第38回 定積分の計算2 置換積分 [微分積分]
第38回 定積分の計算2 置換積分
定理 (置換積分)
関数f(x)は区間Iで連続、とする。x=φ(t)が区間JでC¹級であって、かたa=φ(α)、b=φ(β)ならば
【証明】
f(x)の原始関数をF(x)とすると、
この右辺はJで連続だから積分可能。
よって、
(証明終)
問1 次の値を求めよ。
【解】
(1) t=3x²+4とおくと、x=0にはt=4、x=2にはt=16が対応し、dt=6xdxだから、
(2) x=sintとおくと、t=0のときx=0、t=π/2のときx=1で、
また、dx=costdtだから、
(3) 2x−x²=1−(x−1)²だからx−1=sintとおくと、t=−π/2のときx=0、t=0のときx=1で、
また、dx=costdtだから、
(4) x=tantとおくと、t=0のときx=0、t=π/4のときx=1で、
よって
(5) とおくと、x=0のときt=0、x=π/2のときt=1で、
だから、
(6) とおくと、x=0のときt=0、x=π/2のときt=1で、
だから、
(解答終)
もちろん、(4)は
と計算してよい。
問2 f(x)を[−a,a]で連続とする。
f(x)が奇関数(f(−x)=−f(x))ならば
f(x)が偶関数(f(−x)=f(x)ならば
であることを示せ。
【解】
x=−tとおくと、x=−aのときt=a、x=0のときt=0が対応し、dx=−dtだから
f(x)が奇関数のとき
だから、①に代入すると、
f(x)が偶関数のとき
これを①の右辺に代入すると
(解答終)
問3 であることを示して、次の定積分の値を求めよ。
【解】
x=π−tとおくと、
(1)
(2)
(3)
t=cosxとおくと
したがって、
(解答終)
【解】
x=π/2−tとおくと、
である。
n≧2のとき
したがって、
nが偶数のとき
nが奇数のとき
(解答終)
お前らに質問 (10月13日 定積分) [お前らに質問]
お前らに質問 (10月13日 定積分)
問題 次の定積分の値を求めよ。
この定積分は、高校数学以来、おなじみの定積分で、x=sin θとおき、次のように置換し、定積分の値を求めるのが定番。
x=sinθとおくと、x=0にはθ=0、x=1にはθ=π/2が対応し、
となるので、
図形的にいうと、は、半径1の円の1/4円の面積に等しいので、
としてもよい。(下図参照)
【別解(?)】
部分積分すると、
ここで、積分定数をさり気なく加えると、
という不定積分の公式(?)を導くことができる。
したがって、
(別解終)
では、お前らに質問!!
この別解(?)は正しいケロか?
わざわざ、「正しいか」と訊くくらいだから、どこかに致命的な欠陥があるに違いない!!
お前らは、致命的な欠陥を指摘できるケロかね〜。
関数には定義域というものがある!!
ネムネコ、風邪をひき、絶不調!! [お前らに質問]
咳は出るし、頭や喉、さらに、何故か、左耳まで痛くなって、体調が最悪なんだケロ。
数学の記事を書かねばと思うものの、集中力、思考力が著しく低下していて、数学の記事なんて書けるような状況にないにゃ。
だから、この3連休は、数学の記事をブログにアップできないにゃ。
というわけで、
風(邪)くらいに負けられないので、お前らに問題を一つ。
問題 次の広義積分の収束・発散を判定せよ。
ちなみに、
だから、広義積分は発散する。
また、
だから、
ヒントは出してやったぞ。
ネムネコ・ファミリーには、ブラゲロ・マムシがいるけど、ブラゲロ・マムシに噛まれると、死んじまうからな〜。
お前らに質問(10月10日 定積分の計算の追加問題)の解答例 [お前らに質問]
お前らに質問(10月10日 定積分の計算の追加問題)の解答例
問1 a<bとする。部分積分を用いて、次の定積分の値を求めよ。
【解】
(解答終)
【別解】
とおくと、
(別解終)
問2 次の定積分の値を求めよ。
【解】
(解答終)
お前らに質問 (10月10日 部分積分) [お前らに質問]
お前らに質問 (10月10日 部分積分)
ちょっとした、部分積分を用いた定積分の計算問題。
難しくはないはずなので、お前ら、解くにゃ。
問1 a<bとする。部分積分を用いて、次の定積分の値を求めよ。
問1は、t=b−xと置き、
などと置換積分で計算してもいいけれど・・・。
Β(べーた)関数
を使う方法もあるけれど、でも、お前らは(1)〜(3)をΒ関数の形に変換できなそうだし(^^ゞ。
問2 次の定積分の値を求めよ。
普通の微分積分の教科書にはsin x 、cos xの逆関数の不定積分
は出てないはずだから、
とし、あとは、自分で考えるにゃ。
ちなみに、逆正弦関数、逆予言関数の微分は
だにゃ。
何故ならば、
y=sin xとおくと、
y=cosxとおくと
ゆえに、
となり、yをxにすり替えると、逆正弦関数、逆余弦関数の微分公式を得ることができる。
第37回 定積分の計算 部分積分 [微分積分]
第37回 定積分の計算 部分積分
定理 (部分積分)
f(x)、g(x)が[a,b]でC¹級ならば、
【証明】
したがって、
(証明終)
問1 次の値を求めよ。
【解】
(解答終)
問2 次の定積分の値を求めよ。
【解】
とおく。
したがって、
これをI、Jについて解くと
(解答終)
【別解】
(別解終)
問3 とするとき、次の問に答えよ。
(1) 次のことを示せ。
(2) を求めよ。
【解】
(1)
(2) だから、
(解答終)
類題 とするとき、
が成り立つことを示し、これを利用して、次の値を求めよ。
【解】
だから、
(解答終)
問4 次の値を求めよ。
【解】
(解答終)
問5 とすると、
であることを示し、これを利用して、の値を求めよ。
【解】
とおくと、
n≧1のとき、
したがって、
(解答終)
お前らに質問の解答例(10月7日 微分積分) [お前らに質問]
お前らに質問の解答例(10月7日 微分積分)
お前らは、次の不等式をどうやって証明するケロか。
問題
p、qを
である正の実数とする。
a>0、b>0ならば
であることを示せ。
【解】
したがって、p>1、q>1。
とおき、微分すると
p>1だから
x |
0 |
・・・ |
・・・ |
|
f'(x) |
|
− |
0 |
+ |
f(x) |
|
減少 |
極小 |
増加 |
したがって、のときに、f(x)は極小かつ最小。
ゆえに、
ところで、
だから、これを①に代入すると
x=a>0を代入すると
(別解終)
【別解】
とおくと、なので、f(x)は下に凸な関数。
また、仮定より
だから、
ここで、とおくと、
(別解終)
【別解2】
f(x)=log xとおくと、f''(x)=−1/x²<0だから、f(x)=log xは上に凸。
よって、
f(x)=log xは(狭義)単調増加なので、
(別解2終)
お前らに質問(10月7日 微分積分) [お前らに質問]
お前らに質問(10月7日 微分積分)
お前らは、次の不等式をどうやって証明するケロか。
問題
p、qを
である正の実数とする。
a>0、b>0ならば
であることを示せ。
こころ優しいネムネコは、例によって、ヒントを出してやるにゃ。
【ヒント】
とおき、微分して、f(x)の増減を調べれば・・・。
ダサい方法かもしれないが、この方法は確実だし、閃きや難しい前提知識を必要としない。
電波を必要しないにゃ。
お前らに質問(10月4日 定積分の不等式)の解答とペナルティー問題 [お前らに質問]
お前らに質問(10月4日 定積分の不等式)の解答とペナルティー問題
問題 関数f(x)は有界閉区間[a,b]で連続、かつ、任意のx∈[a,b]に対してf(x)>0であるとするとき、次の不等式が成り立つことを示せ。
ただし、a<bとする。
【解答例】
λを実数とすると、f(x)>0なので、
f(x)>0なのでであり、かつ、任意の実数λについて①は成り立つので、
(解答終)
念のため
さらに、
A>0のとき、任意の実数λに対して
であるための必要十分な条件は
できなかったヒトは、次の問題を解くように。
ペナルティー問題
f(x)、g(x)は区間a≦x≦bにおいて連続な関数とし、かつ、
とする。
(1) であることを示せ。
(2) 区間a≦x≦bにおいて、f(x)>0ならば、
であることを示せ。
(1)を証明できると、F(x)はa≦x≦bで(広義)単調増加となり、これから
(2)は、(積分版の)シュワルツの不等式!!
第36回 微積分の基本定理 [微分積分]
第36回 微積分の基本定理
f(x)が[a,b]で連続ならば、f(x)は[a,b]で積分可能である。
定理1 (積分の平均値定理)
f(x)が[a,b]で連続ならば、
を満たすξが存在する。
【証明】
f(x)が[a,b]で定数cのとき、
だから、
となり、a<ξ<bである、任意のξについて成り立つ。
f(x)が[a,b]で定数でないとき、f(x)は有界閉区間[a,b]で最小値mと最大値Mを持つ。
したがって、中間値の定理より
(証明終)
定理2
f(x)は区間Iで連続とする。定点と任意のに対し、
とおくと、F(x)はIの各点xで微分可能で、
【証明】
f(x)はIで連続だから、積分の平均値の定理より
となるθが存在する。
したがって、
(証明終)
定理3
f(x)を[a,b]で連続とする。F(x)がf(x)の原始関数、すなわち、
ならば、
【証明】
定理2より
はf(x)の原始関数の1つで、
したがって、
だから、
したがって、
(証明終)
問1 次の定積分の値を求めよ。
【解】
(1) はの原始関数なので、
(2)
(3)
m≠nのとき
m=nのとき、
(解答終)
問2 f(x)を[a,b]で連続な関数とするとき、次のことを示せ。
任意のx∈[a,b]に対してならば、である。
【解】
の両辺を微分すると、
(解答終)
問3 次の条件を満たす連続な関数f(x)を求めよ。
【解】
(1) は定数なので、
とおくと、
したがって、
よって、
(2) 両辺を微分すると、
両辺を積分すると
また、
だから、x=1を代入すると、
よって、
したがって、
(解答終)
問4 次のことを示せ。
(1) f(x)が区間Iで連続、φ(x)が区間Jで微分可能であって、ならば、a∈Iと任意のx∈Iに対して、
(2) f(x)が実数全体の集合Rで連続であって、任意のx、h∈Rに対して
ならば、f(x)は定数値関数である。
【解】
Fとφが微分可能であるから、Φは微分可能であって、
また、
だから、
(2) xを固定し、両辺をhで微分すると、
これが任意のhについて成り立つので、f(x)は定数値関数である。
特にh=−xとすれば、
(解答終)