今日のクラシック、アーサー・サリヴァン作曲 交響曲ホ長調『アイリッシュ』 [今日のクラシック]
そして、第4楽章は、再び、メンデルスゾーン的になり、この作曲家の独自性、個性といったものを感じることができなかった。
シューマン、シューベルトの影響を指摘する音楽評論家、研究者もいるようですが、 全体的に、アーサー・サリバンの交響曲は劣化版メンデルスゾーンといった感じ。しかも、作曲の様式も初期ロマン派の枠内にとどまっていて、サリヴァンが生きていた時代からしても、既に時代遅れの音楽だよね〜。
サリヴァンの交響曲『アイリッシュ』が発表されたのは1866年で、これとほぼ同時期の1865年にドヴォルザークは習作臭の強い交響曲第2番(1865年)を作曲しているので、この2曲をあわせて聞いてみると面白いのかもしれない。
『アイリッシュ』はサリヴァンが20代前半の曲であり、後に花開く才能の片鱗は十分に窺えるが、有名な大作曲家・ドヴォルザークもこの年齢のときにはこの程度の曲――作曲約20年後の1887〜1888年に、冗漫な箇所を削除するなど改訂。それでもまだ冗漫で、唐突感のある箇所が多数存在し、ごった煮感が強い――しか作れなかったのだから、『アイリッシュ』一曲をもって、作曲家サリヴァンを評価してはいけないのだろう。
衣装以外、日本的な要素はありませんが、オペレッタというよりもミュージカルに近いので、見やすい、聴きやすい動画ですよ。
お前らに問題(7月21日) 位相 [お前らに質問]
お前らに問題(7月21日) 位相
Xを空でない集合とする。
(1) O={∅,X}とおくと、OはXの上の位相となる。これをXの密着位相という。
(2) OをXの冪(べき)集合、すなわち、とおくと、OはXの上の位相となる。これをXの離散位相という。
ここで、記号∅は空集合をあらわす。
さて、とすると、Xの冪集合は
である。
ここで、とおけば、OはXの(離散)位相となる。
何故ならば、
という、位相の条件を満たしているからだ。
そして、このことから、Xの冪集合のすべての元(Xのすべての部分集合)は位相空間〈X,O〉の開集合(以降、開集合と略記)になる。
では、ここで、お前らに質問。
問題
OをX={1,2,3}の冪集合とするとき、OはXの位相となる。
このとき、Oの元、つまり、Xの部分集合は、すべて開集合であると同時に閉集合であることを示せ。
Oを整数全体の集合Zの冪集合とするときはどうか答えよ。
こんなのは簡単だという奴は、
X={1,2,3}の相異なる2つの元x、yは、互いに交わらない開集合U、Vを用いて、x∈U、y∈Vとできる、つまり、分離できることを示せ。
要するに、X={1,2,3}のとき、位相空間がハウスドルフ空間(Hausdorff Space)、分離空間であることを示せってんだ。
これもチョロいという奴は、次の問いにチャレンジする。
問 ハウスドルフ空間の一点集合はつねに閉集合であることを示せ。
自分の頭の⑨ぶりに絶望するといいにゃ(^^)
そして、ネムネコに
なんと心地良い調べか♪
念の為に、閉集合の定義は、次の通り。
〈X,O〉を位相空間とする。集合Xの部分集合Aは、その補集合が開集合であるとき、閉集合という。
今日のアニソン、ボカロから『ゴーストルール』 [今日のアニソン]
ddt³さんの解答と位相の話を少し [数学基礎]
このブログの共同執筆者のひとりであるddt³さんから、ddt³さん提出の次の問題(7月18日)の回答をいただいたので、これを紹介することにする。
位相をかじってると次のようになります。ただし我慢して定義の連続を読む必要はありますが(^^;)、頭の体操です。
[分離空間の定義]
Xを位相空間とする(位相空間の定義を読む)。
x,y∈Xかつx≠yについて、共通分が空となるxの近傍とyの近傍がある(位相空間の近傍の定義を読む)。
Xを集合,x∈Xとして、(x,x)の形の点全体の集合を、積集合X×Xの対角集合Δと言います。
[定理-1]
Xが分離位相 ⇔ X×XでΔは閉。
[証明]
省略。でも定義だけから示せます。
必要な定義:
分離空間の定義。位相空間の開集合,閉集合,近傍の定義。
[証明終]
[定理-2]
Xを位相空間,Yを分離空間、f,g:X→Yかつ連続とする。f(x)=g(x)となるxの全体Dは、Xで閉。
[証明]
h:X→Y×Yで、x→(f(x),g(x))の形のものを考える。
f,g:X→Yは連続だから、hも連続(積写像と連続写像の定義とそれから導かれる性質)。
Dは、Y×Yの対角集合Δのhによる逆像に一致する。Δは[定理-1]より閉集合なので、連続関数の性質からDは閉。
※もちろんE={(p,q)|f(x)=g(x)となる(p,q)=(f(x),g(x))}は、一般にΔと一致しません。しかしhの定義から、
h(D)=E∩Δ⊂Δ
になるので、特にDの定義から、
D=h^(-1)(E∩Δ)=h^(-1)(Δ)
です。本当は証明すべきですが。
[証明終]
[系-1(等式延長の原理)]
f,g:X→Yかつ連続、Xを位相空間,Yを分離空間とする。
A⊂XがXで密とすれば、A上でf=gならXでf=g。
[証明]
1) Dを[定理-2]の集合とすれば、A⊂D(逆像の定義と性質)。またDは閉集合。
密空間(稠密空間)の定義から、Aの閉包をA’として、
2) 1)からA’⊂D。Dが閉である事と閉集合の定義。
3) A’=X。密空間の定義。
2),3)より、D⊂X=A’⊂Dなので、D=X。
[証明終]
ネムネコの補足
位相の定義を上げると、たとえば、次のようになる。
空でない集合Xに対し、Xの部分集合の集合O(Xのべき集合の部分集合)が
をみたすとき、OをX上の位相、XとOの組〈X, O〉を位相空間という。
さらに、位相空間〈X, O〉の開集合、閉集合、近傍などの用語説明。
位相空間〈X, O〉に対して、
1 Oの元(要素)を開集合という
2 Xの部分集合Aは、その補集合が開集合であるとき、閉集合という。
3 x∈XとXの部分集合Vに対して、x∈U⊂Vとなる開集合Uが存在するとき、Vはxの近傍であるという。
この定義から、Xの補集合は空集合∅、そして、空集合∅の補集合はXだから、Xと∅は、開集合であると同時に閉集合になる。
Xと∅以外に、開集合かつ閉集合である集合が存在しないとき、位相空間〈X, O〉は連結であるという。
そして、分離空間とは、Xの相異なる2点がつねに交わらない2つの開集合によって分離できるハウスドルフ空間のこと。
さらに、分離の定義。
〈X, O〉を位相とする。
Xの相異なる2点a、bが、互いに交わらないXの開集合A、Bで、a∈A、b∈Bとなるものが存在するとき、開集合によって分離されるという。
実数全体の集合Rと、その部分集合である開区間I(条件a<x<bを満たす集合)は、この上の性質を全て有している。
こんなことは知らなくていいことですが、
位相にはT₀、T₁、T₂、T₃、T₄の5種類ほどの分離のタイプがあって、この分離は3番目のもので、これを満たすものをT₂空間と呼ぶことがある。
そして、普通、位相で分離といったら、3番目のものをいう。
というこどで、ハウスドルフ空間といったら、実数全体の集合R、数直線をイメージすれば、大体、間違いがない。
たとえば、a<bのとき、
とすれば、
A⊂R、B⊂R、A∩B=∅、a∈A、b∈B
という条件を満たすので、aとbは交わらない2つの開集合A、B(開区間)で分離できる。
そして、このことから、〈R, O〉はハウスドルフ空間であることを示すことができる。
だって、x≠yのとき、xとyの小さい方をa、大きい方をbをおけばいいのだから。
とを位相空間、とする。
1 すべてのYの開集合Gに対し、Gのfの逆写像の像がXの開集合であるとき、fはからへの連続写像という。
2 Xの元xに対して、f(x)のYにおける近傍Vのfによる逆像がxのXにおける近傍になっているとき、fはxで連続であるという。
で、Xのすべての点xでfで連続であることと、が連続であることと同値である。
そして、次の定理(?)。
定理(?)
〈R, O〉を実数直線とする。関数f:R→Rが連続であることと、
を満たすことは同値である。
変分原理(最小作用の原理)とラグランジュの方程式 [ねこ騙し物理]
変分原理(最小作用の原理)とラグランジュの方程式
変分原理(最小作用の原理)を用いて、ラグランジュの方程式を導こうという話。
ラグランジアンが与えられたとき、
を作用積分という。
ここで、x(t)とをそれぞれと少しだけ変えると、作用積分も
と変化する。
に注目し、δx(t₁)=δx(t₂)=0と端点を固定し、被積分関数の第2項を部分積分すると、
これを(2)式に代入すると、
となる。
(3)の括弧の中身=0は、ラグランジュの方程式、
になっており、ラグランジュの方程式は作用積分Iの停留条件(極大、極小の必要条件)δI=0になっている。
そして、
を汎関数微分と呼んだりする。
書いただけだにゃ。
このあたりの話を(数学的に)キチンとしようと思ったら、関数解析などの知識が必要になり、ねこ騙し数学の現在のレベルを超えてしまうので、匂いだけ味わって欲しいにゃ。
解析力学の教科書などには、
だから、δI=0であるためには
でなければならない、
――(6)をオイラー・ラグランジュの方程式という――
と、さり気なく書いてあるものがあるが・・・。
読み物としては、琉球大学のここ↓などが面白いケロよ。