定積分の矩形公式と台形公式の誤差 [数値解析]
定積分の矩形公式と台形公式の誤差
[a,b]をN等分した次の点列があるとする。
分割幅をhとすると、
となるが、
このとき、
と積分を近似したときの誤差について考える。
その前に準備として、f(x)がC¹級であるとき、
となるξがa<ξ<bに存在することを以下に示す。
とし、左辺を部分積分すると、
になる。
b−aは[a,b]で非負なので、積分の第一平均値の定理より
となるξがa<ξ<bに存在する。
したがって、
となる。
よって、
ここで、
とすれば、
そして、これが、
と近似したときの誤差の評価式になる。
本当にそうなのか、
とし、
の場合について確かめてみる。
上のグラフは横軸に分割数N、縦軸に誤差の絶対値をとり、対数グラフで表したもので、このグラフを見ると、直線の勾配が約1であり、分割数Nを10倍、つまり、分割幅hを1/10にする誤差が約1/10になることがわかる。
このことより、この誤差の評価式の妥当性を確かめることができる。
また、
となるので、同様の議論から、
と、定積分を近似したときの誤差の評価式が
で与えられることがわかる。
問題1 f(x)を[a,b]でC²級の関数とする。このとき、
となるξが存在することを示せ。
【解】
部分積分を2回用いることにより、
(b−x)(x−a)は[a,b]で非負なので、積分の平均値の定理より
となるξがa<ξ<bに存在する。
また、
だから、
(解答終)
そして、
と台形則で定積分を近似したときの誤差が
となることがわかる。
問題2 次の等式が成立することを確かめよ。
問題3(積分の第1平均値の定理)
fが閉区間[a,b]で連続、gが[a,b]で非負連続ならば、
を満たすξが存在することを示せ。