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ちょっとだけ数学と物理の話 [ねこ騙し物理]

涼しくなるまで数学の記事は書くまいと決めているのですが、少しだけ数学というよりも物理学の話。

 

比熱や密度、熱伝導率が変わらない場合、2次元の熱伝達の方程式は次のようになる。

  

uはx方向の流体の速度、vy方向の流速、Tは流体の温度で、κは温度拡散率。

対して、湿度や流体に溶けている物質の濃度Cの支配方程式は次のようになる。

  

Dは物質拡散係数とかなんとか言うんじゃなかったかな(^^

 ――正式な名称を知っているヒトは教えてm(__)m――

 

(1)と(2)を見ると同じ微分方程式の形で、温度Tを濃度Cに、κDに変える、(1)式は(2)式に、濃度Cを温度Tに、Dκに変えると、(2)式は(1)式になるにゃ。

だから、温度(熱)の伝わり方と物質の移動はよく似ていて、この両者にはアナロジーが成立するんだケロ。

だって、現象を支配する方程式が同じ(形)なんだもの、この2つの現象は似てなければおかしい。

 

(1)、(2)はベクトルを使って形式的に書くと、

  

テンソル的に書くと

  

デカルト直交座標から極座標(球座標)に変換するとき、(3)や(4)式は使えないので、だから形式的でありテンソル的(笑)。

 

気温38℃で扇風機をつけると涼しくなるか、暑くなるケロか?

という問の答(?)の中で、温度の差と湿度の差(水蒸気の濃度の差)が同じような役割をする、この両者にはアナロジーが成立すると書いたのは、こういうことを踏まえているんだケロ。

この言葉は感覚的に書いたわけじゃないですよ。

 

まったく別の現象に見えるけれど、物理現象には実はこうしたアナロジーが成立するものが多い。

 

アナロジーからは離れるけれど、静電容量Cのコンデンサー、電気抵抗R、インダクタンス(リラクタンス?)Lのコイルの直列回路の微分方程式は次のようになる。

  

ここで、Iは電流。

画像元:https://goo.gl/4wPX69

 

仮に、C=1R=1L=1とすれば、(5)式は

  

となるね。

これは逆な見方をすれば、微分方程式(6)を解くかわりに、C=1R=1L=1RLC回路の電流の変化を時刻tに対する変化を調べれば、微分方程式(6)を解いたことと同じことになる。

  

という微分方程式は、たとえば、R=3L=1C=1/2にして電気回路を組み立てて、電流の変化を調べれば、この微分方程式を解いたことになる。

このように、抵抗R、コイルのリアクタンスL、コンデンサーの静電容量Cをいろいろ組み合わせることによって、定数係数の微分方程式

  

の解を求めることができるんだにゃ。

学生時代のこの話(常微分方程式の電気回路を用いたアナログ解、アナログコンピュータの話)を知ったとき、「すげぇ」と感動したものだにゃ。

さらに交流電源を加えれば、

  

といった微分方程式さえ、微分積分を一切使うことなく、電気回路を組み立てることで解けてしまうんだから、「すげぇ」と思わないほうがどうかしていると思うにゃ。

 

お子さんの夏休みの自由研究の課題でお困りの方は、このテーマ、いかがですか(^^)

ルンゲ・クッタ法などを使って数値的に解くより、こっちのほうがずっと楽しいにゃ。そして、物理や数学(の微分方程式)を身近に感じられるにゃ。

そう思わないケロか?


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