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今日のクラシック、アラム・ハチャトゥリアン作曲『バイオリン協奏曲ニ短調』 [今日のクラシック]

今日のクラシックは、バレエ「ガイーヌ」の『剣の舞』で有名なアラム・ハチャトゥリアン作曲『バイオリン協奏曲ニ短調』です。

バイオリン協奏曲の前に、まずは、有名な『剣の舞』を♪


ムラヴィンスキーのこの録音が出て以来、『剣の舞』の演奏に関しては、この曲を如何に速く弾くかということにクラシックファンの関心が向いているようで、そのため、このような動画↓までYouTubeには投稿されています。


この動画↑は


を加工したもので、フェイク。
小澤が、カラヤンやバーンスタインなどの一流どころの指揮者に遠く及ばないことを知っていながら、それでも、何とかして、カラヤンやバーンスタイン級の指揮者に見せようという、熱烈な小澤ファンの切実な、止むに止まれぬ事情がこのような動画投稿の背景にあるのでしょう。小澤ファンの悲しい性(さが)が透けて見えるような動画のように思います。ここまで来ると、哀れで、涙すら誘います(T_T)

それはさておき、作曲者であるハチャトゥリアン指揮の録音と記録映像が残されていますので、紹介します。



この曲はあくまでバレーのための音楽です。ムラヴィンスキーのように、ダンサーが踊れないような猛烈な速度でこの曲を指揮するのはどうなのかという疑問が残ります。

さて、本題のアラム・ハチャトゥリアン作曲『バイオリン協奏曲ニ短調』です。


この録音の指揮は、作曲者であるアラム・ハチャトゥリアン。この録音を聞くとわかる通り、アラム・ハチャトゥリアンは指揮者としても大変優れており、そのため、西側でも指揮者として活躍していました。1963年に来日したとき、読売日本交響楽団を指揮し、バイオリン協奏曲の他に交響曲第2番などを指揮しています。


バイオリン協奏曲と比較すると、交響曲第2番の方が現代音楽的。バイオリン協奏曲とともに、交響曲第2番はハチャトゥリアンを代表する曲の一つで、この作曲家を語る上で忘れてはならない1曲。鐘が大活躍するので、作曲者自身が付けた「鐘」という愛称で呼ばれることもあります。
それにしても、「オケがよく鳴るな」と思って、YouTubeにある情報を読んでみたら、この録音の指揮は、ネーメ・ヤルヴィであった。やっぱ、このヒトが指揮をすると、オケはよく鳴るね〜、ホント。曲がどうのこうのということよりも、このヒトの指揮――オケをよく鳴らすこと――に感心してしまう、注意、関心が向いてしまう(^^ゞ
ヤルヴィの録音は、サウンド・ライクにすぎるきらいがあり、ややもすると表面的なので、音質的は不満が残るものの、作曲者であるハチャトゥリアン指揮ウィーン・フィルのこの録音も紹介します。


ネムネコの秘密の情報源に交響曲第2番の詳しい解説が出ていましたので、紹介します。

第1楽章は、冒頭のモティーフが有機的に展開されて、音楽が一点に向かって進んでいく集中力の高い構成になっています。全体的に、劇的構成、形式感が明確で、非常に優れた楽章だと思います。曲の終わりに静かになるのですが、その部分だけはちょっと散漫な印象を受けました。しかしこれはCD(ヤルヴィ指揮)の方での印象で、ハチャトゥリアン自身の演奏ではそう感じない可能性があります。まだそこを聞いていません。
第2楽章は聞きやすいスケルツォで、ハチャトゥリアンならではのリズムの力で全曲が統一されています。
第3楽章は葬送行進曲風で、東方的な主題は、アルメニア民謡『義勇兵の同志』から得られたものだということです。有名な聖歌『怒りの日』が使われています。ベルリオーズの幻想交響曲の最終楽章や、いろいろな作曲家のレクイエムの中でも引用されている例の旋律です。これと、アルメニア民謡風の旋律とが対位法的に絡み合いながら行進曲のリズムで淡々と曲が押し進められ、また次第に高揚していくところは、曲の表現内容には的確で、劇的な効果も非常に高いです。
CDの印象では、第4楽章がやや疑問でした。民族的な性格よりも賛歌としての性格が与えられていますが、こういうのも下手をすると通俗的に聞こえます。しかし、ハチャトゥリアン自身の演奏では、この楽章の印象がだいぶ違うようで、作曲者自身にしか的確に表現できない何かがあるようでもあります。曲の終わりは、第1楽章の冒頭の再現で大団円を迎えるように構成が考えられています。


脱線してしまったので、話をバイオリン協奏曲に戻します。ネムネコの秘密の情報源に、大変詳しい解説が出ておりますので、それを紹介します。

曲の構成は、解説が不要なくらい古典的で、第1楽章はソナタ形式です。民族的な力強い第1主題、歌謡的な第2主題、ともに強烈に印象に残る個性的なもので、各部分をつなぐパッセージもコーダも緻密な展開で隙がありません。展開部も、民族的なモティーフの一部をうまく使いながら有機的に展開していきます。第2楽章もごく単純で伝統的な三部形式で、抒情的で歌謡性の高い旋律に貫かれています。構成も堅固で、ドラマティックなクライマックスを作りながら、充実した緻密な時間を作っていきます。第3楽章も、伝統的なロンド形式をやや拡大したもので、民族的でリズムの躍動感にあふれる主題で始まります。次の部分の歌謡的な主題は、実は第1楽章の第2主題から来ているもので、同一の主題を複数の楽章に援用することで全曲に統一感を出すという技法も、ベートーヴェンやブラームス以来の論理的構成法を踏襲しています。民族的なエネルギー、豊かな歌謡的旋律、半音階的な独特な和声、異なる拍子を重ね合わせることによる複雑なリズムなど、それぞれの要素がすべて充実しています。オーケストレーションは簡潔ですが、各楽器の個性を生かした使い方で、無駄なく、しかし最大限の効果を上げています。対位法による立体的な構造も所々にあって、そういう個所は音楽を聴く楽しみが最も高まる時間です。第1楽章にもありますが、第3楽章の終わりの方では、二つの民族的で歌謡性の高い旋律が同時に絡み合う対位法があり、これは、最初から対位法的な楽曲のために用意された短いモティーフを使って書くのとは違う技術的なむずかしさがあります。
引用元:ネムネコ秘密の情報源

ハチャトゥリアンのバイオリン協奏曲は、全体的に渋めで、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲のような華やかさは有していないけれど(同じDでも、ハチャトゥリアンはニ短調、チャイコフスキーはニ長調と調性が違う)、2度、3度と繰り返し聞けば聞くほど、スルメのように、味わいが深くなる曲のように思います。



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