大幅に書き換えたにゃ [ひとこと言わねば]
リニューアル前
https://nemuneko-gensokyou.blog.so-net.ne.jp/2015-02-17
リニューアル後
https://nekodamashi-math.blog.so-net.ne.jp/2015-02-17
大体、あれを書き始めたとき、微分積分に関する記事をひと通り書いたらやめるつもりだったし、想定読者は20〜30だったから適当なこと、いい加減なことを書いても構わないと思っていた。
あの当時、まさか、現在のような状況になるとは夢にも思っていなかったにゃ。
何より、こんなものを書いていたなんて多くのヒトに知られたら、プライドがヒトの皮を着て歩いているようなネムネコは恥ずかしくて生きていけないケロ。
すぐに微分積分の記事の全面改訂はできないけれど、ねむねこ幻想郷ともども、いずれ、すべて闇に葬ってやるにゃ。
もし数式に間違いがあったとしたら、ネムネコのせいではなくSo-netブログのせいだケロ。
ネムネコは悪くないにゃ。
今日のアニソン、「超星神グランセイザー」から『Life goes on』 [今日のアニソン]
便利だが超〜危険な定理 [位相入門]
便利だが超〜危険な定理
このブログ、「ねこ騙し数学」は、原則として、極限計算でロピタルの定理を使わない、つまり、反ロピタルの定理の方針を貫いている。
古くからこのブログの数学の記事を読んでいるヒトは、このことをよく知っていると思う。
そこで、大学の微分積分などの解析で使われている、何を書いているかわからなくて、ロピタルの定理以上に危険な定理を紹介することにする。
定理 次の2つは同値である。
(1) 集合Fは閉集合である
(2) 点列が収束するならば、その極限は集合Fに必ず属する。
この定理があまりに危険なためなのだろうか、
洲之内治男の「ルベーグ積分入門」(内田古鶴圃)には、この定理を紹介すると同時に次のような注意書きがついている。
【注意】 この定理の(2)⇒(1)は、解析学で集合が閉集合であることを示すのに用いられる。ところで、(この)定理は、Fの任意の点列がFの中に極限をもつといっているのではない。ただ単に、Fの点列が極限をもつならば、その極限は必ずFの中に入るに行っているに過ぎない。
そして、この注意書きのあとに、この定理の応用として、次の例が紹介されている。
例 閉集合[a,b]が閉集合であることをこの定理を用いて証明してみよう。
それには、ならば、x∈[a,b]であることを示せばよい。
より、である。
とすると、極限の性質より、a≦x≦bは明らか(であり、x∈[a,b]。よって[a,b]は閉集合である)。
この例の証明を読んで納得できるヒトは、いったい、どれくらいいるのだろうか(^^ゞ
この例を真似れば、A=[a,b]×[c,d]、すなわち、
が閉集合であることの証明は次のようになるのであろう。
【証明(・・?】
それには、ならば、(x,y)∈Aであることを示せばよい。
であるから、
である。
とすると、極限の性質より、
は明らかであり、(x,y)∈[a,b]×[c,d]。
よって、A=[a,b]×[c,d]は閉集合である。
(証明(・・?終)
2次元ユークリッド空間R²の場合、
をその点列、その元、さらに、この点列の極限(点)をP=(x,y)とする。
このとき、
が成立するから、うるさいことをいわなければ、上のヤツで証明になっているんじゃ〜ないか。
何故かって、がPに収束するとき、
任意の正数ε>0に対し、ある自然数mがあって、
が成立し、
逆にのとき、任意のε>0に対し、ある自然数mがあって、n≧mならば、
が成立するので、任意のε>0に対して、
が成立するからだよ。
ここで、お前らに問題。
確認問題1
A=(−1,1)とし、一般項が
である点列(数列)を考える。
すると、この点列の極限値は0、0∈A。
すると、定理よりAは閉集合となるが、A=(−1,1)は開集合となり、矛盾する。
これは、紹介した定理に反する。
どこがいけないのか、説明せよ。
確認問題2
さて、集合Mは閉集合か。閉集合であればその証明をし、閉集合でなければ、反例をあげよ。
集合Lは閉集合か。
この確認問題に答えられないとしたら、そのヒトは、この定理を理解できていないので、この超〜危険な定理は使うべきではない。
発展問題
fを実数全体の集合R上の連続関数とする。このとき、集合
が閉集合であることを示せ。
位相に関するちょっとした質問 [お前らに質問]
位相に関するちょっとした質問
開区間(a,b)が開集合であることは知っているだろうし、おそらく、このことを証明できるものと信じている。
n次元ユークリッド空間の2点をとすれば、2点間の距離は
で与えられる。
このことは知っていると思う。
n次元ユークリッド空間内の点のε‐近傍(開球、開核ともいう)は
になる。
Aをの部分集合とする。
Aに属するすべての元(点)aがAの内点であるとき、すなわち、
a∈Aならば、
となる正数ε>0が存在するとき、Aはの開集合という。
誤解されると嫌なので断っておくけれど、Aの点ごとによってε‐近傍の正数ε>0の値は違うケロ。
たとえば、最もシンプルな実数直線Rの場合の部分集合(a,b)の場合、集合(a,b)に属する任意の点cに対し、ε>0を
にとれば、
となるにゃ。
したがって、(a,b)はRの開集合になる。
なおここで、記号
は、aとbのうちの大きくない方をあらわす。
や
と定義してもよい。
問0
となることを示せ。
さらにいうと、
であっても構わない。
とにかく、(0,1)の任意の元cに対して
となるε>0、
すなわち、
であるε>0を1つ見つければよい。
ということを踏まえて、次の問に答えてもらおうじゃないか。
問1 (a,b)×(c,d)、すなわち、
がR²の開集合であることを示せ。
Aをの部分集合、xをの点とする。
任意の正数ε>0に対して、
であるとき、aをAの触点という。
集合Aのすべての触点を集めた集合をAの閉包といい、記号やなどで表す。
が成立するとき、Aを閉集合という。
Aが閉集合であるとき、その補集合は開集合であり、この逆も成り立つ。
この下線部を証明しろなんて無茶なことは言わないにゃ。ネムネコは、そんな鬼ではないにゃ。
問2 閉区間[a,b]が実数全体の集合Rの閉集合であることを示せ。
「当たり前すぎて証明できない」なんて文句を言ってはいけない。
x∈[a,b]のときxが[a,b]の触点であることは明らかだから、
である点xは[a,b]の触点でない
ことを示せばよい。
xが集合Aの触点であることは、
ということだから、
xが集合Aの触点でないとは、上の命題の否定
すなわち、
である正数ε>0が存在する、
だにゃ。
だから、のとき、
となるε>0を1つ見つけて、それを示せばよい。
つまり、開集合(x−ε,x+ε)と[a,b]が交わらないようにεを定めればよい。
ここまで丁寧に書いたのだから、問2も解けよな。
お前らのことをこれっぽっちも信用していない心優しいネムネコは、次のような数直線まで用意したにゃ。
ここまでしてやって解けないとしたら、おサルさんにも劣ると言われてもしょうがないと思うにゃ。