一階微分方程式の一般解の続き その1 [微分方程式の解法]
一階微分方程式の一般解の続き その1
ddt^3です。
http://nekodamashi-math.blog.so-net.ne.jp/2018-05-25-1
の続きです。まずこの前は、嘘八百を並べた事をお詫び申し上げます(∨∨)。
の位相空間での軌道で、この前の(dy/dx,y)をひっくり返したしたものです(やっぱりこっちの方がわかりやすい)。
ひっくり返しただけなので、yがいつでも単調増加は変わらないのですが、この前は、y<0からdy/dx=0に近づくには無限の時間が、またy=dy/dxから0<yに出ていくにも無限の時間がかかると書きました。嘘です。
これもあんまり確認せずに言ってるので、また「嘘です」と後から言う破目になるかもわからないですが(^^;)、図中に点線で示したdy/dx=0から引いたdy/dx=±yより軌道が上にあれば、軌道上の点は、dy/dx=0の点へ有限の時間で到達できるし、有限の時間でdy/dx=0の点から出て行けます。
という訳で右図より、(1)の解は(y,dy/dx)=(0,0)を、すぅ~っと抜けて行けます。
だいたいy≠0として解いた(1)の一般解は、
で、x=Cのとき明らかにy(C)=0へ一階微分可能な形で接続できるんだから、x<Cから出発した解が有限の時間(C-x)でy(C)=0に到達できるのは一目瞭然。同様にx=Cから出発する解が、有限の時間(x-C)でC<xの点に行けるのも、火を見るよりも明らか。お前はどこに目ぇ~付けとるんじゃ~っ!。
どうも質点の運動のイメージが強すぎたんですよね(いっつもやってるので(^^;))。素直な質点の運動では、速度dy/dx=0の時はほとんど力Maxになってるんですよ。力はdy2/dx2に比例します。そこで(1)からdy2/dx2を出してみると、再びy≠0として、
となり、今度も2階微分可能な形でy→0へ接続できるんだから、「なぁ~んだ。y=0にはまった解は、そこから動けないじゃない」と。何故なら速度0で力も0なら動くわけないからです。こういう場合、「y=0へはまりに行く解は、はまるまで無限の時間がかかる」のが普通だ。それは(1)にy=0で「角が立つ」からだと訳わからん事を言いながら・・・。(ネムネコの呟き)
・・・安易に。(・・・アンイに・アンイに・アンイに・・・・とエコー付き(^^;))
「微分方程式という数学を使った力学問題」と「微分方程式という数学問題」の違いをはっきりさせるために、もう少しこの話を続けます。
(1)が(y,dy/dx)=(0,0)へすぅ~っと到達できるにしても、力学的には、y=0に達した解はそこから動けない。そうするとネコ先生の仰る、(x,y)=(C,0)へ(2)で単調増加して行って、(x,y)=(C,0)でy(x)=0に乗り換え、(x,y)=(C+δ,0)でy(x)=(x-C-δ)3にまた乗り換えて単調増加して行く解は、少なくともない訳です(δ>0)。前回はこんなイメージでした。
でもですね、(1)が力学問題であると誰が言ったんだ?。(1)の「運動」が(3)で駆動されるなんて、(1)に書いてあるのか?。
全然ありません(^^;)。では微分方程式(1)とは、いったい何なんだろう?。それは「接線の傾きとその時の関数値の関係を与えた」という、幾何学的条件に過ぎない訳です。なので「運動」を考えるのが、そもそも間違い。
「微分方程式という数学問題」が「幾何学的条件を与えたに過ぎない」ならば、けっこうとんでもない結論になります。それは「原理的に微分方程式は、いたるところから分岐しうる」。
例えば(1)の一つの解のy≠0となる点で同じ接線を持ち、しかもその後も(1)の幾何学的条件をみたすものがもしあれば、それも(1)の解と認めざる得ない。しかもその分岐は、無数にあってかまわない。
そうであれば、微分方程式の解の一意性存在定理にはネコ先生の仰るように、かなりの制約条件があるが、そうであればこそ制約条件付きであろうと「証明できた」という事実に意味がある。
ただしその制約条件は、全然実用的じゃない。簡単そうな(1)にさえ手軽には使えない。その観点から一般解を考えると、一般解に意味が出てくる。無限に解が分岐しない事の実用的確認手段としての意味が。
という訳で最後は、ネコ先生の結論と同様になったと個人的には思います(^^)。
ちなみにルンゲクッタ法による(1)の数値解ですが、x=Cでy(x)=0に接続されないという事は、y(C)にy(C)=ε≠0となる数値誤差があるという事ですよね?(絶対ある(^^))。εが十分小さいとして(ルンゲクッタだから十分小さいだろう)第一近似として、数値解はy=(x-C)3+ε(x-C)程度と考えられます。ところでルンゲクッタ法はdy/dx=εに対して正解を与えるので、まさに数値解は上記とほとんど変わらないはず。これを、
と変形すると、右辺後半のカッコの2項目は相対誤差です。x=Cの近傍では相対誤差∞ですが、xが大きくなると相対誤差は2乗オーダーでどんどん0へ収束していく。
数値解をグラフにするために、(x-C)3オーダーでグラフの縦軸スケールをどんどんアップして行くと、誤差絶対値は無限に大きくなるのだが、逆に数値解のグラフは理論解の曲線へ見た目上は無限に接近して行く・・・。反則技その二(^^;)。
(執筆:ddt³さん)
今日のアニソン、東方から『WARNING!』 [今日のアニソン]
微分方程式よもやま話4 微分方程式の超難問に挑む(笑) [微分方程式の解法]
微分方程式よもやま話4 微分方程式の超難問に挑む(笑)
次の微分方程式がある。
この微分方程式の(いわゆる)一般解が
であることは、(2)式を(1)式に代入することにより、次のようにすぐに確かめられるだろう。
一階微分方程式の一般解の定義は、「任意定数を一つもつ微分方程式の解」なのだから、この定義にしたがう限り、これが微分方程式(1)の一般解であることは疑いの余地がない。そして、「微分方程式を解け」の意味は、「微分方程式の一般解を求めよ」の意味なのだから、実は、「微分方程式(1)を解け」という問題の解答としてはこれで十分でのはずである。
まぁ〜、高校の数学の先生がこの答案を見たら、「これでは微分方程式を解いたことにならない」と、大減点するのは火を見るより明らかだが・・・。
したがって、テストで減点されないためには、たとえば、次のような答案を作らないとイケナイに違いない。
【答案例】
x≠0、y≠0のとき、
ここで、とおくと、
C=0のとき、y=0になるので、微分方程式の(一般)解は
(答案例終)
⑨のところで、Cを任意定数としないのは、⑨の段階ではC≠0の任意定数であるから。
ネムネコのように重箱突きが好きなヒトのツッコミを交わすために、⑨の段階では、あえて、ぼかしてあるんだにゃ。
⑨なりの智慧という奴だにゃ(笑)。
ところで、微分方程式のべき級数解というものを知っているだろうか。
次に、べき級数を用いた
もし、上の微分方程式の解が次のようなべき級数(収束することを仮定)の形に表せるとする。
さらに、(4)式の無限級数の項別微分が許されるとすると、
になる。
すると、微分方程式の左辺は次のようになる。
よって、(1)は次のようになる。
すべての実数(うるさい奴の口封じをするために、収束半径をRとするとき、|x|<R)で(6)が成立するためには、
が成立しなければならない。
ここで、a₁をa₁=Cとおくと、微分方程式の(べき級数)解は
である。
そして、(7)は微分方程式の解のテーラー級数(マクローリン級数)そのものであり、テーラー級数の一意性から微分方程式(1)の解は(7)以外に存在しない。
変数分離法のようにゼロ割の影に怯えることなく、べき級数による微分方程式の解法を導入することによって、微分方程式(1)を解くことが出来た(^^)
さてさて、微分方程式(1)を変形した微分方程式(3)について考えることにする。
x≠0という仮定のもとで(1)を変形したのだから当然だけれど、原点(0,0)の値を入れると、原点(0,0)における微分係数が不定になってしまう。
これが原因で、数値計算で最も初歩的な微分方程式の求積法であるEuler法で、原点(0,0)を計算の出発点とした計算しようとした場合、ファースト・ステップで微分方程式(3)の数値解を求めることができない。
この事実だけからも、微分方程式(3)が実に危ない方程式だということがわかるにゃ。
だ・か・ら、胡散臭さ、疑いの余地を見人も有さない、最初に示した解き方が一番安全なんだケロ。そして、「この解法にケチをつけちゃ〜ならねぇ〜!!」と、オレは思う。「これでは、(一般)解がこれしかないことを示しておらず、微分方程式の解法としては不十分である」なんて批判は当たらないと思う。だって、一般解は微分方程式に一つしかないはずだ。一般解は1つしかないと堅く信じ、このことにいささかの疑念を持っていない一般解信者が何をか言わんやである。
少なくとも、怪しいところが多数存在する変数分離法を使って微分方程式(1)の解を求めた奴にあれこれと文句をつけられる筋合いだけはねぇ、と思う。
今日のアニソン、「ハヤテのごとく!Cuties」のイメージソング、『雨色笑顔』 [今日のアニソン]
さらに、雨がタイトルにつくこの曲を♪
微分方程式よもやま話3 「一般解の怪奇」現象から逃れる術(すべ) [微分方程式の解法]
微分方程式よもやま話3 「一般解の怪奇」現象から逃れる術(すべ)
少し前に、微分方程式
の一般解は、微分方程式の解き方によって、異なる2つの一般解が得られるという話をした。
解法1
y≠0、y≠1のとき、
解法2
の両辺に−1を掛けると
そして、(2)を微分方程式の一般解とすると、定数関数y=1は、一般解(2)にC₁=0という特定な値を与えたものなので、y=1は特殊解(特別解)であり、C₁にいかなる値を与えても微分方程式の解の1つである定数関数y=0は表わせないので、y=0は特異解になるという話をした。(y=0はx→∞のときの(2)の漸近線である。)
さらに、(3)を微分方程式の一般解とすれば、定数関数y=0は一般解(3)にC₂=0を与えることによって得られるのでy=0は特殊解、C₂にいかなる値を与えても定数関数y=1にはならないのでy=1は特異解(y=0は、x→−∞のときの(3)の漸近線である。)。また、(2)と(3)は別の関数であるという話をした。
一階の微分方程式
の一般解は1つに限るという法はないにゃ。微分方程式(4)の一般解はただ1つに限ることの理論的な根拠なんて、実は、どこにもないケロ。
(1階常微分方程式の)「解の一意性」定理を根拠にあげるヒトもいるかもしれないけれど、この定理は「カクカクシカジカの条件のとき、y₀=y(x₀)となる解y(x)が、ホニャララの範囲に1つある」と言っているのであって、微分方程式(4)のすべての解を任意定数を1つもつ関数で表せる、いわゆる「一般解」とされるものがただ1つだけ存在するといっているわけではないケロ。
だいたい、特異解y=0(またはy=1)が存在する時点で、この願望、幻想は木っ端微塵に打ち砕かれているにゃ。
だから、いわゆる「一般解」なるものが2つあっても、何ら不都合はないケロ(^^ゞ
それはそれとして、
y≠0、y≠1のとき、(2)式と(3)式は見た目はすこし違うけれど、実は同じ式。
というのは、この条件下ではC₂≠0であり、
と書き換えられる。
1/C₂≠0の実数だから、
となるC₁≠0が存在する。
このC₁をとれば、(3)式は
と表せる。
(この条件下では(2)式の任意定数C₁もC₁≠0である。ここがポイント!!)
考えてみれば、これは当たり前の話。
だって、解法2は
として一般解(3)を求めたものなんだから。
C₁=1/C₂、あるいは、C₂=1/C₁としたとき、(2)から(3)、(3)から(2)が導かれなければおかしいにゃ。
ということで、
y≠0、y≠1のときの微分方程式(1)の解はすべて
と1つの形に書け、そして、これがこの条件下での一般解になる。
ここまではいい。
しかし、(7)のCにC=0という絶対に与えてはいけない値を与えると、運良く(あるいは運悪く(^^ゞ)、定数関数y=1になってしまう。
C≠0、すなわち、「−∞<C<0または0<C<∞」にあらたにC=0を加え、「−∞<C<∞」と拡張するのは自由だけれど、これをやっちゃうと、
に対応するC₂は存在しないので、一般解には(2)と(3)の2つのタイプが存在するという奇妙な現象、稲葉三男の言葉を借りるならば、「一般解の怪奇」現象が発生してしまう。
要するに、一般解(7)の任意定数をC≠0から実数全体に拡張し、微分方程式(1)の一般解を
と拡張し、定数関数y=1を(8)の特殊解にしたのがまずかった。
(7)を微分方程式(1)の一般解とし、定数関数y=0、1を特異解のままにしておけば、「一般解の怪奇」現象は発生せず、稲葉三男の「微分方程式から一般解を追放しろ」という批判の一部を交わすことができたんだにゃ(^^)。
と同時に、「何故、定数関数y=1は特殊解なのに、定数関数y=0は特異解なのか」という哲学問答に近い質問を永遠に封じ込めることができる。
つまり、一般解(8)は無用な拡張どころか、様々な災いをもたらす、決して開けてはならないパンドラの匣であり、「舌切雀」で欲深いお婆さんが開けてしまった箱であった。(魑魅魍魎がたくさん詰まった箱を開けてしまったお婆さんは、その魑魅魍魎たちに食べられてしまう!!)
さてさて、「y≠0、y≠1のとき」の意味は、y=y(x)=0という関数はけっしてy=0、y=1という値を取らないの意味。
そして、上の解法では、「定数関数y=0、y=1以外に、y=0またはy=1の値をとる微分方程式(1)の解は存在しない」ということを示していない。
つ・ま・り、微分積分などの教科書に書いてある、上のような解答には大きな穴があると言わざるを得ないでしょう。
「微分方程式を解くとは、関数の形(一般解のこと?)を求めることだから、関数の個々の値は問題にしない(ので、これでよい)」という説明では、とても安心できないと思う。
ということで、この大きな穴を埋めて欲しい。
証明すべきことは、定数関数y=0、y=1以外に、y=0またはy=1の値をとる微分方程式(1)の解は存在しない、ということ。
そうでないと、微分方程式(1)を完全に解いたということにはならないと思う。
「こんな簡単な微分方程式も解けないのか」と笑われないために、是非、この問題にチャレンジして欲しいにゃ。
考えるネムネコ 微分方程式を眺め、かく考えリ [ひとこと言わねば]
考えるネムネコ 微分方程式を眺め、かく考えり
次の微分方程式を眺めていて、「この式から、この解の曲線を、ある程度、正確にイメージできるヒトはいるのだろうか」と疑問に思った。
オレにはできないけれど、上の微分方程式の微分方程式を解かずに、(1)を眺めて、このおぼろげな概形を頭の中で、あるいは紙と鉛筆を使って描くんだケロ。
このブログの訪問者の中に、「オレはできるよ」というヒトがいたならば、是非、その方法、コツをご伝授して欲しいにゃ。
(1)式の中に、この曲線の外見の手がかりがまったくないわけではない。
dx/dt=0とすれば、x=±1だから、xが極値をとるとすれば、おそらく、x=1は極大値、x=−1が極小値になりそうだとか・・・。
さらに、−1<x<1のとき、x=x(t)は増加し、x<−1、x>1で減少する。
これくらいのことは見てすぐにわかる。
(1)を(頭の中で)tで微分すると、
この曲線に変曲点があるとすれば、x=0、x=±1になるところだとか。この曲線の凹凸だってわかる。
そして、この(2)式にx=±1を代入すると、
になることから、x=±1が極値という線はどうやら消えたな・・・。
――そりゃそうだ。定数関数x=±1は(1)の特異解で、これは(1)の一般解の漸近線であり、したがって、(1)の一般解は極値を持たない。こんなことは、考えるまでもなく、わかりきったことではないか!!――
このあたりが限界だね〜。こうした情報をもとにしても、オレは、下の図まではなかなか(思い)描けない。
赤い曲線は、ある程度想像がつくけれど、青い曲線まではちょっと無理だな〜。
(赤と青の曲線がx=±1に接しているように見えるけれど、x=±1はこの2つの漸近線なので絶対に接しない!!)
そして、、絶対にくっつかない赤い曲線と青い曲線を無理やり一本の曲線にくっつけようと悪戦苦闘し、「うまくくっつかないケロ」と頭を抱え、身悶えする(笑)。
さらに、試行錯誤の後、深い絶望に襲われる。
2本の交わることのない曲線なんだから、そりゃ〜、いくら頑張っても、すべて辻褄が合う、一本の滑らかな曲線にすることはできないケロ。
もう、「一本の曲線になるもの」と思い込んでいるから、一度、陥った思考の袋小路から抜け出すことができないんだケロ。
いや〜思い込みというものは恐ろしいにゃ。
と同時に、能力と才能の限界をつくづくと思い知らされた。
なお、この(1)の一般解は
図の青い曲線はC<0のときで、赤い曲線はC>0の場合。
そして、C=0とおくと、特異解の1つであるx=−1と一致する。
C≠0とし、(3)の右辺の分母分子をCで割り、さらに、D=1/Cとおけば、
そして、D=0とすれば、x=1に一致し、今度はx=−1だけが特異解ということになる。
一般解は(3)と(4)のどちらでもいいのだけれど、(3)を採用するほうが多数派だと思う。
赤い点は赤い曲線の変曲点で、この曲線とt軸の交点が変曲点になる。(3)を2回微分して変曲点のt座標をを求めるよりも、(1)式を微分した方がずっと簡単に求めることが出来てしまうんだにゃ。
x=0の時なのだから、(3)からすぐに変曲点のt座標は求まるよね。
このように、裏技的に迫ったほうが簡単な場合もあるという話。
言っておくけれど、赤と青の曲線を繋げようという不可能を可能にしようとする試行錯誤、悪戦苦闘は、微分方程式(1)を見て、頭の中で一般解(3)を求めた後の出来事だからね。
それどころか、
お絵かきソフトを使って、この曲線群をかかせたあとの話だよ。
なのに、何で一本の曲線で繋げるという発想が浮かんだんだろう。
我ながら不思議でたまらない。
オレは、このとき、いったい何を考えていたんだろう。どんな幻想に囚われていたのだろう。
ということで、同じ過ちを二度と繰り返さないために、微分方程式を解かずに、要するに手抜きをして、こうした曲線のおぼろげな概形を思い描くコツ、方法というものがあったら、教えて欲しいんだにゃ。
ddt³さんは、位相図を書いて、現象を捉えようとしているから、位相図などからこうした曲線の概形を思い描けるのかもしれない。きっと何かコツみたいなものがあるんだろうな。
どうやら、「鵜の真似をする烏」の失敗を犯したようだにゃ。慣れないこと、出来もしないことをやろうとしたのが間違いの元であった。
お前らに問題!(5月16日) 微分方程式の問題の解答 [微分方程式の解法]
お前らに問題!(5月16日) 微分方程式の問題の解答
問題 次の問に答えよ。
(1) 次のyの線形微分方程式
の1つの特殊解がy₁であるとき、一般解は
であることを示せ。
(2) y₁=ax+bの形である、微分方程式
の特殊解y₁を求めよ。
(3) 微分方程式②の一般解を求めよ。
【解答】
(1) ①の特殊解の一つをy₁とすると、
である。
①の辺々を③で引くと、
これをy−y₁について解くと
(2) y₁=ax+bは②の特殊解なので、
よって、
(3) ②式より、
(解答終)
ところで、①の両辺にをかけると、
したがって、
ここで、
とおけば、②が得られる。
この問題の場合、P(x)=−1、Q(x)=xだから、
となり、(2)で求めた特殊解と一致する。
さらに、
なる微分演算子Dなるものを定義すると、問題の微分方程式③は
と書き換えることができる。
そこで、この微分演算子Dを実数のように考えると、上の式の両辺をD−1で割り、さらにを次のようにマクローリン展開すると、
になる。
したがって、
このようにして、微分方程式③の特殊解の一つを求めることもできる。
ネムネコ、件の微分方程式で木っ端微塵になる!! [ひとこと言わねば]
実は、昨夜、
ddt³さんも取り上げてくださった
という微分方程式に、初期条件x₀=−1、y₀=−1をあたえて、オイラー法とルンゲ・クッタ法を用いて、数値的に解かせてみたんだケロ。
(1)の一般解は
になるので、この初期条件を与えると、
という特殊解が得られる。
計算領域を−1≦x≦1とし、これを80分割に等間隔に分割、つまり、分割幅Δx=0.025で解かせた結果は次の通り。
Euler法はともかく、ルンゲ・クッタ法による計算結果はよく合っているように見えるかもしれない。
しかし、解が±∞に発散するような点を計算領域近くに持たないような微分方程式の場合、これくらい分割幅Δxを小さくとると、計算機の丸め誤差の範囲内で、ルンゲ・クッタ法を用いた数値解は厳密解である曲線y=x³上にピタリと乗るもんなんだにゃ。
だ・か・ら、ルンゲ・クッタ法によるこの計算結果はあまり合っていない、考えないとダメなんだケロ。
もし、同一の条件で、計算領域をx=2まで拡大させた場合、上の図の曲線を右方向に延長させる(外挿する)ことによって、x=2におけるyの数値解と厳密解との差がかなり大きくなることが容易に想像つくにゃ。x=1におけるこの差はもはや致命的と言ってもいいレベルなんだケロよ。
この計算は単精度で計算しているので、丸めや桁落ち、積み残しといった計算機特有の誤差で一致の具合が思わしくないのかもしれない。
この可能性は否定できないけれど、ルンゲ・クッタ法などの一般的な数値計算法では、この(非線形)微分方程式(1)を解くのは難しいのかもしれないね。倍精度で計算しても、この状況はあまり改善されないと思う。
この後に出てくる(4)式を見ると、カオス的状況をもたらすロジスティック曲線やマンデブロ集合の漸化式と同様に、ヤバそうな形をしているし・・・。現に、ルンゲ・クッタ法の計算結果を見ると、計算を進めれば進めるほど、誤差が雪だるま式に増えていっているし・・・。
それはそれとして、もし、x=0における微分方程式(1)のyの数値解が、丸めや打切誤差などの兼ね合いで、たまたま、運悪く、y=0になったとしたら、Euler法やルンゲ・クッタ法を用いたx>0以上の数値解はどうなると思う?
答は、曲線y=x³線上(近く)の値ではなく、x>0以上の点ではy=0という結果を出すにゃ。つまり、特殊解(2)ではなく、特異解y=0、すなわち、x軸上を走りだすんだケロ。
ルンゲ・クッタだと、ちょっと面倒なので、なぜ、そうなるかEuler法を用いて説明するにゃ。
Euler法による、微分方程式の漸化式は、次のようになる。
この式を見ると、という値を一度とると、n≧kではになることがわかるにゃ。これと同様の理由で、ルンゲ・クッタ法も、このトラップ、蟻地獄から永遠に抜け出せない。
しかし、考えてみると、x=0のときy≠0という正しくない解だと正しいとされるy=x³近くの値を出してくれるのに、x=0のときy=0のときは特殊解y=x³ではなく特異解y=0を出すのだから、妙な話だにゃ。
そう思わないケロか?
もしかりに、y=x³のx≦0だけのグラフを見せられたとするにゃ。要するに、y=x³のグラフの左側半分。このグラフを見て、(0,0)が変曲点で、こっから曲線の凸凹が変わって、上のグラフのように進むなんて予想できるケロか。このあと、x軸上を進むと思うのが人情だと思うにゃ。だから、Euler法やルンゲ・クッタ法を責めてはいけないにゃ。むしろ、これが正常な判断だと思うにゃ。
そして、
ddt³さんが違った数値解法で微分方程式(1)の数値解を求めてくださるかもしれない(笑)。
餅は餅屋、焼き鳥は焼き鳥屋に任せるのが一番だにゃ。
実は、Euler法は一階の常微分方程式の特殊解(特別解)や一般解の説明によく使われる。
分割幅Δxをどんどん0に近づければ、Euler法による(丸め誤差を含まない)数値解は限りなくある一つの曲線(一般解に特定の値を与えた特殊解)に近づく。その極限の曲線が特殊解であり、その特殊解を全部集めたものが一般解みたいな話。
しかし、よくされる、この説明が正しいのならば、
が特殊解であり、
こそが一般解みたいな話になりなねない。
(6)に含まれている任意定数は、1つだし(^^)
思うに、
(2)式ではなく、ネムネコが提出した(6)式が微分方程式(1)の一般解になる日は近いに違いない。
[微分方程式の一般解] [微分方程式の解法]
[微分方程式の一般解]
根――ネムネコは、この漢字を「ね」と読めず、「こん」と読んで『微分方程式の解のことか』と、しばし混乱する(^^ゞ――がずぼらなせいか、微分方程式の一般解について厳密に考えた事はなかったんですが(だって計算はできるもん(^^))、今回はちょっと反省してみました。
例としては、
ですね。自分の普段の方針は変数分離形の求積公式を使うにしても、気をつけて場合分けすれば実用的に問題になる事はまずない・・・です(^^;)。とは言うものの気になったので、最初に(1)の位相空間での軌道を確認します。下図です。
y=y(x)は任意のyで単調増加です。でもy=0において角が立ってます。こういう場合、y(x)は任意のyで単調増加なんだけれど、例えばy<0から出発した軌道(初期条件がy(0)<0の解)は、y=0にどこまでも近づきますが、xを時間とすれば、y=0に達するには無限の時間を要します。y=0において、位相空間での軌道に角が立ってるからです。これがcosxやsinxのようにdy/dx=0の点で位相空間での軌道が滑らかだと、同じ単調増加や単調減少であっても、解はそこをすぅ~と抜けて行きます。
逆にy=0を初期条件に持つ解は、y=0から抜け出すのに無限の時間がかかります。こういうケースでは、ネコ先生の仰る様に「解の分岐」があり得ます。
なのでy(x)=0は特異解と言っても良いんですが、自分にはそれを「特異」と呼ぶのにはちょっと抵抗があります。さっきの事情からy(0)=0を初期条件に持つ解は、永遠にy(x)=0から動けないのです。またy<0から出発した解は、y=0に達するには無限の時間がかかり、しかも間違って到達してしまったら、永遠にそこから動けないのです。永遠に一点から動けない解って、安定不動点ですよね?(^^;)。正式に何と呼ぶべきか、確認した事はありませんが。
さて、さっきの微分方程式を変数分離形の求積公式を使って解きましょう。経験的に言って、厳密な場合分けは必須です。
(Case-1):y≠0
(1)より、
ここでCは任意定数で、途中でC/3をCに置きかえました。
(Case-2):y=0
(1)より、
ですが、Cは任意定数なのでy(x)は定数関数。従って、どこかでy=0ならば、y(x)の初期条件はy(0)=0となり、だとしてもC=0とする事はCは任意定数なので可能。従ってy(x)=0は(1)の解。(ネムネコの呟き)
さて、(2)と(3)を合体できるか検証します。・・・出来ません!。(2)のCがなんであろうと、(2)のy(x)=(x+C)3と(3)のy(x)=0が、「関数として」一致する事はありません。
エッ、x=-Cとすればy(-C)=(-C+C)3=03=0じゃないの?。それは正しいんですが、(2)のy(x)がy=0となるのは、x=-Cの時のみです。x=-Cでなかったら(2)のy(x)は、例えばδ≠0かつx=-C+δとして、明らかにy(-C+δ+C)=δ3≠0です。(2)のCがなんであろうと、(2)のy(x)=(x+C)3と(3)のy(x)=0が、「関数として」一致する事はありません。
なので自分は面倒なので、(3)のy(x)=0は特殊解とみなす事にしてます。そして(2)が一般解です。ところが次の定義があるんですよ。
[定義-1]
問題になっている一階微分方程式を満たし、任意定数を一個だけ含むものを、その一階微分方程式の一般解と言う。
[定義-2]
何故なら特定の初期条件を与えた特殊解は、一般解の任意定数を初期条件によって固定したものとして表せるからである。これを特殊解の定義とする。
困っちゃいますよね(^^;)。だって[定義-1,2]によれば、(3)のy(x)=0は、(2)の任意定数Cをいかに定めても表せないのですから。しかし(2)は、「問題になっている一階微分方程式を満たし、任意定数を一個だけ含むもの」ですから一般解であるにも関わらず、任意定数をいかに与えようとも特殊解(3)を表せません。
でも、ものは考えようです(^^;)。
[定義-1,2]ってのは、一階微分方程式には常に初期条件分の不定性がある、って事ですよね?。
でどうでしょうか?。
「問題になっている一階微分方程式を満たし、任意定数を一個だけ含むもの」が一般解であり、「一般解の任意定数を初期条件によって固定したもの」が特殊解なんですから、(4)は[定義-1,2]も、(2)と(3)の結果も満たすじゃないですか(^^)。
これが「天空活殺」なみの反則技である事は認めます(^^)。でもこう考えれば、厳密に場合分けする限り安全である事を納得できます(^^)。いっぱい突っ込まれそう・・・(^^;)。
(執筆:ddt³さん)
(ネムネコの呟き)
ここのy=0はどういう意味なのだろう・・・。
Case−Ⅰ
任意のx∈Rに対してy(x)=0の意味だとすれば、C=0なのでは。
Case−Ⅱ
ではなく、すべてのxに対してy=y(x)=0の定数関数ではないが、で局所的にになるという意味ならば、(3)式の第1式は、
になるのでは。
つまり、(3)の第1式は点における曲線y=y(x)の微分係数を表すもので、全体を決定する微分方程式ではないので、これからyが定数Cであるとはいえない。
ですが、ここで、これまで通ってきた曲線y=(x+C)³を進むべきか、もう一つの道である定数関数y=0(x軸)を進むべきか、わからなくなり、道に迷ってしまうのは事実(^^ゞ
この点にさしかかったとき、微分方程式(1)の解の一意性が破れてしまう。つまり、たとえ、Cに特定の値を与えた特殊解であっても、その特殊解とx軸との交点からだけではその後どの道を辿るか決定できず、(その後の)微分方程式(1)の解を1つに特定できないんです。これで定められるのは、いわゆる一般解y=(x+C)³のCに特定の値を与えた特殊解(特別解)だけなんです。
ddt³さんのCを−Cに置き換えたものだが、微分方程式の一般解の曲線の一部を下に図に示す。
さらに、一般解y=(x+C)³と特異解y=0の他に、この2つの解を部分的に組み合わせた、次の3つのタイプのものも微分方程式(1)の解になりえるんです。(下の図に、色分けして、示してある)
この図を見ると、y=0となる点、すなわち、x軸上の点で微分方程式(1)の解の一意性(初期条件を1つ与えると1階常微分方程式の解は1つに決まる)が破れることがわかるんじゃないでしょうか。そして、特異解を除くと、少なくともy<0の点とy>0の点の2点ないと、この曲線の形(解の全貌)が定まらないことも。
さらに、定数関数y=0でなくても、この3タイプの微分方程式(1)の解は、いずれも、y(x)=0となる点xを無数(自然数の無限個を越える)に持つこともわかる。
「たまたま例外的にy=0になる点が高々可算(有限の個数、または、自然数程度の無限個の個数)個くらいあるだけだから、ここは、あまりうるさいことを言わず大目に見よう」というわけにはいかないにゃ。
お前らに質問!(5月24日) 微分積分 [お前らに質問]
お前らに質問!
問題 次の問に答えよ。
(1) 原始関数の定義に従って、次の積分公式の是非について論ぜよ。
①が正当化されるとすれば、公式①をどのように解釈すべきか。
(2) Rを実数全体の集合とし、
とする。
このとき、
は正しいか。
議論をより正確なものにするために、ここでは、原始関数を次のように定義する。
定義 原始関数
区間I上の関数f(x)に対し、
である関数F(x)が存在するとき、F(x)をf(x)の原始関数という。
ここでいう区間とは、a<b(aとbは、実数だけではなく、−∞や∞場合も含む)のとき
の形で表される実数全体の集合Rの部分集合のことである。