集合Xに対し、Xの部分集合の集合O(Xのべき集合の部分集合)が
をみたすとき、OをX上の位相、XとOの組〈X, O〉を位相空間という。
さらに、位相空間〈X, O〉の開集合、閉集合、近傍などの用語説明。
位相空間〈X, O〉に対して、
1 Oの元(要素)を開集合という
2 Xの部分集合Aは、その補集合が開集合であるとき、閉集合という。
3 x∈XとXの部分集合Vに対して、x∈U⊂Vとなる開集合Uが存在するとき、Vはxの近傍であるという。
この定義から、Xの補集合は空集合∅、そして、空集合∅の補集合はXだから、Xと∅は、開集合であると同時に閉集合になる。
Xと∅以外に、開集合かつ閉集合である集合が存在しないとき、位相空間〈X, O〉は連結であるという。
そして、分離空間とは、Xの相異なる2点がつねに交わらない2つの開集合によって分離できるハウスドルフ空間のこと。
さらに、分離の定義。
〈X, O〉を位相とする。
Xの相異なる2点a、bが、互いに交わらないXの開集合A、Bで、a∈A、b∈Bとなるものが存在するとき、開集合によって分離されるという。
実数全体の集合Rと、その部分集合である開区間I(条件a<x<bを満たす集合)は、この上の性質を全て有している。
こんなことは知らなくていいことですが、
位相にはT₀、T₁、T₂、T₃、T₄の5種類ほどの分離のタイプがあって、この分離は3番目のもので、これを満たすものをT₂空間と呼ぶことがある。
そして、普通、位相で分離といったら、3番目のものをいう。
というこどで、ハウスドルフ空間といったら、実数全体の集合R、数直線をイメージすれば、大体、間違いがない。
たとえば、a<bのとき、
とすれば、
A⊂R、B⊂R、A∩B=∅、a∈A、b∈B
という条件を満たすので、aとbは交わらない2つの開集合A、B(開区間)で分離できる。
そして、このことから、〈R, O〉はハウスドルフ空間であることを示すことができる。
だって、x≠yのとき、xとyの小さい方をa、大きい方をbをおけばいいのだから。
とを位相空間、とする。
1 すべてのYの開集合Gに対し、Gのfの逆写像の像がXの開集合であるとき、fはからへの連続写像という。
2 Xの元xに対して、f(x)のYにおける近傍Vのfによる逆像がxのXにおける近傍になっているとき、fはxで連続であるという。
で、Xのすべての点xでfで連続であることと、が連続であることと同値である。
そして、次の定理(?)。
定理(?)
〈R, O〉を実数直線とする。関数f:R→Rが連続であることと、
を満たすことは同値である。
変分原理(最小作用の原理)とラグランジュの方程式 [ねこ騙し物理]
変分原理(最小作用の原理)とラグランジュの方程式
変分原理(最小作用の原理)を用いて、ラグランジュの方程式を導こうという話。
ラグランジアンが与えられたとき、
を作用積分という。
ここで、x(t)とをそれぞれと少しだけ変えると、作用積分も
と変化する。
に注目し、δx(t₁)=δx(t₂)=0と端点を固定し、被積分関数の第2項を部分積分すると、
これを(2)式に代入すると、
となる。
(3)の括弧の中身=0は、ラグランジュの方程式、
になっており、ラグランジュの方程式は作用積分Iの停留条件(極大、極小の必要条件)δI=0になっている。
そして、
を汎関数微分と呼んだりする。
書いただけだにゃ。
このあたりの話を(数学的に)キチンとしようと思ったら、関数解析などの知識が必要になり、ねこ騙し数学の現在のレベルを超えてしまうので、匂いだけ味わって欲しいにゃ。
解析力学の教科書などには、
だから、δI=0であるためには
でなければならない、
――(6)をオイラー・ラグランジュの方程式という――
と、さり気なく書いてあるものがあるが・・・。
読み物としては、琉球大学のここ↓などが面白いケロよ。
お前らに問題(7月20日) 物理・力学 [ねこ騙し物理]
お前らに問題(7月20日) 物理・力学
物理的な微分方程式の大学入試問題の「振り子の運動方程式」のところで書いたのだけれど、力学的エネルギーEが保存される系、1次元の運動の場合、エネルギーE=一定の条件、すなわち、
から、その運動の方程式を導くことができる。
ということで、お前ら、次の問題を解くにゃ。
問題 力学エネルギーの和が
であるとき、(1)を用いて、この運動の方程式を導け。
ただし、m(質量)、k(バネ定数)は定数とする。
ところで、ばねの振動(1次元調和振動子の代表例)のラグランジアンLは
で与えられる。
(3)式の右辺第1項は運動エネルギーで、第2項はばねの位置エネルギー(ポテンシャルエネルギー)。
で、
とおくと、(3)式は
と書き換えられる。
そして、
という新たな量(ハミルトニアン)を新たに設けると――ルジャンドル変換すると――、
となり、この場合、運動エネルギーと位置エネルギーの和、つまり、力学エネルギーの和EはハミルトニアンHになるんだケロよ。
だから、この場合、(1)は、
と書いてもいいんだにゃ。
なお、この場合、ハミルトニアンHは
と書き換えることもできる。
さらに、
とおき、(6)を根拠に
とし、さらにψなる謎の量を導入し、
とすると、
という微分方程式を得ることができる。
この微分方程式(10)は何かといえば、1次元調和振動子の(時間を含まない)シュレディンガーの方程式だ!!
なお、hはプランク定数、iは虚数単位。
解析力学を橋渡しとして、
ニュートンの力学から一気に量子力学のシュレディンガーの方程式まで到達してしまった!!
電子などのミクロなモノ(?)は、粒子としての性質(粒子性)と波としての性質(波動性)を同時に併せ持つ、なんて哲学的、形而上学的な議論なんてどうでもいいにゃ。
この数学的形式こそすべてだにゃ。
――ねこ騙し数学は、物理のブログではなく、数学のブログだから(笑い)――
今日のアニソン、「獣の奏者エリン」から『夜明けの鳥』 [今日のアニソン]
これよりも音程が怪しい有名なプロ歌手がいっぱいいるから、これくらい歌えれば十分なのかもしれないけれど、ネムネコはクラシックもよく聞いているので、どうしてもこういうところが気になってしまう。でも、最近の(女性の)声優さんは、昔の声優さんと違って歌って踊れるにゃ。そして、生半のプロの歌手よりも歌がうまかったりするよね♪
ラグランジュの運動方程式のことなど [ねこ騙し物理]
ラグランジュの運動方程式のことなど
ラグランジュの運動方程式では、運動エネルギーTとポテンシャルエネルギーVを用い、まず、ラグランジアンL(Laglangian)を
と定義する。
1次元の調和振動の場合、運動エネルギーTは
ポテンシャルエネルギーVは
となるので、ラグランジアンLは
となる。
ここで、
さてさて、(1)をで偏微分すると、
である。
(2)式の右辺は、質量×速度だから運動量。
そして、(2)をを時刻tで微分すると、
になる。
これは、質量×加速度だから、ニュートンの運動方程式
の右辺に等しいので、
と書くことができる。
一方、ポテンシャルと(保存)力fの間には、
という関係がある。
また、1次元調和振動の場合、運動エネルギーTはxを陽の変数として持たない関数なので、
よって、
これと、(5)、(6)式から、
という方程式を得ることができる。
この方程式(7)をラグランジュの(運動)方程式という。
問 のとき、ラグランジュの方程式を用いて、1次元調和振動子の運動方程式
を求めよ。
【略解】
これをオイラーの方程式(7)に代入すると、
(解答終)
単振り子の場合、運動エネルギーTは
ポテンシャルエネルギーVは
だから、ラグランジアンは
になる。
このとき、ラグランジュの方程式は
となり、また、
となるので、これを代入すると、
すなわち、
という単振りの子の運動方程式を得ることができる。
ラグランジュの方程式は、2次元、3次元、さらに、それ以上のn次元に拡張することができる。
そして、n次元のラグランジュの方程式は、
である。
たとえば、2次元調和振動の場合、運動エネルギーTは
であり、ポテンシャルエネルギーVは
になるので、ラグランジアンLは
である。
そして、このとき、ラグランジュの方程式は
である。
だから、これを①に代入すると、
また、
であり、これを②に代入すると、
になる。
さらに、質量Mの太陽のまわりを回る質量mの惑星の場合、ラグランジアンLは
ここで、Gは重力定数。
そして、この場合のラグランジュの方程式は、
である。
これを④に代入すると、
また、
これを⑤に代入すると、
よって、太陽のまわりを回転する惑星の運動方程式は
である。
⑥の第2項は遠心力で、⑦の第2項のがコリオリの力(もどき)。
この2つの力は、2次元のデカルト直交座標系で書かれたニュートンの運動方程式を極座標系のそれに変換するときにあらわれる見かけ上の力、つまり、運動方程式の座標変換にともなって現れる慣性力なんだケロ。
また、⑦の両辺を質量mで割ると、
これは、ケプラーの法則の面積速度一定の法則、つまり、角運動量保存則をあらわしている。
2次元のデカルト直交座標でかかれたニュートンの運動方程式を極座標のそれに書き換えるのは、結構、面倒くさい。
しかし、ラグランジアンLとラグランジュの(運動)方程式を用いると、簡単に求めることができる。
何故、簡単に求められるかといえば、ラグランジアンが、方向をもたず、大きさだけを持つ量、すなわち、スカラーだからだにゃ。スカラーは、大きさと方向をもつ量であるベクトルより計算がずっと楽になる。。
のみならず、相対性理論、量子力学への拡張も可能なんだケロよ。
今日のアニソン、ボカロから『アンチクロロベンゼン』 [今日のアニソン]
物理的な微分方程式の大学入試問題 [高校の微分積分]
物理的な微分方程式の大学入試問題
ねこ騙し数学では、物理学の力学の話題で盛り上がっているので、大昔の大学入試で出題された、微分方程式の力学的な問題を紹介することにする。
問題 x軸上を運動している点があって、時刻tにおける店の座標zが
(1) 運動の速度をとすると、v²+ω²x²は一定であることを示せ。
(2) 微分方程式①の解をx=f(t)とするとき、f(0)=a、f'(0)=bとなるような関数f(t)があるとすれば、それはただ1つであることを示せ。
(3) 任意の実数A、Bに対して
が①の解となるように、定数kの値を定めよ。また、それを利用して、f(0)=a、f'(0)=bとなるような運動の式x=f(t)を定めよ。
【解答例】
(1)
これを①式に代入すると、
よって、v²+ω²x²は一定である。
(2) x₁=f₁(t)、x₂=f₂(t)を①の解とすると、
となるので、も微分方程式①の解となり、
(1)より、x²+ω²x²は一定だから、
f(t)=f₁(t)−f₂(t)=0だから、f₁(t)=f₂(t)となり、解は1つである。
(3) とすると、
だから、k=ωとすれば、
を満足する。
そこで、とおくと、
問題の条件より、だから、
よって、ω≠0のとき
ω=0のとき、微分方程式①は
となり、f(0)=a、f'(0)=bとなるようにC₁、C₂を定めると、C₁=b、C₂=a。
よって、
(解答終)
この問題の(1)は、物理では次のように解くのが主流派。
【(1)の別解】
運動方程式
の両辺にvをかけると、
(別解終)
運動方程式の両辺に速度vをかけて、その積分を求める操作を、物理のほうではエネルギー積分と呼んだりする。
――数学的にいうと、は、運動方程式①の積分因子――
そして、(1)は、(力学的)エネルギー保存則を表している。
というのは、⑨の両辺にm/2(mは質点の質量)をかけると、
となるからだにゃ。
上の式の第1項のは運動エネルギー、第2項のは(1次元の)調和振動子の位置エネルギー(ポテンシャルエネルギー)を表していて、上の式は運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和は一定、時刻tによらず不変であること、つまり、(力学的)エネルギーが保存されることを表している。
そして、(2)は、エネルギー保存則を用いて、微分方程式①の初期値問題の解が1つに定まることを示している。
この大学入試問題は、範囲逸脱の感が強くて、大学入試問題としてはどうかという気がするけれど、奥深い内容を含んだ問題である。
また、バネ定数kのバネに質量mの物体がつけられ、単振動するとき、運動方程式は
となるので、
この方程式と①を比較することにより、
であることがわかる。このωを角速度、角振動数という。
問題の(3)より、初期条件x(0)=a、x'(0)=bを満たす解は
であり、これは2π/ωを周期にもつ周期関数。
したがって、微分方程式②の解、すなわち、バネ定数kのバネの単振動(ばね振り子)の周期Tは
であることがわかる。
お前らに確率の問題!! [お前らに質問]
お前らに確率の問題!!
問題
豊島の対羽生の勝率を2/3とする。
そして、豊島が羽生が持つタイトル◯◯戦の挑戦手合7番勝負することになった。
このとき、豊島が羽生◯◯からタイトルを奪取する確率を求めよ。
(ヒント)
豊島が4連勝でタイトルを奪取する確率P₀は、
4勝1敗でタイトルを奪取するときは、4局目が終了した時点で豊島が3勝1敗で、5局目に豊島が勝つ場合なので、この確率をP₁とすると、
4勝2敗でタイトルを奪取するときは、5局目が終了した時点で豊島が3勝2敗で、6局目に豊島が勝つ場合なので、この確率をP₂とすると、
4勝3敗でタイトルを奪取するときは・・・、この確率をP₃とすると、
・・・・
よって、豊島がタイトルを奪取する確率は
(参考) 独立試行の確率
1回の施行で事象Aが起きる確率がpのとき、
n回の独立試行中で事象Aがr回起きる確率は
である。
ちなみに、4勝1敗で、豊島がタイトルを獲得する確率は、
ではなく、
だにゃ。
お前らこの確率を計算して、ネムネコにその値を教えるにゃ。
言っておくけれど、(ヒント)は間違っているかもしれないケロよ(^^)
羽生がタイトルを防衛できる確率は、たぶん、3割を割っていると思うケロよ。
だから、羽生ファンは、「豊島、竜王戦の挑戦者決定トーナメントに負けろ」と呪いをかけるしかないと思うにゃ。豊島が挑戦者になってしまったら、おそらく、羽生は2勝4敗で竜王位を失ってしまう。