今日のクラシック、シベリウス作曲『レンミンカイネン組曲(4つの伝説)』 [今日のクラシック]
――7つの交響曲、ヴァイオリン協奏曲など有名どころは一通り聞いたけれど、実は、シベリウスの曲はあまり好きじゃない!!これは好みの問題だからしょうがない(^^ゞ――
第1曲の『レンミンカイネンと島の乙女たち』は、全4曲の中でも最もワーグナー的な作品です。ワーグナーの音楽の特徴を言うときによく使われる言葉に「無限旋律」というものがあります。これは、ワーグナー以前の古典派的な音楽における旋律は、決まった長さの楽節を規則正しくつなぎ、一定の箇所で終始させ、音楽の各部分の区切りがはっきり認識できるような構造にするものであったのに対し、どこまでも無限に紡ぎ続けていく旋律ということで、まさに後期ロマン派の音楽の特徴と言えるものです。シベリウスのこの作品でも、特にクライマックスへ向かう箇所では、限られたモティーフを有機的につなぎ合わせながら、息の長い、緊張感に満ちた音楽を作り出しています。和音の処理についても同様で、不協和音はすぐには協和音に解決せず、さまようように転調を重ねながら、重厚なドラマを描き出していきます。練りに練られた作品だけあって、この曲の緻密さと説得力、迫力にはただならぬものがあり、疑いなく名曲中の名曲と言ってよいでしょう。比較するとすれば、ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』の、かなえられない愛に苦悩する第3幕の音楽や、神秘劇のような『パルジファル』の音楽でしょう。物語の内容的にも、官能を表現する音楽であるという点でワーグナーと共通する部分がありますが、もう一つ、シベリウスは自然主義の文学にひかれていて、ゾラなどを愛読した時期もあり、人間の愛憎の感情を深く掘り下げるところは、こういったものからの影響もあるのかも知れません。
第2曲は、ここでは紹介する録音に従って『トゥオネラのレンミンカイネン』という順番になりますが、情景描写のための音楽的効果は、ワーグナーの『ニーベルンクの指輪』を思い起こすところがあります。ただし、作曲技法的にはワーグナーよりも新しい、現代的な音の使い方もあり、印象派の作曲技法に通ずるところもあります。シベリウスは、ワーグナーだけでなく、リヒャルト・シュトラウスやマーラーの音楽もそれなりに研究していましたが、『四つの伝説』を最初に書いた当時どれだけ知っていたかが疑問とはいえ、この曲の終盤などは、一般の音楽マニアに、シュトラウスかマーラーの曲だと言って聞かせてもすぐには気付かないかもしれないと思います。もちろん、あくまでもシベリウスの独自の音楽世界なのですが。
第3曲『トゥオネラの白鳥』は、シベリウスを代表する名曲の一つですが、悲しみに満ちた名旋律を演奏するイングリッシュホルンの名曲としても有名です。その音楽は神秘に満ちていますが、弦楽器のパートの書き方が非常に緻密で、技法的にはかなり現代的でさえあります。ベックリンの神秘的な絵画、『死の島』を思い起こす人も多かったようですが、同じ絵画にインスピレーションを得て書かれたラフマニノフの交響詩『死の島』とも若干共通する箇所があるのは面白いことです。この曲のもっともすごい点は、自然の情景描写が壮絶で、その空気感までが伝わってくるリアルさです。もちろん、「黄泉の国」という神話的な意味の暗示という点でも真に迫るものがあり、これがオペラとして完成されていたら、どのような舞台になったのかと思うと、それもまた恐ろしい気がします。イングリッシュホルンのテーマも名旋律ですが、クライマックスで弦楽器全員によって演奏される骨太の旋律も、心の奥まで染み渡る嘆きの歌です。
第4曲の『レンミンカイネンの帰郷』は、背景とされる物語は結構長いのですが、その一部を表現しただけの短いフィナーレです。シベリウスの作品によく見られる早いテンポでの疾走感による、実にスリリングで効果的な終曲です。
引用元:ネムネコ秘密の情報源
有名な『トゥオネラの白鳥』は、ドビュッシー的で印象主義音楽的な色合いが非常に濃いよね。その意味で第1曲、第2曲とは印象を異にしており、また、描写も緻密。
今日のアニソン、「クイーンズ・ブレイド」から『Get The Door』 [今日のアニソン]
微分方程式のよもやま話21 連立線形微分方程式 その1 [微分方程式の解法]
微分方程式のよもやま話21 連立線形微分方程式 その1
n個の未知関数をもつ微分方程式の系、次の連立線形微分方程式について考える。
ここで、
である。
(1)は行列を用いると、次のように表すことができる。
ここで、
この微分方程式を満たすn個の関数をこの微分方程式の解という、
また、b=0(零ベクトル)であるとき、この微分方程式を同次方程式という。
x=0が同次方程式
の解であることは明らかである。そこで、x=0以外の解をさがすことにする。
さて、微分方程式
の解は
であった。
このことから、(2)の解は
と類推される。
ここで、Cは定ベクトル、すなわち、
である。
これを(2)式に代入すると、
だから
ここで、Eは単位行列である。
したがって、Cが自明な解0以外の解を持つためには、
でなければならない。
この方程式(Aの特性方程式)を満たす解λをAの固有値といい、0でないベクトルCをλに対する固有ベクトルという。
定義
xのある区間で、n個のn次元関数ベクトルについて、全部は0でないn個の定数によって
となるとき1次従属といい、そうでないとき1次独立という。
定理1 微分可能なn個のn次元ベクトルに対して
ならば、それらは1次独立である。
【n=3の場合の証明】
区間Iにおいてが1次従属であるとすると、全部が0ではない定数c₁、c₂、c₃があって、
が成り立つから、Iにおいて1次従属であって、
である。
(証明終)
定義
同次線形微分方程式
のn個の1次独立な解ベクトルの1組を基本解、または、基本系という。
定理2 同次線形微分方程式
の一般解ベクトルは、その1組の解ベクトルの任意定数係数の1次結合で表される。すなわち、
問 次の微分方程式を解け。
【解】
とおくと、上の連立微分方程式は次のように書くことができる。
Aの固有方程式(特性方程式)は
したがって、
は基本解となり、微分方程式の一般解は
(解答)
であることから確かめることができる。
問2 次の微分方程式を解け。
【解】
とおくと、この固有方程式は
λ=−1のとき、固有ベクトルは
λ=3のとき、
よって、
したがって、微分方程式の一般解は
(解答終)