ラグランジュの運動方程式のことなど [ねこ騙し物理]
ラグランジュの運動方程式のことなど
ラグランジュの運動方程式では、運動エネルギーTとポテンシャルエネルギーVを用い、まず、ラグランジアンL(Laglangian)を
と定義する。
1次元の調和振動の場合、運動エネルギーTは
ポテンシャルエネルギーVは
となるので、ラグランジアンLは
となる。
ここで、
さてさて、(1)をで偏微分すると、
である。
(2)式の右辺は、質量×速度だから運動量。
そして、(2)をを時刻tで微分すると、
になる。
これは、質量×加速度だから、ニュートンの運動方程式
の右辺に等しいので、
と書くことができる。
一方、ポテンシャルと(保存)力fの間には、
という関係がある。
また、1次元調和振動の場合、運動エネルギーTはxを陽の変数として持たない関数なので、
よって、
これと、(5)、(6)式から、
という方程式を得ることができる。
この方程式(7)をラグランジュの(運動)方程式という。
問 のとき、ラグランジュの方程式を用いて、1次元調和振動子の運動方程式
を求めよ。
【略解】
これをオイラーの方程式(7)に代入すると、
(解答終)
単振り子の場合、運動エネルギーTは
ポテンシャルエネルギーVは
だから、ラグランジアンは
になる。
このとき、ラグランジュの方程式は
となり、また、
となるので、これを代入すると、
すなわち、
という単振りの子の運動方程式を得ることができる。
ラグランジュの方程式は、2次元、3次元、さらに、それ以上のn次元に拡張することができる。
そして、n次元のラグランジュの方程式は、
である。
たとえば、2次元調和振動の場合、運動エネルギーTは
であり、ポテンシャルエネルギーVは
になるので、ラグランジアンLは
である。
そして、このとき、ラグランジュの方程式は
である。
だから、これを①に代入すると、
また、
であり、これを②に代入すると、
になる。
さらに、質量Mの太陽のまわりを回る質量mの惑星の場合、ラグランジアンLは
ここで、Gは重力定数。
そして、この場合のラグランジュの方程式は、
である。
これを④に代入すると、
また、
これを⑤に代入すると、
よって、太陽のまわりを回転する惑星の運動方程式は
である。
⑥の第2項は遠心力で、⑦の第2項のがコリオリの力(もどき)。
この2つの力は、2次元のデカルト直交座標系で書かれたニュートンの運動方程式を極座標系のそれに変換するときにあらわれる見かけ上の力、つまり、運動方程式の座標変換にともなって現れる慣性力なんだケロ。
また、⑦の両辺を質量mで割ると、
これは、ケプラーの法則の面積速度一定の法則、つまり、角運動量保存則をあらわしている。
2次元のデカルト直交座標でかかれたニュートンの運動方程式を極座標のそれに書き換えるのは、結構、面倒くさい。
しかし、ラグランジアンLとラグランジュの(運動)方程式を用いると、簡単に求めることができる。
何故、簡単に求められるかといえば、ラグランジアンが、方向をもたず、大きさだけを持つ量、すなわち、スカラーだからだにゃ。スカラーは、大きさと方向をもつ量であるベクトルより計算がずっと楽になる。。
のみならず、相対性理論、量子力学への拡張も可能なんだケロよ。
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