お前らに質問(12月06日 微分)の解答例とランダウのO記号 [お前らに質問]
お前らに質問(12月06日 微分)の解答例とランダウのO記号
ddt³さんが提出した微分の定義をまず紹介。
関数f(x)が点xで
を満たす定数Aが存在するとき、関数f(x)は点xで微分可能という。
問題 次の定理を証明せよ。
定理 関数f(x)が点xで微分可能ならば、f(x)は点xで連続である。
【解答例】
関数fは点xで連続なので
となる定数Aが存在する。
h≠0とすると、
だから、
したがって、
(解答例終)
ddt³さんの記事の中でロピタルの定理が登場したので、ロピタルの話を少し…。
ロピタルの定理より、
とすると、文句をつけるヒトがいる。
「ロピタルの定理を使って計算するのがいけない」というわけではない。
じゃぁ、上の計算のどこがまずいのか、わかるかケロか?
何がいけないかというと、
ロピタルの定理の主張は、
「極限値
が存在するならば、
が成り立つ」であって、この右辺の極限が存在するかどうかわからないのに、いきなり、右辺と左辺を等号で結んでいいのかというところ。
そして、ロピタルの定理の誤用は、往々にして、こうした意識の欠如から生まれると…。
ズボラに書くけれど、
f(a)=g(a)=0で
は存在するけれど、
が存在しない例もある。
そして、が存在しないから、は存在しない、なんてことを平気でやらかすヒトが意外に多い。
さらに、こうしたことから、「ロピタルの定理を使うと減点される」という都市伝説が生まれ、まことしやかに語られるのであった。
例えば、次の問題
問題 次の極限があれば、求めよ。
【ロピタルの定理を使った典型的な迷解答】
これは、∞/∞のタイプの極限。
てなわけで、お決まりの呪文「ロピタルの定理より」を唱えて、
とやる。
そして、右辺の極限は存在しないので、
は存在しない…。
(迷解答終)
ところがどっこい、この極限は存在する。
−1≦sin x≦1だから、x≠0のとき、
そして、
だから、おなじみの「ハサミ打ちの定理」より
になる。
そもそも、xが十分に大きければ、−1≦sin x≦1なんだから、だから、こんな項なんて端から無視できる!!
話は前後するが、
ランダウの記号Oを用いた
の求め方を紹介しよう。
その前に、記号Oの簡単な説明。
x→aのとき、f(x)/g(x)が有界にとどまるならば、
と表す。
特に、x→aのときにf(x)/g(x)が極限をもてば
である。
だから、
これを代入すると、、
よって、
という極限が存在する保証はないけれど、
定義から、x→0のときは有界だから、
となる実数Mが存在し、これから
また、
だから、ハサミ打ちの定理より、
さて、⑨はどこから出てきたかというと、
cos xを3次までマクローリン展開すると、
となるので、この剰余項R₄
と、こっそり、おいた話なんだけどね。
だから、
この場合、
になる。
だったら、O(x⁴)なんて正体不明の薄気味悪いものを引っぱり出さず、マクローリン展開をつかって、直接、極限を求めればいいじゃないかって話にはなるんですが…。
問題2 次の極限を求めよ。
【ロピタルの定理を使う】
これは、0/0の不定形の極限。
ロピタルの定理より
このように2回ロピタルの定理を使うことによってこの極限を求めることができる。
したがって、
x≠0のとき、
よって、
謎の⑨²は何処から出てきたかというと、
というマクローリン展開!!
そして、
と、こっそり、置いたのであった。
だったら、最初から
とやれ!!って話ではあるわな。
それはそれとしまして、
もし、関数fが点xでC²級だとすると、
になるので、
と置こう!!ってのが、この記号の元々の発想。
そして、このとき、初めて、
と表せる理由がおぼろげながら見えてくるのであった。
問題3 次の極限が存在すれば、その値を求めよ。
【解答(?)】
これは、0/0の不定形の極限。
したがって、ロピタルの定理より
【解答(?)終】
0<|x|≪1のとき、
と近似できるのだから、
になるから、
問題3の極限値は存在しないはずなんですがね〜(^^)。
そして、お前らは、問題3の解答(?)の間違いを指摘し、この極限が存在しないことを示すように。