[微分方程式の超難問に挑む(^^)] [微分方程式の解法]
[微分方程式の超難問に挑む(^^)]
(1)を求積法で解きます。いいですか、微分方程式は幾何学的条件を与えたに過ぎないのですから、予断を交えず式をそのまま読むのです。特にわからなくなった時、面倒くさくなった時は常に(1)に戻るのです。
①x=0:
(1)を変数分離法で解くためには最初にdy/dx=の式にする必要があるので、まずxで割ります。この場合分けはx=0の例外処理のためです。しかしこの例外の意味を考える必要があります。
x=0のとき(1)はy=0です。他の条件は何もないので、(x,y)=(0,0)は(1)の解です。これは初期条件y(0)=0といういわゆる特殊解の一点なのでしょうか?、それとも初期条件がy(0)=0のy(x)=0という分岐した解の特殊解の一点なのでしょうか?、はたまたx=0だけで定義された初期条件y(0)=0のy=0という一点だけの特殊解なのでしょうか?。
全部の可能性があり、後でいわゆる一般解を決定した時に微分可能に接続できたりして、一般解の一部になる可能性すらあります。
ところで一点だけの特殊解って変じゃねぇ~?って意見もあると思うのですが、(1)にはy(x)の定義域に関する条件すらありません。関数に一点だけで定義されたものが許される以上、一点物も無視できません。
②x≠0:
と出来ます。これの意味は、x≠0で(2)を満たすy(x)を求めよだと思うでしょうが、じつは違います。求積してみたら、
みたいな項が出てきて、-C≦x≦Cでなければならない事が後でわかった、なんて事は良くあります(sin,cosの積分では必ずこうなる)。従って(2)の意味は、x≠0の条件で(2)を満たすy(x)を、可能なすべての定義域上で求めよ、です(^^)。微分方程式は幾何学的条件を与えたに過ぎないからです。
③x≠0かつy=0:
(2)を変数分離法で解くためには次に、右辺のyを左辺に移項して[左辺:dy/dxとyのみ]=[右辺:xのみ]の形にする必要があります。これはそのための例外処理です。この例外処理の意味も、①と同様に検討する必要がありますが、とにかく解と呼べるものは[x≠0でy(x)=dy/dx=0]となるものです。
④x≠0かつy≠0:
x≠0かつy≠0の条件下で、(2)を満たすy(x)を、可能なすべての定義域上で求めよ。
ここにAは、elog|x|+C=eC×elog|x|=eC×(±x)=±eCxにおいてA=±eCと表した任意定数ですので、A≠0です。
さて、微分方程式は幾何学的条件を与えたに過ぎないのでした。そして、微分方程式はいたるところでいくら分岐してもOKでした(^^)。そうでない事を確認する実用的手段が、いわゆる一般解でした。だとすれば最後にやるべき事は、①~④のすべての結果を比較して解をとりまとめる事です。
(3)のy=AxはA≠0でしたので、その可能なすべての定義域は④より、[x≠0となる全ての実数]です。
x→0の時はy→0となりdy/dx=Aなので、y=Axは一階微分可能な形で(1)を満たすようにx=0まで延長できます。従ってこの時点で、いわゆる一般解や分岐した解の一点(x,y)=(0,0)はすべて(3)に吸収されます。
残るのは一点物、および分岐した解の候補:[任意のxでy(x)=0]と[x≠0でy(x)=dy/dx=0]という事になります。まず一点物にdy/dxが存在するのは不合理なので、一点物は解ではないと判断できます。
[x≠0でy(x)=dy/dx=0]とは[x≠0でy(x)=0]です。これは[任意のxでy(x)=0]に含まれます。
こうして残るのは、[A≠0かつy(x)=Ax]と[y(x)=0]になります。
(1)を満たす形でのA=0への接続が、y(x)=Axにあり得るか検討しましょう。A→0の時、明らかにy(x)=Ax → y(x)=0です。一方dy/dx=Aなので最初からA=0として(1)へ代入してもy(x)=0です。
y(x)=Axの(1)を満たす形での、A=0への接続が存在します。
分岐解y(x)=0は、いわゆる一般解(^^;)の任意定数A≠0をA=0まで延長したものとして表せます。
よって(1)の一般解は、y(x)=Ax(Aは任意)です。意に反して今回は、きれいにまとまっちゃったな(^^;)。ネコ先生、うまく選びましたね(^^)。
(執筆:ddt²さん)
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微分方程式よもやま話5 [微分方程式の解法]
微分方程式よもやま話5
次の微分方程式がある。
この微分方程式の一般解は
で、定数関数y=1は特異解である。
さてさて、微分方程式(1)の解はすべて(1)式にしたがう。したがって、微分方程式の解の曲線の停留点、すなわち、y'(x)=0とする点のyの値は、微分方程式を解くことなく、(1)式の左辺をと置くことによって(1)式から直ちに次のように求まる。
yは微分可能な関数なので、もし、yが極値、すなわち、極大値、極小値を持つとすれば、その値は0か1であることがわかる。
また、yが微分可能なので、(1)式の右辺は微分可能であり、dy/dxも微分可能、すなわち、yは2回微分可能。そこで、(1)の両辺をxで微分すると、
になる。
そして、(3)式の左辺のd²y/dx²=0とすることによって、変曲点になる可能性を有する点のyの値を次のように求めることができる。
また、このことから、y<0のときは、この曲線は、上に凸、0<y<1/2では下に凸、1/2<y<1では上に凸、1<yでは下に凸であることがわかる。
(3)をさらに微分すると、
どうやら、yを何回微分しても、どの導関数はyとy−1を因子に持ちそうだ。
そして、この推測が正しいと仮定すると、さらにy=0またはy=1になる点をx₀とすると、
である。
ところで、yを点x₀でテーラー展開すると、
である。
したがって、x₀の近傍では
が成立する。
そして、このことから、y=0またはy=1という値をとることのできる微分方程式(1)の解は定数関数y=0、y=1以外に存在しないことがわかる。
さらに、このことから、この微分方程式(1)の解は、極値を有さないこと、そして、この解が変曲点を有するとすれば、その点のyの値は1/2であることがわかる。
微分方程式(1)を解かなくても、この微分方程式の曲線の性質を調べることができる。
と同時に、変数分離法を使った解法で明らかにならなかった、定数関数y=0、y=1以外に、y=0、y=1をとる解は存在しないことを示すことを示すことができた。
ところで、微分方程式
の(いわゆる)一般解は
である。
(5)をxで微分すると、y≠0のとき
が成立し、さらに、(5)式から
が成り立つ。
変数分離法をもちいた微分方程式(5)の解法で発生したy≠0の時はどうなるのかという「ゼロ割」の悪夢が再び蘇る(^^ゞ
形式的には、
微分方程式(1)では、y≠0、y≠1のとき、
と、
微分方程式(5)では、y≠0のとき
と同であるが、微分方程式(1)と(5)の間には決定的な違いがあるのかもしれない。
だって、微分方程式(5)の解には一般解(6)と特異解である定数関数y=0の他に、次のような解も存在し、しかも、初期値(x₀,y₀)を1つ与えるだけでは、その解を定められないからだにゃ。
微分方程式を
とするとき、
どうやら、(9)の右辺の偏微分
を調べることによって、微分方程式(9)の解が一意であるか、そうでないか、簡易的に判定できる気配が漂っているにゃ。
(1)の場合は、
なので、はR²上で連続な関数。
対して、(2)の場合は、
となり、(x,0)で偏微分不可能で、はR²上で連続な関数ではない。
おそらく、が連続関数であるかどうかというこの簡易判定法で、微分方程式(9)の解が一意であるかどうかのおおよその目安を付けられるに違いない。
きっとそうだにゃ(^^)