積分を利用して、不等式を導く [微分積分]
積分を利用して、不等式を導く
この問題を解ければ、
を[0,x]で積分することによって
さらに、これを積分し
以下同様に積分を繰り返すことにより、
という不等式を得ることができる。
循環論法になるのだけれど、問題1の結果から、x>0のとき。
x→0+0のとき、
だから、ハサミ打ちの定理より
という関係は成り立つので(右図参照)、このときは、
となり、
から、
この2つの結果を合せて、
となる。
これは循環論法なので、⑨の証明にはならないけれど、高校のときに無証明で習ったこの公式が成り立つことを確かめることができた。
積分についての簡単な(?)問題 [定積分]
お前らに、積分の簡単な問題を一つ出すにゃ。
問題 a<bとし、関数f(x)、g(x)は閉区間[a,b]で(リーマン)積分可能な関数とする。
であるが、f(x)とg(x)は[a,b]で恒等的に等しくないものとする。すなわち、f≠g。
このとき、
は成立するか。
成立するならば証明せよ。成立しないならば、反例を1つあげよ。
【ヒント】
(リーマン)積分可能な関数は、[a,b]で連続な関数とは限らない!!
では、
関数f(x)、g(x)は閉区間[a,b]で連続な関数としたらどうか。
が成り立つならば、証明せよ。
【ヒント】
f≠gで、
であるとき、
さすがに、
は成立しない。
であるから、この条件のとき、
が成立しないことを示せばよいだろう。
f(x)とg(x)は[a,b]で連続だから、h(x)=f(x)−g(x)も連続で、h(x)は[a,b]で恒等的に0に等しくなく、かつ、
となる。
このとき、
にならないことを示せばいいんじゃなかろうか。
さらに、出血大サービスで、
h(x)は恒等的に0に等しくなく、かつ、h(x)≧0という条件は、
というcが存在すると言い換えることができる。
h(x)は連続なので、cの近傍(cがaまたはbであるときは片側近傍)で
となるにゃ。
なお、δ>0だケロ。
これだけヒントを出してやったのだから、ちゃんと証明しろよな。
オマケのオマケ問題の解答例 [微分積分]
オマケのオマケ問題の解答
問 nを自然数とするとき、
が成立することを示せ。
【解答例】
[1,1+1/n]で
について平均値の定理を適用すると、
となるcが存在する。
だから、
したがって、
(解答終)
と変形し、[n,n+1]でlogxについて平均値の定理を適用すると
であるcが存在する。
となるので、
と解くこともできる。
こちらの方が解答としてスッキリしているのではないか。
積分を用いて証明するならば、例えば、次のようにすればよいだろう。
【解答】
とすると、f(x)は減少関数なので、
したがって、
(解答終)
このブログは高校生を対象にしているわけではないので、
で十分という気もしますが(^^ゞ
これを見て、読み解けないヒトが悪い!!
もちろん、微分を使って次のように解いてもよいでしょう。
【解答】
とし、これを微分すると
したがって、f(x)は増加関数。
よって、
x=1/n>0だから、
(解答終)
とし、これを微分し、f(x)の増減を調べることも可能ですが、このように解くと、「ダッセェ〜」と言われてしまう(^^ゞ
【解答】
とおくと、
したがって、f(x)=logxは上に凸である。
よって、f(x)上の点(1,0)における接線y=x−1とf(x)=log xの間には次の関係が成立する。
x=1+1/n>1だから、
(解答終)
簡単な問題ですが、いろいろと掘り下げて解いてみたにゃ。
微分ではなく、積分を使った方が、時に簡単に証明できる場合があるということをわかってもらったのではないか。
数学の記事が多いから・・・ [ひとこと言わねば]
特に、今回受けた、「い」さんからの質問は、プログラムに関するもので、プログラムのソースコードの字が細かくて、書いた本人が記事で紹介したソースコードを見ても、何を書いてあるかわからないときた。
純粋に数学の問題だったら記事中の数式を見ればわかるけれど、プログラムのソースコードはそうはいかないにゃ。
ネムネコはプログラマじゃないから、フローチャートのようなものは作らず、その場の思いつきと勢で一気呵成にプログラムを書くから、1年なんて時間が経ったら、なんでこのプログラムで解けるのかすらわからなくなっているにゃ。