お前らに質問(5月12日) 数列の極限 [数列と級数]
お前らに質問!!
問題
で与えられる実数の数列があるとする。
この数列が収束するような初項x₁の範囲を求めよ。
ノーヒントじゃ辛いかもしれないので、ヒントを幾つか与えることにする。
(1)式で与えられる数列が極限値αをもつならば、
したがって、極限値の候補は−3,1,2。
x₁=−3のとき
x₁=1のとき、
x₂=2のとき
さらに、おまけとして、グラフを。
Rを実数全体の集合とし、
で定義されるとすると、このグラフから
で与えられる数列の極限値は、どれも、方程式
の解、すなわち、RからRへの写像fの不動点になっていることがわかる。
ここまでヒントを与えたのだから、それぞれの極限値、すなわち、−3、1、2に収束する、x₁の範囲を求めろよな。
−3に収束するx₁の範囲、1に収束するx₁の範囲、2に収束するx₁の範囲を求めろって言ってんだ。
――表計算ソフトなどで、初期値の値x₁を変えて20項くらいまで計算すれば、この答はすぐにわかる!!――
そして、できることならば、その条件のとき、その極限値に収束することを証明する。
できた奴は、コメント欄に解答を書いて、ネムネコのところまで送るケロ!!
のとき
のとき
答を教えたようなものだ。
画像元:YouTubeの上の動画
追加問題
とすると、−3<f(x)<2となり、関数fは開区間(−3,2)から(−3,2)への写像となる。
さて、この写像fは縮小写像だろうか。
ちなみに、
とする。
0<c<1であるcが存在し、すべてのx,y∈Xに対し、
が成立するとき、fを縮小写像という。
今日のアニソン、「妖しの彼女」から『ONE〜この世が果てても離れない』 [今日のアニソン]
絵が、なんとなく昔の少女漫画っぽくてちょっと苦手だにゃ。
[数列の極限値] [高校の数列の極限]
[数列の極限値]
ddt^3です。
ねぇねぇネコ先生、極限が存在する漸化式って、絶対に縮小写像(注1)になってますよね?(^^)。
例えば、
なら、
とおく事で、
を考えれば、
ですよね?。(注2)
でも図-1はx方向に-1平行移動すると、さらに具合が良さそうじゃないですか(^^)。
この時、f(x),g(x)は(図-2)、
ああでも、g(x)=xでなくなった。それが成り立たないと、縮小写像の計算が面倒になる(一般的には)。
・・・そうだ!、y方向に-1平行移動しよう。この時、f(x),g(x)は(図-3)、
となる。これを通常の漸化式に戻すと、
なぁ~んだ、等比数列を扱えば良いだけじゃない(^^)。
いやぁ~、x方向に-1平行移動した時、
・f(x)の切片もg(x)の切片も1になる、(1)の形で助かったぜ!(^^;)。
・・・という事にはなるんですが、このやり方を知ってると、等比数列に落とし込む方法とか、等比数列に落とし込める条件とかを予想できる事になります。しかし普通の高校生は、こんな事は絶対に自分では考え付けないし、教師も絶対に教えません。教師もそこまで考えてないのが普通だと思うし。
自分が高校生の頃、こういう事を平気で考え付ける数学の天才がいたんですよ。この問題に関してそいつの説明を聞きましたが、「全くのチンプンカンプン」でした(^^;)。
何故ならポイントは、
「極限が存在する漸化式は常に縮小写像になっている」
「よってグラフを描いて判断すればいいのだ」
だからです。高校生の世界を超えてますよね(^^)。彼は数学に関しては超高校生だったと思います。
自分がこういう事を考え付けるようになったのは、関数解析の本なんかを読み出して、そこに出てくる縮小写像の例題なんかを考え出してからでした。なので今はこんな話も出来ますが、非常にみっともないと思う。まさに、
「卵の殻を割るのに、鉈をふるう」
ようなものだと思える。超高校生の彼には、とうてい及ばないなぁ~(^^;)
(執筆 ddt³さん)
(注1) 縮小写像
とする。
0<c<1となるaが存在し、すべての、x,y∈Xに対して、
が成り立つとき、写像fを縮小写像という。
(注2) このような解法をクモの巣図法、この図をクモの巣図と呼んだりする。
ウィキペディアの「クモの巣図法」
以下のページに「縮小写像の不動点定理」についての、高校生向け(?)の読み物が出ているので、興味のあるヒトは読んでみるといいのでは。
http://izumi-math.jp/F_Wada/fixpoint_theorem.pdf
第15回 濃度の積 [集合論入門]
第15回 濃度の積
§1 濃度の積の定義
集合の元の個数がそれぞれm、nである2つの有限集合A、Bがあるとする。このとき、AとBの直積A×Bの元の個数はmnである。また、有限集合の場合、集合の元の個数と濃度は一致する。したがって、AとBの濃度を|A|、|B|で表すと、|A|=m、|B|=nであり、A、Bの直積A×Bの濃度|A×B|=mn。
そこで、一般の濃度の積を次のように定義することにする。
定義
α、βを2つの濃度とする。このとき、|A|=α、|B|=βである任意の集合A、Bをとり、その直積A×Bの濃度をαとβとの積といい、
この定義が意味を持つためには、|A|=|A'|=α、|B|=|B'|=βのとき、常に、
が成り立つ必要がある。
このことは、次のことから確かめられる。
であるから、AからA'への全単射(1対1対応)f、BからB'への全単射gが存在する。A×BからA'×B'への次の関数hを考える。
すると、hは全単射。よって、|A×B|=|A'×B'|である。
定理 濃度の積については、次のことが成り立つ。
【証明】
(1) |A|=α、|B|=βであるA、Bをとると、αβ=|A×B|、βα=|B×A|。
A×Bの元(a,b)とB×Aの元(b,a)を対応させると、これは全単射。
よって、
(2) |A|=α、|B|=β、|C|=γとすると、
(3) |A|=α、|B|=β、|C|=γ、B∩C=∅である、A、B、Cをとると、
また、だから、
よって、
(4) |A'|=α'、|B|=βであるA'、Bをとれば、α≦α'よりA⊂A'で|A|=αであるAが存在する。
よって、
ゆえに、
(証明終)
例1 任意の濃度αに対して
|A|=0、|B|=αとすると、A=∅。したがって、A×B=∅。
よって、0α=α0=0である。
例2 任意の濃度αに対して
例3
そこで、A×Bの元
に対して
の矢印の順番に番号を付けてゆけばA×Bは可算集合になる。
したがって、
例4
A、Bを開区間(0,1)とすると、。
(a,b)∈A×Bとすると、a∈A=(0,1)、b∈B=(0,1)はともに
と無限小数の形に展開できる。
そこで、(a,b)をに対応させる写像fを考えると、A×Bは実数全体の集合Rの部分集合と対等。
ゆえに
また、
したがって、
§2 和と積の関係
2つの有限濃度mとnとの積mnはnを加えたものである。
すなわち、
これは次のように言い換えることができる。
集合{1, 2, 3, ・・・, m}を添字の集合とする濃度系がiにかかわらず、を満足すれば、
である。
このことは、一般の濃度にも成り立つ。
定理 α、βを2つの濃度とし、α>0とする。このとき、なる集合Iを添字の集合とする濃度系が、iにかかわらずを満足するならば、その濃度系の和はαβに等しい。
【証明】
Iの各元iにである集合を対応させ、
となるようにすると、
次に、|B|=βである任意の集合Bをとると、Iの任意の元iに対して。したがって、Bからへの1対1の対応が少なくとも1つ存在する。その1つをとおく。ここでI×Bを作り、その元(i,b)にを対応させるようなI×Bからへの対応φ
を考えると、これは全単射。
よって、
(証明終)
例1 α=n(自然数)、とおけば、定理は
例2 とおけば、定理は
となる。
これより、
§3 濃度の積の拡張
濃度αと濃度βとの積αβは、|A|=α、|B|=βなる集合、AとBの直積A×Bの濃度であった。いま、このAとBとの和集合A∪Bを作り、集合{1,2}からA∪Bへの関数fのうちで、それによる1の像f₁がAに属し、f₂がBに属すものの全体Cを考えると、
になる。
一般に、濃度α₁、α₂に対し、なる集合A₁、A₂を選び{1,2}からA₁∪A₂へのなる関数fの全体を作れば、その濃度はα₁α₂に等しい。
同様に、濃度に対して、である集合をとり、{1,2,・・・,n}からへのである関数fの全体の集合を作れば、その濃度はに等しいことが示される。
このことは次のように言い換えることができる。
集合{1,2,・・・,n}を添字の集合とする濃度系に対して、同じく{1,2,・・・,n}を添字の集合とするの集合系のうちで、任意のiに対してであるものを考える。このとき、から{1,2,・・・,n}からへの関数fで、どのiについてもとなるようなものの全体の集合を作れば、その濃度はに等しい。
一般に、Iを添字の集合とする集合系が与えられたとき、Iからへの関数fのうちで、i∈Iならばとなるようなものの全体を、集合系の直積といい、
と書く。
特に、I={1,2,・・・,n}あるいはI={1,2,・・・,n,・・・}の時は、
などと書く。
定義
濃度系が与えられたとき、Iの任意のiに対して、となるような集合系を考える。その直積の濃度を、濃度系の積といい、と書く。