「落ちる」ってどういうこと(・・? [ひとこと言わねば]
ブラゲロから次のような質問をいただいた。
☆ 人工衛星が 地球の周りを回るときは 自然の落下に任せているのではないですか?
もしそうなら その中で 石も衛星と同じように 落ちているのでは?
普通、物理などでは、
人工衛星にはたらく遠心力と地球が人工衛星を引っ張る力、すなわち、万有引力が釣り合っているから、人工衛星は地球に落ちることがなく、いつまでも、円軌道をえがきつづける
と答えるんだろうが・・・。
地球の中心と人工衛星の距離(円軌道の半径)をR、人工衛星と地球の質量をm、Mとし、万有引力の比例定数をGとすると、地球が人工衛星を引っ張る力、万有引力の大きさFは、ニュートンの万有引力の法則から
となり、万有引力の向きは地球の中心方向になる。
一方、人工衛星が地球の円周方向にまわる速度をvとすると、人工衛星にはたらいている遠心力の大きさは、
で、遠心力の向きは地球の中心方向とは逆向き。
(1)と(2)の大きさが等しいから、
という関係が成立する・・・・
高校の物理や社会人を対象にした物理学の入門書などには、おそらく、このような説明がなされるんだろう・・・。
何故、万有引力(の大きさ)は(1)で与えられるのか。
この質問については「神さまがそう決めたから」と答えるしかないと思うにゃ(^^ゞ
それに対して、速さv、半径Rで等速円運動をする質点Pにはたらく遠心力(求心力の反対向きの力)が(2)になるのは、微分積分の知識を使うと、割と簡単に出てくる。
時刻tにおける質点Pの座標が(Rcosωt,Rsinωt)であるとすると、速度ベクトルは
加速度ベクトルとその大きさは
したがって、速さv、半径Rで質点Pが等速円運動をするためには、ニュートンの運動法則から、求心力は
となる。
等速円運動をするとき、求心力の大きさと遠心力の大きさは等しくいから(遠心力と求心力は逆向きの力であることに注意!!)、遠心力(の大きさ)は
になる。
(遠心力の発見者は、波動説で有名なホイヘンスさんらしい)
で、人工衛星や宇宙ステーション内では、遠心力と地球の引力が釣り合っている、つまり、
となっているから、見かけ上、地球の引力が働いていない状態、つまり、いわゆる無重力状態になるってわけだにゃ。
(4)式とケプラーの第3法則、さらに、ニュートンの3つの運動法則などを使えば、万有引力の法則(1)を導けるだけれど・・・。
ところで、俗に、ニュートンは「リンゴが落ちるのを見て、万有引力を発見した」なんて言われている。
リンゴが落ちるのに、なぜ、お月さまは落ちてこないのだろうか?
ニュートンは、このことに疑問を持ち、万有引力を発見したみたいな話。
実は、ニュートンの時代より前の時代、地球の法則と宇宙(天、天界)の法則は異なるものだと考えられていたし、広くそう信じられていた。
地(上)の法則は不完全で、天(に近づけば近づくほどその)法則は完全なもの(になる)、と考えられていた。
しかし、ニュートンは、こうした考えを否定し、「地(球)の法則と天(宇宙)の法則は同じに違いない」と考えたんだにゃ。そして、自身が見つけた(考案した)運動の法則――さらに自身が発明した微分積分――を天(宇宙)にも当てはめて考えたんだにゃ。
このことは、天文学と物理の邂逅、巡りあいといってもいいのかもしれない。
そして、天文学は物理の一分野になってゆく・・・。
思い切り脱線してしまったので、話をブラゲロの質問に戻そう。
もし、「落ちる」というのが「地球の中心、重心に近づく」という意味であるとすれば、地球の中心と等速円軌道をする人工衛星との距離、半径は一定なので、「落ちていない」ということになるのでしょう。
また、円軌道ではなく、楕円軌道を描き地球の周りをいつまでも周回し、地球に降ってこないことをもって「落ちない】という意味であるのならば、「人工衛星は(地球に)落ちない」のでしょう。
だから、落ちないと表現してよいのではないでしょうか。
ただし、 人工衛星が上図のような楕円軌道を描く場合、ジェットコースターが地面に近づけば近づくほど速くなるように、人工衛星が地球に近づけば近づくほどその速さは速くなる(面積速度一定の法則、角運動量保存則)。
このことを「落ちる」というのであれば、少なくとも、楕円軌道で地球を回っている人工衛星は「落ちては”のぼる”」ということを繰り返しているので、「落ちる」、「落ちている」という表現を使っても間違いではないのかもしれません。
隕石のように、たまたま、地球に「落ちる――正確には、衝突(・・?――」ものもありますし・・・。
ところで、
乗っているエレベーターのロープが切れて、エレベーターが自由落下するとします。
すると、エレベーターの中は、無重力に近い状態になるんですよ。
もし、永遠に落ち続けることができ、そして、そとの景色を見ることができないとしたら、その中で生まれ育ったヒトは、「自分が実は落ちている」ということに永遠に気づかないのかもしれないですね。
だって、我々は、他人(ひと)から教えられなければ、地球が自転している、太陽の周りを公転していることなどに気づきませんから。
少なくとも、私の世界(観)は、地動説ではなく、天動説に従っている。太陽や星(空)が地球の周りを、いやいや、私・ネムネコを中心に回っていると信じて疑わない。このことに何ら疑問を挟まない(笑)。
この両者は、本当に、区別できるのだろうか?
実は、どちらの立場、視点で現象を観察し語るかという、観測系や座標系の設定の仕方が違うだけかもしれない。そして、どちらが正しいのかという問いは、原理的にその真偽を確かめられない無意味な問いなのかもしれない。
https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/kori/science/ayumi/ayumi17.html
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第5回 合成積のラプラス変換とその応用 [ラプラス変換入門]
第5回 合成積のラプラス変換とその応用
f(t)、g(t)を区分的に連続な関数とするとき、
をf(t)とg(t)の合成積といい、記号であらわす。
無証明で次の定理を。
定理(合成積)
関数f(t)、g(t)が区分的に連続で指数位数な関数ならば、次の関係が成り立つ。
上の定理から、次のことは明らかであろう。
問1 f(t)がt≧0で定義された連続関数であるとき、次の微分方程式を解け。
【解】
とおき、微分方程式の両辺のラプラス変換をとると、
これをY(s)について解くと、
この両辺をラプラス逆変換すれば、
(解答終)
【別解】
微分方程式の両辺にをかけると、
両辺を積分すると、
(解答終)
問2 次の(積分)方程式を解け。
【解】
(1) 両辺をラプラス変換すると、
Y(s)について解くと、
両辺を逆ラプラス変換すると、
(2) 両辺をラプラス変換すると、
両辺の逆ラプラス変換をとると、
(解答終)
問3 次の方程式を解け。
【解】
両辺のラプラス変換をとると、
Y(s)について解くと、
両辺の逆ラプラス変換をとると、
(解答終)
【別解】
u=t−τとおくと、
なので、
よって、微分方程式は
となる。
よって、t=0のとき、
また、①の両辺をtで微分すると、
①から
だから、これを②に代入すると
両辺にをかけると、
よって、
(解答終)
【別解2」
①の両辺にをかけると、
ここで、
とおくと、
両辺にをかけると
両辺をtで微分すると、
(解答終)