お前らに問題(7月20日) 物理・力学 [ねこ騙し物理]
お前らに問題(7月20日) 物理・力学
物理的な微分方程式の大学入試問題の「振り子の運動方程式」のところで書いたのだけれど、力学的エネルギーEが保存される系、1次元の運動の場合、エネルギーE=一定の条件、すなわち、
から、その運動の方程式を導くことができる。
ということで、お前ら、次の問題を解くにゃ。
問題 力学エネルギーの和が
であるとき、(1)を用いて、この運動の方程式を導け。
ただし、m(質量)、k(バネ定数)は定数とする。
ところで、ばねの振動(1次元調和振動子の代表例)のラグランジアンLは
で与えられる。
(3)式の右辺第1項は運動エネルギーで、第2項はばねの位置エネルギー(ポテンシャルエネルギー)。
で、
とおくと、(3)式は
と書き換えられる。
そして、
という新たな量(ハミルトニアン)を新たに設けると――ルジャンドル変換すると――、
となり、この場合、運動エネルギーと位置エネルギーの和、つまり、力学エネルギーの和EはハミルトニアンHになるんだケロよ。
だから、この場合、(1)は、
と書いてもいいんだにゃ。
なお、この場合、ハミルトニアンHは
と書き換えることもできる。
さらに、
とおき、(6)を根拠に
とし、さらにψなる謎の量を導入し、
とすると、
という微分方程式を得ることができる。
この微分方程式(10)は何かといえば、1次元調和振動子の(時間を含まない)シュレディンガーの方程式だ!!
なお、hはプランク定数、iは虚数単位。
解析力学を橋渡しとして、
ニュートンの力学から一気に量子力学のシュレディンガーの方程式まで到達してしまった!!
電子などのミクロなモノ(?)は、粒子としての性質(粒子性)と波としての性質(波動性)を同時に併せ持つ、なんて哲学的、形而上学的な議論なんてどうでもいいにゃ。
この数学的形式こそすべてだにゃ。
――ねこ騙し数学は、物理のブログではなく、数学のブログだから(笑い)――
今日のアニソン、「獣の奏者エリン」から『夜明けの鳥』 [今日のアニソン]
これよりも音程が怪しい有名なプロ歌手がいっぱいいるから、これくらい歌えれば十分なのかもしれないけれど、ネムネコはクラシックもよく聞いているので、どうしてもこういうところが気になってしまう。でも、最近の(女性の)声優さんは、昔の声優さんと違って歌って踊れるにゃ。そして、生半のプロの歌手よりも歌がうまかったりするよね♪
ラグランジュの運動方程式のことなど [ねこ騙し物理]
ラグランジュの運動方程式のことなど
ラグランジュの運動方程式では、運動エネルギーTとポテンシャルエネルギーVを用い、まず、ラグランジアンL(Laglangian)を
と定義する。
1次元の調和振動の場合、運動エネルギーTは
ポテンシャルエネルギーVは
となるので、ラグランジアンLは
となる。
ここで、
さてさて、(1)をで偏微分すると、
である。
(2)式の右辺は、質量×速度だから運動量。
そして、(2)をを時刻tで微分すると、
になる。
これは、質量×加速度だから、ニュートンの運動方程式
の右辺に等しいので、
と書くことができる。
一方、ポテンシャルと(保存)力fの間には、
という関係がある。
また、1次元調和振動の場合、運動エネルギーTはxを陽の変数として持たない関数なので、
よって、
これと、(5)、(6)式から、
という方程式を得ることができる。
この方程式(7)をラグランジュの(運動)方程式という。
問 のとき、ラグランジュの方程式を用いて、1次元調和振動子の運動方程式
を求めよ。
【略解】
これをオイラーの方程式(7)に代入すると、
(解答終)
単振り子の場合、運動エネルギーTは
ポテンシャルエネルギーVは
だから、ラグランジアンは
になる。
このとき、ラグランジュの方程式は
となり、また、
となるので、これを代入すると、
すなわち、
という単振りの子の運動方程式を得ることができる。
ラグランジュの方程式は、2次元、3次元、さらに、それ以上のn次元に拡張することができる。
そして、n次元のラグランジュの方程式は、
である。
たとえば、2次元調和振動の場合、運動エネルギーTは
であり、ポテンシャルエネルギーVは
になるので、ラグランジアンLは
である。
そして、このとき、ラグランジュの方程式は
である。
だから、これを①に代入すると、
また、
であり、これを②に代入すると、
になる。
さらに、質量Mの太陽のまわりを回る質量mの惑星の場合、ラグランジアンLは
ここで、Gは重力定数。
そして、この場合のラグランジュの方程式は、
である。
これを④に代入すると、
また、
これを⑤に代入すると、
よって、太陽のまわりを回転する惑星の運動方程式は
である。
⑥の第2項は遠心力で、⑦の第2項のがコリオリの力(もどき)。
この2つの力は、2次元のデカルト直交座標系で書かれたニュートンの運動方程式を極座標系のそれに変換するときにあらわれる見かけ上の力、つまり、運動方程式の座標変換にともなって現れる慣性力なんだケロ。
また、⑦の両辺を質量mで割ると、
これは、ケプラーの法則の面積速度一定の法則、つまり、角運動量保存則をあらわしている。
2次元のデカルト直交座標でかかれたニュートンの運動方程式を極座標のそれに書き換えるのは、結構、面倒くさい。
しかし、ラグランジアンLとラグランジュの(運動)方程式を用いると、簡単に求めることができる。
何故、簡単に求められるかといえば、ラグランジアンが、方向をもたず、大きさだけを持つ量、すなわち、スカラーだからだにゃ。スカラーは、大きさと方向をもつ量であるベクトルより計算がずっと楽になる。。
のみならず、相対性理論、量子力学への拡張も可能なんだケロよ。