お前らに問題 eは「ふなひとはちふたはち」 [お前らに質問]
お前らに問題!
問題
で定義されるネイピア数(自然底)の値を、少数2桁まで正確に求めよ。
などの知識、ならびに、ddt³さんやネムネコがこれまでに紹介してきた数値計算の知識は使っていい。
ただし、使用可能なものは、紙と鉛筆、そして、お前ら頭のみだケロ。
なお、ソロバンとタイガー計算機の使用は可とする。
要するに、コンピュータ(電子計算機)や電卓が誕生する以前のツールを使って、ネイピア数の近似値を求めて欲しいんだにゃ。
ちなみに、ネムネコは、紙と鉛筆だけを使って
までは求めてあるにゃ。ネムネコの計算力ではこのあたりが限界だにゃ。
たとえば、科学計算が可能な電卓などを使って
と計算した奴は、タコ殴りにしてやる!!
念のためにもう一度言うけれど、
使っていいのは、紙と鉛筆(ボールペンは可)、そして、ソロバンとタイガー計算機だけ。
これ以外のものは使っちゃ〜ならねぇ。
h=1とし、4次のルンゲ・クッタ法を使うと、
となるから、h=0.5くらいで計算すれば、この条件をクリアーできるわな〜。(実は上の計算過程に出てくるk₃=11/4≒2.75で結構いい近似値になっている。)
たとえば、上のようにして求めればいい。
まぁ、オレはもっと簡単な方法で、⑨の近似値を求めたけれど(^^)
手計算で小数点4桁以上正確に求めよというのは、さすがに厳しすぎるので、2.71まで正確に求められればOKとしてやるにゃ。
今日のアニソン、「東京喰種」から『asphyxia』 [今日のアニソン]
微分方程式よもやま話8 オイラー法とピカールの逐次近似法。そして、微分方程式の解の一意性定理 [微分方程式の解法]
微分方程式よもやま話8 オイラー法とピカールの逐次近似法。
そして、微分方程式の解の一意性定理
§1 オイラー法
オイラー法とは、次の一階常微分方程式の初期値問題を
を、次の漸化式を使って逐次的に(1)の(特殊)解の近似解(数値解)を求める方法である。
特に、計算領域に配置されている格子点の間隔が
と等間隔の場合、(2)式は次の式のように非常に簡単に表すことができる。
このオイラー法を用いて、次の微分方程式の初期値問題を解くことにする。
計算する領域は0≦x≦aとし、これをn等分に分割し、計算に使用する格子点のx座標を次のように与えることにする。
そして、に対応する近似解の値をとすると、オイラー法による(4)式の漸化式は次のようになる。
特に、k=n、すなわち、におけるは
である。
(5)式のn→∞における極限をとると、
となり、(4)の厳密解である
と一致する。
となる。
になることを高校で習ったと思う。
(7)式のnに1、5、10、・・・、10万まで与えた計算した結果は次の通り。
高校で習った
e=2.71828(フナ・ヒト・ハチ・ヒト・ハチ)
まで正確に計算するためにはnを10万までとらないといけない(笑)。
(7)式は非常に収束が遅く、精度の高い計算をするためには、nを非常に大きくとらなければならない。
そして、このことは、オイラー法で微分方程式の初期値問題を正しく解くためには、計算区間の分割数nを大きくとらなければならない、すなわち、格子点の間隔hを細かく取らないとならないといけないことを意味している。
§2 ピカールの逐次近似法
ピカールの逐次近似法は、微分方程式の解の一意性定理を証明する際に使用される手法で、数値計算の現場で実際に使用されることはないのですが、オイラー法とよく似た逐次計算法なので、紹介することにする。
ピカールの逐次近似法とオイラー法の違いは、ピカールの逐次近似法では変数を使うのに対し、オイラー法は数値を使って、微分方程式(1)の初期値問題を解くというところ。
ピカールの逐次近似法
f(x,y)が連続であるとき、
により、関数列を作ると、この極限関数y(x)が微分方程式y'=f(x,y)の解になる。これをピカールの逐次近似法という。
微分方程式(4)の初期値問題を、ピカールの逐次近似法を用いて解いてみる。
そこで、n→∞として(10)の極限をとると、
厳密解と一致する。
さて、次の微分方程式の初期値問題をピカールの逐次近似法を用いて解くことにする。
ここで
とおく。
よって、
したがって、
ここで、この解を−∞<x<∞と延長するならば、
(^^)
実は、
なんだけれど・・・。
でも、
ということにすれば、ここはクリアーできるに違いない。
そして、このピカールの逐次近似法は、微分方程式の解の一意性定理の証明に用いられる手法。
つまり、微分方程式の解の一意性定理は、微分方程式の
を保証してくれないのであった。
§3 微分方程式の解の一意性定理
ピカールの定理 (1階常微分方程式の初期値問題の解の一意性定理)
一階常微分方程式
について、f(x,y)が
であって、
を満たすとき、y(x₀)=y₀をみたす解y=y(x)が
において、ただ一つ存在する。
あまりうるさいことを言わなければ、
Dでf(x,y)の偏導関数が連続であるとき、解の一意性が証明される。また、連続でないと、微分方程式の解の一意性は必ずしも保証されない。
(13)の左辺をyについて偏微分すると、
y=0のとき上の偏導関数は存在せず、D=R×R=R²にすると、(13)の解の一意性は保証されなくなる。
実際は、初期値(x₀,y₀)を与えても微分方程式(13)の解が一つに定まらないから、ピカールの定理を満たさないのだけれど・・・。
――ピカールの定理は、あくまで微分方程式の解が一つに定まるための十分条件にすぎず、この条件を満たさない場合でも解が一つに定まることがある。――
微分方程式
も、
となるので、上の微分方程式の定義域に原点(0,0)を入れると、「本当に(14)の解は一つですか。そう断言していいのですか」とイジメられる(^^ゞ
では、どうしたらいいのか。
「微積分の根底を探る」で展開されている稲葉三男の提案にしたがうならば、
少なくとも微分積分の範囲では、
微分方程式は
と、連結する集合(切れていない、穴ボコの開いていない集合。たとえば、開区間や閉区間などの区間)で定義されるべきで、微分方程式と同時に定義域を明示するべきだとなる。
これならば、解の一意性は保証される、一般解が、y=Cxと1つに定められる。
そして、
ddt³さんがおっしゃるように、矛盾しないように、あらたな点などを加えて、矛盾しないよう、うまく、微分方程式の解(の曲線)をつなげばよい。
すなわち、右の図のように、原点Oを新たに加えることによってD₁={(x,y)|x>0,y>0}とD₂={(x,y)|x<0,y<0}を一つの集合とし、D₁で定義される微分方程式の解y₁=C₁xとD₂定義される微分方程式の解y₂=C₂xの中から
となるものを選び、D₁∪D₂∪{(0,0)}上で定義されるy=Cxをその(一般)解とする。さらに、D₁∪D₂∪{(0,0)}の補集合の奴まで加えことによって、定義域をR²とするy=Cxを微分方程式(14)の解を構成する、
みたいな話(^^ゞ