微分方程式よもやま話5 [微分方程式の解法]
微分方程式よもやま話5
次の微分方程式がある。
この微分方程式の一般解は
で、定数関数y=1は特異解である。
さてさて、微分方程式(1)の解はすべて(1)式にしたがう。したがって、微分方程式の解の曲線の停留点、すなわち、y'(x)=0とする点のyの値は、微分方程式を解くことなく、(1)式の左辺をと置くことによって(1)式から直ちに次のように求まる。
yは微分可能な関数なので、もし、yが極値、すなわち、極大値、極小値を持つとすれば、その値は0か1であることがわかる。
また、yが微分可能なので、(1)式の右辺は微分可能であり、dy/dxも微分可能、すなわち、yは2回微分可能。そこで、(1)の両辺をxで微分すると、
になる。
そして、(3)式の左辺のd²y/dx²=0とすることによって、変曲点になる可能性を有する点のyの値を次のように求めることができる。
また、このことから、y<0のときは、この曲線は、上に凸、0<y<1/2では下に凸、1/2<y<1では上に凸、1<yでは下に凸であることがわかる。
(3)をさらに微分すると、
どうやら、yを何回微分しても、どの導関数はyとy−1を因子に持ちそうだ。
そして、この推測が正しいと仮定すると、さらにy=0またはy=1になる点をx₀とすると、
である。
ところで、yを点x₀でテーラー展開すると、
である。
したがって、x₀の近傍では
が成立する。
そして、このことから、y=0またはy=1という値をとることのできる微分方程式(1)の解は定数関数y=0、y=1以外に存在しないことがわかる。
さらに、このことから、この微分方程式(1)の解は、極値を有さないこと、そして、この解が変曲点を有するとすれば、その点のyの値は1/2であることがわかる。
微分方程式(1)を解かなくても、この微分方程式の曲線の性質を調べることができる。
と同時に、変数分離法を使った解法で明らかにならなかった、定数関数y=0、y=1以外に、y=0、y=1をとる解は存在しないことを示すことを示すことができた。
ところで、微分方程式
の(いわゆる)一般解は
である。
(5)をxで微分すると、y≠0のとき
が成立し、さらに、(5)式から
が成り立つ。
変数分離法をもちいた微分方程式(5)の解法で発生したy≠0の時はどうなるのかという「ゼロ割」の悪夢が再び蘇る(^^ゞ
形式的には、
微分方程式(1)では、y≠0、y≠1のとき、
と、
微分方程式(5)では、y≠0のとき
と同であるが、微分方程式(1)と(5)の間には決定的な違いがあるのかもしれない。
だって、微分方程式(5)の解には一般解(6)と特異解である定数関数y=0の他に、次のような解も存在し、しかも、初期値(x₀,y₀)を1つ与えるだけでは、その解を定められないからだにゃ。
微分方程式を
とするとき、
どうやら、(9)の右辺の偏微分
を調べることによって、微分方程式(9)の解が一意であるか、そうでないか、簡易的に判定できる気配が漂っているにゃ。
(1)の場合は、
なので、はR²上で連続な関数。
対して、(2)の場合は、
となり、(x,0)で偏微分不可能で、はR²上で連続な関数ではない。
おそらく、が連続関数であるかどうかというこの簡易判定法で、微分方程式(9)の解が一意であるかどうかのおおよその目安を付けられるに違いない。
きっとそうだにゃ(^^)
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