何故か知らないけれど、広義積分が人気です [ひとこと言わねば]
だって、広義積分の収束判定法という記事は、収束判定に必要な定理を3つほど紹介し、その具体的な使い方を書いただけの味気ない記事なんだから。
ネットで探せば他にいくらでも同じような内容の記事があると思うのだけれど、意外に、誰も書いていないのかしら。
Tastekastenさんからいただいた「数学のなぞなぞ」 [ひとこと言わねば]
① 二人のロシア人数学者が、偶然同じ飛行機に乗り合わせました。
「君、息子が三人いるんじゃなかったっけ? いったい今いくつになるんだい?」
「三人の年齢の積は36、和は今日の日付と同じだよ」
「それだけじゃあわからないな」
「ああ、その通りだ、言うのを完全に忘れていたけど、一番上の息子は犬を一匹飼っているよ」
三人の子供の年齢はそれぞれいくつでしょう?
② バルセロナ大学の数学の教授の出題。
ある母親がいて、子供より21歳年上です。
子供は、6年後には母親の年齢の5分の1の年齢です。
父親はどこにいますか?
いまこそ我が同胞(はらから)、けものフレンズの力の見せ時だと思うにゃ。
https://goo.gl/jaoWhh
[ラグラジアンとは何だろう?] [ddt³さんの部屋]
[ラグラジアンとは何だろう?]
10.エネルギーが系を駆動するという思い込み
ラグランジュ方程式を導くにあたり学生は惑います。悩んだ末に、ダランベールの原理と仮想仕事の原理の形式的な虚しさに気づき、なれていないが故の変分原理の難解さも何とか乗り切ったとします。ところが学生はまだ悩むんですよ。ラグラジアンL=V-Uが、力学的エネルギーE=V+Uの形になっていないから!。ここでVは運動エネルギー,Uはポテンシャルエネルギーです。
悩んだはいいが、なぜL=V-Uになるかの理由を書いてある文献なんてありません。本当の答えは簡単で、理由なんてないからです。たんなる経験事実だからです。ランダウ先生にいたっては答えるだけ無駄とそんな疑問は一顧だにされません。講義を担当する教官にきいても、ランダウ先生よりもっと曖昧に「経験事実」と答えるはずです。担当教官も若い頃には、悩んだはずなのに。でも学生は納得できません。「エネルギーが系を駆動する」という思い込みがあるからではないか?、と感じます。
何故そんな思い込みが出来上がったのかを考えてみると、どうも我々は高校時代に、
みたいな計算をやり過ぎた気がするんです。しかも高校物理ではたいがい1次元運動で確かにエネルギー保存則さえあれば運動を記述できちゃいます。だいたいエネルギー(活力)って語感が紛らわしですよね。
そういう訳でラグランジュ方程式を出せたはいいが、今度はラグラジアンをエネルギーで解釈しようとして、またまた学生は「標なき旅(永井龍雲)」に出ちゃったりします(^^;)。無理ですって、エネルギーは系を駆動してないんですから。系を駆動するのは、あくまで「最小作用の原理とセットになったラクラジアン」でこれは運動方程式と同じです。運動方程式が系を駆動してるに過ぎません。
例えば惑星運行で最も単純な太陽と地球の2体問題を考えてみます。2体問題の中でもとりわけ簡単に、地球が太陽の周囲を等速円運動するケースを取り上げます。この運動は最も簡単には、定性的に3つの性質があります。
1) 太陽と地球は全体として等速直線運動を行う。
2) 地球は太陽を中心として等速円運動する。
3) この運動は永遠に続く。
1)を言うためには運動量保存則が必要です。2)を言うのは角運動量保存則です。そして3)がエネルギー保存則になります。運動の最も簡単な定性的性質をいうためにさえ、めぼしい保存則は全部必要です。エネルギーが系を駆動してるわけではありません。
11.静力学への寄り道
形式的な虚しさに目をつぶれば、それでもラグラジアンに意味を付けられない事はない、というのが自分の意見です。それは静力学との対比において。以下に述べる事は全くの個人的意見で、公式にオーソライズされたものでは全然ありません(^^;)。
一番簡単に棒の伸び縮みを考えます。伸び縮みする棒はうるさい事を言わなければ、高校時代にやったバネといっしょです。バネ定数をkとします。図-1のように天井からぶら下がった、長さLの棒が(長さLのバネが)重力で伸びる状態を考えます。
棒の一部を微小長さΔyで切り出し、そこで力の釣り合いを取ります。伸びるバネを想像すれば明らかなように、棒(バネ)の一部は上下に引っ張られます。yの位置にある断面を引っ張る力をP(y)とすれば、そこからΔyだけ上の断面を引っ張る力は、P(y)+dP/dy・Δyと書けます。またΔyの微小部分に作用する重力は-ρgA・Δyです。これらの力は釣り合っていなければならないので(静力学だから(^^))、
ところで欲しいのは棒の伸びの様子です(バネでも、どんだけ伸びたか計算しますよね?(^^))。そこで重力によりyの位置にあった断面がu(y)変位したとすると、そこからΔyだけ上の断面はさっきと同じように、u(y)+du/dy・Δy変位すると書けます。この変位差がΔyの間の伸びです。棒のバネ定数はkでしたが、今は棒の一部である長さΔyのバネで考えてる事になります。
ここで並列バネ,直列バネの関係を思い出して下さい。直列バネでは、長さに逆比例してバネ定数は大きくなりましたよね?。長さLの棒のバネ定数がkなら、長さΔyでは、k×L/Δyのバネ定数ですよね?(^^)。
従って、du/dy・Δyの伸びによるバネの力は、
という事になります(OKですか?(^^;))。(2)の値は、位置yでのバネの力と考えられます。(2)の最右辺が、yのみの関数だからです(OK?、本当にOK?(^^))。かつこれは断面を引っ張る力P(y)に等しくなる必要があります。バネの力はバネを引っ張る力に等しくなければならないという、静力学だからです(もう一回ききます。本当にOK?。納得してます?(^^))。
棒の変位と重力との関係を得るために、(2)をyで微分して(1)へ代入すれば、
が得られます。(3)のkを弾性係数Eで書きかえたものを(こっちの方が一般的)、俗に棒の微分方程式と言います。もしかして作用力が一様ではないような場合、(3)は、
になりますが意味は同じです。ちなみにバネ定数kを弾性係数Eで表すと、並列バネ,直列バネの関係から、k=EA/Lになります。すなわち弾性係数(ヤング率)E=kL/Aとは、単位長さ単位断面積当たりのバネ定数です。
ところで等加速度運動の運動方程式の時と同じように、(3)の両辺にdu/dyをかけてyで積分する事ができます。
Cは積分定数です。ここで動力学の時と同じく、作用力-ρgAの符号を変えたものを変位uで積分した量U(u)を、重力のポテンシャルエネルギーだと定義します。
また(6)左辺の1項目を、運動方程式の場合の運動エネルギーに形式的にならってVで表します。(6)左辺の1項目は歪みエネルギーと言われ、重力によって伸びたバネの変形によってバネにたまった内部エネルギーです。
(7),(8)を(6)に考慮すると、
になりますが、ちょっと待て!と思った方もいらっしゃるはずです(^^;)。
(7)でU(u)の単位を調べてみると、ρg:N/m3,A:m2,u:mなのでρgAu:Nとなり、エネルギーの単位N・mにならないじゃん!、と。この秘密(?)は、作用力を-ρgA(N/m)にとった事にあります。最初から、作用力は「単位長さ当たりρgA」と言ってますよねぇ~と(^^;)。じつは今までず~っと、「単位長さ当たり」で考えてたんですよ。なので(7)や(8)は正確には、棒の各点のエネルギー密度です(N=N・m/m)。本当のエネルギーにするためには(6)をもう一回yで積分する必要がありますが、「意味は同じですよね」という事で、あんまり気にしないでください(←強引かつ我田引水)。そして(7)や(8)をエネルギーと呼ぶのは慣用句です。
という訳で、(9)の各項はエネルギーを表しています!(^^;)。しかもその差は定数です。よって(9)はエネルギー保存則のはずです。
でもなんか変ですよね?。だって、運動エネルギーに形式的に対応するはずの歪みエネルギーVと、これは動力学でも静力学でも同じになるはずの重力のポテンシャルエネルギー(いちおう同定義)との、差が一定ですから。でも動力学では和が一定になります。
歪みエネルギーVと運動エネルギーVとを強引に対応付けたのが間違いなのでしょうか?。歪みエネルギーVは、バネ自らが持つ内部エネルギーです。いっぽう運動エネルギーVは、質点の内部エネルギーとは言えませんが(質点はバネのように内部構造を持たないから)、それでも質点自らが持つエネルギーではあります。運動エネルギーVは質点に属し、質点の内部エネルギーであるかのように形式的に定式化したとしても、このレベルの話では問題にならないはずです。(9)が本当にエネルギー保存則かどうか、確認してみます。
(5)の内容を微分形で取り出します。dy→Δyと書き換えて・・・、
Δu=du/dy・Δyは、位置yでの変位差すなわちバネの伸びでした。
(10)右辺は、バネがΔu伸びるにともなって重力(外力)がした仕事です。左辺は、バネがΔu伸びるにともなって増加したバネのエネルギーと解釈できます。それらが等しいという事は、外力にされた仕事だけ内部エネルギーが増えたです。これは仕事の受給関係じゃないですか。エネルギー保存則ですよ。(10)の関係を「内働は外働に等しい」と読み、じつは仮想仕事(仮想働)の原理の言いかえです。
しかしこの事実は、もし和が一定の形式にこだわるならば、静力学においては「作用力の符号を変えないで」ポテンシャルエネルギーを定義する方が望ましいという事でもあり、実際にそういう定式化も良くみかけますが、ここでの目的は動力学と静力学の対比なので、ポテンシャルエネルギーの定義はこのままで行きます。
さらに、外力にされた仕事だけ内部エネルギー(運動エネルギー)が増えるというのは、動でも静でも同じはずなのに、なぜエネルギー保存則でポテンシャルの符号が変わるのでしょう?。その理由はすぐわかります。
運動方程式に対応する、棒の伸びの支配方程式(4)を導く変分原理を考えます。運動方程式の場合は、力学的エネルギーE=V+UのUの符号を変えた、L=V-Uがラグラジアンでした。この事情は、静力学でも全く同じはずです。だってエネルギー保存則を導く「手順」は、運動方程式の場合と全くいっしょなんですから。エネルギー保存則が(9)である事から、(4)を導く変分原理は、
であろうと見当がつきます(実際に正しいです)。U(u)=uf(y)です。という事は、
になります。(11)の∫の中身は「意味からすれば」、系のエネルギーじゃないですか!(^^;)。(11)を最小エネルギー原理といって、静力学の奥義(なのかな?)です。ですがさっき言ったようにV-Uとする流儀もあるので、ちょっと考える学生ここでもやっぱりは混乱します。まぁ~普通は何にも考えませんけどね(鈍感力の強さ(^^;))。
12.ラグラジアンの正体(?)
状況を整理するとこうなります。静力学ではエネルギー保存則と系のエネルギーに別々の表式があります。ただし系のエネルギーは保存しません。系は外力によって仕事をされるんですから、系のエネルギーが変化するのは当然じゃないですか。だいたいエネルギー=一定だったら、最小化もクソもないじゃないですか。でも、動力学のラグラジアンに相当するV+Uは意味を持ちます。
動力学では、エネルギー保存則と系のエネルギーは同じ表式です。この二つの意味を、同じ表式E=V+Uが持って行ってしまうので、ラグラジアンL=V-Uには何の意味も当てられません。本来はこれで良いんですよ。「最小作用の原理とセットになったラクラジアンは、運動方程式と同じ」と書きましたが、このセットで物理的内容を持つのは最小作用の原理の方です。ラクラジアンは、最小作用の原理を使うための道具みたいなもんです。
自分は静力学になじんでいます。ほとんどそれしか使わない3K職場です(^^;)。そういう身としては、エネルギー保存則と系のエネルギーが同じ表式になるのは、動力学の特殊事情と思ってしまう訳です。とは言え静力学も厳密には近似理論です。力を受けた物体が変形すれば、変形過程で速度を持ちますから本当は動力学です。現実の釣り合いは、無限にゆっくり押した状態に近いか、瞬間的に変形してストップするので、速度0の近似を採用した静力学の適用が可能になります。変形過程の速度まで考慮してラグラジアンを書きます。
単位の違いを無視して意味だけの書き方をすれば、(11)から、
であるべきです。Kは運動エネルギーです。なぜKにマイナス符号がつくのか?。Kは慣性力という「嘘の力」を導くからですよ!。加速度項にマイナスをつけたやつです。ラグラジアンは、ダランベールの原理を使った「仮想静止系」で力の釣り合いを取って導かれたものでした。
質点の時は変形を考えないので、歪みエネルギーVがなくなり、
になります。従って普通に使うラグラジアンは、仮想静止系のエネルギーの符号を変えたものという事になります。最後はどうせ=0になるんだから、符号はどうでもよい訳です。
これが自分の思う、ラグラジアンの形式的で虚しい(嘘の)意味です(^^;)。またエネルギー保存則の中でUの符号が逆になる理由もわかります。
・すべては、ダランベール先生のおかげでした。
・・・大山鳴動ネズミ一匹(^^;)。
(執筆:ddt³さん)
〈ネムネコの世迷い言〉
次の記事↓が参考になるのかもしれないですね。
ここに書いてありますが、
まず「どうしてこれが最小になるんですか」という問いに対して、ぶっちゃけた答をまず先に書いてみよう
「逆だっ。最小になるようなもんを探したらこれだったんだよっ!」(負けないように大きな声で)
びっくりしましたか?
お前らに質問(8月20日) (熱力学編) [ねこ騙し物理]
お前らに質問(8月20日)!!
からマクスウェルの関係式、
を導け。
(ヒント)
Z=Z(x,y)は全微分可能とする。
このとき、Zの全微分は
となり、
とおいたとき、
が成立する。
何故こうなるかって?そりゃ〜、
だからだよ。
F=F(T,M)、G=G(T,H)とし、これを全微分した後、①と②と比較し、③と④を使う。
ここまでヒントを出したのだから、かならずやれよな。
さらに念には念を入れて、参考として、以下のものを紹介しておくケロ。
https://www.sit.ac.jp/user/konishi/JPN/Lecture/Thermodynamics/Thermodyanmics_8thAll.pdf
ここ↑の36ページ、「第5章 熱力学の一般関係式」が参考になるのではないか。
ちなみに、添え字の小さな文字は「小さな文字の変数は一定」ということを表す。
偏微分だからこれはアタリマエのことで書く必要はないなのだけれど、熱力学では間違えないためにこれをつける倣(なら)わしなので、この小さな添字を必ずつけるように。
偏微分(あるいは、偏導関数)の定義
f(x,y)をxで偏微分するときはyは固定されているし、f(x,y)をyで偏微分するときはxは固定されている。
これを読んでわからないヒトは、この一つ前の記事、「ゴム弾性、ゴムパッチンの理論」を読んで、マクスウェルの関係式の導出の過程を参考にするといいと思うにゃ。
というのが出てきて・・・、
S=S(T,H)として全便した奴にTをかけると、
断熱(d'Q=TdS=0)だからTdS = 0となり、
と断熱消磁の関係式を導くことができる。左辺の偏微分の添字にSがついているのは断熱(等エントロピー)変化だから。断熱変化と等エントロピー変化が同じなのかという非常に微妙な問題は残るけれど・・・。
まぁ〜、お前らにここまでやれと無茶な要求しないケロ。
こんなことはわかりきったことだから(笑)。
でも、まぁ、これくらいのことは、そろそろノーヒントでさくっと全部解いて欲しいものだね〜。物理的な意味を考えさえしなければ、簡単な偏微分の計算問題にすぎないんだから。この関係式を導くだけならば、偏微分が何であるかを知らなくても、記号操作ということで機械的に解くことだってできてしまうに違いない。
この一つ前の記事に書いたけれど、 熱力学ってのはとっても強力な理論で、簡単な数学的操作をするだけで、こうした関係式をあたかも打出の小槌のようにホイホイと導き出せるんだケロよ。だから、熱力学は知っておいて損はない学問だよ。
ゴム弾性、ゴムパッチンの理論(笑) [ねこ騙し物理]
Tastenkastenさんからリクエストがあったので、
京大の先生が書いた「熱力学の講義ノート」から、ゴム弾性についての記事を引用するにゃ。
ゴム弾性
ゴム糸の長さがxであるとき働く張力がfであるとする。このときdxだけ引き延ばすのに要する仕事はfdxであるから、
マクスウェルの関係式は
である。張力fは必ずしも「のび」に比例しないが、温度および長さのある範囲で以下の性質を持っていることが知られている。
(a) 張力は長さxとともに増大する: ∂f/∂x>0
(b) 張力は温度に比例する: f/T=α(l) (α>0)
このとき、理想気体の場合と同様にして
すなわち、内部エネルギーは長さによらない。仕事をされてでもある。実は分子間力のない理想気体の場合と同じなのであるが、温度を一定に保っている場合には、外からなされた仕事はエントロピーの減少をもたらすだけで、エネルギーの変化にはならない。すなわち、T=一定ののとき、dS=−d'W/T。逆に外に向かって正の仕事をする。この意味で、「ゴム弾性はエントロピー的な力」ということができる。さらに、
より
すなわち、張力一定で引き延ばす(錘を下げておく)と、温度が下がる。同様にして、
すなわち、断熱的に縮むとき温度は下がる。
ものの本に「ゴム糸の中間を口にくわえ,両手でピンと延ばしておいて手を離すと,ゴム糸が冷たくなるのがわかる」と書いてあった。さっそく実験してみたが,はねたゴム糸が口の周りを弾いて痛いだけで,温度変化はわからなかった。まんまと著者の悪戯心にはめられたのだ。きっと!
冨田博之 『熱力学』講義ノート から引用
ここで使用されている記号を説明すると、
U:内部エネルギー
S:エントロピー
F:ヘルムホルツの自由エネルギー
T:絶対温度(=摂氏温度+273度)
W:外からもらう仕事(エネルギー)
で、熱力学の第1法則は
この式の右辺第一項のTdSは外から流入する熱(量)、fdxは外からもらう仕事(エネルギー)で、この式が意味するのは、外からもらった熱量と仕事(エネルギー)の和だけ、内部エネルギーUが増加するという、エネルギー保存則を表している。
とくに難しいことを言っているわけではないケロ。
ヘルムホルツの自由ネルギーFは、
で定義されているので、これを全微分すると、
で、先の熱力学の第一法則(1)を代入すると、
になるにゃ。
マクスウェルの関係式なんて難しい言葉を使っているけれど、これは次のように導くことができる。
F(x,T)として、これを全微分すると、
(3)と(4)のdxとdTの係数(?)が一致しないといけないから、
小さな添字をつけるのは面倒なので省略するけれど、
というわけで、実は難しい話ではない。
という式は、
の両辺をdxで割って、dを∂にすり替えたものだと思えばいい。
で、マクスウェルの関係式から、
になるから、これを(6)に代入すると、
f/TをTで偏微分すると0になるというのは、f/Tは定数でTの関数でないからだにゃ。
あとは、説明不要でしょ(^^)
「今や量子力学の時代だケロ。カビが生えるくらいレトロな熱力学なんて・・・」と熱力学をバカにするヒトも多いと思うけれど、こんなことをいうヤツはとんでもねぇ奴らだと思うにゃ。
確かに熱力学はまったくの現象論で現象のメカニズムを解き明かす学問ではないあるけれど、人類が火を使えるようになってから、一万年以上の人類の長い経験に裏付けられた最も強力な学問体系だにゃ。それだけに熱力学は、生半可なことではゆらぎもしない、とんでもなく強力なツールなんだにゃ。熱力学をバカにしちゃ〜いけない。
どうでもいい与太話なんだけれど、相対論的熱力学を作るときに、あの有名なプランクとアインシュタインは大ポカをやったらしいね。
そして、50年ほど、物理学者の誰もこの大ポカに気づかなかったらしい(笑)。
アインシュタインらは、
と導いたらしいのだけれど、正しくは
エネルギーの変換式が
こうなんだから、この間違いにすぐに気がついてよさそうにと思うのだけれど・・・。
それだけ、プランクやアインシュタインの影響力は絶大だったということでしょうか。
相対性理論』で有名な著者C.メラーは”A Strange Incident in the History of Physics”という論文の中で、「導出の中の基本的な誤りがこんなにも長い期間見落とされたままになっていたことは物理学史上の中で類例のない、思いもよらなかった事件である」と述べているそうだにゃ。
この間違いが見つけられたのは、何と1963年のことであった。ドイツのH.オットという物理学者が誤りを指摘したそうだにゃ。
ネットで少し調べてみたのだけれど、アインシュタインらのこの物理学史上まれにみる大ポカについて書いてある日本語サイトは何故かないようだにゃ。物理学界きってのスーパースター・アインシュタインの権威を傷つけていけないという物理屋さんたちの配慮からか。それとも世界中の物理学者の誰もが長い間この間違いを見つけられなかったので、恥ずかしくて書けないのであろうか(^^ゞ
ネットで調べたら、いま、冨田博之の『熱力学』講義ノートはネット上で公開されていないみたいだね。
数年前に、偶然ネットで見つけ、「これ、結構、いいな」と思って、PCにダウンロードしておいて良かったにゃ。
ここで使っている数学は偏微分と全微分だけ。そして、熱力学の基本的な公式のほとんどが、この2つの知識だけさえあれば、簡単に導くことができるのであった。
現に、ネムネコは、この2つの数学的知識以外、なんにも使っていない!!