[無限遠までの積分] by ddt³さん [ddt³さんの部屋]
[無限遠までの積分]
>それはそれとして、ネムネコが考えるに、数値計算屋のddt³さんが、きっと、これに関係する記事を投稿してくれると思う・・・
・・・と言われましても、いったい何を書けばいいんだろう?(^^;)。ネコ先生よりかっちょ良い変数変換でも行えばいいのだろうか?。いや、そうじゃない。「数値計算屋」のご指定があるからには(否定はしないけど(^^;))、ネコ先生のお望みはきっと台形公式のみを使った強行突破だ!。変数変換なんてもっての外の、とんでもはっぷん!・・・、なのかな?(^^)。
問題の被積分関数は、
でしたね(図-1)。
いやぁ~、これはまた性質の良さそうな関数です。
1から滑らかに0を収束する優美な姿(^^)。
でも問題は、(1)を0~∞で積分せよ、というものでした。
鬱陶しいのは、積分区間の上限が∞である事です。積分区間の上限が∞だと、どこで数値的足し算を打ち切って良いのかを判断しなきゃなりません。自分は有限幅の積分区間の場合、区間幅の100分割を標準にしてます。理由は、100等分して折れ線で結んでやると、大概の関数は十分に滑らかに描けるから。ところで折れ線近似の面積とは、台形公式による結果ですよね?。だから100分割で十分と・・・(^^)。
図-1をみると0~∞の積分の大勢は、0~10くらいで決まりそうです。なので区間分割幅δは、δ=10/100=0.1とします。図-1の白丸は、0.1刻みです。十分ですよね?。
次に積分の打ち切り範囲を考えます。図-1から明らかなように、x=10から先は、ほぼ傾き0の直線で近似できそうです。そこで10<xでのyの高さから、その点における接線を引き、x軸と交わる点x+Lを計算して、図-2に示す三角形の面積を計算します。
なので
から、
三角形の面積をδSとすれば、
このδSで、xから先の残りの面積を近似してやっても、そんなに間違いではないでしょう。δSが十分小さくなった時、計算を打ち切れば良い訳です。小ささの基準は次のように決めます。
xの分割幅をδとすると、個々の台形の面積Ajには、Aj×δ2程度の誤差が伴われると考えられます(←ネコ先生がそう言っていた(^^)←それは、(有界な区間の)大域的な誤差で、局所的な誤差はδ³程度ですよ(^^))。
全体では∑j Aj×δ2~F(x)・δ2です。ここでF(x)はxまで積分した時の正確な面積。これをF(x)=∑j Ajとして台形公式による面積で代用してやると、δ=0.1だったので、0.01・F(x)。ここにF(x)は、台形公式でxまで積分した結果。
要するにF(x)の1%くらいの誤差は許容できる、という事になりますので、残りの面積の近似δSについては、F(x)の0.1%くらいになれば十分じゃないでしょうか?。
つまり、F(x)=∑j AjとδS(x)をモニターしながら台形公式による積算を行い、δS(x)<F(x)/1000の時点で計算を打ち切る。
実際に0~10を台形公式で計算すると、F=1.471なので、この結果をもとに打ち切り工数を概算すると、
から、169.938<xで、169.938/0.1=1699~1700ステップくらいになります。
エッ?、1700ステップは多いって?。そもそも数値計算をやろうって奴が、1000や2000や10000でガタガタ言うんじゃありません。エッ?、計算はExcelでやりたいって?。だからぁ~、現在のExcelは1,048,576行まで使えるんだって・・・。
エッ?、10,000,000ステップだったら、どうするって?。100万行の列を10列つくりゃぁ~いいだろう!。現在のExcelのフル性能は、1,048,576行×16,384列=17,179,869,184ステップ分もあるんだ、どうだ参ったか?(← Microsoftの狗(^^;))。
なに~っ!、シートを全部ステップで埋めたら、結果を書く場所がないって?。隣のシートを利用せんかい!。もぉ~うるさいなぁ~、100万行も数式をマウスでコピーできないって?。数値計算をやるなら、Excelでマウスは使うな。[Cnt]+[Shift]+[上下左右カーソル]のショートカットキーをおぼえろぉ~!。
・・・もっとも50万行の列が1個あっただけで、重くて嫌になりますけどね(^^;)。で、実際にやってみると1598ステップ,x=159.8で、F=1.564539になります。|F-π/2|/(π/2)=0.004。Fに残りの予想値δS=0.001564を加えるとF=1.566103、|F+δS-π/2|/(π/2)=0.003です(^^)。収束状況を、図-3に示します。
さっき言ったように、現在の表計算ソフトは1000や2000のステップ数は問題にしませんから、このような素直な方法は、とてもよろしいと思うんですよね。ddt^3は時々ネコ先生に促されて、区間の端で∞になるような可積な関数、例えば(図-4)、
のような関数の0~1での数値積分を扱いますが、その時は、台形公式の増分精度をあらかじめ決めておいて、それに合わせてxが1に近づくほど、分割幅を短くするような方法をとりました(※)。
いやぁ~、ネコ先生が数値計算屋って指定するもんだから、ついつい強行突破をはかっちゃって・・・(^^;)。でも分割幅を可変にするのは、どちらかというと禁じ手です。分割幅が変わったために起きる種々の不便さの弊害なんかが考えられますし、分割幅を変える手続きが入るので素直さに欠けます。
それならいっその事(面積を求めるだけなら)、(5)を積分するんでなく、その逆関数の上側の面積を今回の方法で0~∞で計算するのもいいのかもしれない、と思っています。
(※) 参考記事
【面倒なことはしたくない】
https://nekodamashi-math.blog.ss-blog.jp/2018-09-10-1
この手の積分の近似計算は、逆に、積分区間を(半)無限区間に適当に変換し、たとえば、
という形にし、この半無限積分の近似値を求めるなんてことが行われたりするようです。
たとえば、
二重指数関数型積分公式
お前らに質問(12月13日 関数の微分可能性) [お前らに質問]
お前らに質問(12月13日 関数の微分可能性)
f(x)を点aの近傍で定義された関数とする。
ある定数Aが存在し、任意の正数ε>0に対し、あるδ>0が存在し、である任意のxに関して、
であるとき、関数f(x)は点aで微分可能という。
また、このとき、
で表し、を関数f(x)の点aにおける微分係数という。
これは、従来の微分可能と微分係数の定義
を、ε−δ論法(による関数の極限の定義)を用いて(より厳密に、より定量的に)言い換えたもの。
だから、(1)と(2)は同じもの。
xが限りなくaに近づくとき、xのaへの近づき方に無関係に
がある実数Aの値に限りなく近づくならば、
といった文学的な定義は、
「限りなく近づく」、「近づき方に無関係」ってどういうことよ、曖昧でよくわかんない!!
と、嫌うんだケロ。
具体的な例を上げ、図などを用いて感覚に訴えるといった手段を用いることなく、下線部を引いたところをキチンと説明することは極めて困難で、ほとんど不可能といっていいからね。
そして、そもそも感覚的で、曖昧なので、正確な議論ができない、正確な議論をしづらい、ということがあって、みんなが大好きなε−δ論法が生み出された。
例題 関数f(x)は実数全体の集合Rであるとする。このとき、次のことが成り立つことを、ε−δ論法を用いて、示せ。
(1) f(x)=C(定数)とするとき、任意のa∈Rに対して、である。
(2) f(x)=xとするとき、任意のa∈Rに対して、である。
(3) f(x)=x²とするとき、任意のa∈Rに対して、である。
【解】
(1) 任意のε>0に対して、δ=ε>0とおくと、
(2) 任意のε>0に対して、δ=ε>0とおくと、
(3) 任意のε>0に対して、δ=ε>0とおくと、
(解答終)
では、お前らに質問!!
問題 f(x)=x³を実数全体の集合Rで定義される関数とするとき、任意のa∈Rに対して
となることを、ε−δ論法を用いて証明せよ。
発展問題 とするとき、
となることを、ε−δ論法を用いて示せ。
コッチは、結構、手強いぜ。
回答、特に、発展問題の回答を、心よりお待ちしています。
発展問題の回答がひとつもネムネコのもとに届かない場合、ネムネコも、この対抗処置を発動し、発展問題の解答例の公開を、当分の間、留保するにゃ。
知りたければ、誠意を示すにゃ。
微分可能の新たな定義 [微分積分]
微分可能の新たな定義
ddt³さんがランダウのO記号を使った微分の定義を提示したので、ネムネコはランダウのo記号を使った微分の定義を提示するにゃ。
f(x)を区間Iで定義される関数とし、a∈Iとする。
ある(1つの)定数Aがあって、
であるとき、関数f(x)は点aにおいて微分可能といい、
であらわす。また、を関数f(x)の点aにおける微分係数という。
【注意】
は、少なくともこの時点では、導関数の点aにおける値ではなく、(1)で定まる定数Aを
とおいた単なる値に過ぎない。
f(x)が点aで微分可能であるとき、
(1)式は、任意のh≠0について成り立つので、
h→0のとき、
したがって、
に収束する。
とする。
h≠0のとき、
が成り立つ。
h→0のとき、
に収束するので、
というわけで、
従来の微分可能の定義
と、新しい微分可能の定義(1)はまったく同じもの、同値ということになる。
問1 実数全体の集合Rで定義された関数f(x)=x²は、Rで微分可能であることを示せ。
【解】
a∈Rとすると、
2aは、hに無関係な定数で、また、o(h)=h²とおくと、
よって、f(x)はRで微分可能である。
(解答終)
問2 実数全体の集合Rで定義された関数f(x)=x³は、Rで微分可能であることを示せ。
【解】
a∈Rとすると、
3a²はhに無関係な定数なのでA=3a²、さらに、
とおくと、
このとき、
よって、f(x)=x³はRで微分可能である。
(解答終)
ここまで読んだヒトは、おそらく、「o(h)はhの関数の意味だ」と思うに違いない。
しかし、o(h)として使われている記号o(ランダウのo記号という)は、いわゆる、関数でないことに注意。
ランダウのo記号の定義
であるとき、
と表す。
特に、のとき、
と表す。
とすると、
問3 α>1のとき、
であることを示せ。
【解】
(解答終)
そして、問3から多項式の最高次数を表すものでもないことがわかる。
問4 次のことを示せ。
【解】
さらに、
であるとき、
と表すと、約束する。
定理 (漸近展開)
f(x)が原点を含む区間で級であるとき、
【証明】
マクローリン展開すると
よって、x≠0のとき、
ところで、f(x)は級なので
よって、
(証明終)
お前らに質問(12月06日 微分)の解答例とランダウのO記号 [お前らに質問]
お前らに質問(12月06日 微分)の解答例とランダウのO記号
ddt³さんが提出した微分の定義をまず紹介。
関数f(x)が点xで
を満たす定数Aが存在するとき、関数f(x)は点xで微分可能という。
問題 次の定理を証明せよ。
定理 関数f(x)が点xで微分可能ならば、f(x)は点xで連続である。
【解答例】
関数fは点xで連続なので
となる定数Aが存在する。
h≠0とすると、
だから、
したがって、
(解答例終)
ddt³さんの記事の中でロピタルの定理が登場したので、ロピタルの話を少し…。
ロピタルの定理より、
とすると、文句をつけるヒトがいる。
「ロピタルの定理を使って計算するのがいけない」というわけではない。
じゃぁ、上の計算のどこがまずいのか、わかるかケロか?
何がいけないかというと、
ロピタルの定理の主張は、
「極限値
が存在するならば、
が成り立つ」であって、この右辺の極限が存在するかどうかわからないのに、いきなり、右辺と左辺を等号で結んでいいのかというところ。
そして、ロピタルの定理の誤用は、往々にして、こうした意識の欠如から生まれると…。
ズボラに書くけれど、
f(a)=g(a)=0で
は存在するけれど、
が存在しない例もある。
そして、が存在しないから、は存在しない、なんてことを平気でやらかすヒトが意外に多い。
さらに、こうしたことから、「ロピタルの定理を使うと減点される」という都市伝説が生まれ、まことしやかに語られるのであった。
例えば、次の問題
問題 次の極限があれば、求めよ。
【ロピタルの定理を使った典型的な迷解答】
これは、∞/∞のタイプの極限。
てなわけで、お決まりの呪文「ロピタルの定理より」を唱えて、
とやる。
そして、右辺の極限は存在しないので、
は存在しない…。
(迷解答終)
ところがどっこい、この極限は存在する。
−1≦sin x≦1だから、x≠0のとき、
そして、
だから、おなじみの「ハサミ打ちの定理」より
になる。
そもそも、xが十分に大きければ、−1≦sin x≦1なんだから、だから、こんな項なんて端から無視できる!!
話は前後するが、
ランダウの記号Oを用いた
の求め方を紹介しよう。
その前に、記号Oの簡単な説明。
x→aのとき、f(x)/g(x)が有界にとどまるならば、
と表す。
特に、x→aのときにf(x)/g(x)が極限をもてば
である。
だから、
これを代入すると、、
よって、
という極限が存在する保証はないけれど、
定義から、x→0のときは有界だから、
となる実数Mが存在し、これから
また、
だから、ハサミ打ちの定理より、
さて、⑨はどこから出てきたかというと、
cos xを3次までマクローリン展開すると、
となるので、この剰余項R₄
と、こっそり、おいた話なんだけどね。
だから、
この場合、
になる。
だったら、O(x⁴)なんて正体不明の薄気味悪いものを引っぱり出さず、マクローリン展開をつかって、直接、極限を求めればいいじゃないかって話にはなるんですが…。
問題2 次の極限を求めよ。
【ロピタルの定理を使う】
これは、0/0の不定形の極限。
ロピタルの定理より
このように2回ロピタルの定理を使うことによってこの極限を求めることができる。
したがって、
x≠0のとき、
よって、
謎の⑨²は何処から出てきたかというと、
というマクローリン展開!!
そして、
と、こっそり、置いたのであった。
だったら、最初から
とやれ!!って話ではあるわな。
それはそれとしまして、
もし、関数fが点xでC²級だとすると、
になるので、
と置こう!!ってのが、この記号の元々の発想。
そして、このとき、初めて、
と表せる理由がおぼろげながら見えてくるのであった。
問題3 次の極限が存在すれば、その値を求めよ。
【解答(?)】
これは、0/0の不定形の極限。
したがって、ロピタルの定理より
【解答(?)終】
0<|x|≪1のとき、
と近似できるのだから、
になるから、
問題3の極限値は存在しないはずなんですがね〜(^^)。
そして、お前らは、問題3の解答(?)の間違いを指摘し、この極限が存在しないことを示すように。
第51回 定積分の応用 曲線の長さ [微分積分]
第51回 定積分の応用 曲線の長さ
曲線の長さについて考える。
曲線弧ABは閉区間[a,b]で定義されるC¹級関数y=f(x)で与えられるとする。
まず、[a,b]の分割
をとり、曲線y=f(x)上の点をで表す。を持つ切線をとり、この切線の長さの和を作ると
全ての分割に関して、分割の幅|Δ|を限りなく小さくしたとき、この和がある1つの値に収束するならば、この極限値をもって曲線弧ABの長さと定義する。
切線の長さは
仮定より、関数f(x)は[a,b]上で微分可能なので、平均値の定理より
したがって、
よって、
仮定より、f'(x)は[a,b]で連続なので、|Δ|→0のとき、右辺のリーマン和は
に収束する。
したがって、
定理 (曲線の長さ)
f(x)を[a,b]でC¹級の関数とする。曲線y=f(x)のa≦x≦bの部分の弧の長さLは
である。
定理の系 (媒介変数表示された曲線の長さ)
関数φ(x)、ψ(x)を[α,β]でC¹級とする。曲線x=φ(x)、y=ψ(t)(α≦t≦β)の長さは
【略証】
(略証終)
問1 次の曲線の流さを求めよ。
【解】
(1) この曲線はy軸に関して対称
だから、
(2) x軸、y軸に関して対称
だから、
(3)
(解答終)
問2 次の極座標表示された曲線の曲線の流さをもとめよ。
【解】
だから、
になる。
弧の長さは、0≦θ≦πの部分の長さを2倍すればよいので、
(解答終)
第49回 定積分の応用 面積 [微分積分]
第49回 定積分の応用 面積
関数y=f(x)が閉区間[a,b]で連続、かつ、f(x)≧0とする。このとき、曲線y=f(x)、直線x=a、x=bとx軸で囲まれた部分の面積Sについて考える。
[a,b]の分割を
とし、小区間のf(x)の最大値、最小値を、さらに、曲線y=f(x)≧0と2つの直線とx軸に囲まれた部分の面積をとすると、だから、
だから、
また、f(x)は[a,b]で連続なので積分可能だから、リーマン和の定義から、
したがって、
である。
同様に、関数x=g(y)が閉区間[c,d]で連続、かつ、g(x)≧0とするとき、曲線x=g(y)、直線y=c、y=bとy軸で囲まれた面積Sは
である。
問1 次の曲線とx軸とで囲まれた部分の面積を求めよ。
【解】
曲線とx軸で囲まれた面積をSとする。
(1) y=sin xは閉区間[0,π]でy≧0なので、
(2) とx軸都の交点のx座標を求めると、x=0、x=1。また、[0,1]でy≧0なので
とおき、置換積分を適用すると、x=1−t²、dx=−2tdtだから、
(解答終)
問2 次の問に答えよ。
(1) 楕円の囲む面積を求めよ。
(2) アステロイドの囲む面積を求めよ。
【解】
(1) 求める面積は第1象限の部分の面積の4倍。
第1象限ではy≧0だから
よって、求める面積Sは
とおくと、だから、
特に、a=b>0であるとき、
(2) 求めるべき面積は第1象限の部分の4倍。
第1象限ではy≧0だから
よって、求める面積Sは
とおくと、
から、
さて、
だから、
(解答終)
問3 次の曲線によって囲まれた面積を求めよ(a>0)。
(2) アステロイド
【解】
(1) 求める面積はで与えられる。だから
(2) 求める面積は第1象限の部分の4倍なので。
また、だから、
(解答終)
なお、(2)では、
を使っている。
定理 (2曲線で囲まれた部分の面積)
閉区間[a,b]において、f(x)、g(x)は連続で、かつ、f(x)≧g(x)であるとき、2曲線y=f(x)、y=g(x)と、2直線x=a、x=bで囲まれた部分の面積Sは
【証明】
[a,b]において、f(x)≧0、g(x)≧0とする。
このとき、曲線y=f(x)と2直線x=a、x=b、x軸に囲まれた部分の面積は
曲線y=g(x)と2直線x=a、x=b、x軸に囲まれた部分の面積は
であるから、
[a,b]において、f(x)≧0かつg(x)≧0でないとき、適当な定数cを加えると、[a,b]においてy=f(x)+c≧0、y=g(x)+c≧0とすることができる。y=f(x)とy=g(x)で囲まれた部分の面積は、y軸の正の方向に平行移動しても、その値は変わらない。
したがって、
(証明終)
問4 次の面積を求めよ。
(1) 2つのy=2x²−7x+8、y=−x²+5x−1で囲まれた面積
(2) 曲線y²=xと直線y=x−2とで囲まれた面積
【解】
(1) y=2x²−7x+8とy=−x²+5x−1の交点のx座標は、
より、x=1、x=3。
したがって、求める面積は
したがって、y²=xとy=x−2の交点のy座標はy=−1、y=2。
よって、曲線x=y²と直線x=y+2とで囲まれた面積は
(解答終)
(2)は、y²=xをyについてy=±√xと解いて、
と面積を求めることができるが、こうすると計算が少し大変。
また、公式(?)
を使うと、定積分を計算することなく
と解くこともできる。
お前らに質問(12月8日 式の値を求める) [お前らに質問]
式の値を求める
問題1 a+b+c=0のとき、次の式の値を求めよ。
【解答】
a+b+c=0だからc=−a−bを代入すると、
(解答終)
【別解】
(別解終)
穴埋め問題ならば、
a+b=c=0になるように、a=b=1、c=−2とし、これを、こっそり、式に代入すると
でも、思ったほど、楽じゃないね(^^ゞ。
問題2 次の式の値を求めよ。
【解答】
とおくと、
①+②+③は
a+b+c=0のとき、b+c=−aを代入すると、
a=b=c(≠0)のとき、k=2になるので、k=2はOK。
よって、式の値は2、または、−1。
(解答終)
【別解】
だから
①と②の辺々を引くと
(1) a+b+c=0のとき
b+c=−aだから
(2) b=cのとき
にb=cを代入すると、
したがって、a=b=c、または、a+2b=a+b+c=0。
a+b+c=0のときは、式の値は−1。
a=b=cのときは、
よって、式の値は
a=b=cのとき、2。
a+b+c=0のとき、−1。
(別解終)
【別解2】
だから、a+b+c≠0のとき、
a+b+c=0のとき、b+c=−aを代入すると、
よって、式の値は2、または、−1である。
(別解2終)
上の解答では、
とすると、b=ak、d=ckだから、
となるので、
という比例式の性質、加比の理を使っている。
加比の理の図形的な意味は下図を参照。
この加比の理を使えば、次の問題はすぐに解けるんじゃないだろうか。
問題3 次の式の値を求めよ。
a+b+c=0のときの値も求めるんだケロよ。
ひょっとしたら、その時、値を持たないかもしれないけれど…。
を行列で書き直すと、
となり、行列の固有値問題になるな〜。
てなわけで、
方程式
a=b=c=0という自明の解以外の解を持つためには、
でなければならない。
単純に展開したほうが、どう考えても、楽なので、
と解くこともできるわな〜。
そこで、
お前らは、
行列(式)を使わずに、a,b,cに関する連立方程式
が(a,b,c)=(0,0,0)という(自明な)解以外の解を持つ(kの)条件とその時の解を高校の数学Ⅰレベルの知識を駆使して求めるにゃ。
3元1次連立方程式だと難しいというヒトは、次の2元1次連立方程式
が(a,b)=(0,0)以外の解を持つ条件とその時の解を求めるにゃ。
【行列を用いた解答】
方程式
が(a,b)=(0,0)以外の解を持つためには
でなければならない。
k=−1のとき
よって、
k=1のとき
よって、
(解答終)
いくら⑨のお前らでも、この問題くらいは解けるだろう。
たとえば、連立方程式の第1式から
これを第2式に代入すると…。
そして、あと、必要となる知識は、
A、Bを実数とするとき、
という中学生で習うであろう知識を使うだけなんだから。
まぁ、お前らが小学生や赤ちゃんならば、解けないのはしょうがないけど…。
お前らに質問(12月05日 定積分の近似値)の解答例 [お前らに質問]
お前らに質問(12月05日 定積分の近似値)の解答例
台形公式
問題 次の広義積分の近似値を台形公式を用いて求めよ。
【解答例】
とおくと、x=0にはt=0、x=∞にはt=1(正確にはt=1−0)が対応する。
また、
となるので、
そこで、
とおく。
[0,1]を4等分した分点0.1/4,1/2,3/4,1における被積分関数f(t)の値は
となるので、台形公式より
よって、
(解答例終)
なお、この広義積分の値は、
したがって、絶対誤差は約0.0208、相対誤差は0.013=1.3%で計算できていることがわかる。
分割数nを10倍のn=40にすると、絶対誤差は0.000208となり、誤差はn=4のときの1/10²=1/100になることがわかる。台形公式の誤差の程度はO(1/n²)だから、nを10倍にすると、誤差は1/10²=1/100になるんだケロよ。
お仕置き問題 次の広義積分の近似値を台形公式を用いて求めよ。
【解答1】
とおくと、x=0にはt=0、x=∞にはt=1(正確にはt=1−0)が対応する。
また、
となるので、
そこで、
とおき、[0,1]を4等分した分点0.1/4,1/2,3/4,1における被積分関数f(t)の値を求めると
よって、台形公式より
したがって、
(解答1終)
【解答2】
とおくと、x=0にはθ=0、x=∞にはθ=π/2が対応し、
なので、
そこで、
とおくケロ。
[0,π/2]を4等分した分点0.π/8,π/4,3π/8,π/2における被積分関数f(t)の値を求めると
よって、台形公式より
(解答2終)
ところで、
だから、解答例1の誤差は0.0109、解答例2の誤差は0.0253なので、解答例1による方法のほうが、精度よく計算できていることがわかる。
同じ分割数に対して、台形公式を使って定積分の近似値を求めているはずなのに、計算精度が違う。
これは何故ですか。
この理由を、お前らは考えるにゃ。
念のため、
(参考)
素性のいい(半)無限積分の近似値は、このように、分割数が少なくても、台形公式などを使って、意外に正確な値を求めることができたりする。
などは、問題、お仕置き問題のように変数変換することなく、
と考え、右辺の積分区間[0,4]を5等分し、台形公式を用いてその近似値を求めると、ほとんど一致してしまうのであった。
仰天の事実!!
これらの計算は、ネムネコが3年前に作ったスクリプトで計算しているにゃ。
http://nemneko.blogspot.com/2016/11/blog-post_14.html
それはそれとして、ネムネコが考えるに、
数値計算屋のddt³さんが、きっと、これに関係する記事を投稿してくれると思うので、楽しみにして待つにゃ。
お前らに質問(12月06日 微分) [お前らに質問]
お前らに質問(12月06日 微分)
ddt³さんが提出した微分の定義をまず紹介。
関数f(x)が点xで
を満たす定数Aが存在するとき、関数f(x)は点xで微分可能という。
さてさて、
お前らには、この定義にしたがって、次の定理を証明してもらおうか。
問題 次の定理を証明せよ。
定理 関数f(x)が点xで微分可能ならば、f(x)は点xで連続である。
連続の定義がわからないというふざけた奴がいるかもしれないので、
であるとき、関数f(x)は点xで連続であるという。
要するに、(1)から
あるいは、
などを導けってわけ。
言っておくけれど、
かどうかはわからないし、そもそも、なんて極限が存在するかどうかもわからないので、
といったことが許されるかどうかも不明だケロよ。
だから、証明では、この点に留意すること。
こんなのはちょろいぜというヤツは、さらに、ε−δ(いぷしろん・でるた)論法を使って、この定理を証明し、その証明をこの記事のコメントに書き込んで、ネムネコのもとに送信するように。
首を長くして、お待ちしております。
工学野郎の思う微分_1 【ddt³さん、半回復記念、特別寄稿記事】 [ddt³さんの部屋]
【ddt³さん、半回復記念特別寄稿】 工学野郎の思う微分_1
先日「自宅のPCが起動しなくなったぁ~!」と悲鳴をあげましたが、新しいPCを購入し(マザーボードがお釈迦という診断でした)、旧PCのHDは抜き出して外付け装置に移植しデータ救出。目出度しめでたし・・・のはずだったのですが、昨日外付けHDのデータを内蔵HDに移そうと思ってアクセスしたら、「フォーマットされていません」が出やがったんですよ(^^;)。「これは外付け装置の外周りの故障に違いない。中に移植したHDは無事に違いない!(そう思いたい!)」という状況になっちゃいました(^^;)。
・・・という訳で、半復活記念です(^^)。
1.二つの微分可能の定義
とりあえず普通の微分可能の定義をあげます。
[定義-1 微分可能]
関数f(x)に対して、
という計算が可能なとき、関数f(x)はxで微分可能という。関数f(x)がxで微分可能なら、(1)の結果をf'(x)と書く。すなわち、
ところが現代の(20世紀以降の)数学は、次の微分可能の定義を正式採用します。
[定義-2 微分可能]
hに依存しないa(x)が存在し、任意のhで、
が成り立つとき、関数f(x)はxで微分可能という。ただしO(h2)は、
を満たす(※)。
(※)
(3)、(4)ではなく、
関数fが
を満たすとき、関数fは点xで微分可能である、と定義するほうがメジャー。たとえば、高木貞治の「解析概論」。
また、ε−δ論法との兼ね合いで、
をもって、微分可能を定義する流儀もある。
英単語”where”は、日本語の「ここで」くらいの意味。
Ο(h²)、ο(h)に登場する、記号Οとοは、ともにLandau(らんだう)の記号と呼ばれるもの。
Ο(h²)、ο(h)の括弧()の中のh²、hにはそれぞれ意味があるのだけれど、これをやりだしたら、際限がなくなるので、ここでは触れない(^^ゞ。
これには、ちょっと、特殊な演算規則、色々なお約束事があるので。
「これでは曖昧すぎる」というヒトには、ε−δ論法による定義を。
任意の正数ε>0に対し、ある正数δ>0が存在し、0<|h|<δを満たす全ての実数hに関して、
が成り立つ、hに無関係な関数(?)aが存在するとき、関数fは点xで微分可能であるといい、
で表す、
といった感じになる。
(※終)
[定義-2]は、さすがに数学科で正式採用されただけあって不要に一般化されていて、一回読んだだけでは、いったい何を言ってんだかわかんないと思います(^^;)。しかし[定義-1]と[定義-2]は同等なのです。ここで同等とは、[定義-1]が成り立つなら必ず[定義-2]が成り立つし、[定義-2]が成り立てば必ず[定義-1]が成り立つ、という事です。[定義-1]と[定義-2]は、互いに互いの必要十分条件だ、という事です。
[定義-2]を採用するメリットこそ、ここで話したい事なのですが、まずは[定義-1]と[定義-2]は同等である事を証明します。それがないと話が進まないので。
[定理-1]
[定義-1]と[定義-2]は、同等な微分の定義である。
[証明]
1)[定義-2]⇒[定義-1]
[定義-2]が成り立つとすれば、(3)に次の変形が可能である。
h≠0のとき、
hは任意だったから、h→0でもかまわない。
上記に(4)を使えば、
となり、[定義-2]が成り立てばa(x)は存在するから、上記左辺の計算は可能である。これは[定義-1]。
2)[定義-1]⇒[定義-2]
[定義-1]が成り立つとすれば、(2)で定義されるf'(x)が存在する。そこで、
と定義する。上記に(2)を考慮すれば、
を導ける。さらにf'(x)はhに依存せず存在するので、それをa(x)と書いても良い。f'(x)をa(x)でおきかえ、(5)を(3)の形に移項すれば(6)((4))も成り立つ事から、これは[定義-2]である。
[証明終]
という訳で微分の定義としては、どっちでも良いんですよ。にも関わらず20世紀の数学科が、[定義-2]の表現を選んだのは、それがまず概念的,理論的に非常に有用だったからです。ここからは、その有用性について語るつもりです。
ちなみに「[定義-2]が不要に一般化されてる」というのは、[定理-1]の証明過程から明らかなように、[定義-2]は本来、h→0という状況で考えるのが目的なのは明瞭だからです。にも関わらず、任意のhでとなってしまうところが数学科(^^;)。
以後、hが0に近い事をh~0と書きます(hはほとんど0と読む)。[定理-1]の証明過程から(3)でa(x)をf'(x)と書いてもOKなのも明らかでしょう。
(10)は実質的には、h→0という状況を念頭においた式でした。h→0ならh~0であり、hの大きさはカスです。しかしここで皆さんに問いたいのは、大きい/小さいはどうやって判断してますか?、という話です。
h=0.1なら十分小さいと感じますけれど、それは普通h=1を基準にするからです。もしh=0.01を基準にしたら、h=0.1は基準より10倍も大きいです。何を言いたいかというと、大きい/小さいを言うためには、基準の大きさが必要ですよね?、という事です。基準の大きさでhを割って、その比率でhの大きさを判断してませんか?、という事です。
[定義-2]ではO(h2)をhで割ってました。という事は、O(h2)の大きさをhを基準に測ると言ってるのと同じです。ところが(4)が成り立つのでh~0でカスなhに対し、O(h2)は、h~0でさらにカスだという事になります。カス過ぎるものは無視したって、とりあえずOKなはずです。問題は人間が、どこまでの精度を求めるかでしょう。しかし最初は最低限の近似ですよね?。そして理屈の上では最低限の近似も、無限に精度を上げる事ができます。最低限の近似を考慮するだけで一般的には理論を組み立て可能です。よって理論屋な微分ユーザーの欲求からすれば、(10)のO(h2)は無視して良いのです!(^^)。
となります。(11)の意味はなんでしょう?。こうなります(^^)。
(D) 微小入力では、出力は入力に比例する.
・・・です。
hはh~0なので、hが微小入力です。その出力はf'(x)・hです。だってh=0ならf(x+h)=f(x)なんだから、という訳です。そしてf'(x)・hは、確かにhに比例します。比例定数は微分すればf'(x)と出るよ、というのが(11)の意味です。
(D)を認めるという事は概念上の話としては、微分可能な関数の一点には、理想化すればその接線が住んでると認めるのと同じです。これは、瞬間速度f'(t)を定義に従って計算する時に薄々ついてまわる気持ち悪さ、「瞬間では動いてないのに速度あり?」という疑問に対する概念上の答でもあります。
「動いてないけど接線はいるんだ。だから傾きはある。文句あっかぁ~!」
・・・という訳です(^^;)。
h~0なので(11)は、x近傍の局所の話です。接線は一次関数ですが、一次関数は線形関数とも呼ばれます。よって微分とは、局所線形化をやりたいという人間の意志だったのです。その意志を許容する条件が、微分可能という条件だった事になります。
しかし、いくら(11)の形が理論的に使い出があり、概念的にわかりやすくても(← 本当か?)、計算手段として不便だったら、数学屋さんたちはきっと別の表現に走ったはずです。じつは(10),(11)の形は、計算手段としても非常に使い出があります。それを見るためにここでは、四則演算に対する微分公式を証明してみます。
和の微分公式は、
でした。これを通常は、まだ見ぬ結論(12)の姿を想像しながら、
h≠0のとき、
とこねくり回し、(12)を導くわけですが、もし(10)を使えば、
と目標物であるf'(x)とg'(x)が、初っ端から眼前に現れるので、後は微分の定義式を思い出すだけで、
という変形はたやすいはずです。上記に条件(4)を使えば(12)です。なれてくると(4)は当然として、O(h2)の項は、書く事すらしなくなります(※)。
(※)
としてもよい。
そして、Ο(h²)の特殊な演算器則
を使うと、
h≠0のとき
としてよい。
上記の演算規則を使わずに、
としてもいい。
ランダウの記号を用いた算法では、記号の胡散臭さ、疚(やま)しさ――記事を書く数学屋が感じる疚しさ、後ろめたさ!!――を少しでも軽減するために、極限を→で表すことが多い(^_^;)。
(※終)
定数倍の微分公式も同様です。
積の微分公式は、(13)のO(h2)の項を失くした形で((11)の形で)辺々の積をとり、
最後は(14)と(11)の形を直接比べ、hで割る操作もlimh→0の操作も省略して結論を出しちゃいました(^^)。
面倒くさいので省略しますが、商の微分公式も合成関数の微分公式も、同じくらい簡単に導けます。最後に、ネコ先生の大嫌いなロピタルの定理を証明しましょう。
[定理-2]
関数f(x)とg(x)が、あるxでf(x)=g(x =0、かつg'(x)≠0とする。このとき、
[証明(?)]
(11)を使い、f(x)=g(x)=0かつg'(x)≠0であるから、
より明らか。
[証明終]
なれてくると(16)を見た瞬間に、それは明らか!と思えるようになります(^^)。しかしロピタルの定理の運用には、十分な注意が必要です。それはネコ先生の仰る通りなのです(^^;)。
(おまけ)
h≠0のとき、