微分可能の新たな定義 [微分積分]
微分可能の新たな定義
ddt³さんがランダウのO記号を使った微分の定義を提示したので、ネムネコはランダウのo記号を使った微分の定義を提示するにゃ。
f(x)を区間Iで定義される関数とし、a∈Iとする。
ある(1つの)定数Aがあって、
であるとき、関数f(x)は点aにおいて微分可能といい、
であらわす。また、を関数f(x)の点aにおける微分係数という。
【注意】
は、少なくともこの時点では、導関数の点aにおける値ではなく、(1)で定まる定数Aを
とおいた単なる値に過ぎない。
f(x)が点aで微分可能であるとき、
(1)式は、任意のh≠0について成り立つので、
h→0のとき、
したがって、
に収束する。
とする。
h≠0のとき、
が成り立つ。
h→0のとき、
に収束するので、
というわけで、
従来の微分可能の定義
と、新しい微分可能の定義(1)はまったく同じもの、同値ということになる。
問1 実数全体の集合Rで定義された関数f(x)=x²は、Rで微分可能であることを示せ。
【解】
a∈Rとすると、
2aは、hに無関係な定数で、また、o(h)=h²とおくと、
よって、f(x)はRで微分可能である。
(解答終)
問2 実数全体の集合Rで定義された関数f(x)=x³は、Rで微分可能であることを示せ。
【解】
a∈Rとすると、
3a²はhに無関係な定数なのでA=3a²、さらに、
とおくと、
このとき、
よって、f(x)=x³はRで微分可能である。
(解答終)
ここまで読んだヒトは、おそらく、「o(h)はhの関数の意味だ」と思うに違いない。
しかし、o(h)として使われている記号o(ランダウのo記号という)は、いわゆる、関数でないことに注意。
ランダウのo記号の定義
であるとき、
と表す。
特に、のとき、
と表す。
とすると、
問3 α>1のとき、
であることを示せ。
【解】
(解答終)
そして、問3から多項式の最高次数を表すものでもないことがわかる。
問4 次のことを示せ。
【解】
さらに、
であるとき、
と表すと、約束する。
定理 (漸近展開)
f(x)が原点を含む区間で級であるとき、
【証明】
マクローリン展開すると
よって、x≠0のとき、
ところで、f(x)は級なので
よって、
(証明終)