お前ら、どういうつもりだ!! [ひとこと言わねば]
お前らがここまで「人でなし」だとは思わなかったケロ。
そんなんじゃ〜、いつまで経っても「さとり(様)」に辿り着けないにゃ。
ありえないケロよ。
オレはネコだけれど、お前らにはヒトを愛する心が欠けているにゃ。
ねこ騙し数学、ページビュー累計200万突破 [ひとこと言わねば]
ねこ騙し数学、ページビュー累計200万突破!!
嘘じゃないにゃ。その証拠を提示。
考えてみれば、長い年月であった。
すごいケロ、「ねこ騙し数学」とネムネコ!
ねこ騙し数学の進化と進撃の速度は増すばかりだケロ。
なんで、オレがお前らに媚びを売らないといけない。
PVや訪問者数を増やすためだとしても、そんなのは(絶対に)嫌だ!!
4.これが擬ベクトルだ! [ddt³さんの部屋]
4.これが擬ベクトルだ!
c=a×bで計算されるベクトルcを考えます。外積には線形性があるので、何の気なしにベクトルcと呼んじゃいますが、cに座標変換をかけると突如恐ろしい事態が惹き起こされます(^^;)。
座標変換とは要するに座標軸の変更なので、その作用は全てのベクトルに一律に作用します。変換行列をSとすれば、
Sc=Sa×Sb (14)
のはずです。しかしa=(a1,a2,a3)tとし(tは転置)外積の正体(9)に戻ると、aに対応する反対称行列をAとして
c=Ab (15)
なので、(15)の両辺にSをかけると、
Sc=SAb=(SAS-1)Sb (16)
となり、(14)と(16)が任意のbに対して成り立つためには、
SAS-1の独立3成分を並べたベクトルa'=Sa (17)
でなければならない事になります。SAS-1はあくまで行列の変換です。Saはあくまでベクトルの変換です。a'=Saなんていう都合の良い事態になるんでしょうか?。もちろんなりません!。つまり、
Sa×Sb≠(SAS-1)Sb=SAb (18)
です(↑:はっきり言って、=になる訳ないじゃん!(^^;))。そこでcは擬ベクトルでベクトルじゃない、などと言われますが、外積の具体的な演算規則は決まっているので、普通はc=a×bをベクトルa,bと同じように問題なくベクトルとして扱えます。ベクトルとして扱えるものがベクトルじゃないって、どういう事さ!。 ・・・このあたりの事情が、通常は省略されてます。物理においても数学においてもです。
c=a×bがベクトルじゃないなら、それはベクトル空間の公理のどれかを満たさない事になります。ベクトル空間の公理は10個もありますが、外積の演算規則が決まってる以上、c=a×bが全ての公理を満たす事は最初からほぼ明らかなんですよね。
[定理-1]
V3を3次元ベクトル空間とする。V3の任意の2元x,y∈V3から生成されるx×y全体をV3'で表す。V3'はベクトル空間であり、それを擬ベクトル空間と呼ぶ。
[証明]
V3'がベクトル空間の公理を満たすのはほぼ明らかなので、最も重要な次の2つについて確認する。
(V1) a,b∈V3'なら、a+b∈V3'。
(V2) kをスカラー,a∈V3'として、ka∈V3'。
(V2)の証明は簡単です。a=x×yなら、ka=k(x×y)=kx×yなので、V3'の定義からkx×y=ka∈V3'。
(V1)については、a=x×y,b=s×uとしてa+b=x×y+s×uに対して、x×y+s×u=w×zとなるw,z∈V3の存在を示せば良いわけですが、和x×y+s×uの全体が、恐らく3次元の数ベクトル全体になる事は明らかです。なので任意の数ベクトルa=(a1,a2,a3)tに対してa=x×yとなる数ベクトルx,yの存在を示せば十分です。
じつはaと平行でないbがあれば、外積でaを含む直交基底を作れます。
a×b (19)
はa,bと直交します。よって{a,b,a×b}は基底ですが、bはaと直交しません。そこで、
a×(a×b) (20)
を考えるとaとa×bは直交するので(20)は0でなく、しかもaにもa×bにも直交します。従って{a,a×b,a×(a×b)}は直交基底です。舞台は3次元なので、
(21)
なのは明らかです。ここでa×bなどは擬ベクトルですが、数ベクトルによる成分表示を持ちます。同じ成分表示を持つベクトルx,y∈V3は必ず存在します。よって数ベクトルの意味で、
(22)
となるx,y∈V3を選べば、任意のa∈V3'はa=x×yと表せます。a∈V3'は任意なので、(V1)は当然という事になります(^^)。
[証明終]
擬ベクトルはベクトルじゃないどころか、ベクトルなんですよ!。これが数学科が擬ベクトルを相手にしない理由です。線形代数という公理論の立場からすれば、擬ベクトルはベクトルだからです。だってベクトル空間の公理を全部満たすんだもん。じつは擬ベクトルという名を出さずに、双対空間もしくはテンソル代数の一部である外積代数で擬ベクトル空間と同等なものが扱われます。
物理学科で擬ベクトルという名を持ち出すのは、じつは擬ベクトルがベクトルであるかどうかなんて気にしたくないからです。擬ベクトルがベクトルなのはほぼ明らかで、線形代数の公理なんていう非生産的なものは面倒臭いので持ち出したくないのです。でも普通のベクトルと変換性がちょっと違うので困っちゃって、擬ベクトルと言い出す訳です。
「擬ベクトルはベクトルじゃないけど、ベクトルみたいなもんだからね」
「心配だったら、数学の先生にでも聞いてみて」
・・・数学科に問い合わせます。
「擬ベクトル?。ベクトルだよ」
・・・ひどいもんだ(^^;)。
「擬ベクトルはベクトルじゃない」で問われている事は、
・擬ベクトル空間は、その生成の土台となったベクトル空間とはたして同じベクトル空間なのか?。
です。(18)の≠より、同じものじゃありません(^^)。ただし座標変換Sが直交変換の時に限っては、同一視できます。
[定理-2]
Sを3次元の直交変換,Aを3次元の反対称行列とする。
Sa×Sb=(SASt)Sb
が成り立つ。※Sが直交変換なら、S-1=St。
[証明]
Sを列ベクトルでS=(u1,u2,u3)の形で表す。{u1,u2,u3}はSが直交変換なので正規直交基底です。同様にSt=(v1,v2,v3)の形で表します。StS=SSt=E(単位行列)から{v1,v2,v3}も正規直交基底。
自然基底e1=(1,0,0)t,e2=(0,1,0)t,e3=(0,0,1)tには、外積の性質から、
(23)
という関係が成り立つ。
線形代数の基底変換の一般論から、{v1,v2,v3}は座標変換Sに対応する変換後の基底になるので、(23)よりこれにも、
(24)
が成り立つ。aをAの独立3成分を(a)の形に並べたベクトルとすると、
(25)
と書ける。・は内積。ベクトル3重積の公式、
(26)
を利用すると、
(27)
であるが、(24)も考慮すると(25)は、
になる。a・vjは、{v1,v2,v3}が変換後の座標系の正規直交基底である事から、Saの第j成分の値である。
Sa=(a1',a2',a3')tとすれば、
(28)
(28)は(9)の反対称行列と全く同じ形をしているので、
(SASt)Sb=Sa×Sb=S(a×b)
である。最後の関係は(14),(16)からです。
[証明終]
という訳で座標変換が直交変換ならば、擬ベクトルとベクトルは変換性まで一致するので同一視できるという話になります。ふつう座標軸は直交系を選びます。わざわざ直交系から斜交系へ座標変換するなんて、実用的にはめったにありません(不便だから)。実用的には直交変換がメインです。
・みなさん安心して、擬ベクトルとベクトルを混同して使って下さい。
・・・めでたしめでたし(^^)。
以上の事を最初に気づかせてくれたのは、ゴールドスタインの古典力学の剛体の運動学の章でした。そこでは、外積とは反対称行列とベクトルの積の事だと明確に言い切ってくれます。そう言い切ってくれる本を、他に知りません。目から鱗でした(^^)。この点はランダウ先生も駄目でというか、ランダウ先生は例によってそんな話は歯牙にもかけないのでした。そんなの知ってて当然だと(^^;)。
数学関係でテンソルまで使わずに外積を具体的に扱い、しかも擬ベクトルという名前まで登場させてくれる本となると、ddt^3調べでは一冊しかありません。みんな擬ベクトルがわからないわけだ。その本とは、
・シリーズ新しい応用の数学1-1,ベクトルとテンソル第1部,伊理正夫・韓大舜,教育出版,1977年.
です。良書と思います。
※ 自分は、伊理正夫・韓大舜の線形代数で初めて抽象数学に触れました。
(執筆:ddt³さん)