今日のクラシック、アラム・ハチャトゥリアン作曲『バイオリン協奏曲ニ短調』 [今日のクラシック]
小澤が、カラヤンやバーンスタインなどの一流どころの指揮者に遠く及ばないことを知っていながら、それでも、何とかして、カラヤンやバーンスタイン級の指揮者に見せようという、熱烈な小澤ファンの切実な、止むに止まれぬ事情がこのような動画投稿の背景にあるのでしょう。小澤ファンの悲しい性(さが)が透けて見えるような動画のように思います。ここまで来ると、哀れで、涙すら誘います(T_T)
それにしても、「オケがよく鳴るな」と思って、YouTubeにある情報を読んでみたら、この録音の指揮は、ネーメ・ヤルヴィであった。やっぱ、このヒトが指揮をすると、オケはよく鳴るね〜、ホント。曲がどうのこうのということよりも、このヒトの指揮――オケをよく鳴らすこと――に感心してしまう、注意、関心が向いてしまう(^^ゞ
ヤルヴィの録音は、サウンド・ライクにすぎるきらいがあり、ややもすると表面的なので、音質的は不満が残るものの、作曲者であるハチャトゥリアン指揮ウィーン・フィルのこの録音も紹介します。
第1楽章は、冒頭のモティーフが有機的に展開されて、音楽が一点に向かって進んでいく集中力の高い構成になっています。全体的に、劇的構成、形式感が明確で、非常に優れた楽章だと思います。曲の終わりに静かになるのですが、その部分だけはちょっと散漫な印象を受けました。しかしこれはCD(ヤルヴィ指揮)の方での印象で、ハチャトゥリアン自身の演奏ではそう感じない可能性があります。まだそこを聞いていません。第2楽章は聞きやすいスケルツォで、ハチャトゥリアンならではのリズムの力で全曲が統一されています。第3楽章は葬送行進曲風で、東方的な主題は、アルメニア民謡『義勇兵の同志』から得られたものだということです。有名な聖歌『怒りの日』が使われています。ベルリオーズの幻想交響曲の最終楽章や、いろいろな作曲家のレクイエムの中でも引用されている例の旋律です。これと、アルメニア民謡風の旋律とが対位法的に絡み合いながら行進曲のリズムで淡々と曲が押し進められ、また次第に高揚していくところは、曲の表現内容には的確で、劇的な効果も非常に高いです。CDの印象では、第4楽章がやや疑問でした。民族的な性格よりも賛歌としての性格が与えられていますが、こういうのも下手をすると通俗的に聞こえます。しかし、ハチャトゥリアン自身の演奏では、この楽章の印象がだいぶ違うようで、作曲者自身にしか的確に表現できない何かがあるようでもあります。曲の終わりは、第1楽章の冒頭の再現で大団円を迎えるように構成が考えられています。
曲の構成は、解説が不要なくらい古典的で、第1楽章はソナタ形式です。民族的な力強い第1主題、歌謡的な第2主題、ともに強烈に印象に残る個性的なもので、各部分をつなぐパッセージもコーダも緻密な展開で隙がありません。展開部も、民族的なモティーフの一部をうまく使いながら有機的に展開していきます。第2楽章もごく単純で伝統的な三部形式で、抒情的で歌謡性の高い旋律に貫かれています。構成も堅固で、ドラマティックなクライマックスを作りながら、充実した緻密な時間を作っていきます。第3楽章も、伝統的なロンド形式をやや拡大したもので、民族的でリズムの躍動感にあふれる主題で始まります。次の部分の歌謡的な主題は、実は第1楽章の第2主題から来ているもので、同一の主題を複数の楽章に援用することで全曲に統一感を出すという技法も、ベートーヴェンやブラームス以来の論理的構成法を踏襲しています。民族的なエネルギー、豊かな歌謡的旋律、半音階的な独特な和声、異なる拍子を重ね合わせることによる複雑なリズムなど、それぞれの要素がすべて充実しています。オーケストレーションは簡潔ですが、各楽器の個性を生かした使い方で、無駄なく、しかし最大限の効果を上げています。対位法による立体的な構造も所々にあって、そういう個所は音楽を聴く楽しみが最も高まる時間です。第1楽章にもありますが、第3楽章の終わりの方では、二つの民族的で歌謡性の高い旋律が同時に絡み合う対位法があり、これは、最初から対位法的な楽曲のために用意された短いモティーフを使って書くのとは違う技術的なむずかしさがあります。
引用元:ネムネコ秘密の情報源
最近、ちょっと辛いものが・・・ [ひとこと言わねば]
こんなこと、にわかに信じられないし・・・。
ネムネコのSo-netブログをすべて閉鎖し、Bloggerに引っ越すということもあったかもしれない。
というか、「(So-net)ブログだと制限が多すぎて、ネムネコが思い描いていたものとかなり異なっており、用途に叶っていなかったので、(So-net)ブログはやめて、ホームページにしようか」という思いが芽生え、その前段として、So-netブログよりも制約が少ない(Bloggerは、So-netブログでは使えないJavaScriptやhtmlのタグなどが使える)で、どれくらいのことができるかを試すために、まず、手始めに、BloggerでBlogを始めたのであった。
「過去に書いた数学の記事に手を入れたい。いやいや、全面的に改訂したい」って気持ちもあったし、目次などをつけて利便性を図りたいという思いもあった。だって、初期の微分積分の記事は、あまりにいい加減で、不備が目立ちすぎて、いま、読み返すと、顔から火が出るほど恥ずかしくて、全部、削除したいという衝動、欲求に駆られてしまうから。部分的に手を入れるくらいじゃ〜、どうにもならない。一から書き始めた方がずっと楽だしね〜。
今日のアニソン、「ファイト一発! 充電ちゃん」から『CHARGE!』 [今日のアニソン]
第10回 集合の濃度 [集合論入門]
第10回 集合の濃度
これから述べる集合の濃度の定義は正確なものではなく、集合論でいう濃度がどのようなものであるか、その匂いを嗅ぐためのものことを先にことわっておく。
§1 集合の対等と濃度
A、Bを2つの集合とするとき、AからBの上への1対1の対応が少なくとも1つ存在するとき、AはBと対等であるといい、
で表す。
例1 自然数全体の集合{1, 2, 3, ・・・}をA、偶数全体の集合{2, 4, 6,・・・}をBとすると、である。
なぜならば、f(n)=2nは、AからBへの全単射(上への1対1の対応)だからである。
定理1 A、B、Cを任意の集合とするとき、次の関係が成立する。
【証明】
(1) Aの要素aにa自身を対応させる恒等写像はAからAへの全単射であるから。
(2) だからAからBへの全単射fが存在する。そして、この逆写像f⁻¹はBからAへの全単射だから。
(3) AからBへの全単射をf、BからCへの全単射をgとすれば、その合成写像はAからCへの全単射。
ゆえに、
(証明終)
(補足)
2項関係「〜」は、反射律、交換律、推移律が成り立つことを表している。すなわち、2項関係「〜」は同値関係である。
〜をX上の同値関係とすると、Xの要素aと同値なX全体の集合
をaの同値類といい、C(a)などで表す。
b∈C(a)をC(a)の代表元といい、特にaはC(a)の代表元である。
(補足終)
定理1より、あらゆる集合は、互いに対等なもの同士のいくつかのグループに分類できる。
このグループに付けられた目印、ラベルを濃度といい、集合Aの濃度を
で表す。
定義から、とは同じことを表す。
濃度は、有限集合の要素の個数の、一般の集合への拡張なので、有限集合の濃度には、要素の個数を用いる。
たとえば、集合{a, b}の濃度|{a, b}|は2であり、集合{α, β, γ}の濃度|{α, β, γ}}は3である。
例2 偶数全体の集合Bと自然数全体の集合Aの濃度は等しい。すなわち、|B|=|A|である。同様に、自然数全体の集合Aの濃度と奇数全体の集合Cの濃度も等しく|A|=|B|。したがって、偶数全体の集合の濃度|B|と奇数全体の集合の濃度|C|は等しい。
§2 可算集合
有限集合の濃度を有限濃度、これに対し無限集合の濃度を無限濃度という。
無限集合のうちでもっとも簡単な自然数全体の集合Nの濃度を記号
で表し、「アレフ・ゼロ」などと読む。
濃度の定義(と定理1)から、自然数全体の集合Nと対等な集合の濃度はすべてに等しく、逆にの濃度をもつ集合はNと対等である。Nと対等な、つまり、の濃度をもつ集合を可算集合(可付番集合)という。
Aを自然数全体の集合Nと対等な集合とすると、NからAへの全単射(1対1の対応)aが存在する。
自然数nの写像aによる像をで表わせば、
と、集合Aのすべての要素に自然数の番号を付けることが可能(可付番)になる。
可算集合の例
(1) 整数全体の集合
整数全体の集合Zの要素を
と並べ、最初から順にとおけば、Zの要素全体に自然数の番号を付けて並べることができる。したがって、整数全体の集合Zは可算である。
(2) 有理数全体の集合
まず、正の有理数について考える。
1→2→1/2→3→2/2→1/3→・・・の順に進み、とおく。
ただし、途中ですでに出てきた数(たとえば、)は飛ばして進むことにする。そうすれば、正の有理数全体に番号が付けられ、次のように一列に並べることができる。
したがって、有理数全体の集合Qは
と並べられる。
こうして得られた数の列に、左から順に
とおけば、有理数全体に自然数の番号を付けて並べることができる。
したがって、有理数全体の集合Qは可算集合である。
(3) 代数的数全体の集合
整数を係数とする代数方程式
の解になるような実数を代数的実数または代数的数という。
任意の有理数は方程式px−q=0の解だから、有理数はすべて代数的数である。
なども、それぞれ、の解だから、なども代数的数である。
このような代数的数全体の集合も可付番集合であることが知られている。
有限集合と可算集合をあわせて高々可算な集合という。
問1 A、Bがともに高々可算集合ならば、A∪Bは高々可算集合であることを示せ。
【解】
A、Bが有限集合ならば、A∪Bが可算集合であることは明らか。
Aが有限集合、Bが可算集合のとき、
と並べて先頭から番号をつければよい。
Aが可算集合、Bが有限のときも同様。
Aが可算、、Bが可算集合、のとき、
と並べ先頭から番号をつければよい。
よって、
A、Bがともに高々可算集合ならば、A∪Bは高々可算集合である。
(解答終)
問2 有限集合の列の和集合は、高々可算であることを示せ。