ピストン・クランク機構 ちょっと(工業)力学 [ねこ騙し物理]
ピストンとクランク機構
問題 図はピストンとクランクの装置を示したもので、OP=50cm、PQ=200cmとし、OPは毎秒2回転するものとする。∠POQが増加してちょうど30°になった瞬間におけるQの速度を求めよ。
【解答】
∠POQ=θ、OQ=xcmとすると、余弦定理から
この両辺を時刻tで微分すると、
OPは毎秒2回転、すなわち、4π(rad)回転するので、
これを②式に代入すると、
θ=30°=π/6(rad)のとき、xは①より、
これを解くと、
x>0だから、
③式に、x=25(√3+3√7)、θ=π/6を代入すると、
(解答終)
大学の数学の入試問題にこんな問題が出るとは思えないが、計算力のないネムネコが試験会場でこの問題を解こうとしたら、③以降のどこかで絶対、計算間違いをする自信がある。
なのですが、ピストン・クランク機構は、実用的に重要なので、(工業)力学などで理論化されている。
原点Oを中心とし半径rの円周上を、点Pが反時計回りに角速度ωで回転しているとする。そして、点Pと点Qの距離はLで、点Qはx軸上を移動し、時刻tにおいて∠QOP=θ、∠PQO=Φとする。
また、OQ=xとすると、幾何学的な関係から
となる。
PHは
となるので、
これを(1)に代入すると、
ここで、物理らしく
と近似すると、(2)式は
ここで、三角関数の倍角公式
を用いると、
となる。
ここで、さらにθ=ωtとすると、
が得られる。
これをtで微分すると、
さらに、tで微分すると、
という公式(?)が得られる。
ここで、vは点Qの速度、αは点Qの加速度である。
ただし、(4)、(5)は、厳密なものではなく、近似式であることに注意。
この(4)式を使って、問題の速度を求めてみよう。
OPは毎秒4回転するので、角速度ω=4(m/秒)である。また、θ=ωt=π/6(rad)であり、r=50cm、L=2000cmなので、
対して、問題の答は
となり、大体、0.1%位の誤差で計算できており、十分に実用に足りることがわかる。